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月の麓に集まって 第十四話「思わぬ再会」
フェンリル視点
時雨の台車を押すペンタにberiと一緒に付いていく
どうやら異世界はいくつかに分かれているらしく、ゲートから離れれば離れるほど危なくなっていくと言う
しばらく歩いていると第一環から第二環を繋ぐ門が見えてきた
「エコー持ちはここから先ちょっと副作用が出るかもしれない」
「特にフェンリルは危ないかもね」
副作用…?
ペンタの言葉に僕は怯える
第二環に入った途端にぶっ倒れたりするのか…?
「進むにつれてberiもエコーに目覚めるかもしれないからそれも気を付けるように」
「何があってももう置いていったりしないけどね」
時雨はすっかり反省した様子だ
「今が放課後の時間ならいいんだけどね」
「知り合いに身体の不調を回復させるようなエコーを持つやつがいるんだが、そいつは中学生だから放課後に来ないんだ」
「時雨中学生に手出してんの?」
「beri変な言い方するな」
「ごめんって〜」
なんやかんや門の目の前までやってきた
第一環でも感じていたことだが、進むほど人工物が減っていっている
どんどん田舎っぽい雰囲気に近づいていると言うか…
「さっき来た時には敵がたむろしてたんだが今はいないね」
「時雨あそこの崖から落ちたんだよ〜」
ペンタが指差した先にはかなりの高さの崖があった
あんなところから落ちたらそりゃあ動けなくなるだろう
「下手に近道するもんじゃないね…」
「多分、左足のどこか折ってる」
「骨折!?」
「大丈夫なのそれ」
「さっき話した知り合いが来る時間になったら俺はそっちに行くとするよ」
時雨は思ったより過酷な状況にあった
この先を動けない時雨と3人で進んでいかなければならない
僕たちは門をくぐって先に進む
ここからはもう山の中といった感じだ
ゲート付近に立っていたようなビルたちは面影すらない
門をくぐって10分ほど経った時だ
視界がゆっくりだが揺れているような気がした
「フェンリル大丈夫?なんかふらふらしてるよ」
「ごめん、ちょっと目眩が…」
僕がそう言うとなぜかペンタと時雨は少し笑った
話を聞いてみると、副作用が出たということは完全にエコーに目覚めたという証拠にもなるらしい
最初になぜか自分が凍りだしたのは意味がわからないが、なんとかなっているようで安心した
「フェンリルの歓迎会とかやらないとだよね〜時雨」
「どこでやるんだよ?小屋か?」
「人数増えるんだったらあの小屋も改修工事が必要になるよね」
「モロトフに頼んでおくよ」
吹き抜ける生暖かい風は木の葉を揺らし
土を踏む自分たちの靴はとんとんと音を立てる
後ろを振り向くと、3人分の足跡とタイヤの跡が残っている
「第三環っていつ着くの?」
「うーんそうだよな、beriはこの中で唯一副作用ないもんな」
「副作用持ちのやつからすれば第三環とか本当は行きたくないもんだよ…」
beriの問いに時雨が答えた
「まあ俺みたいに何回も来たら慣れるけどね」
ペンタは副作用の耐性に自信があるようだ
何回も来たら慣れるってことは、これが初回になる僕はきっとひどいんじゃないか…?
そう思った途端第三環までの道のりがもっと長くなればいいのにと思ってしまった
「前、誰か戦ってるぞ」
時雨の目線の先には僕たちと同じ制服を着た2人組の姿があった
すごく、すごく見覚えがある…
時雨の言っていた知り合いというのは中学生らしいし、この2人ではないだろう
カンッ
金属と金属がぶつかり合うような音
張り詰めたような空気によく見えていなくともあの2人組が戦っていることがわかる
僕たちは急いで向かうことにした
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奏者視点
「Sere危ない!」
敵の数が多すぎる
ここに来る途中で拾った金属バットももうボコボコになってしまった
猿のような見た目をした奴らはSereに飛びかかろうとしている
「えいっ!!!」
頭を抱えてしゃがみ込んだSereの前に駆けつけ、ボコボコのバットで猿の頭に一発お見舞いする
「奏者ありがとう…でも後ろにも」
「あれ?」
後ろから複数足音がする
誰か来た!?
振り向くとそこにはこちらに向かって走ってくる
3人と…台車の上に1人?
もしかして助けに来てくれたの!?
「邪魔だどけー!」
台車を押していた人が思い切り台車を突き飛ばす
銃を構えた人を乗せたまま台車が思い切り近づいてくる
「きゃああっ」
横に倒れ込むようにして台車を避ける
猿たちの注意が台車に向く
台車に向かって猿たちが襲いかかろうとした時だ
パーンッ
パーンッ
パーンッ
猿たちに見事ショットガンが命中する
飛びかかろうとしていた猿たちは宙に留まることなくバタバタと倒れていく
「す…すご…」
Sereも目を丸くしている
「あ、あのどなたですか!?」
Sereがそろりそろりと起き上がって言った
のそのそ歩いてくる3人組の中には見覚えのある顔があった
同じ制服を着てるし多分間違いない
Sereも近づくにつれてそれに気付いたみたいだ
「ゲーセンで会いました…?」
「会いました!そう!その時の!」
「けどなんでお二人ここにいらっしゃるんです?」
そう確かこの人の名前はberi
後ろにはフェンリルもいる
もう一人と台車マンは知らんけど
「ちょっと事情がありまして…」
Sereはそう言うと助けを求めるようにこちらに視線を向けた
「まーちょっとね」
助けてくれた恩もあるし、Sereと私はここに来た経緯を話すことにした