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【第六話】特級呪物は呪いたい (前編)
関係ないんですが日記読んでみると物語の幅広がりますよ…!
「……なぁ雫。これ、今日の帰りにゴミ捨て場で見つけたんだけど」
あおいが相談所の机の上に『ドン……』と置いたのは、世にも奇妙な人形だった。
濃い紫色と、薄汚れた茶色の布地が不器用につぎはぎされた、ヴィンテージ風のうさぎのような人形。左右の目は不揃いなボタンで、口元は黒い糸でガタガタに縫われている。
不気味なはずなのに、どこかシュールな愛嬌があり、何よりそこから放たれるドス黒いオーラは度を超していた。
「なによこれ」
今日もおやつである大福を頬張っていた雫は、人形をギロリと見ると、容赦のない一言を放った。
「なんつー悪趣味なもの拾ってきてんのよ。今すぐ戻してきなさい。」
その瞬間、机の上の人形がビクンッ!と跳ね上がった。
「んだとこのヤローーッ!!! 誰が悪趣味だコラァ!!! 芸術のわからねえ女だな!?」
ガタガタの縫い目がベリベリと裂け、人形が猛烈な勢いで喋り出したのだ。声は、妙にガラガラのヤンキー風である。
「うわあああ!? 喋った!?」
あおいは背後へ飛び退き、パイプ椅子に足をぶつけて派手に転んだ。
「当たり前だろ! 俺様は『呪いのワラビィ』! 持ち主を次々と不幸に陥れてきた、恐怖の最凶呪物様だ!! なのに、さっきの人間(あおい)は俺様をじっと見つめて『……なんかオシャレじゃん』とか言って拾いやがった! 正気か!? 恐怖しろよ!!」
「いや、だってなんかただならぬオーラが漂ってたから、レア物かと……」
腰を抜かしたまま言い訳するあおいに、雫はお茶をすすりながら、ため息をついた。
「やっぱり。あおい、あんた本当に『目』だけは無駄にいいわね。……で? その最凶呪物さんが、なんでゴミ捨て場にいたわけ?」
雫の煽り全開の質問に、人形のワラビィはガクッと肩を落とした。
「う、うるせぇ……。今の人間はドライすぎるんだよ! 前の持ち主の家に夜な夜な現れて『呪ってやるぅ……』って枕元に立ったらさ、『あれ、コイツ捨てなかったっけ?もったいないしメルカ〇で売っちゃお』ってスマホでパシャパシャ写真撮られてよぉ……」
「あー、また現代文化の被害者が……」
あおいは、今までのことを思い出して深く同情した。
ワラビィは悔しそうに短い手足をバタバタさせる。
「しかも、発送しようとしたら『なんかドブ臭いから取引キャンセルします』って言われて、そのままゴミ捨て場にポイだぞ!? 呪う前にゴミに出される俺様のプライドはどうなるんだよ!!」
「自業自得ね」と、切り捨てる雫。
「……で、あんたはどうしたいわけ? うちの相談所に、そのメルカリの文句でも言いに来たの?」
ワラビィはボタンの目をギラリと光らせ、机の上で胸を張った。
「違うわ! 俺様を拾ったこのスカポンタン(あおい)を、最初の呪いの生贄にしてやろうと思ってついてきたんだよ!!」
「俺かよーーーっ!!!」
今日も1番の被害者であるあおいであった。
続く