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Nice Ball‼︎ 第十二話
10月26日、練習試合。
俺は他の部員と一緒に米田業高校の校門を潜っていた。
米田商業高校は「ここら辺で一番テニスが強い高校は?」という質問に対し、皆が口を揃えて答える高校だ。名前は知らないが、小城が倒したがっている奴がいるのもここらしい。山崎先生がダメ元で電話してみたところ、すぐにOKが出たという。
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「これから緑第一高校と、米田商業高校の練習試合を始めます。相互に礼を交わします。気をつけ。礼。お願いします」
米田商業の選手が気怠そうに挨拶をする。形だけのスポーツマンシップを傍に置いて相手選手と対面した。
「お願いします」
「……しゃす」
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相手の眼鏡をかけた選手のサーブ。強烈な一撃だった。軽い返球でネット手前に落とす。
しかしそれを予知していたかのように彼はもうすぐそばにいた。
自分が想定していたよりボールが進んでしまったこと、彼が丁度そのあたりにいたことが仇となった。
——スマッシュ。それも、とびきり強い。
かつての試合のように、ボールは俺の左側を通り過ぎて行った。
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「米田商業高校の皆さん、えー本日は半日間練習ありがとうございました。年内最後の試合も近づいて来ていますので、お互いに練習を重ねていきましょう」
解散の挨拶が終わる。久しぶりに負けた。
ただ…勝てそうではあった。
初めて北原と会った時の絶望とは違った。絶対に。
練習を重ねれば勝てるんじゃないか?証拠はない。小城にも北原にも負けた。あの時感じたアレは、今全く感じていない。
俺には……才能があったんじゃないか。