『…飛影くん、好きだよ…』
『…ごめん。…ははっ、死ぬかもなぁ…』
『私は、飛影くんじゃないとやだよ…!!』
☆
飛影落ち
螢子の昔からの親友設定。
原作アニメ沿い、時々オリジナル。
何人かの見せ場は奪わざるを得ない設定。本当に申し訳ない。
自己満です。名前は変えられません。
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目次
Prologue
飛影くんの夢小説が書きたい欲を抑えられず書いてます‼️
駄作です
名前変えられません。ご了承ください。
私は昔から、独りが嫌いだった。
静かな場所も、夜も嫌い。
独りになると、自分が“いらないもの”みたいに思えてしまうから。
私は、拾われた子供だった。
雨の日、道端に捨てられていたらしい。
本当の親の顔も知らない。
育ててくれた女は、よく言っていた。
「あんたなんか拾うんじゃなかった」
——だったら、どうして拾ったの。
何度も聞きたかった。
でも聞けなかった。
人は、理解できないものを恐れる生き物だから。
人とは違う“何か”が見える私を、
あの人はずっと気味悪がっていた。
だから私は黙って生きてきた。
誰も信じないように。
傷つかないように。
……そんな私が、
初めて闇の中に“光”を見つけるまでの話。
---
Profile
名前 深月蘭
年齢 中2
性別 女
身長 148
一人称 私
性格 優しい。元気に振る舞ってる。鈍感天然。恋愛に奥手かと思いきや意外とストレートに伝える。
螢子の親友。
霊感の強い人間。
Chapter1
突然のことだった。
親友の雪村螢子の幼馴染が死んだ。
浦飯幽助。
私が彼と話したことがあるのは、数えるほどしかない。
螢子と一緒に帰っているときに顔を合わせたり。
廊下ですれ違ったときに、軽く挨拶をしたり。
それくらい。
だから。
私は、彼のことをよく知っているわけじゃない。
だけど。
螢子は違った。
幼い頃からずっと一緒だった、大切な幼馴染。
だから、幽助くんが死んだと聞いたとき。
螢子は、泣いた。
声を上げるわけでもなく。
ただ、ぽろぽろと涙をこぼしていた。
「……幽助が、死んだ」
何度も。
何度も、その言葉を繰り返していた。
私は、何も言えなかった。
どんな言葉をかけても、今の螢子には届かない気がしたから。
ただ隣に座って。
泣いている螢子の背中を、黙って撫でた。
聞いた話によれば。
彼は、道路に飛び出した子供を助けるために、身を投げ出したらしい。
子供を助けて。
自分は死んだ。
……あの幽助くんが。
「無茶苦茶な奴だったのにな」
「いつも喧嘩ばっかりしてたよな」
「どうせ何か考えてたんだろ」
周りからは、そんな言葉が聞こえてくる。
幽助くんは学校でも評判が良くなかった。
喧嘩っ早い。
乱暴。
問題児。
先生たちだって、きっと扱いに困っていた。
でも。
私は、そうは思わない。
確かに、彼は無茶苦茶だった。
だけど。
私が一度、廊下で幽助とぶつかったとき。
持っていたノートを全部落としてしまった私を見て、彼は、
「悪い。大丈夫か?」
そう言って、しゃがんで拾ってくれた。
そのときのことを、私は覚えている。
ぶっきらぼうだったけど。
ちゃんと私の顔を見ていた。
だから。
話したことがある程度の私でも、思う。
浦飯幽助は。
きっと、優しい人だった。
だから――
子供を助けたのだと思う。
「……蘭」
隣から、螢子の小さな声がした。
『…なぁに…?』
「幽助……戻ってくるかな」
私は、言葉に詰まった。
そんなこと、分からない。
死んだ人間は戻ってこない。
それが普通だ。
だから、私は何も言えなかった。
ただ。
『……分からない。けど…』
螢子の手を握る。
『私は、螢子のそばにいるよ』
それだけを伝えた。
その夜。
私は眠れなかった。
布団の中で何度も寝返りを打つ。
静かな部屋。
暗い天井。
……嫌いだ。
こういう夜は、嫌い。
静かすぎると。
独りになると。
余計なことを考えてしまう。
私は昔から、そうだった。
だから。
眠れないまま、ぼんやりと窓の外を見た。
月明かりに照らされた夜の街。
誰もいない。
……はずだった。
『――え?』
窓の向こう。
屋根の上に。
誰かが立っている。
黒い影。
人……?
