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終焉の鐘 第十七話
この世界は、嘘で成り立っている──
誰もが嘘を並べ
誰もが嘘を信じ
誰もが嘘を愛す
この世界は、嘘で成り立っている──
誰もが嘘を並べ
誰もが嘘を信じ
誰もが嘘を愛す
中国裏社会の帝王
【闇雲】
彼の率いる|組織犯罪集団《マフィア》
【|终焉的钟《終焉の鐘》】
彼らもまた、
嘘を信じ
嘘を愛し
そして
闇を愛すものだった
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第十七話 ~監禁~
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「────っ」
「ほら──ほしいならちゃんと言ってよ。薬、ないと困るんでしょう?」
いつもの発作で呼吸が荒く、顔色も悪い苦しそうな紫雲に、偶人は楽しそうに薬の入った瓶を軽くふる。紫雲は苦しそうに顔を顰めながらも何も言わずに偶人から目を逸らす。
「めんどくさ──」
偶人はそう呟くと、乱暴に瓶の中の薬を紫雲の口に流し込んだ。呼吸が落ち着いてきた紫雲を見てから、偶人は紫雲を押し倒す。紫雲の上に覆い被さるような体制で、偶人は笑顔で紫雲に問いかける。
「紫雲さぁ、何回ヤったことあるの?」
「は──────?」
偶人のその意図の読めない問いに、紫雲は呆けた声を出した。そして、本気で不気味な物を見る目で偶人を見つめる。
「だからぁ、何回女の子とかってセックスしたことがあるの?って聞いてんの。裏社会で生きている身でさぁ、一回も経験ないなんてあり得ないじゃん?」
偶人の言う通りだった。色々な情報を掴んだり、友好関係を結んだりするために。ある程度の立場の裏社会の人間は女を利用する。アンダーボスである紫雲が、それをやったことがないはずがない。
「傀儡…闇雲は7人と、13回くらいだっけな?思ってたより少なくてビックリしたよ。で、君は?」
「そんなわざわざ数えてない──覚えてるのは4人」
紫雲のその答えに、偶人は満足そうに笑顔で頷いた。
「俺はね、結構そういう行為に慣れてるんだけどさぁ、たまには紫雲も、受ける側。やってみたくない?」
偶人はそう言うと、紫雲の服に手を伸ばした。
「ハ?マジで何言ってんの?男同士だよ?」
紫雲のその言葉を、気にもしなかったように偶人は笑顔を深める。紫雲は鎖に繋がれていてもできる範囲で足を振り上げ、偶人のお腹を蹴飛ばした。
「ウッ────」
苦しそうな声を出し、偶人はお腹を抑える。
「何すんの?折角気持ちよくさせてあげようと思ったのに」
「お前とヤるくらいなら傀儡とやりたいね」
いつまでも変わらない紫雲の冷たい態度に、偶人はため息をついた。そして、偶人の手によって少し改造された銃を取り出し、紫雲の腕に発砲する。
「っ‼︎」
鉛が当たった所からの出血はなかった。その分、当たった所からだるくなっていくのがわかる。
「あとどのくらい、調教が必要なのかな?大人しくしていればいいのに」
偶人はそう言うと、躊躇いもなく紫雲のお腹を踏みつける。苦しそうに顔を顰める紫雲を見て、偶人は微かに笑った。
「駄目だよ?俺に反抗したら」
「─────屑洟兄さんはさ、何が目的なの?」
紫雲は悲しそうに目を細める。
「もう──何も理解できない」
紫雲のその言葉に、偶人はハッとしたように目を見開く。そして笑顔を曇らせ呟いた。
「もう、戻れないんだ」
偶人の悲しそうな、辛そうなその顔を見て、紫雲は息を呑む。自分が知らない数年間で、偶人に何があったのか。紫雲にはそれを知る手段がなかった。
「ごめん、兄さん」
紫雲はそう言うと、力一杯に足を振り上げ偶人を蹴り飛ばす。蹴り飛ばした時に足で偶人から奪い取った銃で手枷を外し、懐の銃を偶人に構えた。
「紫う」
「仮にも遠くの王国で最強を名乗ってたんだ。そこまで弱くはない」
紫雲はそう言うと、引き金に力を込めた。
「俺は、自分の身の為にも、屑洟兄さんを殺すよ」
呆然としている偶人に、紫雲は発砲してから部屋のドアを開けて走り出す。途中ですれ違った、攻撃してきそうな相手を全員殺しながら──
「そんなに走って、どこに行くんですか?」
突然かけられた声に、紫雲は静かに振り向く。
「申し訳ありませんが、偶人様のご命令により、あなたをこの場から出すことは不可能です」
そう言った青年、空木は無表情のまま銃を取り出す。
「誰かと思ったら──こないだ傀儡の姿をしていた偽物か」
紫雲のその言葉に、空木は目を見開く。傀儡として変装していた時の雰囲気は全て消し去っており、声も変えている。それを、一発で見破られたのだ。
「流石、あの地獄人形様ですね──腕がなる」
空木は不気味に微笑んでから一気に紫雲との距離を縮める。紫雲は空木に発砲しなかった。ただ、空木の攻撃を交わしながら観察している。
「氷夜の弟子か────?形が、構えが表面上は変わっているが、細かい所は鮮明に再現されている」
空木は何も答えない。静かに紫雲への攻撃を続ける。
「1ミリも当たってないな。氷夜の教育を最後まで受けてないんじゃないのか?アイツならもっと完璧に教え込むはずだ。何かがあったんだろうな。屑洟兄さんなんかに拾われて、可哀想に」
「黙れっ────────‼︎」
我慢できなくなったかのように、空木が大声を出した。
「ほら、全部図星なんだろう?」
勝ち誇ったように笑顔を浮かべる紫雲に、空木は舌打ちをした──