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目次
勇者殺しの赤魔女と冷徹無慈悲な青の公爵 第一話
先日、予告していた新シリーズです!
「呪われた"赤魔女"!!お前との婚約は破棄だ!!」
そう、言い放つ私の愛する人━━━━━。
その傍らにいるのは、彼の愛する人━━━━。
ああ、めまいがする。
ボーン…ボーン…。
古い時計が夕方の5時をさす。
━━━━赤き血を持って ことわりを覆せ
ああ、なんて心地よい言葉…。私はこの言葉を知っている。
━━━━この血にかけて、お前を呪う。
そう、かつての私が言い放った言葉。
真っ赤に燃える赤髪に、深く澄んだ青い瞳。
かつての私の姿が思い浮かぶ。
━━━━我が名は、ラシェル・ラ・プリム!
"鮮血の赤魔女"
今やそう呼ばれる、歴史に残る大魔女にして、私のかつての姿。そう、前世である。
---
「何度も言わせる気か!ルミナーレ・リ・ラプア!お前との婚約を破棄する!!」
私の婚約者、ラゼストロ・セルビオスの言葉によって、一気に現実に引き戻される。
「婚約、破棄でございますか?何故?」
本心からの言葉だった。どうやらそれがラゼストロ様の癇に障ったようで。
「何故、…だと?とぼけるな、お前はこちらのご令嬢に悪質ないじめをしていた!」
…何を言っているの?心から、そう思う。
というか、どちら様で?
「ああ、ラゼストロ様…そんな私のために…。ルミナーレ様を責めないでさしあげて…?」
「ああ、なんと寛容な心の持ち主なんだ!ベディア…!」
…はあ━━━━?私をさし置いてなんなのこの人たちは━━━━━?
━━赤き血を持って ことわりを覆せ
絡みつく糸は 抗う者を縛り付ける
|遍《あまね》く針の向く先は |心《しん》を貫き全てを暴く
また、聞き馴染みのある言葉が聞こえた。
全身の血が燃えるように熱い。
不思議な感覚だ。
「なっ…!目が、光っているぞ!!赤魔女に呪われる…!」
目が光って、いるの……?
唐突に、誰かに引き寄せられた。
「ラゼストロ・セルビオス、話はそれで終わりか?…呪いなどと、馬鹿馬鹿しい」
え…?
「こんなに美しいのに…。ルミナーレ・リ・ラプア、俺と結婚してくれ」
…なんだか懐かしい気持ちになる。
「お、お前…!!な、何者だ!」
ラゼストロ様の言葉を嘲笑うように、その御仁は言った。
「失礼、申し遅れた。俺の名は、アルベルト・オ・リアヌール」
その名は、冷徹無慈悲と噂される"青の公爵"の名だった。
---
何故こうなったのか、いまだに理解できていない。
「なんていうか、怒涛の1日だったな…」
婚約破棄されるわ、前世思い出すわ、今度は婚約申し込まれるわ…。
結局、私は"青の公爵"との結婚を引き受けた。
なぜだか、私は彼を"知っている"気がしたから。もしかしたら、私の前世に関わった人なのかもしれない。
新シリーズ
「勇者殺しの赤魔女と冷徹無慈悲な青の公爵」
始まりました!!
ここまで読んでくださり、ありがとうございました!
勇者殺しの赤魔女と冷徹無慈悲な青の公爵 第二話
***ある歴史学者の手記 〜鮮血の赤魔女〜***
* これより記すは全て事実のことにあり。全て私が実際に見たものである。*
* 〈国歴134年 |八の月《やのつき》 |十の日《とおのひ》〉*
* "鮮血の赤魔女"の討伐に我が国アストラネオスの勇者様が向かわれた。** 私は戦場には出ないが、この大規模討伐を国の歴史に残すよう王命があるため同行している。*
* しかし、"鮮血の赤魔女"の赤魔法はとんでもない威力を持っているらしい。*
* なんと末恐ろしいものか。** 今や討伐対象になっているが、もとは味方だったらしい。*
* "己の血をも使って敵を貫く"。** 文字通り"鮮血の赤魔女"は自らの血を使って攻撃をする。*
* 真っ赤な血の糸で標的を縛り付け、|遍《あまね》く針で貫く。*
* まるで、「裁縫をしているようだ」とその戦場に立っていた兵士は言っていた。*
* 己のものかも標的のものかも分からない血を軍服につけ、戦場に立つ姿から"鮮血の赤魔女"という異名がついたそうな。*
* そんな最強とも|謳《うた》われる赤魔女を討伐できるのか。*
* いや、そんなことを言っていては勇者様に失礼だ。*
* 〈国歴134年 |八の月《やのつき》 |十四の日《じゅうしのひ》〉*
* ついに「魔女の巣窟」に到着した。*
* ━━━━━━━━の勇者様━━━━━順━に━━━━を━━━━━━━━。*
* ━━━━━━━━━━━━が倒れた。*
"青の公爵"に結婚を申し込まれた日の夜。
パサリ、と古い紙をめくる。自室のランプに照らされたそれ。
私は、ご先祖が残したある手記を読んでいた。
「…はあ。文字がかすれているわ。それに、
………………そのあとのページが破られてる」
私の前世"鮮血の赤魔女"について知りたかったのだけれど。
私の前世の記憶はまだ戻っていない。
ただ…この勇者というのは覚えている、気がする。
勇者殺しの赤魔女と冷徹無慈悲な青の公爵 第三話
***追憶 〜勇者と赤魔女①〜***
*私が初めて彼と会ったのは雪の降る静かな夜だった。*
*まだ、私が"鮮血の赤魔女"と呼ばれる前の話。*
*私が張った結界が感知した人は私の住むエレスペネ大森林の小さな家の前で止まった。*
*それからしばらく動かない。*
*不思議に思ってドアを開けた。*
*そこには、雪の上に横たわる小さな幼子の姿があった。*
*凍えて、今にもぱったりと死んでしまいそうな弱々しい姿だった。*
*魔女というものはどうしても恐れられるものだ。**だから、私はこんな森の中にひっそりと住んでいる。*
*この子を助けることで、私の居場所はできるのか?**この状況がなにか変わるのか?*
*迫害は、差別はなくなるのか?*
*損得が一番最初に出てくる。**こんなことを一番に考える自分が嫌いだった。*
*……………………でも、*
*私は生まれて初めて誰かの役に立ちたいと思った。誰かを愛でて、慈しんでみたいと思った。*
* 『お母さん、見て!綺麗なお花を見つけたよ』*
* 『お母さん、これ川で捕まえてきたんだ!大きな魚でしょ』*
*いつも無邪気に笑う我が子がとても愛おしかった。『お母さん』と、そう呼ばれることがなによりも幸せだった。*
*『いい子ね、ノア』*
*『すごいわ、ノア』*
*我が子も私が『ノア』と呼ぶことに嬉しそうに笑顔で返した。*
*『お母さん、僕にも魔法を教えて!』*
*今思えば、その言葉が全ての始まりだったかもしれない。*
*ノアは上達が早かった。*
*この子は天才なのかもしれないと、何度思ったことか。*
*我が子の成長と魔法に興味を持ってくれたことがなにより嬉しかった。*
*そんな嬉しさもつかの間、ノアが王国騎士団にスカウトされたのだ。*
*我が子が誇らしいという思いの反面、少し寂しいというのが本音だった。*
* でも、そんなことは知らずにノアは*
*『お母さん、待っててね。僕、ものすごい騎士になって戻ってくるから!お母さんを守れるようなかっこいい騎士になって。だから、そのときは…また、あのアップルパイを作ってよ』*
*一瞬、ノアは悲しそうな顔をした気がした。*
*ノアはまだ幼い。**でも、スカウトされるだけの実力はある。* *差別される私のもとより、騎士団のほうがいいのかもしれない。*
*『ええ、そうね。待っているわ、ノア』*
*私はノアにそっと近づいて、ぎゅっと抱きしめた。*
*『愛しているわ、ノア』*
*あの子の小さな背中を見送ったあの日が、私にとっての『幸せな記憶』だった。*
追憶 〜勇者と赤魔女①〜どうでしたか?
この追憶、一話にまとめようと思っていたのですが長すぎたので3つにわけます。
なので次回、タイトルは第四話なのですがこの追憶の続きになります。(「追憶 〜勇者と赤魔女②〜」にはなりますが)
ここまで読んでいただき、ありがとうございます!!
