公開中
黄色の青春、さようなら
今回の怪異は、誰もいない車両へ乗車することが条件だ。
学校帰りの高校生がいる今の電車では、誰もいない車両はないだろう。
……面倒だけど、一本遅らせるしかなさそうだ。
そう決めた私はホームへ入ってきた電車を見送った。
電車は大きな音を立てながら、ゆっくりとホームを離れていく。
窓の向こうでは、スカートを短く着こなした女子高生や、ワックスで髪を整えた男子高校生が楽しそうに笑っていた。
きっと今日の学校の話でもしているんだろう。少しだけ、羨ましく思ってしまった。
……どうせ私には関係ないや。
バイトがなかったとしても、どうせ誰とも話さずにあの電車に揺られて帰るだけだ。
私は電車が見えなくなると、深くベンチに座り直して、ぼんやりと線路を眺めた。
秋の風が、私の頬を優しく撫でる。
静かなホームで夕日に当たっているうちに、さっきまで感じていた怖さは少しだけましになっていた。
ホームのスピーカーから、まもなく電車が到着することを知らせるアナウンスが流れる。
楽しげな発車メロディーが静かなホームに響き、やがて電車がゆっくりと入ってきた。
到着した電車の車内を見渡す。
一本遅らせたおかげで、どの車両も数えるほどしか人がいない。
ホームから覗き込むように見ていると、一両だけ誰もいない車両が目に入った。
依頼書の条件を満たせる。
すると依頼書の別の一文が頭をよぎる。
『危険度:不明』
不明。その冷ややかで重い言葉が私の手を小さく震えさせた。
……いや。
私は小さく首を振る。迷いを振り払うように。
「よし、行こう」
そう小さく呟いて誰もいない車両へ足を踏み入れた。
窓際の席へ腰を下ろし、鞄を膝の上に置く。
車内には私しかいない。
……まだ。
静かな車内に、私の呼吸だけが小さく響く。
ほどなくして扉が閉まった。
ブザーが鳴り、車体が静かに動き始めた。
ガタンゴトン、ガタンゴトン。
規則正しい揺れが、静かな車内に伝わってくる。
私はふと、窓の外の景色に目を向けようとする。
その時だった。
__いた