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番外編:side GM編 悪魔のトリアージ (第2話)
「――被験者3名の心停止を確認。|ポリゴン粒子化《デリート》、完了しました」
無機質なシステム音声が、誰もいない実験室に響き渡る。
大型モニターの前に座る真壁は、震える手で眼鏡を押し上げ、映し出された『DEAD』の赤い文字を凝視していた。
パノプティコンが極秘裏に開発した、脳への高負荷による強制脳死システム。
VR空間での敗北は、電子の刃となって現実の肉体の心臓を止める。
真壁が作り上げた『ドロケイ』のプロトタイプは、文字通り、敗者を一人残らず「抹殺」する悪魔の処刑場だった。
「ひ、酷すぎる……。本当に、現実の命を奪うなんて……」
隣でモニターを見ていたアシスタントの女性が、口元を押さえてへたり込んだ。
最初のテストに集められたのは、多額の借金を抱えた「社会のゴミ」と組織に判断された10人のプレイヤーたち。
彼らはただのVRゲーム大会だと思ってログインし、そして、ルールに敗れて本当に死んだのだ。
「真壁君。何を怯えているんだね?」
背後の闇から、組織の幹部が冷酷な声で話しかけた。
「彼らは社会の役に立たない、淘汰されるべき敗者だ。|彼らの命《データ》を間引くことで、我々のシステムはさらに強固になる。……君が考案した『役職』による騙し合いは素晴らしかった。仲間を売って自分だけ生き残ろうとした瞬間の脳波データ、実に最高だったよ」
「僕は……そんなつもりでこのゲームを……」
真壁の頭痛が激しくなる。
彼は現実を憎んでいた。
だが、自分の手で人を殺したいわけではなかった。
しかし、パノプティコンという巨大な歯車は、もう止まらない。
逆らえば、次に消されるのは自分だ。
「さあ、真壁君。次のフェーズだ。人間の恐怖をさらに煽るために、君自身がゲームの『顔』となり、戦場をコントロールするんだ。冷酷に、慈悲なくな」
幹部から差し出されたのは、顔のパーツが一切ない、真っ黒な『のっぺらぼう』のアバターデータ。
そして、現実の真壁のデスクに置かれた、一つの黒いシルクハット。
――僕が、彼らを殺す『死神』になれと言うのか……?
真壁は、震える手でシルクハットを手に取った。
その時、モニターの中で、生き残りを賭けて必死に仲間をハメ合っている、最後のプレイヤーたちの醜い映像が目に飛び込んできた。
恐怖に顔を歪め、金を求めて叫び、さっきまで味方だった男の背中を笑顔で警察に売る人間たち。
その醜悪な姿を見た瞬間――真壁の脳内で、何かがパチンと弾けた。
「……あはは。そうか。そうですよね、お偉いさん」
真壁の口元が、ゾクッとするほど邪悪に歪んだ。
「人間なんて、最初からこの程度だ。命の価値なんて、僕が査定してやればいい。必死に足掻いて、醜く騙し合って、最後は絶望して死んでいく……。これ以上の最高のエンターテインメントが、この世にありますか?」
眼鏡を投げ捨てた真壁は、黒いシルクハットを深く被り、狂気の笑顔を浮かべた。
真壁という人間は、この日、完全に死んだ。
生まれたのは、プレイヤーの命を弄ぶ、冷酷非道なゲームマスターだった。
テスト近いのでサボり気味でした。
すみませんでした。
では!
(今回言ってることがちょっとアウトな気がしたので制限付きです)