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月の麓に集まって 第五話「二次遭難」
Flare視点
学校が終わってすぐに、俺は教室を飛び出した
beriからの連絡を見るにフェンリルの最寄り駅に行ったんだろう
階段を駆け下り無い体力で駅まで走る
駆け込み乗車で電車に飛び乗った
長い間電車に揺られ、たどり着いた終点にberiの姿はない
フェンリルのリュックもない
おそらくフェンリルのリュックを回収したままberiはどこかへ行ってしまったんだろう
「beri今どこにいる?」>
「学校終わったからフェンリルの最寄り駅まで来てる」>
<「今神社で探してる」
<「でもいなそうだから、そろそろ帰ろうと思ってる」
beriの返信を見た俺は神社に迎えに行こうと思い足を進めた
しかし長い階段を目の前にし、登る気力が失せてきた
それでもberiはずっと前から一人でここに来ているんだ
自分はなにも手伝えていなかったという無力感、申し訳なさが俺を登らせた
一番頂上には青い空と対比をなすように紅い鳥居がそびえ立っている
周りを取り囲むように生えた木々が風に揺られ音を立てる
周囲があまりに静かだから自然の音がよく響く場所だ
鳥居をくぐると少し質素な本殿が建っていた
屋根はボロボロ、目の前に置かれた賽銭箱は手が入りそうなくらいの穴が空いている
「beri今どこにいるの?」>
山の上にぽつんと経った神社だから、行けばすぐ見つかると思ってた
しかしどこを見てもいない
だから俺はそう聞いてみることにした
少し辺りを|彷徨き《うろつき》ながら返事を待つが一向に返ってこない
フェンリルを探しに行ったberiを探しに行くなんて訳がわからない状況になってしまった
このままではフェンリルを探しに行ったberiを探しに行ったFlareを探しに行く人が現れてしまうかもしれない
このあたりからただならぬ気配を感じた俺はすぐに階段を降り電車を待った
次の電車は1時間後
スマホで時間を潰そうと思い、普段はあまり見ないがニュースを開いてみる
政治、ゲーム、政治、事故
動物、情勢、ゲーム、事件
ジャンルも毛色も違う記事たちが並ぶ中、ひときわ目を引くものがあった
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◯◯◯県◯◯市で◯◯小学校に勤める教員3名が突然死
△△県での突然死と関係性アリか
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突然死とだけ書かれるとその詳細が気になってしまうものだ
しかも同じ学校の教員3名が同時期に突然死なんて、絶対何か原因があって死んだとしか思えない
世の中には物騒な事件が多い
そんな事を考えていると、いつの間にか俺の横にはスーツを着た長身の男が立っていた
急に現れたように見えたので俺は少しびっくりしてスマホを落としそうになった
何してくれんだよこの男
その男を横目で観察してみると、片手に銀のアタッシュケース
もう片方の手は白い手袋をしていた
片方だけ手袋をするなんて随分違和感がある
男は腕時計を確認すると、まだ電車は来ていないのにも関わらずスタスタと線路の方へ歩いていってしまった
ちょうど男の足が線路の上に踏みかかると、男の体はみるみる透明になり次第に見えなくなってしまった
「???」
しばらくの間、俺の口はぽかんと空いて目が点になっていたことだろう
目の前で起きた光景が現在とはとても思えなかった
そこから電車が来るまで変わったことは何一つとして起きなかった
beriから返信が来ることもなかった
俺が電車に乗る頃には既に太陽は沈み始め、吹く風も肌寒いものへと変わっていった
外より暖かい車内で俺は猛烈な眠気を感じ、そのまま眠ってしまった