公開中
いつまでも 君の隣にー人形ゴロし編IIー
※いつもの如く長め
いつまでも 君の隣に ー裁判編ー
今日はよく晴れていたため、月がよく見える。
ヴィス「また夜がやってきた」
アレン「そりゃやってくるだろ」
ヴィス「文句あんの?」
アレン「別に」
リーヴァ「喧嘩?」
ヴィス「喧嘩ではない。
それより今宵も綺麗だね、リーヴァ」
ぶっきらぼうにツッコまれれば、そりゃ誰でもイラつくだろう。なんなんだ、彼は。
まあ、どうでもよくなる程リーヴァが綺麗なのだが…
アレン「はいはい、ちょっと離れてくださいね〜」
グイグイ
ヴィス「ピキ 邪魔すんな」
アレン「俺にできることがあったら、なんでも言ってね。リヴァ」
ヴィス「は“」
リーヴァ「?う、うん‥」
リーヴァとの距離を無理やりアレンに離される。
“少し”
怒りが湧いたせいで、口が悪くなってしまった。リーヴァに悪い影響を与えてなければいいが…
にしてもアレン‥リーヴァと親しい仲だという事を僕に見せつけるんじゃない。
そして無許可に触るな。
ヴィス「ギロ‥」
アレン「……何です」
ヴィス「いや、なんでも。フイ」
ー数十分後ー
二人「バチバチバチ‥」
リーヴァ「コク…、んん‥」
ヴィス「、アレン」
アレン「何、ヴィス‥」
ヴィス「(リーヴァの方を指差す)」
アレン「、」
リーヴァ「ん………コクン‥コクン…」
ヴィス「…リーヴァが眠たそうにしている。
…__一時休戦だ‥__」
アレン「‥まあ、リーヴァが可哀想だし…そうしよう」
リーヴァ「……スヤスヤ」
ああ、なんて可愛らしいんだろう。
寝ている姿は、まるでスーパーチュニア・ビスタのミニ ピンクスターのようだ……。
本当なら、アレンなんぞに見せたくないが致し方ない。
アレン「…俺らも寝るか」
ヴィス「…やる事は特にないしな‥
……アレン、君はリーヴァと少し近いんじゃないか?」
アレン「はい??適切な距離でしょ」
ヴィス「どうだろうね、測ってみようか??」
アレン「貴方ホントにめんどくさい人だな…!!?
もしリーヴァに何かあったら、どうする。すぐ助けれないでしょう」
ヴィス「その時は僕が助けるからなんら問題はない。自分の心配をしたらどうだい」
アレン「マジ‥ギリ‥」
僕たち二人は、リーヴァの後を追うかのように眠った。
……グチグチと、お互いがお互いを貶しながら
---
---
ヴィス「……、__ん__」
『おはようリーヴァ』
そう、眠っているはずの彼女へ声をかけようとした。しかし、彼女の姿が見当たらない。
リーヴァ「二人とも…!」
リーヴァの声が、少し上の方から聞こえると同時。いや、それよりも早く僕は体を無理やり起こしリーヴァを取り戻した。
アレンも……“は”、声と同時に起きたのだろう。僕と同じようにリーヴァの方へ手を伸ばしこちらへ引き寄せていた。
??「あれぇ?そっちの|左腕《さわん》もいいわん」
独特な語尾を付けた声がした方を向く。
すると、そこには牡丹色のドレスを着た、紫色の瞳をしたの人形が“左腕”を欲しそうにこちらを眺めていた。
ヴィス「君が『人形ゴロし』か?」
??「人形ゴロし?巷じゃそんなふうに言われているのね。私の名前は“マリィ”。覚えておきなさい!」
咄嗟にその言葉が出てきたが、まさかの本人だったらしい。
名をマリィと、そう名乗った。
アレン「リーヴァは下がってて…」
リーヴァ「うん」
マリィ「|左腕《さわん》|左腕《さわん》|左腕《さわん》…」
アレンがリーヴァを自身の後ろへ隠す。
リーヴァが下がったのを確認し、僕とアレンの二人が構えたその瞬間
