男子校・春陽学園
そこは、毎日が騒がしくて、くだらなくて、でもどこか温かい場所
春田 樹(イツキ)は、天然で鈍感で、誰からも愛される不思議な後輩。
本人はまったく気づいていないが、
その笑顔ひとつで周囲の空気がふっと柔らかくなる“愛され体質”の持ち主だった
そんなイツキを毎朝迎えに行く幼馴染・田真白 周(アマネ)
腹黒で策士な同級生・戸来 優恵(ユエ)
そして、イツキに弱い先輩トリオ——
不憫で優しい烏賊 修斗(シュウト)
クールな保護者・蒼麦 翡翠(ヒスイ)
元気ムードメーカーの福井 莉央(リオ)
気づけば、イツキを中心に6人は自然と集まり、
昼休みも放課後も、騒がしくて笑いの絶えない日々が始まっていく。
それは恋じゃない。でも、友情だけとも言い切れない
胸が少しだけあたたかくなる“特別な気持ち”が、6人の間にゆっくりと芽生えていく
これは、そんな6人が“仲間”になっていく物語
イツキ→🌱 アマネ→☁️ ユエ→🐾 シュウト→🐙 ヒスイ→💎 リオ→🍍
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目次
第1話
ピピピピピピ
🌱「……今日って、学校?」
寝ぼけた声が部屋に落ちる
ピーンポーン
玄関のチャイムが鳴る
🌱「うゆ…だれぇ?」
☁️「やっと出てきた……」
|田真白 周《たましろ あまね》は、片手に通学バッグを持って立っていた
☁️「イツキ、もう遅刻寸前だぞ」
🌱「えっ、そうなの〜?」
☁️「そうなのじゃない!」
☁️「早く着替えないと遅刻!!…簡単に朝ごはん作っとくから…」
🌱「わかった〜!アマ、ありがと…」
アマネはイツキの家になんともなく入る
この光景は、幼馴染の2人にとって“いつもの朝”だった
🌱「もういける!!」
☁️「はいはい…ご飯…っつってもおにぎりだけど…」
🌱「うい!アマ、大好き〜!!」
☁️「お、おい…くっつくなぁ…」
---
校門に着くと、爽やかな声が響いた
🐾「おはようございます!アマネ、イツキくん」
|戸来 優恵《へらい ゆえ》
爽やかイケメンの仮面をつけたまま、柔らかく笑っている
しかしアマネは知っている…この男の裏は腹黒だ
☁️「お前、なんでそんな爽やかなんだよ」
🐾「イツキくんがいるんだから当たり前です!」
☁️「言い方ムカつくな……ってか俺だけだったらやんねぇのかよ!」
イツキはおにぎりを頬張りながらぽかんと2人を見ていた
🌱「アマとユエくんって仲良しだよね〜」
☁️🐾「「仲良しじゃない/です」」
その声が重なった瞬間、後ろから勢いよく抱きつかれた
🍍「イツキちゃ〜〜ん!!おはよっ!!」
|福井 莉央《ふくい りお》がイツキの背中にしがみつく。
🌱「うわっ!?リオ先輩?」
🍍「朝からイツキちゃんの顔見れたら元気100倍だよ!!」
アマネは眉をひそめる
☁️「離れてください!イツキが歩けないじゃないですか!」
🐾「え〜?アマネ嫉妬?」
☁️「してない!」
そこへ、静かな声が割り込んだ
💎「……お前ら、騒ぎすぎ」
|蒼麦 翡翠《あおむぎ ひすい》が、鞄を肩にかけたまま近づいてくる
その視線はイツキに向けられた
💎「春田、靴紐ほどけてる…転ぶぞ」
🌱「え、ほんとだ!」
ヒスイはしゃがみ、ほどけた紐を結び直す
イツキはその手元をじっと見つめた
🌱「ヒスイ先輩、器用ですね!」
