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赤子祭り
今日のお話。
とある夏の日。
民俗学者である千智は、ある山間部の廃村寸前の集落で数十年に一度行われるという奇祭、「赤子祭り」の取材に訪れた。
村は至って普通に見える。
千智は、赤子祭りがどういうものなのか一切教えられていないままやってきた。
村の人たちはとても親切で、食べ物をくれたり、家に泊まらせてくれたりした。
「なんだ、いい人たちしかいないじゃん。」
千智は安心して言葉を漏らした。
赤子祭りなんて不気味な祭りをやる村なのだから、もう少し恐ろしい村なのかと思っていたからだ。
そして、祭り当夜。
村中の家々から一斉に赤子の鳴き声が響き渡る。
千智は不思議に思った。
この村の様子を見て回っていたが、この村に赤子がいるというのは村人の誰一人からも伝えられていないからだ。
村の家の中にも、赤子を育てるための道具などは見当たらなかったはずだ。
すると、村人たちが外に出てきた。
村人たちは協力して神輿を担ぎ、村の中心に向かって歩き出した。
その上に鎮座しているのは、本物の赤子ではない。
人間の皮膚や骨をつなぎ合わせて作られた、巨大な赤子の人形。
千智は息を呑んだ。
昼間は普通の村だったのに。
千智はスマホを取り出し、物陰で「赤子祭り」と検索した。
するとどうだろう。
出てきたのは、祭りの真の目的だった。
なんと、赤子祭りというのは、村の繁栄と引き換えに、外部から来た人間の記憶や生気を吸い上げ、村の老人を赤子として生まれ変わらせるための儀式だったのだ。
千智は急いで荷物をまとめ、村から逃げ出そうとした。
だが、村人に見つかってしまった。
昼間はあんなに優しかった村人たちの様子は、まるで違っていた。
村人の一人が千智の頭を刺した。
千智は叫び声をあげ、それと同時に地面に倒れた。
遠のく意識の中聞こえたのは、村人たちの歓声だった。