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カーテン
今日のお話。
ある日、古びたアパートに越してきた祈の部屋には、なぜか奇妙な分厚い遮光カーテンが最初からかけられていた。
真新しい部屋なのに、そこだけやけに古臭く、妙な重みがある。
大家からは「絶対に開けないでくれ」と妙に真剣な顔で念を押されていた。
引っ越しの片付けを終え、ベッドに潜り込んだ夜中。
ふと、カーテンの隙間からスースーと冷たい風が吹き込んでいることに気づいた。
換気扇のせいだろうか。
気になって仕方がなくなった祈は、恐る恐る起き上がり、カーテンに手をかけた。
「――開けちゃ、だめ……」
ぞっとするような掠れ声が、すぐ背後から聞こえた。
慌てて振り返る。
けれど、そこには誰もいない。
部屋の電気は消えているのに、妙に視線だけを感じる。
嫌な予感がして、祈はゆっくりと窓の方を振り返った。
カーテンが、内側からぽっこりと、人間の形に膨らんでいた。
外からではない。
窓ガラスはしっかり閉まっている。
じゃあ、外のベランダではない。
"ガラスとカーテンの隙間"にいる「それ」は、一体――。
ビクビクと脈打つように、カーテンの向こうの影が、ゆっくりとこちらへ手を伸ばしてきた。