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案山子
今日のお話。
とある村の外れ。
そこにある一本道には、一年中じっと立ち続けている古びた案山子があった。
村の子供たちは昔から、
「夜になると案山子が笑う」
「通りかかった者を捕まえる」
と大人たちから聞かされていた。
ある日、度胸試しとして一人の少年、裕翔が深夜の農道へと呼び出された。
怯えながらも裕翔は案山子の前に立つ。
静寂の中、裕翔は強気なふりをして
「おい、ちょっとは喋って見ろよ!」
と案山子に話しかけた。
当然だが、案山子は動かないし、喋らない。
それに耐えきれなくなった裕翔は
「なんだ、やっぱりただの案山子じゃん。」
と強がり、逃げるように駆け出した。
だが、案山子は裕翔のことを見ていた。
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翌朝、村人が見たのは、昨日と変わらず静かに畑を見守る案山子の姿。
ただ、一つだけ違っていたのは、その足元に落とされていた裕翔の靴。
それから、案山子の顔に新しく縫い付けられている、歪んだ口の形をした赤い布切れだけだった。