勇者殺しの赤魔女と冷徹無慈悲な青の公爵 第四話
追憶 〜勇者と赤魔女①〜(第三話)の続きです!
***追憶 〜勇者と赤魔女②〜***
*それから5年が経って、私は王城に招待された。*
*『表をあげよ』*
*国王陛下のお言葉に従い、顔を上げる。*
*『エレスペネ大森林の赤魔女ラシェル・ラ・プリムよ。そなたの力を貸してほしい』*
*国王陛下が頭を下げた。**その所作に誰もがざわめく。*
*『国王陛下が頭を下げたぞ』*
*『なんということだ』*
*『ッ国王陛下、頭をお上げください…!!私はそのようなことをされる身分ではございません。私は国王陛下に従うだけです』*
*『…そうか。では、改めてお願い申し上げる。エレスペネ大森林のラシェル・ラ・プリムよ。そなたに我が国の戦士として戦場に出てほしいのだ』*
* …戦場…?*
* 『…戦場、ですか…?』*
* 『ああ、そうだ。近頃、ジュワーネ帝国が攻めてくるのだ』*
*国王陛下のその言葉に誰もが驚きをあらわにした。もちろん私も。*
*『それは、どうして…?』*
*『わからん。だが、この情報は確かだ。儂の直属の諜報員からの情報だからな。ホッホッホ』*
*『では、何故私なのでしょうか?』*
*『そなた、ノアの母上なのだろう?』*
*周りの大臣たちが一気にざわめき出す。*
*『え、ええ。そうですが…』*
*『ならば問題ない』*
*『え、ええ?』*
*『ノアから聞いておるぞ、そなたの師は母親なのだと。その母親は膨大な魔力量を誇る赤魔女なのだと』*
*『…………あの子が、そんなことを』*
*誇らしいような、…。*
*━━━━そうして、私は戦場に行くこととなった。*
*前線に立つノアの姿にはあのときのような小さな幼さが残っていなかった。*
*私が戦場に立ってから一週間ほど。*
*ノアを含めた多くの騎士・兵士たちが大怪我を負って帰ってきた。*
*見ていられないほどの痛々しさ。残りの騎士たち、兵士たちも時間の問題だ。*
*悔しいという感情とともに怒りが湧いてきた。*
*『…全ての騎士・兵士たちを戻らせてください』*
*周りの騎士たちは驚きと非難の声を上げていた。ノアもその1人だった。*
*『いいから、早く!!』*
*味方の騎士・兵士たちの全てが撤退した戦場に、私は静かに立っていた。*
*敵はこちらの出方を伺っている。*
*無駄よ。私を誰だと思っているの?*
* ━━━━赤き血を持って ことわりを覆せ*
* 絡みつく糸は 抗う者を縛り付ける*
*私の血が細い糸になって敵に絡みつく。*
* ━━|遍《あまね》く針の向く先は |心《しん》を貫き全てを暴く*
*突如、出現した大量の針に怯える者。逃げ出す者。それでも勇敢に向かってくる者。*
*しかし、私の糸は全てを逃さない。*
*そして━━━━━━━私は手を前に出した。*
*━━━━貫け*
*針が縛り付けられた者に飛んでゆく。*
*赤き血の雨が降っていた。*
*私はその中に立っていた。*
*ノアは、私の愛し子は私を見ていた。*
*全てが赤に染まっていた。*
*そうして、戦争は終わりを迎えた。*
*国を救ったはずの英雄は、いつしか"鮮血の赤魔女"と呼ばれ畏怖されるようになった。*
*私は、周りからの追及を避けるためひっそりとエレスペネ大森林に戻った。*
追憶 〜勇者と赤魔女②〜どうでしたか?
我ながら「赤き血の雨が降っていた━━━━」あたりがすごい好きです笑
よければ感想、ファンレターお待ちしております!
ここまで読んでいただきありがとうございました!!
勇者殺しの赤魔女と冷徹無慈悲な青の公爵 第五話
追憶 〜勇者と赤魔女②〜(第二話)の続きです!
***追憶 〜勇者と赤魔女③〜***
*それからまた、5年が経った。*
*大森林の静寂だけが、私の傷ついた心を包み込んでいた。*
*けれど、運命の歯車はとまってはくれなかった。*
*━━━━━━国歴134年 |八の月《やのつき》*
*ことは突然起こった。*
*私の結界は破られていた。*
*大森林は燃えていた。*
*そして━━━━━━ノアが"勇者"として帰ってきた。*
*私を討伐することを目的に。*
*大森林を焼き尽くす炎の中、私はノアと対峙していた。*
*ノアの目には世界を滅ぼす魔女を絶対に仕留めるという、冷酷な光だけがあった。*
*ノアが剣を振りかぶった。*
*とっさに出現させた針でその攻撃を受ける。*
*また、剣が襲ってきた。*
*苦しかった。我が子にこの魔法を使うときが来るなんて。*
* ━━━━赤き血を持って ことわりを覆せ*
* 絡みつく糸は 抗う者を縛り付ける*
*血の糸がノアに向かっていく。*
*ノアはそれをひらりとかわした。*
*よかった、当たらなかった。*
*少しだけ安堵した。それだけ、この魔法を我が子に撃つのが嫌だった。*
*また剣が襲ってくる。*
*今度は血の糸でそれを受けた。*
*私の血は針のような強力な硬さに変えることもできる。*
*剣を弾いたはずみでノアの頬に赤い線がはしった。そこから、一滴血が落ちた。*
*ノアはすぐにその血を拭った。*
*私は我が子に傷をつけたの…?*
*私はもはや正気ではなかった。*
*魔力暴走が起きていた。*
*大量の涙を流しながら、大量の針を出現させた。*
*それは、私の意思に背いてまっすぐノアに向かっていった。*
*ノアはそれを全てかわしていた。*
*私の目にはもはや何も映っていなかった。*
*『……………お母さん』*
*ノアが呟いた。*
*真っ赤な魔力の嵐から、一瞬であの日の、雪の夜の記憶が思い起こされる。*
*私は現実に戻された。*
*『………………………ごめんなさい。………さようなら』*
*膝をつく私にノアは剣を向けた。*
*そのときの表情は━━━━━苦しさに悶え、歪んでいた。*
*ノア…?あなたは…私を……*
*胸に激痛がはしった。*
*ああ、まさか…我が子に殺される日がくるなんて。*
*私を有に超える力をノアはつけていた━━━*
*ああ、意識が朦朧としてきた。*
*力はあったほうがいいに決まっている、と誰もが言う。でも、私は力というものは持ちすぎると迫害や差別につながると思っている。*
*実際、私がそうだったから。*
*この子は、私を倒したことによって━━━━*
*私と同じ思いをするかもしれない。*
*あの優しいノアだから私を殺したことをこの先ずっと悔やむかもしれない。その苦しみは想像するだけで、痛い。*
*それならば━━━━━━━*
*『………………ノ、ア。…………ごめんなさい』*
*ノアは私の胸から剣を抜けない。だから、…。*
*私は無詠唱で魔法の糸を紡ぎ出した。*
*確実に捉えるために。糸と、…針を。*
*ノアを。*
*━━━━━貫け*
*ノアを、貫いた。*
*『…これで…あなたを、…守れ、た…』*
どうでしたか?
これにて追憶 〜勇者と赤魔女〜編、終わりました。これから先は、現実編に戻ります。
今後も追憶編はたびたびあるので…
お楽しみに!
よければ、感想・ファンレターお待ちしております。ここまで読んでいただきありがとうございました!
勇者殺しの赤魔女と冷徹無慈悲な青の公爵 第六話
ああ、そうだ。思い出した。私の手で、愛し子を、殺した━━━。
肉体を貫いた凄まじい感触と、ノアの最期の表情が脳裏に焼き付いて離れない。
"鮮血の赤魔女"
私が歴史に残る大魔女とされる理由がわかった。
"鮮血の赤魔女"
私は、勇者を殺したんだ。
この記憶を思い出したことで、私は恐怖で埋め尽くされていた。
なぜか?それは、
私の感情が、私の前世"鮮血の赤魔女"ラシェル・ラ・プリムの記憶に乗っ取られているような気がしたから。
…大丈夫よ、私はルミナーレ・リ・ラプア。
ラシェル・ラ・プリムは前世なのだから…!