でも。
おかしい。
足元が、見えない。
私は目を凝らした。
すると。
その影が、ゆっくりこちらを向いた。
――目が合った。
『……っ』
ぞくり、と背筋が冷える。
見てはいけないもの。
そう直感した。
なのに。
目を逸らせなかった。
よくよく見たら。
――浦飯幽助。死んだ彼だった。
私は息を止めた。
『……え?』
今。
確かに。
いた気がした。
けれど。
窓の外には、もう誰もいなかった。
Chapter2
それから数日。
私は、何がどうなったのか、よく分からないままだった。
ただ一つ。
幽助くんが、生き返るらしい。
――生き返る。
その言葉を聞いたとき、私は思わず首を傾げた。
そんな都合のいいこと、あるのだろうか。
一度死んだ人間が、生き返るなんて。
普通なら、ありえない。
でも。
幽助くんが死んだあの日。
私が見たものも、普通ではなかった。
だから私は、何も言えなかった。
そして、その夜。
私は夢を見た。
真っ白な場所に、幽助くんが眠っていた。
だけど。
身体が、淡い光に包まれている。
ただ、光だけがどんどん強くなっていく。
私は、なぜか幽助くんのところへ歩いていった。
一歩。
また一歩。
そして――
気づけば、私は幽助くんに触れていた。
唇が、ほんの一瞬だけ重なる。
その瞬間。
眩しい光が、私たちを包んだ。
――そこで、目が覚めた。
『…………』
しばらく、天井を見つめる。
心臓が妙にうるさい。
『……なんだったの、今の』
夢。
どう考えても夢だ。
私は布団の中で顔を覆った。
『予知夢……にしても……』
少しだけ考えて。
私は、さらに頭を抱えた。
『なんか螢子に申し訳ない夢……』
だって。
よりによって幽助くんだ。
螢子の大切な幼馴染。
そして、私の大切な親友。
『……いや、でも』
ふと思う。
夢の中の幽助くんは、光っていた。
あの光。
もしかして――
私が幽助くんにキスをすることで。
幽助くんが、生き返る?
『…………』
そんな馬鹿な。
自分で考えておきながら、すぐに否定する。
『……私がしなくても、他の人がするよね』
そもそも。
夢なんだから。
気にする必要なんてない。
そう思った。
……思ったのに。
どうしても、あの光景が頭から離れなかった。
私は枕に顔を埋める。
『……もういいや』
今日は学校に行く気になれなかった。
螢子には申し訳ないけれど。
今日は休もう。
そう決めて、布団の中に潜り込んだ。
けれど。
このときの私は知らなかった。
あの夢が。
ただの夢ではなかったことを。
そして。
これから始まる長い物語の、最初の兆しだったことを。
――まだ、何も知らなかった。
Chapter3
どうやら。
あの夢は、夢じゃなかったらしい。
浦飯幽助が、生き返った。
ほんとの、ほんとに。
『……え?』
最初に聞いたとき、私はしばらく意味が分からなかった。
死んだ人が、生き返る。
そんなこと。
ありえないと思っていた。
でも。
現実だ。
幽助くんは、生きている。
学校にはまだ来ていない。
けれど、生きている。
『よかった……』
思わず、口から言葉がこぼれた。
隣にいる螢子を見る。
さっきまで泣いていたのが嘘みたいに、嬉しそうに笑っている。
その顔を見ていると、私まで嬉しくなった。
本当によかった。
幽助くんが帰ってきて。
螢子が、笑ってる。
それだけで十分だった。
……でも。
私は、あの夢を思い出していた。
真っ白な場所。
光に包まれた幽助。
そして――私がしたこと。
『…………』
夢じゃなかった。
ということは。
私もできる可能性があったってこと……?
もしかして螢子があれを?