💎「普通だ」
その横で|烏賊 修斗《いか しゅうと》が苦笑していた
🐙「……なんで僕まで朝から巻き込まれてるんですか…」
🌱「イカ先輩も来てくれたんですか?」
🐙「いや、リオに引っ張られて……」
男子校の朝は、今日も騒がしい
教室に向かう途中、イツキはふと空を見上げた
🌱「今日、なんかみんな集まってたね!」
☁️「お前が原因だよ」
アマネはため息をつく
ユエが横から口を挟む
🐾「ユムくん、人気者ですからね…」
🌱「え?なんで?」
🐾「そこがまた人気の理由ですよw」
イツキは首をかしげるだけ
その天然さが、周囲の男子の心をゆるく掴んでいく
アマネはそんなイツキを横目で見ながら、胸の奥が少しだけざわつくのを感じていた
理由はわからない
ただ、今日のイツキはいつもより少し眩しく見えた
教室に着くと、イツキは振り返って笑った
🌱「なんか、今日楽しいねw」
その言葉に、アマネもユエも、先輩たちも、なぜか少しだけ笑ってしまう
男子校の朝
ただそれだけなのに6人の距離は確かに近づき始めていた
初のオリキャラ物語です!!
第2話
イツキが男子校に来て二週間
その短い期間で、彼の周りには自然と人が集まるようになっていた
--- 〜昼休み〜 ---
教室の隅で、イツキは弁当を広げていた
今日のメニューは母親が作った卵焼きと唐揚げ
イツキはそれを嬉しそうに見つめている
☁️「イツキ、また卵焼き入ってんの?」
アマネが隣に座りながら覗き込む
🌱「うん!おいしいよ!!」
☁️「知ってるよ…毎日見てるからな」
アマネはため息をつきながらも、どこか嬉しそうだった
そこへ、爽やかな声が割り込む
🐾「イツキくん!今日の唐揚げ、ひとつもらっても?」
ユエが、にこっと笑いながら空き容器を差し出す
🌱「いいよ〜」
イツキは素直に唐揚げを渡す
アマネは眉をひそめた
☁️「お前、なんでイツキの弁当ばっか狙うんだよ…」
🐾「美味しそうだからですよ!あとイツキくんがくれると嬉しいので…」
☁️「……言い方がなんかムカつく」
ユエはアマネの反応を楽しんでいるようだった
イツキはそんな2人を見て、首をかしげる
🌱「アマネとユエって、やっぱり仲良しだよね」
☁️🐾「「仲良しじゃない/です」」
声がまた重なった
昼休みの後半
イツキは廊下の窓から外を眺めていた
風が気持ちよくて、ぼんやりしてしまう
☁️「イツキ、またぼーっとしてる…」
アマネが肩を軽く叩く
🌱「えへへ、風が気持ちよくて…」
☁️「お前はほんと平和だな……」
ユエが横からひょいと顔を出す
🐾「イツキくん!さっきの数学の小テスト、どうでした?」
🌱「え?あれって今日だったの?」
☁️「……イツキ」
アマネの声が低くなる
🐾「イツキくん、忘れてたんですか?」
🌱「うん、なんか鳥が飛んでて……」
🐾「理由になってないですよ」
ユエは笑いながらも、イツキの頭をぽんと軽く叩いた
🐾「イツキくん、天然すぎますw」
🌱「え?そうかな?」
アマネはため息をつきながらも、イツキの肩を軽く引き寄せる
☁️「ほら、次の授業の準備するぞ」
🌱「うい!」
その様子を見て、ユエは小さく笑った
🐾「……アマネ、イツキくんの扱い慣れてきましたね」
☁️「…まぁ幼馴染だからな…」
イツキはそんな2人のやり取りを見て、また笑った
その笑顔が、廊下の空気をふっと柔らかくする