暗示をかけるようにゆっくりと言い聞かせる。
---
そうして夜が明けた。
私は、これからアルベルト・オ・リアヌール様と結婚式をあげる。
その後、リアヌール公爵家に住まわせていただくことになっている。
「ルミナーレお嬢様、とってもお綺麗でございます!!」
純白のドレス、輝くアクセサリー、綺麗に結われた髪。
私は今日、冷徹無慈悲と言われる"青の公爵"と結婚する。
このことの実感が静かに湧いてきた。
「ありがとう、マリー」
ガチャ、と音をたてて扉が開いた。
アルベルト・オ・リアヌール様が入ってくる。
「…とても綺麗だ、ルミナーレ」
そう言って、彼は私の頬をそっと撫でた。
…なんだか照れるわ。
「…ありがとうございます、公爵様」
「俺のことはアルベルト、と読んでくれ」
「えっ…、そんな…私は」
「ルミナーレ、私たちはこれから夫婦になるのだ。だから…その、呼んで、くれないか…?」
「…ア、アルベルト…様」
私の言葉にアルベルト様はふわりと微笑んだ。
なんて、優しい笑い方だろう。
「…さあ、行こうか。ルミナーレ」
また━━━━━。
誰なのだ。彼を"冷徹無慈悲"などと言い出したのは。
本当に冷徹無慈悲なら。そんな、優しい笑い方はしない。
---
アルベルト様との結婚式はつつがなく終わった。
それにしてもとても、冷徹無慈悲などと思えるような仕草ではなかった。
私は、そんな目の前に座るアルベルト様を見つめた。
「…どうしたんだ?ルミナーレ。君に見つめられていると、俺も落ち着いてはいられないからな」
アルベルト様は、また優しく笑った。
「い、いえ!…その、すみません。…少し、その…。……………何故、私と結婚してくださったのですか?」
私は、ずっと、疑問に思っていたことを口にした。
「そんなこと、決まっているだろう。…俺はずっとあなたに恋い焦がれてきた。やっと、手に入れたんだ。俺は、あなたを愛している」
そう言って、彼は私の手を取って口づけをした。
第六話、どうでしたか?
しばらく追憶編が続いていましたが、今回は現在が少し進みました!
今回は溺愛描写ありましたが、書いていてニヤニヤしちゃいました笑
純白のドレス………このルミナーレのイラスト描きたいな…と。
ここまで読んでくださり、ありがとうございました!よければファンレターなど送ってくださると嬉しいです!
次回、とそのまた次回も溺愛描写が続きますのでお楽しみに!
勇者殺しの赤魔女と冷徹無慈悲な青の公爵 第七話
鳥のさえずりが聞こえる。
「………………………朝…?」
私はまだ開ききらない目をこすりながら寝返りをうつ。
真隣には力強い誰かの体と、キラキラと輝くサファイアのような綺麗な瞳があった。
誰かの…………?誰………か…の……?
「ぴゃあああああ━━━━━!?」
私はなんとも言えない奇声を発した。
「…ふっ、そんな驚き方…可愛いな」
「…へっ?」
ぶわああっとなにかが込み上げてくる。顔が燃えるように赤くなっているのを感じた。
「…おはよう、ルミナーレ」
あ…この優しい笑い方。アルベルト様…だ。
「…えっと、おはようございます」
「うん。朝ごはんがもうできているから、支度をして食堂へおいで」
「…えっと、…はい」
そう言ってアルベルト様は行ってしまった。
バタン、と扉が閉まる。
はああ━━━━━━━━━━?!
なんですか、朝から!あの、ふわりとした優しい笑い方は━━━━━━━━?!
私は部屋で1人悶える。
そう、そうだわ。私、アルベルト様と結婚したのだった。
「……ルミナーレお嬢様…?………ど、どうしたのですか?」
「マリーっ!!……まずいわ、どうしよう!アルベルト様がっ、甘すぎる!!」
私はふかふかの布団にくるまって叫ぶ。
こころなしか、マリーの頬が緩んでいる気がするけれど。
「……ルミナーレお嬢様…。ふふ…」
え…なに?マリー…?どうしてそう、ジリジリと近づいてくるの?!
「…では!!とびっきり可愛らしくしなくてはなりませんねぇ!!!」
え、え、え、ええええええ━━━━━━━?!
---
私は少しふてくされながら食堂へ向かう廊下を歩いていた。
傍らにはマリーではないメイドがいる。
マリーは私についてきてくれた長年の専属メイド。
今日はこの屋敷の説明などを受けるらしい。
そんなマリーに朝から張り切って飾られ━━━飾ってもらった。
ゆったりとしたハウスドレスは私のマゼンタの髪に合うように赤紫が基調にされている。
胸元の紺色のリボンがひらひらと揺れている。
下ろすと腰ほどまでの髪は三つ編みにして肩に流している。
私たちは大きな扉の前に歩きついた。
メイドがコンコンと、扉を叩いた。
「旦那様、ルミナーレ様をお連れいたしました」
「ああ、入っていいぞ」
メイドはゆっくりと扉を開けた。
「どうぞ、おくつろぎください。ルミナーレ様」
ふわっと笑うそのメイドは珍しい白銀の瞳だった。
大きなテーブルの真ん中にアルベルト様は座っていた。
「さあ、おいで」
そう言って、彼は自らの隣を指さした。
私はおずおずとアルベルト様に近づき、そっと隣に腰掛けた。
大きなテーブル上には見覚えのある料理があった。
それは、かつて私が━━ラシェルがノアに作ったアップルパイだった。
第七話、どうでしたか?
我ながらマリーが好きです。ジリジリと近づいてルミナーレをとびっきり可愛くする………
いいですねぇ…こういうのが好きです笑
そして出てきました!アップルパイ!!
ノアに作ったあのアップルパイ、何故アルベルトはそれを知っていたのか??
ここまで読んでくださりありがとうございました!!よければファンレターなどいただけると嬉しいです!
次回もお楽しみに!
勇者殺しの赤魔女と冷徹無慈悲な青の公爵 第八話
私はそのアップルパイをまじまじと見つめていた。
「……………………これ、は」
「ああ、これは俺の大好物なんだ。君にも食べてほしくて」
アルベルト様はそう言って、小さく切られたアップルパイのついたフォークを差し出してきた。
…えっと、どうすればいいのかしら。
私が戸惑っていると、
「ほら、あーん」
「…えっ、やっ…それは」
私は真っ赤になる。
「いいから、ほら」
恥ずかしさで顔が沸騰しそうだ。
しばらくの攻防の末、あーんをすることになった。
「…………ん、………………おいしい、です」
とりあえず、おいしいと言った。
たぶん、おいしいのだろうが恥ずかしさで味がほとんどわからなかった。
でも、なんとなく懐かしく感じた。
そうして、朝食の時間は終わった。
---
彼は、なぜあのアップルパイを知っていたのだろうか?
私が、ノアに作ったあのアップルパイを。
そもそも、私はあのアップルパイの作り方をどこで知った?
***追憶 〜ひとりぼっちの赤魔女とアップルパイ①***
*私がまだ幼い子供のころ。*
*そのとき、まさに魔女というものが差別される時代の真っ只中にいた。*
*母は、私を逃がしてくれた。*
*もし…もしも、まだ生きているとしたら会いに行きたい。*
*抱きしめて、その温かさを感じたい。*
*きっと、もう叶わないのだろうけど。*
*母は、私にエレスペネ大森林に行くように言った。*
*そこは、誰も近づかない、魔女が住む森と言われていた。*
*魔女。*
*誰も近づかないからなのか。*
*魔女が住んでいると言われていたからなのか。*
*母は、そこに行くように言った。*
*私はあのとき、何を思っていただろうか。*
*苦しい?*
*悔しい?*
*憎い?*
*寂しい。*
*最初はそんなことを考えていた。*
*けれど、そんな馬鹿なことを考えているひまはない。*
*生きなければ。*
*母が、逃がしてくれた。繋いでくれた、この命を。*
*私は。*
*『歴史上には、悪い魔女がたくさんいるけれど、………あなたは誰かを助けられる、誰かを笑顔にする魔女になりなさい。あなたなら、きっとなれるわ…ラシェル』*
*いつか、母が言った言葉。*
*私は、誰かを助けられる、誰かを笑顔にする魔女になるんだ。*
*だから、*
---
* エレスペネ大森林に魔女が住んでいる、という言い伝えは嘘だった。*
*まあ、今は私が住んでいるから実質、魔女が住んでいると言えるのかしらね。*
*私は、幼いながらも懸命に生きていた。*
*私の赤魔法を駆使しながら。*
*絶望に|苛《さいな》まれることも何度もあった。*
*でも、そんなとき何度も母の言葉を思い出した。*
*そのたびに母のいない、本当の孤独を突きつけられて、何度も泣いた。*
*今思えば、私はもう壊れかけていたのかもしれない。*
*そんな、ひとりぼっちの私のもとに劇的な変化が訪れた。*
第八話、どうでしたか?
