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影の重さ
今日のお話。
とある日の朝。
家でゆっくりとしていた一人暮らしの男、ケンタは自分の『影』に違和感を感じていた。
歩くたびに足を引きずられるような違和感。
地面に伸びている黒い影。
それは、まるで粘り気のある泥のようにケンタの靴にまとわりついていた。
気のせいだと思い込もうとした。
だが、時間が経つにつれて自分の影が重いことに気がついた。
時間が経つにつれて影の重量は増していく。
夕暮れ時の赤い空。
光り始めた街灯の下に立った瞬間、ズドンと肩が落ちた。
影が実体を持ったかのように、ケンタの両足を強力に引っ張っているのだ。
ケンタは必死に足を上げようとするが、地面にしがみつく影はびくともしない。
それどころか、黒い輪郭が底なしの沼のように広がり、ケンタの足首、膝、腰へと吸い込み始めた。
全身が影に吸い込まれていく。
翌朝、路上には誰もいなかった。
ただ、朝日に照らされたコンクリートの上に。
地面にへばりついて必死にもがく「人型の影」だけが、
いつまでも静かに残されていた。