--- 〜放課後〜 ---
イツキは教室でノートをまとめていた
アマネはその横で宿題をチェックしている
ユエは窓際でスマホをいじりながら、ちらちらと2人を見ていた
☁️「イツキ、これ昨日の宿題やってないだろ」
🌱「えっ……あ、忘れてた…」
☁️「忘れすぎだろ……」
アマネは自分のノートを差し出す
☁️「ほら、写せ…今日だけだぞ…」
🌱「ありがとうアマ〜!」
イツキは嬉しそうにノートを受け取る
その表情を見てアマネは少しだけ照れたように視線をそらした
ユエはその様子を見逃さない
🐾「アマネ、イツキくんに甘すぎません?」
☁️「甘くねぇよ!」
🐾「じゃあ僕にもノート貸してください」
☁️「絶対嫌だ!」
ユエは肩をすくめて笑う
🐾「イツキくんには優しいのに僕には厳しいんですねw」
☁️「お前はわざと困らせてくるからだろ!」
イツキはそんな2人を見て、また笑った
🌱「アマとユエくんってやっぱり仲良しだよね」
☁️🐾「「仲良しじゃない/です!!」」
その声が教室に響き、男子校の放課後は今日も騒がしく終わっていく
イツキはふと、窓の外の夕焼けを見た
🌱「今日も楽しかったね」
その言葉に、天音も優恵も、なぜか少しだけ笑った
こうして“後輩トリオ”の絆はゆっくりと形になり始めていた。
キャラ紹介
🌱=春田 樹(はるた いつき)
誕生日:3月7日
年齢:15〜6歳(高校1年生)
年組:1年A組
身長:158cm
MBTI:ESFP(エンターテイナー)
性格:鈍感天然・愛され体質・アホ…?
好きな〇〇:お菓子(特に飴)、運動、楽しいこと
嫌いな〇〇:辛いもの、勉強、責任
☁️=田真白 天音(たましろ あまね)
誕生日:6月28日
年齢:15〜6歳(高校1年生)
年組:1年A組
身長:172cm
MBTI:ESFJ(領事館)
性格:苦労人・常識人枠
好きな〇〇:唐揚げ、サッカー、イツキのお世話
嫌いな〇〇:甘いもの、喧嘩
🐾=戸来 優恵(へらい ゆえ)
誕生日:2月16日
年齢:15〜6歳(高校1年生)
年組:1年B組
身長:165cm
MBTI:INTP(論理学者)
性格:腹黒・策士系男子
好きな〇〇:可愛いもの、甘いもの、弄りがいのある人
嫌いな〇〇:ダサいもの、バカ、勉強(出来ない訳じゃない)
🐙=烏賊 修斗(いか しゅうと)
誕生日:9月18日
年齢:16〜7歳(高校2年生)
年組:2年B組
身長:169cm
MBTI:INFJ(提唱者)
性格:怖がりだけど優しい
好きな〇〇:いちごミルク、役に立てること、ゲーム
嫌いな〇〇:ホラー・グロ、運動、タコ、イカ
💎=蒼麦 翡翠(あおむぎ ひすい)
誕生日:12月25日
年齢:16〜7歳(高校2年生)
年組:2年C組
身長:174cm
MBTI:INTJ(建築家)
性格:クールな保護者
好きな〇〇:ショートケーキ、勉強、パズル、謎解き
嫌いな〇〇:野菜、手作り、女子
その他:生徒会副会長
🍍=福井 莉央(ふくい りお)
誕生日:8月9日
年齢:16〜7歳(高校2年生)
年組:2年C組
身長:179cm
MBTI:ENFP(討論者)
性格:元気っ子ムードメーカー
好きな〇〇:カレー、アイス、運動(特にバレー)、歌うこと
嫌いな〇〇:魚、ホラー、勉強
その他:実は茶道部だがよくバレーボール部の助っ人に行く
第3話
昼休みが終わり午後の授業が始まる少し前
