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最高のグループ_13話
森の奥深く、木々が密集し陽光すら届かぬ聖域へと足を踏み入れる。
空気は湿り気を帯び、死者の残り香と鉄の匂いが混ざり合っていた。
那央「……前方に強い魔力の反応がある。カイトの居場所だ」
那央の声に呼応するように、一行は慎重な足取りで進む。
しかし、その静寂を切り裂くように紅い閃光が走り、複数のヴァンパイアたちが姿を現した。
菜乃「……来るぞ。下がれ」
菜乃が巨大な盾を展開し、地響きと共に押し寄せる敵の群れを受け止める。
彼女の背中には、かつて守り切れなかった者たちの顔が浮かんでいた。
悠斗「あんな奴ら、まとめてぶっ飛ばしてやるよ!」
悠斗の叫びと共に、彼の放つ一撃が敵を次々と弾き飛ばす。
その背後で夜雨は静かに指先を動かし、空間に重苦しい呪印を描いた。
夜雨「……僕の魔力で、彼らの動きを縛るよ」
膨大な魔力が消費され、ヴァンパイアたちの四肢が凍りついたかのように硬直する。
柚子は冷静にその隙を見極め、ルアへの支援体制を整えた。
柚子「……莉音、ルアさんの体調を確認して。彼女の『バトル・アライズ』は限界に近いわ」
莉音「大丈夫! 私が見張ってるから! ルアさん、あと少しでいいよ!」
莉音の癒やしの光がルアを包み込みながら、一行はついに森の中核へと到達した。
そこには、崩れ落ちるように座り込んでいた一人の青年――カイトの姿があった。
しかし、彼を見た一同は息を呑んだ。
かつての仲間であり、救うべき対象であったはずのカイト。
その肌は青白く変色し、瞳には人間のものではない紅い光が宿っている。
彼はヴァンパイアへと変貌していたのだ。
カイト「……え……? なんで……みんなが……ここに……」
カイトの声は震えていた。
彼にとっての時間は極めて短く、自我を保てるのはわずか数時間。
彼は混乱した瞳で、自分を取り囲む6人の姿を見つめた。
ルア「……カイト……見つけたわ」
ルアが歩み寄り、その手から溢れ出るウイルス魔法の魔力を抑えながら声をかけた。
彼女の指先には、ヴァンパイアを腐敗させる毒が宿っている。
本来なら彼を攻撃すべき力だが、
今の彼女はそれを「治療」のために制御しようと必死に精神を集中させていた。
カイト「……ルア……? 嘘だろ……俺は……もう、元に戻れないのか……?」
彼は自分の手を見つめ、絶望に顔を歪めた。彼
がヴァンパイアになったという事実は、かつての仲間たちにとって最大の悲劇であった。
悠斗「……クソッ、」
悠斗は拳を握りしめ、悔しさで声を震わせた。
しかし、ルアの強い眼差しが彼を制止する。
那央「落ち着け、悠斗。今はカイトを救うことが最優先だ」
那央は冷静に指示を出しつつも、その瞳には深い悲しみが宿っていた。
彼は知っている。Red Fangの呪いがどれほど深く彼らを蝕んでいるかを。
ルア「……カイト、聞いて。私たちはあなたを置いていかない。たとえ今の姿が変わっていても、あなたが『あなた』である限り、私たちの仲間よ」
ルアは一歩踏み出し、その爪で彼に触れようとした。
彼女のウイルス魔法が発動すれば、彼は瞬時に腐敗するだろう。
しかし、彼女はその毒を「抑え込むための楔」として使い、
彼の暴走する魔力を封じ込める術式へと変換した。
カイト「……みんな……ごめん……俺のせいで……」
涙が彼から溢れ出し、地面に落ちる。
その瞬間、森の奥からRed Fangの幹部たちが現れた。
彼らは嘲笑うように、変わり果てた姿のカイトを見下ろした。
菜乃「……汚いものを見るような目で見ないでくれ」
菜乃が盾を構え、カイトの前に立ちはだかる。
彼女の背中には揺るぎない意志があった。
夜雨「……月はまだ僕たちを見守っている。この絶望さえも、共に乗り越えるべき道標だ」
夜雨が魔力を解放し、周囲を覆う闇を味方へと変えた。
ルア「ログ、敵の注意を引きつけろ! 私たちがカイトを守り抜くわ!」
黒い狼・ログが咆哮を上げ、戦場へ飛び出した。
那央「……全員、準備はいいか? 最高のグループとして、この運命を塗り替えるぞ」
7人の絆と、変わり果てた姿の8人目の仲間。
彼らの前に立ちはだかるRed Fangという巨大な壁に対し、
絶望を希望へと変えるための戦いが再び幕を開けた。
しかし、カイトの自我が揺らぎ始める。
カイト「……ああ……熱い……体が……壊れる……!」
彼の中に眠るヴァンパイアの本能が目覚めようとしていた。
ルアは必死にその手に魔力を集中させる。
ルア「……絶対に、離さないわよ! カイト!!」
戦いはまだ始まったばかりであり、彼らの約束はまだ果たされていない。