来ました、追憶 〜ひとりぼっちの赤魔女とアップルパイ〜編!
我ながら、お母さんのあの言葉がぐっとくるというか、大好きなんですよね…
そしてそして、今更ではあるのですが…
「覚悟してください、お嬢様。」シリーズを超えましたね笑
最近、更新してなくてごめんなさい…
近々、投稿します…!
そして、これは本当に余談なのですが…
実は「勇者殺しの赤魔女と冷徹無慈悲な青の公爵」シリーズは現在、第十五話まで執筆中です。投稿しているのは第八話まで。
第十五話まではパソコンに打ち込んでいます。
それをスマホに打ち込んで投稿していて…
その作業が地味に面倒い笑
考えるのはスラスラできるんですけどね笑
でも、まあ、頑張ります!笑
次回は追憶 〜ひとりぼっちの赤魔女とアップルパイ②〜です!お楽しみに!
長くなってしまいましたが、ここまで読んでくださりありがとうございました!
よければ、ファンレターなどいただけると嬉しいです!
勇者殺しの赤魔女と冷徹無慈悲な青の公爵 第九話
追憶 〜ひとりぼっちの赤魔女とアップルパイ①〜(第八話)の続きです!
***追憶 〜ひとりぼっちの赤魔女とアップルパイ②***
*『お母さん、私大人になりました』*
*私は、もはや子供とはいえない歳になっていた。*
*母の歳に、少しずつ近づいていた。*
*私の赤魔法は生活するうえでなくてはならないものとなっていた。*
*エレスペネ大森林に張った、結界もその一つ。*
*私と村を切り離すため。*
*そんなある日、私の結界に何かが引っかかった。*
*侵入者だ。*
*大抵の者は、怖気づくか、森林内に張り巡らされている私の"幻影の魔法"によって彷徨い、結局は森林の外にたどり着く。*
*森林の奥の奥にある私の家にたどり着くことはほとんどないと言って良い。*
*しかし、その侵入者は非常にゆっくりとした足取りで、彷徨いながらも確実に私の家の方向に向かっていた。*
*そして、私の家の目前で止まった。*
*私は恐怖に身構える。*
*いつでも魔法を発動できるようにして。*
*私はそっと、家のドアを開けた。*
*そこには、青っぽい黒髪の綺麗な男性が横たわっていた。*
*その男性は怪我をしていた。*
*私の赤魔法では、治癒をすることはできない。*
*でも、赤魔法は別名"裁縫魔法"。*
*治すことはできなくても、傷口を縫うことはできる。*
*今まで、こんなことをしたことは一度もなかった。*
*手が震えた。*
*もし救えなかったら?*
*どうしよう。*
*どうしよう。*
*また、私は孤独に*
***追いやられる***
*もし、救えなかったら?*
*もし、*
***追いやられる***
*私は、*
***孤独***
*私は、*
*私は、*
***孤独に***
***追いやられる***
*でも、*
***後悔はしたくない***
*私は震える手に必死に力を込める。*
*大丈夫、私ならできる。大丈夫。大丈夫。*
* 『歴史上には、悪い魔女がたくさんいるけれど、………あなたは誰かを助けられる、誰かを笑顔にする魔女になりなさい。あなたなら、きっとなれるわ…ラシェル』*
*私なら、できる。*
*私は赤い糸を出現させた━━━━━━。*
第九話、どうでしたか?
来ました!「青っぽい黒髪の綺麗な男性」!!
そして、赤魔法、別名"裁縫魔法"━━━━。
書きながらニヤニヤしちゃってました笑
今回はいつもより量は少なめですかね?
毎度毎度、あとがきが長くなっている気がするんですが…笑
今回はあとがき抑えたい笑
そんなことは置いておいて…
次回で追憶 〜ひとりぼっちの赤魔女とアップルパイ〜編、終わります!
もうそろそろ、………ふふ…あの人が……ふっ…
ふふ…ふ…
ルミナーレの前世(ラシェル)をよく知るあの人が!!出てくる!!
やばい、これ以上言ったらネタバレしそう笑
あの人は、次の次あたりで出てきますよ〜
お楽しみに!この人、好きなんですよね〜
キャラが笑 あと、しゃべり方が笑
お楽しみに!!
ここまで読んでいただきありがとうございました!また、長くなってしまいましたが笑
よければファンレターなどいただけると嬉しいです!
勇者殺しの赤魔女と冷徹無慈悲な青の公爵 第十話
追憶 〜ひとりぼっちの赤魔女とアップルパイ②〜(第九話)の続きです!
***追憶 〜ひとりぼっちの赤魔女とアップルパイ③〜***
*暗闇の中で、一本の赤い糸が見えた。*
*それはゆっくりと近づいてくる。*
*そして、俺の体に巻き付いた。*
*振りほどきたくなるような不快感は、感じなかった。*
*むしろ、心地よいほど。*
*ゆっくりと温かい、何かが俺の体に浸透してゆくみたいに━━━━━━━━。*
*光が見えた。*
*眩しく、明るい、光だった。*
*その光はだんだんと大きくなり、全身を包んだ。*
*温かい。*
*明るい。*
*ここは、*
*俺は、*
*死んだのか?*
*もやがかかったような視界がだんだんとはっきりしてくる。*
*その中に、綺麗な赤髪が見えた気がした。*
---
*彼は、一命をとりとめた。*
*私が、*
*救った。*
*初めて、*
*誰かを救った。*
*彼は、確かに生きているけれど眠ったままだった。*
*このまま、目覚めなかったらという不安がよぎった。*
*カタ、と小さな物音がした。*
*私は、振り向いた。*
*サファイアのような綺麗な瞳があった。*
*『…よ、よかったぁ…ふっ、うぇ…うゎぁ』*
*涙が止まらなかった。*
*私の青い瞳から、まるで青い雫が落ちているようだった。*
*彼はゆっくりと口を開いた。*
*『…君が、助けてくれたのか?』*
*『ふゔ…うぇ…』*
*涙でぐちゃぐちゃになりながら、必死にうなずく。*
*『そうか…、ありがとう。俺を、助けてくれて』*
*彼は、そう言ってふわりと微笑んだ。*
*なんて、優しい笑い方だろう。*
*私は、その一瞬で恋をした。*
*初恋だった。*
---
*それからしばらく、彼は私の家にいた。*
*怪我が治るまで。*
*彼と過ごすたびに私の恋心は強くなっていった。*
*アンブル・エ・キリル。*
*彼の名前を知った。*
*リス。*
*彼の好きな動物を知った。*
*トマト。*
*彼の嫌いな食べ物を知った。*
*かわいい、と思ってしまった。*
*アップルパイ。*
*彼の大好物を知った。*
*彼の怪我が治った。*
*寂しい。*
*離れたくない。*
*『…おいしい』*
*涙が出てきた。*
*彼は慌てていた。*
*そんな姿さえ、愛おしくてかわいいと思った。*
*寂しい。*
*私は、アップルパイの作り方を教えてほしいと言った。*
*彼は、レシピをくれた。*
*『いつも持ち歩いているの?』*
*私が笑うと、*
*彼は少し照れくさそうに言った。*
*『うん。俺は、作り方を覚えているから。いつか、大切な人にあげたいと思って、いつも持ち歩いていたんだ』*
*と。*
*かわいい。*
*愛おしい。*
*寂しい。*
*離れたくない。*
*彼は、エレスペネ大森林から去っていった。*
*私が、彼に想いを伝えることはなかった。*
第十話、どうでしたか?
