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Nice Ball‼︎ 第八話
「いたいた、あそこだ」
夏休みに入る前の最終日、俺らは小城のいる尼崎高校へ走って行った。河原での練習に誘うためだ。彼に話しかけるのはジャンケンで負けた俺。最悪としか言いようがない。
「あ…小城…くん?」
「んぁ?」
怖ぇ。とにかく眼光が鋭い。使い切った勇気をどこかから拝借しながら声を出す。
「俺、緑第一高校の峯田一成。小城くんってテニス部だろ?一緒に練習しない…?」
「……まあ、考えてやるよ。電話番号教えてくれ」
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「今日で僕ら3年生は引退します。部長としてみんなと関われたのが嬉しいです。これからも練習頑張ってください」
「えっとー…まあ、あんまり実感は湧かないです。けどもう引退かぁ…そうかぁ…俺は結構サボりがちだったけど、みんなは練習頑張って、またみんなと会うこともあると思うんで、うん…まあ、ありがとうございました」
藤本部長、立花先輩のスピーチが終わる。夏休みに入って五回目の練習だった。
——もうこの人たちもいなくなるのか。藤本部長は多分頑張って考えて来たんだろうな。立花先輩はー…こういうところで話すのが苦手な気がする。
俺が頑張らなければいけない番が段々と近づいてくる。今日も河原へ行こう。
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「遅いぞ峯田くん。小城が怒ってるよ」
「やっちまった…謝ってくるわ」
まずいことになった…俺は小城へ近づき声をかける。
「ごめん、遅れ…ました」
「おめぇ、名前なんつったっけ?」
「峯田…です」
「……ま、しゃーねーよ。言っても俺ら来たばっかだからさ」
じゃあやるか、と声を出してコートへ走る小城をボーッと見つめていた。