「蘭?」
『えっ?』
螢子の声に、慌てて手を下ろした。
「どうしたの?」
『う、ううん! なんでもない!』
危ない。
変なことを考えていた。
あんな夢を見たなんて、螢子には絶対言えない。
……言えるわけがない。
『でも……』
あれが本当に予知夢だったのなら。
私が見たものには、何か意味があったのだろうか。
それとも。
たまたま?
偶然?
『……分かんないなぁ』
小さく呟く。
私は昔から、普通の人には見えないものを見てきた。
だから、夢だって普通とは違うのかもしれない。
そう考えれば、少しは納得できる。
……できるけど。
なんとなく。
嫌な予感がした。
幽助くんが生き返った。
それだけなら、喜ばしいことだ。
なのに。
胸の奥が、ざわざわする。
まるで。
これから何か、とんでもないことが始まるような――
そんな気がした。
「蘭!」
螢子が私の腕を引く。
「帰ろ!今日は幽助のところ行くんでしょ?」
『あ、うん!』
私は笑った。
『行こう、螢子』
今は。
余計なことを考えなくていい。
幽助くんが生きている。
それだけでいい。
そう思っていた。
――このときは。
まさか。
幽助くんが生き返ったことが。
私の人生そのものを、大きく変えることになるなんて。
知る由もなかった。
Chapter4
今日は、たくさんの人が家に来ている。
……家、と言っていいのかは分からないけれど。
広い道場。
普段なら静かなこの場所が、今日は妙に騒がしい。
見たことのない人たちが、あちこちにいる。
『……すごい人数』
思わず呟く。
今日は、幻海おばあちゃんの後継者を決めるためのトーナメントが開催されるらしい。
幻海。
その名前なら、私も知っている。
というより。
この町で、彼女の名前を知らない人のほうが少ない。
霊能力者として、あまりにも有名な人。
霊波動の使い手。
私なんかが詳しく説明する必要もないくらい、すごい人だ。
そして。
今の私の――
育ての親でもある。
「蘭、ぼーっとしてないで手伝いな」
『はーい!』
声をかけられて、私は慌てて動き出す。
……おばあちゃん。
私は、この人のことをそう呼んでいる。
血の繋がりはない。
それでも。
私にとっては、大切な家族だ。
私は一度、捨てられた。
そして。
二度目も、捨てられた。
そのとき私を拾ってくれたのが、幻海だった。
あの頃の私は、今よりずっと小さくて。
自分がどうして捨てられたのかも分からなくて。
ただ、怖かった。
また独りになることが。
誰にも必要とされないことが。
そんな私を。
おばあちゃんは何も聞かずに拾ってくれた。
「腹減ってるか?」
最初に言われた言葉は、それだった。
私は何も答えられなかった。
すると、おばあちゃんはため息をついて。
「食え」
そう言った。
それだけだった。
でも。
あの日から私は、ここにいる。
霊感の強い私を気味悪がることもなかった。
むしろ。
「見えるなら、見えるでいい」
そう言って。
私に霊について教えてくれた。
だから私は。
おばあちゃんが好きだ。
とても。
「蘭」
『なぁに?』
振り返る。
そこには、腕を組んだ幻海が立っていた。
「今日は妙な連中が多い。あまりうろつくんじゃないよ」
『分かってるって』
「本当に分かってるのかねぇ」
『分かってるよ!』
むっとして頬を膨らませる。
すると、おばあちゃんは呆れたように笑った。
「……まあいい」
そして。
私の頭をぽん、と軽く叩く。
「お前は、お前のやるべきことをやりな」
『うん!』
私は笑って頷いた。
そして、トーナメントが始まった。
私は、くじを配る係。
『くじはここでーす!』
「あ…!!お前、なんでここに!」
聞き覚えのある声。
『……あ』
私は目を丸くする。
『幽助くん。やっほー』
生き返ったばかりのはずの少年。
私が夢の中で見た、あの光の中にいた少年。
『見ての通り、私はここの手伝いをしてるの』
幽助くんが首を傾げる。
「手伝いだ?なんで?」
『ここに住んでるから』
「お前、名前…」
『深月蘭だよ』
「そうそう!蘭!久しぶり!」
そう言って、幽助くんが笑う。
『……うん』
