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怪士
「苦しそうな表情をするのね』
「臓器が痛くて熱くて苦しいでしょう……」
特に此処はすごく痛い!そう女が声を張り上げて私の腑に深く刺さった包丁を捻じ込んだ。途端に声をあげてしまう。
「ゔぁぁゔぇあがゔゔ〜〜!!!!」
痛い痛い熱い痛いクラクラするあああああ、嫌だ怖い
「随分と血が出てくるのねぇ」
包丁の持ち手を未だ握ったままの女の手は見ると、赤い血で汚れていた。絶え間なく湧き立つ血液はやがて、口からもぼたぼたと落ちてきた。
頭が揺れて真っ直ぐ立てなくなった頃には、床には大きな花弁のように広がった血溜まりがあった。
「鉄臭い」
女はそう呟いて、突き刺さる包丁でまた傷を抉りとるようにぐりぐりと掻き回して勢いよく抜いた。
「っぐぁぐがっぅ!!」
筋肉や内臓、血管全てをすり潰されていくような痛みが全身に走った。瞬間、噴き出していた赤い血が鮮やかに視界を覆い尽くした。
「ゔぁっかっはっは、」
吐血どころか噴き出すように出てくる大量の血。
そろそろ死ぬのだろうか。腹の中からとめどなく流れていく血と燃えるような痛みが私の心を打ち砕いていく。
「……あなた、やっぱり似てるわ」
段々と視界が暗闇に堕ちていく。身体が全部冷たい。
「怪士に。アタシ大好きなのよあの勇ましくて猛々しい武将の|面《おもて》よ、」
「見ないの?能、」
「ぁあぁぁぐっ」
ああ痛い熱い熱い苦しい痛い痛い血が止まらない永遠と肌を引き裂かれているようで、もう死にたいとすら考えてしまう程の激痛だった。傷に痺れるような痛みが波のように訪れる。
「|怪士《あやかし》はね!能の面の事で無念の死を遂げ修羅道へと落ちていく男の|面《かお》なのよ」
果たして私は、そんな立派な男の顔をしているのだろうか
あ、おわる
**バタンッ**
「死んだ」
「鉄で殺したし、血は鉄分だし、臭いのもまあ必然か!」
「ばいばい!素敵な人!」