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看護師のカルテ
看護師視点です。
そしてあまり知識がないのでおかしいところがあるかもしれません。
少年が緊急で運ばれてきた。
骨が浮くほど痩せこけた少年は見るからに栄養状態が悪かった。
すぐに点滴を打とうと近寄ると、ひどく怯えられる。
こんな栄養状態で、しかも警察からの出動要請だった辺りで訳ありなのだとはわかる。
わかるが、ここは無理にでも点滴を打つべきだ。
私はできるだけ優しく声をかけながら点滴を打ち込む。
少し痛かったのか、針が刺さったらビクリと体が震えていた。
既に病院服を着せられている少年の体は服の隙間からでも酷い傷跡だらけなのが見えた。
手を見てみると、タバコを消したような火傷で埋まっていて、ところどころ膿んでいた。
手当をある程度し終えた私は、病室を手配するべくその場を離れる。
この栄養状態で傷の状態。他にも診断が下されそうだ。
それにしても。一体少年の身に何があったのだろうか。
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少年は重症患者だった。
ついた病名はたくさんある。
私は少年―――壱くんの担当となった。
病室に入るといつも怯えられる。
なるべく優しく声掛けをするのだが、聞いているのかどうか。
そして、大変なのが、手を洗っている時だ。
火傷が酷いから染みるだろうに石鹸で何度も何度も手を洗ってしまう。
火傷で皮が剥けてしまっても、手が赤くなっても。
できるだけやめさせようとするのだが、気づけば手を洗ってしまうのだ。
それと、消毒液も欠かせない。
痛い。絶対に痛い。
が、壱くんは必死に手を洗う。
痛みに顔を歪めながら。
もしかしたら誰かに「汚い」と言われたからこうなってしまったのかもしれない。
そうだとしたら、壱くんをここまで追い詰めた人が許せない。
どうか壱くんが幸せになりますように。そう願わずにはいられない。
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壱くんが倒れたと聞いていち早く駆けつけた。
面会に来た人たちは壱くんを引き取ってくれる人たちで話してみた限り優しそうな人たちだった。
そんな人達は真っ青な顔で必死に壱くんに声をかけている。
呼吸が浅く早い。
鎮静剤を打つと、そのまま医者のところへ運ぶ。
なんとか状態が落ち着き、病室へ運ぶ。
面会に来た人達は帰っていった。
心配そうに、不安そうに。
よかった。いい人そうな人たちで。