廊下にはまだ昼休みの名残のようなざわめきが残っていた
イツキは教室へ戻る途中廊下の掲示板の前で立ち止まった
🌱「……あ、これかわいい」
掲示板に貼られた誰かが描いたゆるいタッチの動物イラスト
イツキはじっと見つめて、ふわっと笑った
その笑顔を偶然通りかかったシュウトが見てしまう
🐙「……かわいすぎる……」
思わず心の声が漏れた
🌱「え?」
イツキが振り返る
シュウトは慌てて咳払いした
🐙「いや、その……絵、好きなんですか?」
🌱「うん!なんか癒されるんです!」
イツキは無邪気に笑う
シュウトはその笑顔に、また撃ち抜かれた
🐙(やばい……今日もかわいい……)
心の中で頭を抱える
そこへヒスイが歩いてきた
💎「シュウト、何して——」
イツキの笑顔を見た瞬間ヒスイの足が止まる
💎「……春田、また危なっかしい顔してる」
🌱「え?危なっかしい顔ってなに?」
💎「説明しづらいけど……放っておくと誰かに連れていかれそうな顔だ」
🌱「えぇ〜?」
イツキは首をかしげる
シュウトは心の中で「わかる……」と深く頷いていた
そこへさらに元気な声が飛び込んできた
🍍「イツキちゃ〜〜ん!!!」
リオが全力で走ってきてイツキに抱きつく
🌱「うわっ!?リオ先輩!」
🍍「昼休み終わる前にイツキちゃん成分補給しとかないと元気出ないんだよ!」
ヒスイが眉をひそめる
💎「お前、廊下で走るな」
🍍「いいじゃん!だってイツキちゃんがいたんだから!」
💎「理由になってない」
シュウトは苦笑しながらもイツキを見ている
🐙「……春田くん、ほんと人気者ですね…」
🌱「え?なんで?」
🐙「そこがまた……」
シュウトは言葉を濁した
ヒスイは腕を組んで、ため息をつく
💎「春田は天然すぎる…男子校でその笑顔は危険だ」
🌱「えぇ〜?そうかなぁ」
イツキは本気でわかっていない
その無自覚さが先輩トリオの心をさらに揺らす
そこへアマネとユエが教室から出てきた
☁️「イツキ、何してんだよ…授業始まるぞ」
🌱「アマ〜、先輩たちと話してた!」
ユエはすぐに状況を察した
🐾「……先輩方、イツキくんにやられてますね」
🐙「やられてないです!」
シュウトが即答する
ヒスイもそっぽを向く
リオは「やられてるよ!」と元気に言う
アマネはため息をついた
☁️「イツキ、先輩に迷惑かけてないだろうな」
🌱「かけてない!!」
☁️「いや、かけてるだろ……」
ユエはアマネの肩を軽く叩く
🐾「アマネ、イツキくんは迷惑じゃなくて“癒し”ですよ」
☁️「お前は黙れ」
先輩トリオはその言葉に、なぜか少しだけ頷いていた
キーンコーンカーンコーン
チャイムが鳴る
イツキは慌てて教室へ走る
その背中を見送りながら先輩トリオはぽつりと呟いた
🐙「……イツキくん、ほんとかわいいなぁ」
💎「保護対象だな」
🍍「イツキちゃんは天使!」
---
アマネは頭を抱える
☁️「先輩まで……イツキの周り、騒がしすぎだろ……」
ユエは楽しそうに笑った
🐾「いいじゃないですか…イツキくんが中心にいるとみんな楽しそうですよ」
アマネはその言葉に反論できず、イツキの席に座る後ろ姿を見つめた
☁️「……まぁ、確かに…あいつがいると、なんか……」
言葉にできない“あたたかさ”が胸に残る
こうしてイツキと先輩トリオの距離は一気に縮まり、
男子校の騒がしい日々はさらに加速していくのだった