私は笑い返した。
ちゃんと、生きてる。
それを確認できただけで。
胸の奥が、少しだけ温かくなった。
Chapter5
おばあちゃんに聞いたところによると。
幽助くんは順調に進んでいるらしい。
ついでに、桑原くんも。
彼はもともと、おばあちゃんにお祓いを頼みに来たらしい。
……なのに。
どういうわけか、成り行きでトーナメントに参加している。
『なんでそうなるんだろう……』
思わず苦笑する。
でも。
『二人とも、がんばれ……!』
小さく呟いた。
幽助くんも桑原くんも。
きっと大変だと思う。
だから。
頑張ってほしい。
私はくじを配り終わってとても暇である。
『……終わった』
やることがなくなった。
さて。
どうしよう。
道場の中を見回す。
みんな試験に集中している。
邪魔をするのも悪い。
『……勉強しよ』
私は隅に座り込んだ。
鞄からノートと筆記用具を取り出す。
学校の宿題も持ってきていた。
……けれど。
普通の勉強をする気分でもなかった。
私は一冊の古い本を取り出す。
表紙には何も書かれていない。
中身は――
霊や妖怪についての資料。
おばあちゃんから借りたものだ。
私はページをめくった。
霊。
死者の魂。
怨念。
そして、妖怪。
私にとって、どれも昔から身近なものだった。
でも。
「見える」ことと「知っている」ことは違う。
私は今まで、ただ見ていただけだった。
あれが何なのか。
どうしてそこにいるのか。
危険なのか。
そうじゃないのか。
何も知らなかった。
だから。
少しずつでも知りたかった。
ページをめくる。
妖怪には、それぞれ種類がある。
人間に害をなすものもいれば。
人間と関わらず生きているものもいる。
強さにも差がある。
霊力にも。
そして――
『……妖力?』
聞き慣れない言葉に、私は首を傾げた。
ページを戻す。
妖怪が持つ力。
妖力。
『霊力とは違うんだ……』
私はノートに書き写していく。
**霊力――人間や霊能力者が扱う力。**
**妖力――妖怪が持つ力。**
その違い。
種類。
危険度。
できること。
できないこと。
一つずつ、丁寧に。
夢中になっていると。
ふと。
ページの端に、小さな文字が目に入った。
私は眉を寄せた。
そこには。
**『人間の中にも、極めて稀に強い霊力を持つ者が生まれる』**
と書かれていた。
私は、自分の手を見る。
私にも。
霊力がある。
おばあちゃんはそう言っていた。
だけど。
どのくらい強いのか。
自分では分からない。
私は霊が見える。
それだけだと思っていた。
『……私も、ちゃんと調べてみようかな』
独り言を呟く。
やがて。
ノートを閉じる。
『……勉強、もうちょっと頑張ろ』
その日から私は。
「霊」と「妖怪」の違いを。
以前よりずっと真剣に考えるようになった。
Chapter6
数日後。
『私は、なんでここにいるんだ……?』
幽助くんに連れられて来たはいいものの、一体ここはどこなのか。
というか、桑原くんもいたんだね。
「急に連れてきて悪いな……」
そう言うと、幽助くんは事情を説明してくれた。
どうやら人間界では、魔界虫という名前の虫が大量に発生しているらしい。
人間が寄生されると、とても大変なことが起きるとか……。
それで、四聖獣という妖怪たちを倒さなければならないらしい。
そんなの、ものすごく……
『……面倒くさい……』
面倒くさい。
ものすごく。
めっちゃ。
『何もできない私を、なんで呼んだの……!?
ダメだよ!本当に何もできないんだから!!』
「だって……コエンマが連れてけって……」
コエンマって誰。
なんの話だ……。
「ともかく! 行くぞ!」
こうして、私たちは三人で塔へ向かった。
ところが、塔に着く前に敵に囲まれてしまった。
三人ではどうにもできないほどの数だった。
その時――。
まばゆい光とともに、妖怪たちが一斉に吹き飛んだ。
そして。
「二人じゃ大変だろう。手を貸そうか?」
「こんな奴らに手こずっているようじゃ、いつまでたっても迷宮城にたどり着けないぞ」
「あ!蔵馬に飛影!お前らなんで!?」
また知らない人が出てきた……。
誰?