--- 人形ゴロしの姿が 一瞬にして消えた ---
アレン「グラン・カルマ!」
アレンは咄嗟に能力を使う。
彼の能力は重力や圧力を操ることができるのだ。いくら早くとも、重力が強くなれば強制的這いつくばることになる……アレンの判断は、正しい。
マリィ「ふふ…やるじゃない__
少し、本気で行くわね。“ミラージュ・ソワレ”!」
人形ゴロしは不敵に笑い、自身の能力を使用した。
人形ゴロしがドンドン分身し増えていく。きっと、自身を分身させることの出来る能力なのだろう。
本体がどれか分からず混乱させられる…良い能力だ。ぜひ味方に来て欲しかった。
マリィ「ふふふ…この数に勝てるかしら?」
どうやってこの数の分身の中から本体を見つけ出そうか…そんなことを考えていると、別れていた別のチームが合流して来た。
メトリ「なんか、胸騒ぎがして。思った通り!」
ミーフィ「あれが、人形ゴロし?」
ライル「めんどくさ…」
さてと…本格的に彼女と戦うことになるらしい。僕は、逃げる、ということも考えていたのだが…。
人形ゴロし、基マリィの分身は、既に五十は超えている。この大群の中から、たった一人、マリィ本体を探し出すのは困難極まりない。それに、あのイかれたドールが大人しく|本体《自分》を探させてくれるとは思えない。
一体、どうすれば本体を見つけ出せるだろう。
僕は、周りが戦闘体制に入っているのにも気づかず思考を巡らせた
ああ_
そうか。
どうして僕は、
“自分”
がいることを考えなかったんだろう?
あるだろう。本体を一発で見つけ決着をつけることが出来てしまう“能力”が
リーヴァに被害を出した“罪”は、酷く‥酷く、重いぞ?
ヴィス:「…
--- `|ジャッチ・アイ《裁判長の目》` ---
」
僕は、長い間使わなかった自身の能力の名を口にした。
その瞬間、その場にいた全員が《《とある場所》》へ飛ばされる。外に出たドールですら、なかなかお目にかかれない場所だ。
工場にある本を読むドールでも、|哺乳類《人間》の政治には興味がない者もいる。知る者は数少ないだろう。
|全員《-ヴィス》「はぁ?」
ここは《《裁判所》》
ドールの僕たちでは滅多に来れない…というか、来れる可能性が0%に等しい程の場所。二足歩行をする知的生命体、哺乳類に分類される人間が罪について話し合いをする場だ。
傍聴席には途中で合流した別のチーム全員とマリィの分身たちが、
証人席にはリーヴァが襲われている場面を一緒に見ていた“証人”アレンが、
被告人席には“マリィの本体”が座っている。
リーヴァはもちろん、被害者のため当事者席に………
ほぼ全員、何故かポカンとした表情で座っている。‥何故だ?
ちなみに僕が座っているのは__
ヴィス「僕のこの目からは、逃れられない____これより、裁判を開始する。」
裁判席だ。
その理由は、まあ…これから何となくわかるだろう。
僕はメガネを指で押し上げた。
ヴィス「被告人は、今日の深夜2時ごろ、リーヴァの寝込みを襲い、リーヴァに恐怖を植え付けた。
その罪を認めますか」
僕は、《《意味のない質問》》を、マリィへ…被告人へと、問いかける。
マリィ「はぁ?何よそれ?」
ヴィス「__そうなるだろうね‥__それでは、証人尋問です。
君はリーヴァが襲われているところを目撃しましたね?」
予測していた返答が返ってくることに少々呆れてしまったが、口を止めることなく証人であるアレンへと問いかける。
アレン「え?あ、はい。」
ヴィス「被告人マリィ。君はリーヴァに危害を加えた…この罪は重罪だ…」
僕の愛しのリーヴァを傷つけた罪は、どんな罪よりも重いぞ?