これにて追憶 〜ひとりぼっちの赤魔女とアップルパイ〜編、終わりました!
次回から、現実に戻ります!
アンブルのことを思い出したルミナーレはどうするのか?
そしてそして、あの人が!
ついに!!
出てきます!!!
お楽しみに!
ここまで読んでいただき、ありがとうございました!次回、ルミナーレ(ラシェル)との絡みが良いあの人がついに登場!!
いやー楽しみですね笑
よければファンレターなどいただけると嬉しいです!
勇者殺しの赤魔女と冷徹無慈悲な青の公爵 第十一話
えっ??
嘘でしょう?
私、
えっ
彼は、アルベルト様は…
アンブルだったということ?!
アンブル・エ・キリル。
ラシェルの初恋の人。
私、これからどうやって彼と会えばいいの━━━━━━?!
「ふっ…」
誰かの吹き出す声?
私は振り向いた。
そこには、先程の白銀の瞳を持つメイドがいた。
「…えっと、…ごき、げんよう…?」
私はよくわからずに言った。
「旦那様が、お呼びでございます。書斎へ、と」
「えっ」
私はメイドに背を向けて顔を隠してうずくまる。
ちょっ、ちょっ、ちょっ、ちょっと待って??
い、今のこの、ね?このね?初恋を思い出した状態でね?
か、彼に会うのはね?ちょ、ッちょっとハードルが高いというかね?
あのね?ちょっとね?
自分でも今、収集がついてないのよ。
だからね?ちょっと、待って?
もうちょっと落ち着いてから…
「ルミナーレ様?」
「はいぃぃぃぃ!!」
私は反射的に立ち上がり、大きな声を出す。
メイドはビクッとなる。
「あの、支度を」
「あ、ええと、わ、分かった。うん、分かったわ。しょ、書斎ね」
突然、ドアが開いた。
「さあ、そうと決まれば支度をいたしますよ!!」
マリーだ。
え、待って。待って。
朝と同じく、そのじりじり近づいてくるのやめてくれる?
こ、怖いのよ。
え、え、え、ちょ、ちょっと待って!
なんでそんなギラギラした目をしているの?!
ちょ、ちょつと、え、待っ
いやあああああ━━━━━━━!!?
「…ふっ」
---
朝と同じく、飾られ━━━━━━━━飾ってもらい。
私は、どっと疲れ━━━━━━━━━━じゃなくて、心臓バックバクで書斎に向かった。
傍らにはあのメイドがいた。
メイドがコンコンと、扉を叩いた。
「旦那様、ルミナーレ様をお連れいたしました」
「ああ、入っていいぞ」
メイドはゆっくりと扉を開けた。
朝と、同じ流れだ。
今回、違ったのはメイドも書斎に入ったことだった。
2人きりじゃないんだ、と…少しモヤっとしたのは内緒にしておく。
「…ッルミナーレ!」
アルベルト様は、パッと顔をほころばせた。
ドキュ━━━━━━━━━ン
…………………………かわいい。
「ぶっは、ははははははは!!」
突然、背後から笑い声が聞こえた。
私は、|理由《わけ》がわからず固まる。
「んっ、お前何変な格好してるんだ」
アルベルト様は言った。
えっと…知り合いかしら?
「はあ━━━━━━━━本当、最っ高だね。君たち」
メイドは低い声で言った。
あら…?なんか、違和感…?
「…君もそんなかんじだったっけ?ね、ルミナーレ」
メイドはゆっくり私に近づいてくる。
そして、私の耳にささやく。
「ラシェル、僕のこと忘れちゃった?…この大魔法使い様のこと」
私は後ろに引っ張られる。
「おい、近づきすぎだ」
アルベルト様だった。
ラシェル。
私のことを知っている?
大魔法使い。
大、魔法使い…?
大、魔法、使い…?
「あああああああ━━━━━━━━━━!?オスカル・シュディエンダー!!!」
*オスカル・シュディエンダー…、__ダー…、ダー…__*
私は叫んだ。
それが、反響していた。
第十一話、どうしでしたか?
ついに来ました!
オスカル!!いやー…来ました笑
ついに笑
この物語を引っ掻き回すと言ってもいいキャラです笑
私は、キャラと喋り方が大好きです笑
次回からラシェルとオスカルの出合い編(追憶)も始まります!
ルミナーレとアルベルト(ラシェルとアンブル)の絡みも良いんですけど、ラシェルとオスカルの絡みも良いんですよね…!笑
次回、第十二話読んだらわかると思います笑
自分で書いてるんですけど、ここの掛け合いがやっぱ好きですね笑
ここまで読んでいただきありがとうございました!よければファンレターなどいただけると嬉しいです!
勇者殺しの赤魔女と冷徹無慈悲な青の公爵 第十二話
私は、指をさして叫んだ状態で固まっていた。
アルベルト様は、驚いた状態で固まっていた。
叫ばれた当の本人は、今にも吹き出しそうだった。
「ぶっ、あはははははははは!!」
ついに笑い出した。
それを合図に、止まっていた時間が動き出すようにアルベルト様は言った。
「ルミナーレ、彼の前世を知っているのか?」
私も、はぁっ!!っと我にかえる。
「え、えっと…ですね…、あのー、そのー…」
するとオスカルは私の肩を組んだ。
「前世、というものはとてもプライベートなものだ。僕を知っている、ということは彼女にも前世がある可能性が高いだろう。でも、前世を深追いするのは良くないよ。今、僕たちは新しい生を受けてここにいるんだ」
「は、な、れ、ろ!!!」
アルベルト様は私をオスカルから|引っ剥がす《ひっぺがす》。
「…もう、僕は彼女と話がしたいんだ。やましいことはないよ、だって僕は**あのときの君たちを知っている**のだから。でも君に前世の記憶がない以上、彼女の前世に関わるのはプライベートな領域にズカズカ入り込むようなものだよ」
「…」
アルベルト様は、不服そうな顔をしたが一つため息をついて、書斎のドアに近づいていった。
「お前、ルミナーレになにかしたらただじゃおかないからな」
オスカルを指さしながら、眉根をよせて言った。
「はあ━━━━━━━、彼はあんな性格だったっけ…?」
オスカルはため息をつく。
「あの、オスカル先生」
私は先生を指さす。
「スカートが、めくれ上がっています」
「え、」
先生はゆっくりと下を向く。
「…………………………あいつ、やりやがったな」
久しぶりに見た。
先生の張り付いた笑顔が崩れる瞬間。
「本当に、オスカル先生なんですね」
「チッチッチ、今の僕はもうオスカル・シュディエンダーじゃないよ。僕の名はオリバー・セル・シリア。君と同じく、前世の記憶を持って今世を生きている」
***追憶 〜師匠と弟子①〜***
*私がオスカル先生と出会ったのは、アンブルが去ってからしばらくたったときだった。*
*私が、森の動物たちと|戯《たわむ》れながら木の実を集めていたとき。*
*『はあ━━━━━━━ん、…………………かわいい━━━━━』*
* 私が動物たちにデレているときだった。*
* 『あれぇ?こっちかな?……あっ、君がエレスペネ大森林の魔女さんかな?』*
*………………………誰。*
*『あ、僕はオスカル・シュディエンダーだよ〜よろしくね〜』*
*オスカル・シュディエンダー。*
*『…っ、まさか。"|全色《ぜんしょく》の魔法使い"?!』*
*『違う違う、"|全色《ぜんしょく》の「大」魔法使い"』*
*……………。*
*私は眉間にシワをよせる。*
*『………そこ、大事ですか?』*
*『大事、大事!ね、君ラシェル・ラ・プリムでしょ?アンブルから聞いてる』*
*『…っ!アンブル』*
*『…僕、アンブルと親友なんだよねぇ〜』*
*…なっ!*
*こいつが?この胡散臭いやつが?*
*親友ぅ??*
*…………。ないない。*
*『君、なかなかに辛辣だねぇ…。全部聞こえてるよ』*
*私はパッと口をおさえる。*
*『…しばらく人と会ってなかったから心の声が抑えられていない…?!』*
*『ぶっ、あははははははは!!』*
*……………………。*
*私は眉間にシワをよせる。*
*『…で、なんの用ですか』*
*『そう、ねぇ聞いて〜』*
*『え、嫌ですけど』*
*『そう言わずさぁ〜』*
*『え、嫌です』*
*『聞いてよぉ〜』*
*『ちょっとずつ近づいてくるのやめてください』*
*『お願い〜、あ…アンブルの話だからさあ〜』*
*『…っ!』*
*オスカルはニヤッとした笑い方をした。*
*『………………………………やっぱり、好きなんだ』*
*『……………っ!!!』*
*『へ〜、ほぉ〜、ふ〜ん、…………いいねぇ〜恋しちゃってるねぇ〜』*
*『…っや、やめてください…!』*
*『…………………………………………初々しい!!…若い!!』*
*オスカルは手で顔を隠して叫んだ。*
*『…なんですかいきなり』*
*『なんだよもぉ〜、かわいすぎんだろ〜、君たち』*
*オスカルは私の肩を組んでくる。*
*『ていうか、本当に聞いて〜』*
*『え、だから嫌ですって』*
*私の言葉を無視して、オスカルは話し始める。*
*『僕さぁ、アンブルの家に居候させてもらってるんだけどさぁ…』*
*………………………………。*
*『アンブルの家の高そうな|壺《つぼ》壊しちゃってぇ〜』*
*『……最低ですね』*
*『家追い出されちゃったのぉ〜』*
*『……自業自得ですね』*
*『だからさぁ〜、君の家に住まわせてくれない〜?』*
*『……最っっ悪ですね』*
*『…………』*
*『…………』*
*オスカルが黙り込んだので、私も黙り込む。*
*『君、さっきからひどくない?!』*
*『いえ、正しい反応だと思います』*
*『地味にグサグサきて、痛い!!』*
*オスカルは私にしがみついてきた。*
*『ねえ、頼むよぉ〜』*
*『やめてください』*
*『お願い〜』*
*『嫌です』*
*『本当にっ!』*
*『だめです』*
*『頼むよぉ〜』*
*『セクハラです、離れてください』*
*『この通りっ』*
*『土下座までするんですか』*
第十二話、どうでしたか?
