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最高のグループ_15話
静寂に包まれた森の奥、隠れ家へと辿り着いた一行を包み込んだのは、戦場とは対極にある温かな暖炉の火であった。
カイトとルアは、過酷な逃走劇と死闘の果てにようやく手に入れた休息を噛みしめるように享受していた。
この数ヶ月、彼らは互いの存在を求めて彷徨い、極限まで精神を摩耗させていたのだ。
ルア「……本当に、信じられないわ。こうしてみんなと一緒に笑っていられるなんて」
ルアは椅子に深く腰掛け、隣に座る悠斗の頭を優しく撫でた。
彼女にとってこの再会は、単なる生存の確認以上の意味を持っていた。
悠斗「……姉貴。俺、ずっと怖かったんだよ。また一人になっちゃうんじゃないかって」
ルア「もう大丈夫よ、悠斗。私がいるわ。絶対に離さないって約束したでしょ?」
二人の間に流れる空気は、これまでの殺伐とした戦いとは無縁の、純粋な姉弟の絆に満ちていた。
ルアは時折、自分の指先を見つめる。
そこには世界で唯一彼女だけが操れる「ウイルス」の魔力が宿っている。
この力があればこそ、ヴァンパイアという絶望を打ち砕くことができたのだ。
その様子を少し離れた場所から見守る仲間たちの視線があった。
莉音は、手元の茶碗を置きながら、感極まったように声を漏らした。
莉音「ねえ……見てよ。悠斗って、ルアがいなくなってからずっと笑ってなかったじゃない? でも今日会った瞬間から、あんなに無邪気に笑ってるわ」
菜乃「……ああ。彼がどれだけ孤独だったか、改めて突きつけられるな」
菜乃は無愛想な表情の裏に、仲間への深い情愛を滲ませていた。
彼女は盾を下ろし、ようやく肩の力を抜いている。
莉音「それだけじゃないわよ。那央も見て。あんなに冷静で完璧な指示を出してた彼が、カイトと喋ってる時だけは……なんだか子供みたいに愚痴をこぼしてるじゃない」
その言葉通り、部屋の隅では那央とカイトが向かい合っていた。
那央は普段の「司令塔」としての顔を脱ぎ捨て、
これまでの苦労や、Red Fangに対する怒り、そして仲間への想いを一挙に吐き出していた。
那央「……正直に言うよカイト。俺、指示を出すたびに心臓が止まりそうだった。あいつら(Red Fang)のやり方は異常だ。でも、お前たちが無事でいてくれるなら、俺は何度だって最善の策を練り続ける」
カイト「……那央、お前も無理してたんだな。いいよ、全部聞く。俺も、あの日からずっと言いたかったことが山ほどあるんだ」
二人は互いの傷を言葉で埋め合わせるように語り合った。
それは戦いの中では決して許されない「弱音」であり、同時に彼らをつなぎ止める強固な絆の証でもあった。
柚子「……ふふ、賑やかね。あんなに騒がしいのは初めて見たわ」
柚子は冷静な口調ながらも、その瞳には柔らかな光を宿していた。
彼女は攻撃サポーターとして常に最前線の危険を見極める役割だが、
今はただの「仲間の一人」として、再会の喜びに浸っていた。
夜雨「……月が見えない部屋の中だけど、なんだか心が温かいね。僕も、この時間が永遠に続けばいいって思ってるよ」
夜雨は自身の膨大な魔力を解放する疲れを忘れ、仲間たちの笑い声を聞き入っていた。
彼にとっての安らぎは、月を見ることだけでなく、この「最高のグループ」と共にいることでもあったのだ。
しかし、そんな幸福な時間は、静かな警告に侵食されようとしていた。
ルアの傍らに控える黒い狼・ログが、突如として耳を伏せ、低く唸ったのである。
ルア「……っ! ログ、何? 何かを感じたの?」
ルアの表情が一変する。
彼女は瞬時に立ち上がり、指先にウイルス魔力を集束させた。
爪が鋭く光を放つ。
那央「全員、戦闘態勢! 休息は終わりだ!」
その瞬間、部屋の外から不吉な気配が押し寄せた。
Red Fangの追跡者たちが、彼らの居場所を突き止めたのだ。
しかし、ルアたちはまだ知らない。
カイトを変貌させた呪いの正体、
そして「死んだ」と思っていた元仲間たちの真実が、今まさに動き出そうとしていることを。
莉音「……みんな、絶対に守るからね! 私たちがここにいる限り!」
再び戦火の予感に包まれる中、彼らは互いの手を強く握りしめた。
約束はまだ果たされていない。
絶望を打ち破り、全員で生き残るための旅は、ここからさらに過酷な局面へと突入していく。