どんな判決を下すかは、能力を使った直後から決めている…というか、僕はこれ以外の判決を被告人マリィに下すつもりはない。
これほどの重罪を犯した者を、生かしておく義理なんて…僕にはない。
ヴィス「よってこの裁判の判決__**`死刑`**(ドス声」
ミーフィ「メチャクチャな裁判…」
メトリとライルがうんうん、と分かりやすく頷くが、どうでもいい。リーヴァに恐怖を植え付けた罪を酷く重いのだから。当然だ。
マリィ「何が死刑よ。フン
__!!」
マリィの死刑には何が相応しいか…考えた結果、斬首刑が良いと判断した。
すると、僕が瞬きする間に、マリィの頭部は宙を待っていた…
うん、よく似合っている‥それに、|彼女《マリィ》は左腕が好きなのだろう?なら、自分の左腕でも眺めていればいい。
僕の能力は_
|全員《-ヴィス》「!!」
ヴィス「これにて裁判を終わる。」
自身を“裁判長として”裁判を起こせる能力
自身が真実だと思ったことを真実に嘘だと思ったこと嘘に、強制的にさせる能力
言ってしまえば、その二つを兼ね備えた能力…|ジャッチ・アイ《裁判長の目》だ。
詳しくは、またいつか_
---
ー二日後ー
僕たちは人形ゴロしを倒し、平穏な日々を過ごしていた。今日は、そんな“平穏な日”のお昼真っ盛り。
僕はいつもの如く癒されに、リーヴァの元に来た。
リーヴァ「あの時とっても恐ろしかった…」
メトリ「あはは、確かに、すごい怖かったね…」
ヴィス「、リーヴァ‥__/__」
ほんの少し頬が緩んだ気がしたが、気のせいだろう。
……念の為、マフラーを少し上の方に上げとくか…
リーヴァたちのよくいる場所に行くと、やっぱりリーヴァ(メトリと共にいる)がいた。何やら二人の怖かった出来事の話をしているようだ…
二日前にあった、あのイかれたドールの‥人形ゴロしの話かな?リーヴァは左腕目当てで寝込みを襲われたわけだし、きっと軽いトラウマになってしまったんだろう。
ヴィス「人形ゴロしの話かい?」
僕はひょっこり顔を出し、そう言った。
もし人形ゴロしのことを恐れてしまっているのなら、僕がこの工場で一番気に入ってる場所にでも連れて行ってあげよう。
きっと、そんなことすぐ忘れ
リーヴァ「ヴィス、あなたの話。」
メトリと一緒に首を横に振る。それと同時に、信じられない言葉がリーヴァ本人の口から飛び出してきた。
ヴィス「__僕のことを、おそ、れ……ぇ‥??__」
大好きで、愛していて、最愛の、リーヴァの口から、僕を恐れている…??
メトリ「__ん??__おーい、ヴィス‥?だいじょーぶ〜‥?」
ヴィス「…__は、はは‥__
ちょっと外で本を読んでくる…」
メトリ「__ありゃりゃ‥これはダメだねぇ__
ところでさ〜_」
リーヴァが……リーヴァが…僕を‥
僕はのそのそとリーヴァと出会ったあの庭へと出た。
僕にとっては平穏な日とお昼ではなく、人形生で最も辛く悲しい日のお昼だったらしい…それに、僕のダメージは、とても大きかったようだ…その後の記憶はあまりない。庭に生えてしまっていた雑草を抜いていた気もするし、本を膝に乗っけてぼぅとしていた気もする……
??「_ヴィスじゃない。こんなところで何をしてるのかしら」
後ろから、聞き慣れた声がする…
振り向くと、そこには紫色のボブカットをしたドールが立っていた。
ヴィス「__レイア…」
レイア「わたしで悪かったかしら…イラ
__というかこの|件《くだり》、随分前にもやった気が…__」
ヴィス「……君ならどうする」
レイア「は」
ヴィス「最愛の人に恐れられていたら、君はどうする」
レイア「はあ‥?あなた、どうしちゃったのホントに‥」
ヴィス「…」
レイア「…わたしなら‥」
ヴィス「…」
レイア「わたしなら、怖がられないように努力するわよ‥だって、わたしはその人のこと好きなんだから‥」
ヴィス「、…」
そうか……確かにそうだな‥最愛の人ならば、めげずに追いかけるべきか…。
ヴィス「‥はは、」
レイア「ちょっと…いきなり笑わないでちょうだい。言っとくけどそれ、不気味よ?」