いやー…、今回ラシェルとオスカルの絡み多めでしたね。長かったですね笑
いつもの二倍くらいあります笑
ここの絡みはキリがないので…ちょうど良いとこで終わらせようとしたらこうなりました笑
ただ、恐ろしいことに「追憶 〜師匠と弟子〜」編まだ続きあります笑
次回、②です笑
お楽しみに!
ここまで読んでいただきありがとうございました!次回、衝撃な事実発覚からの追憶です笑
こう見ると追憶、多いですね笑
よければファンレターなどいただけると嬉しいです!
勇者殺しの赤魔女と冷徹無慈悲な青の公爵 第十三話
追憶 〜師匠と弟子①〜(第十二話)の続きです!
***追憶 〜師匠と弟子②〜***
*『ねぇ、ラシェル〜、今日の夕飯なに〜?』*
*『……………チッ』*
*『今、舌打ちした?!』*
*『…してませんよ』*
*『絶対したってぇ〜』*
*オスカルは私の家に居候することになった。*
*その経緯は……………思い出したくもないので省く。*
*こんなのが"|全色《ぜんしょく》の大魔法使い"だなんて…*
*世界は崩壊ね…*
*ここで一つ説明しておこう。*
*"全色の大魔法使い"とは。*
*悔しいが、あのぐうたらなヘタレのことをさす。*
*"全色"。*
*全ての色をもつ魔法使い。*
*魔法には色がついている。*
*例えば、私の赤魔法。*
*この世界には、全部で12色の魔法(12属性)が存在する。*
*|赤魔法《あかまほう》。*
*|橙魔法《ゆずまほう》。*
*|黄魔法《こうまほう》。*
*|黄緑魔法《おうりょくまほう》。*
*|緑魔法《みどりまほう》。*
*|水魔法《みずまほう》。*
*|青魔法《あおまほう》。*
*|紫魔法《むらさきまほう》。*
*|桃魔法《ももまほう》。*
*|薄桃魔法 / 一般魔法《はくとうまほう いっぱんまほう》。*
*|茶魔法《ちゃまほう》。*
*|黒魔法《くろまほう》。*
*つまり、オスカル先生はこれらを全て使えるということ。*
*まあ、すごいんだろうけど。*
*あれだからなぁ…。*
*私は、ソファの上で足を伸ばしてくつろいでいる先生を冷ややかに見る。*
*……ぐうたらなヘタレめ。*
*『ラシェル〜、出てるよ〜口に』*
*『おっと、本音が漏れてしまった』*
*『辛辣!!』*
*こんなヘタレだが、魔法の威力はピカイチ。*
*こんな、ヘタレだが…*
*こんな、ヘタレだが…*
*私は、ヘタレ先━━━━━━━━ぐうたら先━━━━オスカル先生に魔法を教わっている。*
*まあ、そのおかげで、私はあの戦争で赤魔法をぶちかませたんだけれど。*
---
「…………………」
私の眉間にシワがよっていく。
そういえば、あんなこともあったなぁ!!
「あ、戻ってきた?思い出から」
「…………………」
…あいかわらずだな、このヘタレは。
「…出てるよ、ルミナーレ。今世でも」
「……おっと」
私は口を手でおさえる。
先生は、苦笑した。
「君もあいかわらずだね」
「…あの、先生」
「ん?なんだい?」
「……もう一回今世の名前教えてもらってもいいですか」
「…………」
一瞬、時が止まった。
「…覚えてよ!!」
先生は叫ぶ。
「…いやー、ちょっと。追憶も入っちゃったので読者の方も忘れてるんじゃないかな〜と」
「…なに言ってるの」
「…いえ!なんでもないです!!」
「…オリバー・セル・シリア!!」
…よし、メモメモ。
「オリバー先生は、」
「先生って…僕はもう先生じゃないけど…?」
「…………………そこ、気にします…??」
「え、うん。僕細かいところに気づくからさ〜」
「…………………鬱陶しい」
「ああーっとぉ、また出てるよ〜」
「…………………おっと」
まあ、本音ですけど。
「おやぁ…?また出てるぞぉ??」
「もういいや」
「いや良くないからぁ」
先生の言葉をさらっと無視しつつ、私は続ける。
「オリバー先生は、どうしてここに?」
「どうして?………今世でも僕はアルベルトの親友なんだ」
「はっ??」
はあああ━━━━━━━━━━━━━━?!
今世でもぉ━━━━━━━━━━━━━?!
第十三話、どうでしたか?
これにて「追憶 〜師匠と弟子〜」編、終わりました!
いやー、前世でも今世でもこの2人の絡みは多いです。
次回、第十四話ですが現実の2人の絡みが少しあってからのまたまた追憶編に入ります笑
本当に多いですね笑
追憶が笑
ですがこの追憶、結構重要なんですよね。
今世につながる部分が多めなので、欠かせないです笑
お楽しみに!
ここまで読んでいただきありがとうございました!もう第十三話まで来ました!意外とあっという間ですね。
よければファンレターなど送っていただけると嬉しいです!
勇者殺しの赤魔女と冷徹無慈悲な青の公爵 第十四話
「いやぁ〜すごいよね〜、前世でのつながりってやつは」
「え、え、え、え、お、え、え、え、いっ、いつからですか?!」
「ええ〜??…えーっとねぇ、10歳ぐらいかなぁ?」
「そんな前から!?」
「そ〜、前世でも10歳ぐらいからの仲だったからさぁ…」
私は固まった。そんな私を気にもとめずにオリバー先生は続ける。
「ほんと、すごいよねぇ〜前世の引力?ってやつ?」
な、な、な、な、な、な!!!
べ、別に…いや、別に…そんな…
私より前世からの引力が強いからって、嫉妬とかしたりしてないから!!!!!
先生は今のアルベルト様とも親友で前世と同じく居候をしていて、私を驚かせるためにメイドに変装していたらしい。
………………本当になんなのこの人。暇なの??
「ていうか、僕〜生まれたときから前世の記憶持ってたんだよね〜」
………………はっ????
私はまたも固まる。
「いや〜すごいよね〜、さすが大魔法使い様ってかんじ??」
うわ。
「うわ、とか言わないの!」
「あ、また出てましたか?」
「無自覚って怖いよねぇ…ていうか君、すごいことやらかしたよね前世で」
「え、あ、あの、あれは、勇者殺しは…その、えっと」
「ああ、分かってる分かってる。僕も驚いたけど、君のことだから何か理由があったんだろう?僕が言っているのはそれじゃなくて"青の呪い"のことだよ」
……………………………"青の呪い"???
