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【第七話】九尾の狐はメンヘラでした (前編)
前編、後編で別れてるの多くてすみません!
どうしても長くなってしまう…!
「……ずるい。ずるいずるいずるい、絶対にずるい!!」
ある日の放課後、相談所のドアが静かに開いたかと思うと、そこに立っていたのは息を呑むような美青年だった。
白銀の長い髪に、切れ上がった瞳。切れ味の鋭いスーツを着こなしたその背後には、幻覚のように九つの白い狐の尾がゆらゆらと揺らめいている。
「うわ、なんかめちゃくちゃ強そうな奴が来たぞ……!」
あおいが身構え、ワラビィが「お、俺の最初の客か?」と肩の上で身を乗り出す。
しかし、その美青年はあおいをジロッと睨みつけると、ハンカチを噛み締めながら涙目で叫んだ。
「僕は20年も物陰からガマンして見守り続けていたのに……! 君はただの人間で、しかもチラシが見えただけで合格だなんて、不公平だ! ふざけるなあああっ!!」
「いや情緒どうなってんだよ!?」
あおいは初対面のイケメンからの猛烈な八つ当たりに、思わずパニックになりかける。
「なによ、うるさいわね。大福の粉が飛ぶでしょ」
ソファでいつも通りもぐもぐしていた雫は、美青年の顔を見ると、思い出したようにパチンと手を叩いた。
「あ、思い出した。20年前に勝手に飛んでった元助手の……ええと、お稲荷さんだっけ?」
「『白蓮(びゃくれん)』です!! 名前くらい覚えておいてください雫様!!」
九尾の狐――白蓮は床に崩れ落ち、激しくショックを受けた。
「あ、あの……雫。この人、元バイトなんですか?」
あおいが恐る恐る尋ねると、雫は冷淡にお茶をすする。
「そうよ。20年前、あのチラシを見てここに来た最初の妖怪。でも、ある日突然、仕事中に『僕の九つの尾のすべてを賭けて、あなたを一生愛します!』とかトチ狂ったことを言い出してね。鬱陶しいから『大福の邪魔』って言ってフったら、次の日から来なくなったの。急に辞めるなんて、本当に無責任なキツネよね〜」
「居づらくなったに決まってんだろ!!! 精神的死亡だよ!!」
「雫さんに告白するなんてそれこそとんだ悪趣味だ⋯!」とワラビィ
「そうよ、私に告白なんて何千年早いわ。」
「いや雫⋯今のは悪い意味で言われたんだと思うが⋯」
白蓮はすくっと立ち上がると、長い指先をあおいの鼻先に突きつけた。
「そうだ! 僕は振られて傷心した! でも、雫様のことが諦めきれなくて、この20年間、気配を消してずっとストーキング……じゃなくて、遠くから様子をリサーチしていたんだ! そしたら、何だその金欠の一般人は! 雫様と遊園地デートだと!? 許さない……絶対に許さないぞ、あおい!」
「ストーカーしてたの怖っ!! っていうか、あれはデートじゃなくて監視員としての同行で⋯」
「黙れ! 僕は認めない! どちらが雫様の助手にふさわしいか、僕と勝負しろ! もし君が負けたら、今すぐその座を僕に明け渡してもらう!!」
白蓮の背後の九つの尾が、嫉妬の炎とともに逆立った。
「さあ勝負だ、あおい! 雫様の隣に立つ資格があるのがどちらか、今すぐ白黒つけてやる!」
白蓮が妖力を滾らせ、応接室の空気がビリビリと震える。
あおいは「いや、俺は別に勝ち負けとか……」と引き気味、肩の上のワラビィは「おうおう、美形キツネが盛大に荒れてんねぇ!」と面白がっている。
どうするあおい…! (?)
続く
白蓮さん、結構お気に入りです。
日記に雫ちゃんのキャラデザ載せてるので良ければ見て貰えませんか…!