第4話
昼休みのチャイムが鳴ると同時に教室の空気が一気にゆるむ
イツキは弁当を持って廊下へ出た
今日はなんとなく外の空気を感じながら食べたい気分だった
☁️「イツキ、どこ行くんだよ」
アマネが後ろから追いかけてくる
🌱「中庭で食べようかな〜って」
☁️「……まぁいいけど…迷子になるなよ」
🌱「ならないよ〜」
その会話を聞きつけたユエが、すっと横に並ぶ
🐾「イツキくん、僕も行きます」
☁️「え、ユエも?」
🐾「アマネが心配でついていくんですよ」
☁️「お前は黙れ」
そんなやり取りをしながら中庭へ向かうとすでに先輩トリオがベンチに陣取っていた
🍍「イツキちゃ〜〜ん!!!」
リオが立ち上がり、全力で手を振る
🌱「イカ先輩とヒスイ先輩もいる!」
イツキは嬉しそうに駆け寄った
シュウトは苦笑しながら手を挙げる
🐾「先輩たちもここで食べるんですか?」
🍍「イツキちゃんが来るなら来る!」
リオが即答する
ヒスイは弁当を開けながら静かに言った
💎「……春田、座れ…こぼすなよ」
🌱「はーい!」
イツキは素直にヒスイの隣へ座る
その瞬間、アマネの眉がぴくっと動いた
☁️「イツキ、なんでヒスイ先輩の隣なんだよ」
🌱「え?ここ空いてたから」
☁️「……そうかよ」
ユエはその反応を見て、にやりと笑う
🐾「アマネ、嫉妬ですか?」
☁️「してねぇよ!」
6人がそろうと、自然と騒がしさが倍増する
🍍「イツキちゃんの卵焼き、今日も美味しそう!」
リオが覗き込む
🌱「ひと口あげるよ〜」
🍍「やった!」
シュウトはその様子を見てぽつりと
🐙「……イツキくん、優しすぎです…」
🌱「え?普通だよ?」
🐙「普通じゃないんですよ……」
ヒスイはイツキの弁当の端を指さす
💎「春田、これ落ちそうだぞ」
🌱「ほんとだ〜」
💎「気をつけろ」
アマネはそのやり取りを見てため息をつく
☁️「先輩までイツキに甘いんだよな……」
🐾「アマネも甘いですよ?」
☁️「お前は黙れ」
ユエは楽しそうに弁当を食べながらイツキの表情をちらちらと観察している
🐾「イツキくん、今日の授業眠そうでしたね」
🌱「えへへ、ちょっとね」
☁️「ちょっとじゃないだろ……
アマネが即ツッコミを入れる
ふと、風が吹いた
イツキの髪が揺れ、光が反射してきらっと見える
その瞬間、先輩トリオの動きが止まった
シュウトは心の中で叫ぶ
🐙(やばい……今日のイツキくん、いつもよりかわいい……)
ヒスイは目を細める
💎「……春田、日差しに弱い顔してる」
🌱「え?弱い顔ってなに?」
💎「説明しづらいけど……守りたくなる顔だ」
ウリは全力で頷く
🍍「わかる!!イツキちゃんって光に当たると天使になる!!」
アマネは頭を抱える
☁️「先輩まで……なんなんだよ……」
ユエはその様子を見て、静かに笑った
🐾「イツキくんは太陽みたいな人ですね」
🌱「え?太陽?」
🐾「見てるとなんかあったかくなるってことですよ」
イツキは照れたように笑った
🌱「みんなといると楽しいからかな〜」
その言葉に、6人全員が一瞬だけ黙る
そして自然と笑った
男子校の中庭
ただ弁当を食べているだけなのに、なぜか胸が少しだけあたたかくなる時間
こうして、“6人で過ごす昼休み”は、この日から自然と当たり前になっていった
第5話
放課後の図書室は男子校とは思えないほど静かだった
イツキは宿題の調べものをしようと本棚の前に立っていた