「いやぁ、まあ、君のことだからこれにも理由があったんだろうけどさぁ〜」
え、なんのことを言っているの??
「いくらなんでも、普通好きな人のこと呪うかぁ〜?」
「オ、オリバー先生…何、を」
「え?だって君、前世でアンブルに呪いをかけただろう?」
***追憶 〜あなたを守るため青の呪い①〜***
*私は、あの戦争からエレスペネ大森林にて静かに暮らしていた。*
*そんな"鮮血の赤魔女"として畏怖された私のもとに客人が訪れた。*
*「久しぶりだね、ラシェル」*
*アンブル・エ・キリル。私の初恋の人。*
*「…………アンブルっ!………………なぜ、…ここに……?」*
*「ああ、君に会いたくなって」*
*その一言でどれだけ救われたか。*
*私は、誰にも感謝されることなく━━━━ましてや畏怖さえされて、ここに戻ってきた。*
*「君は今、国中で畏怖される存在となっている。……………本当はそんなことないのにな。本当は、我々の国を守ってくれたことに感謝をするべきなのに……」*
*「えっ、いや、そんな…あそこまで魔力を解放した私にも非が…」*
*「いや、君が謝る必要はない。君が我々を救おうとしてくれたことは、あの戦場に立つことになった時点でわかっているから」*
*彼は、どこまでも優しい。*
*彼といたい。*
*でも、*
*私が彼といたら、*
***彼に迷惑がかかるかもしれない。***
*嬉しくも苦しい、そんな時間を彼と過ごしていた。*
第十四話、どうでしたか?
ついに来ましたねー!
"青の呪い"!!
追憶のタイトルからなんとなく想像がつくかもしれませんが、ラシェルはどうしてアンブルに呪いをかけたのか………?
お楽しみに!!
ここまで読んでいただきありがとうございました!次回、不穏な影が…………
よければファンレターなど送っていただけると嬉しいです!!
勇者殺しの赤魔女と冷徹無慈悲な青の公爵 第十五話
追憶 〜あなたを守るための青の呪い①〜(第十四話)の続きです!
***追憶 〜あなたを守るための青の呪い②〜***
*それからしばらく彼は私の家に通い続けた。*
*彼とアップルパイを食べた。*
*彼とエレスペネ大森林を散歩した。*
*彼と動物たちと|戯《たわむ》れた。*
*彼に私の魔法を披露した。*
*とても、幸せな時間だった。*
*『明日、また来るよ。それじゃあ、また』*
*しかし、彼はそれから一週間。*
***私の家を訪れることはなかった。***
*彼に何かあった?*
*命の危険か。*
*私に会いたくなくなった、か。*
*…ええ、そうよね。私は"鮮血の赤魔女"、だもの。*
*会いたくなくなっていなかったとしても、周りが止めないわけがない。*
*もう、彼に会えない?*
*でも、もし本当に彼に何かあったら。*
*私は、そうでない事実を突きつけられるのが、*
*私は、もう必要ないと突きつけられるのが、*
***怖い。***
*でも、ここで動かなくて彼を救えたはずなのに救えなかったら?*
*彼を失ったら?*
***私は一生後悔する。***
*そう思った矢先、客人が訪れた。*
*『やあ、久しぶり』*
*アンブルだった。*
*よかった。*
*命の危険、ではなかった。*
*『…アンブル、心配したのよ』*
*『ああ、すまない』*
*いつものアンブルの優しい笑い方ではなかった。*
*…なんというか、喉に小骨が引っかかるような違和感。*
*ほんの少しだけ、魔力の香りがした。*
*魔法を使う者たちは魔力の波動のようなものを感じる。*
*私たちはそれを「魔力の香り」と言っている。*
*正確には、においではないのだけれど。*
*自分の魔力の香りも感じることができるし、他者の魔力の香りも感じることができる。*
*彼には、前から魔力の香りを感じていた。*
*理由は、分かっている。*
*魔力によって施されたものだったり、作られたものには、絶対に魔力の香りが残る。*
*私は前、彼を救うために赤魔法、すなわち裁縫魔法を使った。*
*彼の傷を縫ったときの魔力が残っている、ということだ。*
*そして、魔力の香りには色がついている。*
*魔法に色がついているのと同じように。*
*例えば、赤魔法を使えば、赤色の魔力の香りがつく。*
*そう、今まで彼には赤色の━━━すなわち、私の魔力の香りがついていた。*
***しかし、今はそれに桃色の魔力の香りが絡みついていた。***
*桃色の魔力の香り。それは桃魔法。*
*これを使う者は"桃魔女"と呼ばれる。*
*桃魔法は、別名"魅了魔法"。*
*"魅了魔法"とは。*
*その名の通り、かけた相手を魅了させる魔法。*
*いわば、魔法というより"呪い"の類に等しい。*
*相手の心を自分に縛り付ける。*
*心をコントロールする。*
*偽りの愛を植え付けさせる。*
*言い方はいろいろある。*
*でも、完全な"呪い"ではないから厄介なのだ。*
*"呪い"は、この国では昔から禁止されている。*
*桃魔法すなわち"魅了魔法"は呪いのようで呪いではない。*
*一応、魔法の分類にあたる。*
*だから、"呪い"として禁止できない。*
*かけた魔法を上書き━━━━━━━つまりその魔法の効果をなくすには。*
*さらに強い魔法をかければ良い。*
***毒をもって毒を制す***
*今回、厄介なのは桃魔法を使われたこと。*
*"呪い"と魔法の狭間にあるからこそややこしい。*
*確実に彼を助けるには、"呪い"をかけるしかない。*
*"呪い"と魔法のパワーバランスは"呪い"のほうが上。*
*** 確実に助けるには、あいまいなものではなく確たる"呪い"をかけるしかない。***
第十五話、どうでしたか?
追憶 〜あなたを守るための青の呪い〜編、次回で終わります!たぶん。
(第十六話は、まだ書き終わってないので。たぶん。)
アンブルに迫る怪しい影……
そして、桃魔法に桃魔女……
いやー来ました、桃魔女!
これから、どうなっていくのか?
お楽しみに!
ここまで読んでいただきありがとうございました!なんだかんだ言って、もう第十五話です!でも、まだまだこれからなんですよね……。たぶん、この追憶が終わったあたりから現実編が多めになる気がします!
よければファンレターなど送っていただけると嬉しいです!
勇者殺しの赤魔女と冷徹無慈悲な青の公爵 第十六話
追憶 〜あなたを守るための青の呪い②〜(第十五話)の続きです!
***追憶 〜あなたを守るための青の呪い③〜***
*私は、アンブルを見送った。*
*表面上は。*
*私は、こっそりと彼のあとをつけていた。*
*私のローブは私の血の糸で作った。"幻影魔法"付きだ。*
*アンブル・エ・キリル。*
*とても有名な公爵、だと調べた。*
*輝かしい経歴をもち、国王にも信頼されている人物。*
---
*……間近で見ると大きな屋敷ね…。*
*そのまま、彼のあとを追う。*
*彼は、屋敷の奥の部屋に入っていった。*
*私は、彼が扉を開けた一瞬の隙をついて部屋に入った。*
*さすがに、私は壁をすり抜ける魔法は持ち合わせていない。*
*彼の執務室だろうか?*
*しかし、彼はその部屋の一角の壁に手をあてる。*
*そして、何かをつぶやいた。*
*そこまでは聞き取れなかったが、隠し扉だ。*
*隠し扉の先。*
*きつい香水の香りがただよっていた。*
*『はあぁぁ…おっそい』*
*その部屋には桃色を基調とした女性がいた。*
*ふんわりとした桃色の髪は、少し目が痛かった。*
*細身の体。*
*|艶《なまめ》かしい、唇。*
*妖艶な、笑み。*
*『ねぇ、アンブル』*
*その女性はアンブルの首に腕をまわした。*
*『ヒュッ……』*
*私は息を飲む。*
***彼女は、私を見ていた。***
*気づいているのだ。*
*それでもなお、続ける。*
*見せ、つけている。*
*めまいがした。*
*アンブルの眼には光がなかった。*
*『あーらら、かわいそぉ』*
*突然、頭の中に蜂蜜のような声が響いてきた。*
*『大事な大事な彼を、私に盗られて』*
*やめて。*
***『惨めで』***
*やめて。*
***『無様で』***
*やめて。*
***『愚か?…ふふっ』***
*聞きたくない。*
*** 『でも、あなたは何もしなかったわよね?彼から手を引いた。怖かったのよねぇ?"鮮血の赤魔女"と呼ばれる自分が彼の隣に立ってもいいのか。違うかしら?』***
*彼女の言葉が、ねっとりと全身に絡みつく。*
*私は、*
*怖かった?*
*何もしなかった。*
*怖かったから?*
*彼から手を引いた。*
*彼の隣に立ってもいいのか、*
*でもそれは、私のためじゃない。*
*彼のためだ。*
*彼の立場を考えた、彼が何よりも大切だったから。*
*私が身を引いた結果、彼に訪れた未来が。*
*この、光のない眼で、彼女の人形にされることだというのなら━━━━。*
*私の選択は、間違っていた。*
*私は彼の隣には立つことには躊躇した。*
*でも、*
*だけど、*
***彼女の操り人形にされることだけは、何が何でも許さない…!!***
第十六話、どうでしたか?
