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月の麓に集まって 第七話「火炎瓶」
Flare視点
ぼんやりとした明かり
ふわっと肌に吹き付ける生暖かい空気
いくら目をすぼめてもはっきり見えない輪郭
俺は感覚的に夢を見ていることを理解した
揺れ動く電車は、絶えず体を揺さぶり
誰もいない車内は奇妙な夢の空間を更に非現実的なものに仕立て上げる
俺はその場で立ち歩き少し車内を探索することにした
隣の車両を覗き込んでみると、その奥には絶えず車両が続いている
隣の車両に移動するとそこには銀のアタッシュケースがひとつ置かれていた
あの男が持っていたものと非常によく似ている
そのアタッシュケースに触れてみようとしたとき、「起きてください」という声が頭の中でぐわんぐわんと反響し俺は夢から覚めた
目を開けるとそこにはどこかで見たことがあるような女の子が立っていた
ちょうどその時に停車していた駅は俺が降りるべき駅だったので、電車を降りた
その女の子も同じく電車から降りた
あとから話を聞くと、昨日同じ駅で降りるのを見たのに、ずっと眠っているのが心配だったから声をかけてくれたそうだ
「起こしてくれてありがとう。お名前は?」
同じ制服を着ているものだから、失礼かもしれないが名前が知りたかった
もしかしたら同じクラスの子かもしれないし
「猫又です」
「1の2です」
なんだ後輩かと内心思った
けれどこんなに優しいくてかわいい後輩と知り合えるなんて、俺超ついてる
「俺Flare」
「2年生だよ」
「わっ!先輩なんですね」
「2年生大変そうですもんね、おつかれさまです」
猫又と名乗る女の子に俺はもう一度感謝を告げて改札を出た
俺は別に2年生大変だからとか言う理由で寝てたんじゃない
フェンリルとberiを探しに…
俺はそこで事の重大さに再び気づいた
このままberiから返信がなかったらどうしよう
明日もしberiが学校に来なかったらどうしよう
俺には何も出来ることがなかった
返信が来ること、学校で明日会えることを祈りながら俺は結局その日は布団に潜って終えた
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beri視点
<「学校終わったからフェンリルの最寄り駅まで来てる
」
「今神社で探してる」>
「でもいなそうだから、そろそろ帰ろうと思ってる」>
Flareもここに来るみたいだし、一緒に探そうと思った矢先、私はおかしなものを発見してしまった
それは地面に広がる黒いもやだった
雨が振っているわけでもないのにそのもやは雨水を食い広がっていく水たまりのよう
「なんだこれ面白い」
私はその場でしゃがみ込み、指を黒いもやに突っ込んでみた
黒いもやに触れた私の指は地面にめり込んだかと思うほど深く沈み込んだ
しかし指に何も感覚はなかった
そう、そこに地面はなかったのだ
地面に触れる勢いで落とされた指には私の体重が乗っており、前かがみで転げ落ちるようにして私は黒いもやに吸い込まれていった
しばらく宙に浮いたようなフワッとした感覚を味わったのち、自分のスクールバックの上に落ちた
幸いスクールバックの上に落ちたことにより大きな怪我はしなかった
けれどもしそのまま落ちたら無事では済まされなかっただろうと思う高さだ
それはそうと、かなりめんどくさいところに私は来てしまったみたいだ
それはなぜか?前を見たら分かる
こちらを狙う獣のような赤い目が、目の前に大量にあったから
全てこちらを見ているようだ
できることなら全ての荷物を置いて逃げるところだが、生憎私はフェンリルのリュックまで持っている
これを置いて逃げてしまっては私がわざわざここまで来た意味がなくなってしまうように思えた
動き出す赤い目
駆け巡る思考
辺りを見渡すもそこは森の中のよう
スクールバックの肩紐を握る手に汗がにじんだその時
大きな発砲音と共に、私の眼の前を高速で何かが通り抜けた
「逃げろ!」
男性の太い声が響く
ハッと振り向くと長身の男が立っていた
すごくあの駅で見た男と似ている…
瞬く間に燃え広がる獣たちを背後に、恐怖から震える足でなんとか男の元へと逃げ込んだ
「そんな荷物あんだったら置いて逃げろよこの無能」
「えっと…それは…」
私が言いかけると男は再び獣に銃を向け、1発、2発と弾を撃っていく
銃口から放たれた弾の全てが獣の頭部に命中し燃え広がる
それ見た獣は怯えたように逃げていった
男は胸元からハンカチを取り出し銃口を拭く
「なぜここにいる?」
「えっと…えっと…」
こんな訳がわからないことが目の前で立て続けに起きて私の脳はパンクしていた
「…まあいい」
「もっと安全な場所に移動する」
「ついて来い」
私はその男に言われるがまま、その場を後にした