🌱「えっと……どれだろ……」
背伸びしても届かない位置に目的の本がある
指先が本の端に触れた瞬間——
🐙「危ないですよ、イツキくん」
後ろから大きな影が伸びてきて本をすっと取った
シュウトだった
🌱「イカ先輩!」
🐙「イツキくん、背伸びして落ちそうじゃないですか……」
🌱「えへへ、ちょっと届かなかっただけだよ〜」
シュウトは本を渡しながらイツキの笑顔に視線を奪われる
🐙(……今日もかわいい……)
心の中で頭を抱かえた
🌱「ありがとうございます!イカ先輩!」
🐙「……いえいえ、全然…」
シュウトは耳まで赤くなり視線をそらした
その様子を少し離れた席からヒスイが見ていた
本を閉じて静かに近づく
💎「春田、また危なっかしいことしてたな」
🌱「え?危なっかしい?」
💎「説明しづらいけど……放っておくと転びそうな顔だ」
🌱「えぇ〜?」
イツキは首をかしげる
シュウトは心の中で「わかる……」と深く頷いていた
ヒスイはイツキの手元を見て、ぽつり
💎「その本難しいぞ?読めるのか?」
🌱「読めるよ!たぶん!」
💎「たぶんじゃない」
ヒスイはため息をつきながらもイツキのページをそっと開いてやる
💎「ここから読むといい」
🌱「ヒスイ先輩、優しい〜」
💎「別に普通だ」
そのやり取りを見てシュウトは苦笑する
🐙「……イツキくん、先輩に甘えすぎですよ…」
🌱「え?甘えてないよ?」
🐙「甘えてるんだよなぁ……」
イツキは本気でわかっていない
そこへ図書室の扉が静かに開いた
🍍「イツキちゃ〜〜ん!!!」
小声で叫びながらリオが入ってきた
🍍「シュウトとヒスイとイツキちゃんがそろってるとか最高じゃん!」
🌱「ウリ先輩、図書室は静かに……」
🍍「ごめん!」
リオはイツキの隣に座り、距離を詰める
🍍「イツキちゃん、何読んでんの?」
🌱「これ〜」
🍍「難しそう!」
🌱「うん、難しい!」
シュウトはその距離感に頭を抱える
🐙「……リオ、近いですよ…」
🍍「え?イツキは近くてもいいじゃん!」
🐙「よくないです!……」
ヒスイは静かに言う
💎「リオ、春田のページが見えないだろ」
🍍「ほんとだ!」
イツキは笑っているだけなのに先輩トリオはなぜか落ち着かない
そこへアマネとユエが図書室に入ってきた
☁️「ユム、ここにいたのか」
🌱「アマ〜、先輩たちと本読んでた!」
☁️「読んでたっていうか……囲まれてたな」
ユエは状況を一瞬で理解し、静かに笑う
🐾「イツキくん、先輩方に人気ですね」
🌱「え?なんで?」
🐾「そこがまた……魅力なんですよ」
アマネはため息をつく
☁️「イツキ、宿題終わったのか?」
🌱「まだ〜」
☁️「ほら、やるぞ」
アマネはイツキの隣に座り、ノートを広げる
その瞬間先輩トリオの視線が一斉にアマネへ向いた
🐙「……アマネくん、イツキくんの隣取るの早すぎないですか」
💎「さっきまで俺が見てたんだが」
🍍「イツキの隣は争奪戦なんだよ!」
アマネは頭を抱える
☁️「なんなんだよ……男子校で隣の席争うな……」
ユエは楽しそうに笑った
🐾「イツキくんは誰の隣でも嬉しそうですけどね」
🌱「えへへ、みんなといると楽しいから〜」
その言葉に、図書室の空気がふっと柔らかくなる
静かな場所なのに、6人がそろうと、どこかあたたかい
こうして、“図書室の静かな距離”は、6人の絆をさらに深める時間になった