ヴィス「いや、何‥やっぱり誰かの話すことは大事なんだなと、ちょっとな‥」
レイア「ホントにどうしちゃったのかしらこの人…」
ヴィス「…」
レイア「はあ‥わたし、もう行くわよ?」
ヴィス「ああ、ありがとう」
レイア「、…‥ヴィスがわたしに、お礼を言うなんて‥これ夢だったりするかしら」
ヴィス「失礼じゃないか君」
??「二人とも」
二人「、トラウム」
トラウム「よかった、そんなに離れていなくて、、」
レイア「ちょ、どうしたのトラウム。そんなに息をあげて、‥
‥何か‥よっぽどのことがあったのね?」
トラウム「うん、、ヴィス、貴方にとっては本当に大事なことだと思いますよ、、、、だって、《《彼女の身の危険》》の話なんですから「リーヴァに何があったすぐに話してくれトラウム」食いつき凄いですね、、、」
ヴィス「当たり前だ。リーヴァと身に危険が及ぶなんて‥僕自身が壊れるよりも恐ろしい出来事なんだからな。
それより、リーヴァに何があったんだ、早く話してくれ」
トラウム「あはは、、、
_さっき、リーヴァさんとその友達が、ルークさんと話をしていたんです」
レイア「ルークと話し?なんら問題なさそうだけど…」
トラウム「それだけならよかったですよね、、、」
ヴィス「続けてくれ」
トラウム「コク ルークさんとメアリーさんが一緒にいなかったんです」
二人「!」
ヴィス「いつも、あの二人は一緒にいるだろう?何故‥」
トラウム「えぇ、、でも僕が見た時は確かにいませんでした、、、もしかしたら、逸れてしまったのかも知れません、、」
レイア「ってなると、あの人ならなりふり構わず探すわよね‥?大丈夫なのかしら‥」
トラウム「ええ、、あの方はメアリーさん一筋ですから、、、
多分、メアリーさん探しをリーヴァさんたちと、やるんだと思います、、」
ヴィス「どの辺りに向かっていたか分かるか?」
トラウム「…《《絶望の迷宮》》の方かと‥」
レイア「なっ‥__?!っ」
僕はその名を聞いた瞬間走り出した。
一歩遅れて、レイアも走り僕に着いてくる。
`絶望の迷宮`___それは、この工場にある一つの場所の名だ。
パイプが張り巡らされ、まるで迷路になっているエリア。そこは、一度入れば出ることができないと言われており、工場にいる者は誰一人として入ろうとしない。そんな、ドールたちの間で噂されている恐ろしい場所だ…
そんな場所に、リーヴァたちは向かっている。
もし、リーヴァがそこに入ったら?
噂の通り、一度足を踏み入れたら出てこられないとしたら?
そんな不安がドッと押し寄せる。
ヴィス「__リーヴァッ__…!!!!」
その時の感情は、自分でもよく分かっていなかった。とにかく、リーヴァの安否が心配で心配で、仕方がなかった。僕は、今まで生きてきた中で最も不安になっただろう。
愛しの人が、最愛の人が、心を常に許せる人が__《《また》》僕の前から居なくなってしまうじゃないかと、そう、覚えてる中で思っていたからだ。
もう僕は、あんな辛い思いをしたくない。
何より、リーヴァに怖い思いをして欲しくない。
僕は、
--- 彼女のためなら壊れたっていい ---
今日の文字数
6309文字
ヴィスとリーヴァちゃんとメトリちゃんのコンビももちろん好きなんだけど、個人的に、
ヴィスとレイアちゃんとトラウムくんのコンビも好き。古参組、人間嫌い組(一人は哺乳類全部苦手)
[小話]
スーパーチュニア・ビスタ ミニ ピンクスターとは…
スーパーチュニア・ビスタ ミニとは、スーパーチュニア・ビスタをコンパクトにした品種のこと。
“ビスタ”には「大きく拡がる」という意味があり、スーパーチュニアよりもさらに強健で大きく拡がって地面を覆い尽くす性質から、スーパーチュニア ビスタと名付けられた。
春から秋に咲き、ホワイトベースに、ピンクの星形模様をした可憐で美しい花。時にピンクのベースカラーに、濃いピンクの星形模様を魅せる時もある。
花言葉は“心の安らぎ”“自然体”