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Chapter4
今日は、たくさんの人が家に来ている。
……家、と言っていいのかは分からないけれど。
広い道場。
普段なら静かなこの場所が、今日は妙に騒がしい。
見たことのない人たちが、あちこちにいる。
『……すごい人数』
思わず呟く。
今日は、幻海おばあちゃんの後継者を決めるためのトーナメントが開催されるらしい。
幻海。
その名前なら、私も知っている。
というより。
この町で、彼女の名前を知らない人のほうが少ない。
霊能力者として、あまりにも有名な人。
霊波動の使い手。
私なんかが詳しく説明する必要もないくらい、すごい人だ。
そして。
今の私の――
育ての親でもある。
「蘭、ぼーっとしてないで手伝いな」
『はーい!』
声をかけられて、私は慌てて動き出す。
……おばあちゃん。
私は、この人のことをそう呼んでいる。
血の繋がりはない。
それでも。
私にとっては、大切な家族だ。
私は一度、捨てられた。
そして。
二度目も、捨てられた。
そのとき私を拾ってくれたのが、幻海だった。
あの頃の私は、今よりずっと小さくて。
自分がどうして捨てられたのかも分からなくて。
ただ、怖かった。
また独りになることが。
誰にも必要とされないことが。
そんな私を。
おばあちゃんは何も聞かずに拾ってくれた。
「腹減ってるか?」
最初に言われた言葉は、それだった。
私は何も答えられなかった。
すると、おばあちゃんはため息をついて。
「食え」
そう言った。
それだけだった。
でも。
あの日から私は、ここにいる。
霊感の強い私を気味悪がることもなかった。
むしろ。
「見えるなら、見えるでいい」
そう言って。
私に霊について教えてくれた。
だから私は。
おばあちゃんが好きだ。
とても。
「蘭」
『なぁに?』
振り返る。
そこには、腕を組んだ幻海が立っていた。
「今日は妙な連中が多い。あまりうろつくんじゃないよ」
『分かってるって』
「本当に分かってるのかねぇ」
『分かってるよ!』
むっとして頬を膨らませる。
すると、おばあちゃんは呆れたように笑った。
「……まあいい」
そして。
私の頭をぽん、と軽く叩く。
「お前は、お前のやるべきことをやりな」
『うん!』
私は笑って頷いた。
そして、トーナメントが始まった。
私は、くじを配る係。
『くじはここでーす!』
「あ…!!お前、なんでここに!」
聞き覚えのある声。
『……あ』
私は目を丸くする。
『幽助くん。やっほー』
生き返ったばかりのはずの少年。
私が夢の中で見た、あの光の中にいた少年。
『見ての通り、私はここの手伝いをしてるの』
幽助くんが首を傾げる。
「手伝いだ?なんで?」
『ここに住んでるから』
「お前、名前…」
『深月蘭だよ』
「そうそう!蘭!久しぶり!」
そう言って、幽助くんが笑う。
『……うん』
私は笑い返した。
ちゃんと、生きてる。
それを確認できただけで。
胸の奥が、少しだけ温かくなった。