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月の麓に集まって 第十二話「間引き」
フェンリルは足元から凍りついていく…
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beri視点
「ん〜やっぱだめか」
「しょうがない、置いていこう」
え?ちょ待ってよ
フェンリルがこんな状態なのに置いていく?
一体時雨は何を考えているんだ
「だめだよ置いていかないで!!」
もう既に歩き始めていた時雨とペンタがこちらを振り返った
そして呆れた目をして話始める
「エコーはね、有用なものだけじゃないんだよ」
「フェンリルはハズレを引いた」
「ただそれだけのことだ」
「ここはリンボと違って危険なんだよ」
「失敗作に構っている余裕なんてない」
どうして?どうしてこんなにも時雨とペンタは冷めているんだろう?
私にはとてもそんな真似できない
急いでフェンリルの足元に近寄って、素手で氷を殴りつけた
冷たい
痛い
時雨とペンタはそれを見てもなお置いていこうとする
「beriは来ないの?」
「フェンリルがこんな状態で置いていけるか!」
時雨は返事もせずにまた後ろを向いて歩いていく
ペンタが何かこちらを気にするように目を向けるも、時雨のあとについて行ってしまった
なんて勝手な人なんだ
「フェンリル大丈夫?」
「うん…確かに凍ってはいるんだけどさ」
「全く痛くも痒くもないんだよね」
こんなガッチガチに凍っているのにそんなことがあろうか
私が必死に氷を殴り続けているとやがて氷にヒビが入った
「あ!抜けそう」
そういった途端ズボッとフェンリルの足が氷から抜けた
なんだ本当に平気そうじゃん
「もしかして僕自分でやった…?」
「そんなまさか」
「でもそれがエコーってやつだとしたらあり得るんじゃないかな」
「試しにそこら辺の草凍らせてみてよ」
「草?こんな感じ?」
フェンリルが草に手を振りかざすと葉の一つ一つに霜が降り、やがてカチカチに凍ってしまった
「すごいじゃん!!!」
「えへへ…?」
フェンリルの無事が分かったがどうにも時雨とペンタの後を追うのは気が引けた
あんな奴らについて行っていいことはないだろう
このゲート付近をしばらく見渡してみる
その光景はまるで現実世界にいるように見えた
高いビルが立ち、コンビニや飲食店が屋根を並べている
ここが異世界とは信じられない
「beri…どうする?」
「時雨たち探す?」
フェンリルこそ時雨たちに思うところがあるはずだ
それでもフェンリルは時雨たちの後を追うことを提案してきた
「フェンリルはそれでいいの?」
「だって…帰り方とかもわからないし…」
それはそうだ
今ここにあるゲートは上向きに付いていてジャンプしても届きそうにない
しかもそんなゲートなら帰り道に使うものとも思えない
「しょうがないね…」
私とフェンリルは時雨たちが向かったであろう方向に歩いていくことにした
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時雨視点
「本当に大丈夫なの?あの2人」
「置いていって良かったの」
「ゲート付近なんて敵は来ないし、不適合者まで連れて深い場所へ向かうなんて俺にはできないぞ」
「そんなに気になるならペンタが迎えに行ってやればいいじゃない」
「ごめんて〜」
近道をしたのもあってそろそろ第二環に到着する
あの2人だけでは到底ここまで来られないだろう
「そういえば俺第三環まで行って探してたんだけどさ、いなかったんだよあの教師」
「…つまり?」
「四環以降だねおそらく」
第四環なんてまだ俺は行ったことがない
最近になって第二環でのエコーの副作用に慣れてきたと言うのに四環まで行かなければならないのか
「副作用大丈夫…?」
「ペンタは?」
「俺は平気だな〜最近異世界に入り浸ってたし」
「そうそう、最近エコー進化したんだよ」
「どこまで分かるようになったんだ?」
「うっすらだけど顔まで分かるよ」
ペンタのエコーは血痕などの戦いの跡からその時に起こったことを読み取ることができる
今まではあまり使い所がなかったが、顔まで見えるようになったならかなり使えるだろう
「俺が書いた地図あるんだけどさ、見る?」
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そう言ってペンタは真っ白の紙に鉛筆で書いたような地図を手渡す
「これは…俺でもこれくらいわかるぞ」
「知ってるよそれくらい!文句あるか!」
「ないけど」
そうしているうちに第一環と第二環を隔てる壁が現れた
やっとここから第二環に入る
「ここから降りて下の門をくぐらないとね〜」
近道をしてきた関係で俺たちは崖の上のような場所にいる
ここからツタを使って下に降りるのだが、どうやら門の前に何かいるようだ
「時雨ここからそのショットガン当てられないの?」
「だめだ、ちょっと遠すぎる」
「降りて戦うしかないか〜」
流石に門の目の前に敵がいたら戦闘は免れない
大抵ひとつの環につき4〜5個は門があるんだが、他の門に移動するとなると非常にめんどくさい
俺はツタを足に引っ掛けて慎重に崖を降りていく
下までは10mほどある
「気をつけろよ〜」
ペンタが上で見守ってくれているようだ
そんなペンタの方をふと見上げたとき、ペンタの背後には敵が構えていた