どっちがどっち……?
というか、かっこいいなぁ。
名前的に、飛影っていうのが黒いほうかな……。
「お前らだけでは不安だと、コエンマに差し向けられたのさ」
「君たちに協力することで、免罪も可能ということになってる」
「そっか。コエンマにしては粋なはからいすんじゃねーか。桑原、蘭!飛影に蔵馬だ」
「よろしく」
「おう、よろしくな!」
『……よろしく』
「勘違いするな!俺が興味あるのは四聖獣の宝や妖具だ。
お前たちとなれ合うつもりはないからな!」
やっぱり、黒いほうが飛影くんらしい。
なんだか、飛影くんを見ていると変な気持ちになる。
胸が、ぎゅうっと鷲掴みにされるような感覚。
一体、これはなんなんだろう。
私はまだ、その気持ちが何なのか分からなかった。
「なんだと、この!」
「まぁまぁ」
「飛影もよせ。もめごとは、この仕事を済ませてからだ」
『……ほんとに行くの?これ……』
私は、いまいち気が乗らなかった。
Chapter7
結局、入ることになった。
私たちは今、迷宮城の入り口に来ていた。
そこで――。
「ようこそ迷宮城へ。
早速ですが、この城に入る前に、裏切りの門の審判を受けていただきます」
え、何あれ。
コウモリ?
変な目玉のついたコウモリが、こちらに話しかけてきた。
「裏切りの門?」
ゴゴゴゴ……。
不気味な音とともに、突然、天井が落ちてきた。
間一髪、私たち五人はその天井を支えた。
「はははは! 重いでしょう! この門は大変頭がいいのです。
五人で支えられるぎりぎりの重さをかけます。
一人でも力を抜けば、ぺシャンと潰れますよ!
一人が裏切れば、ほかの者は潰れます。
裏切り者だけが、この城に入れるのです。
このレバーを引かない限り、この天井の落下は止められません。
四人で仲良く力尽きるのもいいでしょう!
さあ、どちらを選びますか!?」
『最悪すぎるんだけど……。だから、面倒くさいって言ったじゃん……』
こういう筋肉を使う系は専門外だ。
か弱い女の子に、なんてことをさせるんだ。
裏切りの門に潰されなう。
……マジウケる~。
ウケないけど。
「……っ、誰だ! 今、力抜いたのは!?」
『……私か……?』
「殺すぞ!?」
「蘭さん、勘弁してくれよ!」
喚く飛影くんと桑原くん。
しょうがないじゃん。
専門外なんだから。
ため息をつきたくなる。
でも、そんなことをして力が抜けてぺちゃんこにされたら、死ぬに死ねない。
ホホホ、と笑っている一つ目のコウモリ(?)が、妙に憎たらしくなってきた。
『やだもう…。血管切れる…』
「おいチビ! てめぇ、裏切るなよ!?」
「よせ、桑原!」
ギリギリ耐えられる重圧をかけてくる天井。
飛影くんを信用していない桑原くんがそう言うのも、無理からぬ話だ。
だが、それは飛影くんの癇に障ったらしい。
「信用しないのなら、俺が裏切ってもいいんだぜ」
「やめろ飛影っ……! こんな時に……!」
互いを信じたままでは、いずれ力尽きる。
だが、一人でも裏切れば、他の四人が死ぬ。
「くそっ、どうすれば……」
「選択はあなた方の自由です……ホホホ」
『……ムカつくな』
「クソが……! おい、わかってんな! 裏切ったらただじゃおかねぇぞ!?」
「フン……しかし、こうやっていても、力尽きて全滅するだけだ」
「なんだとっ……!?」
「やめろ! 言い争ってる場合じゃねぇだろ!」
懲りずに言い争いを始める桑原くんと飛影くんに、幽助くんが怒鳴る。
その視線が、使い魔へと向いた。
私は、その視線を追った。
……あのレバーさえ上げられればいいのに。