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愛で死を別つ
一つ目ですが、完全に勢いで書いたので設定や細かいところは事実と異なる可能性も大いにあります!!ご注意ください!具体的な時代背景は明記してません。ご了承を!!⚠️重い!
感想まってます!
「お願いだ。お願いだから、お願いだから、お願いだからどうかどうか、もう死なせてくれ。うんざりなんだ、だから今日この瞬間で、、、」
家臣達は戦場でまだ死闘を繰り広げる中、その大元の城主である武士の男がそう言った。負け戦だったのやも知れぬ。籠城され、既に女子供の命も幾つ散った事であろうか。
「……おわせてくれお前の後を、」
「介錯しよう」
静かに溢れた独り言を強引に拭いきるようにふいに出た言葉に、男は黙って頷いた。泣きじゃくりそうで、爆発的な怒りも同時に沸き立っていて、みっともないような顔をして。武士とはその最後は存外、無様なもの。まるでそれを物語っているかの様だった。お前が武士でなければ、私が武士でなければ、なんて譫言が空を漂う。
介錯人になど、あまり快く引き受けたくはないものだ。それも、この男の介錯人なんぞ……深呼吸と共に、身支度を整える。切腹人の沐浴は済み、髷も下げ、裃も左前に身を包み、畳を二畳ほど敷いた屋外にて佇んでいる。はちまきをして、股立ちをとり後は、切腹人の後ろに立ち、様々な細かく振り分けた作法が執り行われる。
思えば、この男の元でどれほどの時間を過ごしただろう。この男とは幼少の頃よりとても親しくしていた。この男が使え従う御大に同じく忠誠を誓い、いつ何時も二人で生きてきた。親友であり、戦友であり、共犯者であり、恋仲であった。時に、我らの間柄を他の者は揶揄し、白い目で見る者もおったが我らはそれに挫けず、お互いを支え合いながら共に生きてきた。御大の命により、妻を娶ったが子にも恵まれず、おまけに私という存在があった為に、正妻でありながらも身をひかせる様な真似をさせた事も今となれば、本当に申し訳ないことをしたと後悔が募る。だが、もうじき我らはこの世とは永遠に別れてしまう。嗚呼、すまなかった。私と此奴が好き勝手生きたせいで、今まで散々な目に遭わせた事だろう。神よ同胞たちにせめてもの慈悲を___
「………御大、貴方に別れをいえずに終わる事になるとは昨夜は思いもよらずに、酷い態度をとってしまった…………」
この男は、今何と申したのだろうか。まさかとは、思っていた。だが、もう受け入れる他ないのか。嗚呼、嘘なのだ。全て。そうあるべきだ。なのに、もう心も身体もわかってしまう。昨夜、私の誘いを断り、何処へ尋ねていたのだろうか。考えたくない。嗚呼、この男は二人きりで最後となる空間で、何と申したのだ。最後だからなのか、?どうして墓に入るまでその想いをもっていく事をしなかったのだ。あああ、嫌だ。
「お慕い申しあげます、御大……」
「左様なら、お前様」
**ザッしゅ**
私が問い詰める間も無く、この男は腹を切った。左脇腹に奥深くその短刀を突き刺して。溢れ出る鮮やかな赤とそこから漂う鉄の匂いに、頭がクラクラする。そんな幻の様な光景に圧倒され、一瞬卑しい考えが過ぎる。突き立てた刃は未だ、引く事もなく腹に刺している様子。
どうしてだ。死にゆく事ならまだ許せた。後をおうことを今更、此奴は責めないだろう。だが、何故なんだ………裏切りはもう許せない。
私にはお前一人であり、お前も私一人だけを愛していた筈だ………
だが、どうしてだ、私に誓っていてくれた筈だ、
愛を。
御大へ永遠の忠誠を誓おうとも、正妻や側室と家庭を築こうが私は絶えずお前を一心に愛し、待っていた。
だが、待てど暮らせどお前は私には何も望まず捧ぐ事も愚か、私をたった一人の愛する存在としてはいつしか見てくれなくなった。
だから、愛を、愛だけは、誰にも奪われまいとしてきたというのに。ふざけるな、なんて怒鳴る事もできず、もうすぐ死にゆく男に対してまだ恋慕の情を抱いている己に涙さえ溢れる。
「罰なのだ、甘んじて受け入れるが良い………」
私の言葉に呼応してかはわからずだが、そのまま刺した刃を右へと力をこめ、捻るようにして引き、凄まじい出血に歯を食い縛り吐血し疼くまる様にして頭をゆっくり、下におろした。
介錯は失敗が許されない。抱き首という高度な技法では、首の皮一枚繋ぐ事を肝としている。失敗があれば、名誉や家名の断絶や家財も没収される事も有り得る。私は生まれながらにして武士である。きっとここで、告白したこの男も承知の事であろう。
もう此奴には名誉ある死など授ける必要もなかろう。
「………っ、お前には恥ずべき処刑を与える」
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あれから随分と月日が経ち、私は名誉ある武士の死を、見事にぶち壊した大罪人として牢獄にいれられている。今、考えても馬鹿らしい真似をしたものだ。私も若く、あの人は奔放でいらっしゃった。牢獄にいれられてすぐに、御大の使いからあの時書き上げられた辞世の句。その現物を贈られた。それには、酷い戯言が書いてあった。
最後まで私の望みを叶えてくれなんだ男を恨めしく思う。だが、きっと愛されていたのだ。今はそう想える。私は彼奴と共に生きられて本当に幸せだった。