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終焉の鐘 第六話
この世界は、嘘で成り立っている──
誰もが嘘を並べ
誰もが嘘を信じ
誰もが嘘を愛す
この世界は、嘘で成り立っている──
誰もが嘘を並べ
誰もが嘘を信じ
誰もが嘘を愛す
中国裏社会の帝王
【闇雲】
彼の率いる|組織犯罪集団《マフィア》
【|终焉的钟《終焉の鐘》】
彼らもまた、
嘘を信じ
嘘を愛し
そして
闇を愛すものだった
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第六話 ~地獄へ堕ちる傀儡と人形~
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『ねぇねぇ、2人の名前なんて言うの?』
『僕?僕は地獄傀儡』
『僕は地獄人形』
『カッコいい名前だね』
『君は?君はなんていうの?』
『僕は孤児だから、名前はないんだ』
『そっか──傀儡、この子に名前をつけてあげようよ』
『そうだなぁ──月のように輝くその綺麗な黄色の髪から【月照】とか?』
『僕の名前──月照──すごい‼︎カッコいい‼︎2人ともありがとう』
『また、今度会おうね』
「──────っ」
紫雲は恐ろしい夢でも見たかのように飛び起きる。
「今度なんて──なかったのにな──────懐かしい夢を見た」
紫雲はそう言うと、のんびり腕を服に通した。
「もう会うことなんてないと思ってたよ────月照。僕は君を傷つけるから、わざと孤児院を取り潰したのに──なんでこう簡単に再会しちゃうんだよレモン」
悲しそうな笑顔を浮かべながら、紫雲は髪をかき上げる。そして溜息をついて部屋を出て行った。
「紫雲、おはよう」
「悠餓──おはよう」
紫雲に悠餓という青年は声をかける。綺麗なオレンジ色の髪の青年だった。彼こそが、変装していないかの闇雲である。
「────また、あの夢見たの?」
悠餓の──闇雲の心配そうな声に紫雲は目を逸らす。
「なんで悠餓は、僕が地獄人形なのに色々してくれるの──?あの、地獄人形なのに」
闇雲は予想外の問いに軽く動揺する。こんなに弱々しい紫雲は、久しぶりだったのだ。
「過去なんて、関係ない。僕は紫雲が大好きだから」
闇雲はそれだけ言うと、これ以上は妙な問いをするなというように笑顔を貼り付ける。紫雲は、何かの怒りをぶつけるように口を開いた。
「僕はいつまで嘘をつき続ければいいの──?七篠は僕と──地獄人形と地獄傀儡を恨んでる。月照──レモンは僕と傀儡を探している‼︎それなのにいつまでも2人に真実を話せていない。2人だけじゃなく、みんなに──。僕がこんなのだから────」
紫雲は今にも泣き出しそうな顔で闇雲を見つめる。
「地獄傀儡は僕のせいで死んだんだ。いつまでみんなを欺けばいい?いつまで嘘をつき続ければいい?いつまで僕は自分を偽ればいい?」
紫雲のその、何かに縋るような、悲鳴のような言葉に、闇雲を静かに紫雲に笑顔を向ける。
「紫雲──君が隠していること、嘘をついていることは、今から僕が言う物以外にあったりするのかな?」
闇雲の冷静なその問いに、紫雲はスッと黙り込む。
「紫雲は地獄人形。紫雲の生まれは共和国の貴族で、地獄傀儡は紫雲の幼馴染。5歳の時、共和国が戦争に巻き込まれて紫雲と地獄傀儡はこの国に逃げ出す。その後、この国で裏社会の人間として色々な犯罪に手を染める。月照──レモンのいた孤児院を潰したのは地獄人形と地獄傀儡。レモンに月照という名を与えたのは地獄傀儡で、それを提案したのは地獄人形。七篠の両親と、その家の使用人を全員殺したのは地獄傀儡。それの手伝いをしたのは地獄人形。その他色々なことをして裏社会で有名になった時、紫雲のせいで地獄傀儡は飛び降り自殺を試みる。そして──紫雲が留守の間に地獄傀儡は死んだ。ビルの上から飛び降りて。紫雲は未だにそのことに責任を感じている。僕が紫雲と出会ったのは傀儡の死から2週間後。紫雲は地獄人形だという正体を知った僕に危機感を覚え、暗殺を試みる。1ヶ月一緒にいるうちに、その殺意は消え去った。今は七篠達を騙すのに罪悪感を抱いている────。そして幹部やソルジャーの前で冷たい雰囲気を出すのもまだ慣れていない」
闇雲はそこまで言うとにっこり微笑んだ。
「こんなところかな?」
紫雲は、数歩後退む。紫雲が教えたことはない細かいことまで完璧に言い当てられた。そして、最初の頃隠していたつもりだった殺意もバレている。紫雲は息を呑み、真っ直ぐ闇雲を見つめた。
「紫雲、この世界は嘘で出来ているんだよ──。僕だって、君に、数えきれないくらいの隠し事をしている。例えば────なんでこんなに君について詳しいのかとかね?裏社会で生き残るにはそれが必要不可欠だ。少なくとも、僕は紫雲の嘘を把握している。僕は君を守れる。だから、安心していいんだよ?」
闇雲はそう言うと、紫雲を力強く抱きしめた。紫雲は、少し躊躇いながらも自分の手を闇雲に回す。
「████████████」
「え──?」
紫雲は最後に闇雲が呟いた言葉に疑問を返す。しかし、闇雲は何もなかったかのように微笑むと紫雲を座るように促した。
「ほら、早く食べないと冷めちゃうよ?」
紫雲は呆然と目の前で笑っている闇雲を見つめていた。
(なぜそれを、知っている────?)
紫雲はその疑問をしまい込み、軽く深呼吸をした。
闇雲を下手に探るのは──危険だ
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「それじゃあ、今日も闇雲役を頼んだよ?紫雲」
「御意────」
外で行動する時は基本、紫雲が闇雲と名乗って行動する。だからこそ、紫雲は単独で行動し、闇雲は変装せずに一人で行動する。そのせいで、誰も闇雲と紫雲の実力を知らない──
誰も彼らの真実を知らない──
誰も闇雲を知らない──
誰も────
誰も幾つもの国を潰した地獄傀儡と地獄人形の正体を知らない────
誰も地獄傀儡の本当の意志を知らない──────
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「地獄人形は──俺がしっかり幸せにして上げないと」
誰も“彼”の思惑を知らない──