本格的に桃魔女が登場した回でした。
こうやって書いて、読み返してみるとなかなかにきついことを言っていますね。
桃魔法は"魅了魔法"ということで、精神に影響をあたえる魔法なので、精神攻撃をちょっと意識しました!
さてさて、ついにパソコンで書き溜めていたものを全てこっちに移してしまった…!!
最近は1日1話くらいのペースでの投稿でしたが、もしかしたら今後は時間がかかってしまうかもしれません…!
頑張ります…!笑
ここまで読んでいただきありがとうございました!次回も、追憶が続きます!(③で終わらせるって前回言ってましたが…笑)
ぜひよければファンレターなど送っていただけると嬉しいです!
勇者殺しの赤魔女と冷徹無慈悲な青の公爵 第十七話
***追憶 〜あなたを守るための青の呪い④〜***
*私は、フードをバッと脱いだ。*
*『何者だ!!』*
* 『………アンブル。あなたは、操られているのよ…』*
*『何を、…』*
*そう言って、アンブルは私に剣先を向けた。*
*ああ、もう。彼は、彼女の手の中。*
*私は、手を前に伸ばす。*
*━━━━━針を持て 糸を|廻《まわ》せ*
* 縫いつけろ 縛り付けろ*
*私の足元から赤い光が溢れ出した。*
*背後で、「侵入者だ!」などという言葉を聞いた気がしたが私は構わず続ける。*
*『━━━━この血にかけて、お前を呪う。』*
*私は、彼を守るため。*
*彼の感情の蓋を縫い付けた。*
*彼女に精神を操られているのなら、そもそもその精神に蓋を閉めて、開かないようにしてしまえばいい。*
***だから、これは、あなたを守るための呪い。***
*そして、この呪いは|後《のち》に"鮮血の赤魔女"討伐の決定的な原因になるのだけれど。*
---
「ああああ━━━━━━━━━!!!」
う、え、うそ。
「思い出したあああああ!!!!!」
「あ、思い出した?てか、忘れてたんだね」
そうだ、私。アンブルに呪いをかけた!!!
「ならさ、早く解いてあげてよ。アンブルの時代から今のアルベルトになるまで、ざっと見て100年…?ぐらいあるから。その間、彼の一族はずっとその呪いによって"冷徹無慈悲"と言われていたんだよ」
…………………………………。
………………………………。
…………………えへへ。
「……………さては、呪いの解き方、忘れたな?呪いのこと自体忘れてたし」
「……………………うぇへへ」
「…うん。うぇへへ、じゃないから。さっさと呪いといてあげてよ」
…………いやー、でもー、ちょっと、あのー、解き方忘れちゃったしー。
解いてあげたい気持ちはー、やまやまなんだけどー、ちょっとー。
あのー、どうしたらいいかー、わからないと言うかー…
「……………ルミナーレ。じゃあ、明日から呪いの解呪方法探しね」
オリバー先生は、私の頭をガッと掴んで、逃がすまいと言った。
「………はい」
先生からの無言の圧を感じながら、私は弱々しく答えた。
**「おい、オリバー…。お前、なぜルミナーレの頭を掴んでいる??」**
アルベルト様が扉の隙間から禍々しいオーラを放っていた。
あ、先生。死んだな。
唐突に、私は悟った。
オリバー先生は、アルベルト様に腕を掴まれている。
「ちょ、助けてッ!ルミナーレッ!!お願い!助けてぇぇぇ!!!」
「ルミナーレ、少しというか。部屋に戻っていてくれないか。マリーが待っているはずだから」
「……えっと、はい…」
アルベルト様はにこっと笑って私を部屋から出し、扉を閉めた。
「やだあああああああ!!!!助けてえええええ__ ええ!!!!__」
先生の断末魔が聞こえた気がしたが、気のせいにしておこう。
さようなら、先生。
………頑張ってください。
第十七話、どうでしたか?
さあ、追憶 〜あなたを守るための青の呪い〜編、終わりました!
最後、オリバー先生…アルベルトにどんな目にあわされたのか…笑
その日、ルミナーレが書斎をあとにしたのち、オリバー先生の姿を見た人はいなかったそうな…
さあ、次回から呪いの解呪法探しが始まります!どうなっていくのでしょうかね笑
ここまで読んでいただきありがとうございました!よければファンレターなど送っていただけると嬉しいです!
勇者殺しの赤魔女と冷徹無慈悲な青の公爵 第十八話
鳥のさえずりが聞こえる。
「さあ!ルミナーレお嬢様、朝ですよ!!」
マリーはカーテンをバッと開けた。
「ゔゔゔぅゔ〜〜〜〜。まだ眠い〜〜〜〜」
「何を言っているのですか!本日からオリバー様とのご予定があるじゃないですか!!」
マリーは私の布団を剥いだ。
「いやぁぁぁぁあ〜〜………」
*オリバー様とのご予定…オリバー様とのご予定…オリバー様とのご予定…??*
「はっ!!!」
私はバッと起き上がる。
「そうだった!!!」
マリーは呆れて私を見る。
「オリバー先生と、解呪法探しするんだった!!!!!」
*するんだったぁ…するんだったぁ…__するんだったぁ__*
いつものごとく、私の声は反響していた。
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「…オリバー先生…、すみません」
私は、先生の部屋の前で深々と頭を下げた。
「…ね、寝坊してし、」
顔を上げて、はたと気づく。
「ふわあぁぁぁぁぁ…おはよ〜ルミナーレ〜」
……………………………………ん?
……………………………………………んん?
………………………ちょっと待って??
私の頭の中は。
まるで宇宙。
広く美しい。
広大な宇宙。イェイ。
「はっ!!!!」
いけない、いけない。
なんか、どこぞのラップみたいになってしまったわ…
「…先生、今起きたばっかりですよね?」
** ギギギギギギギギギ**
先生は、露骨に私の目を逸らした。
「…………えへへ」
「先生??どこ見てるんですか??」
「……いや〜、その〜、あはは…。…ってか!ルミナーレもでしょ!寝坊は!!」
**ギ、ギクッ!!**
「へ、いや、その。あの、えーっと」
「ル、ルミナーレも人のこと言えないじゃん!」
「は、はあ?先生こそ、い、今起きたばっかりですよね?私の方が先生より、は、早く起きましたから…!」
「な、そ、それとこれとは話が違うでしょ…!」
少し離れたところで私たちのくだらない言い合いを呆れた表情で見るマリーがいた…。
「…朝っぱらからくだらない」
マリーの静かなつぶやきは2人の耳には入っていなかった…。
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「はあ━━━━━━━━、もう朝から疲れたああ…」
「先生のせいですよ」
「はあ?ルミナーレだって人のこと言えなかったでしょうが!」
「それを言うなら先生も人のこと言えないですよーだ!」
「「……………」」
「「朝から何してるんだろう僕 / 私 たち」」
一瞬で2人して虚無におちいる。
「………とりあえず、探しますか。解呪法」
「…そうだね」
2人は、山ほどある書物をひっくり返していった。
第十八話、どうでしたか?
今回は、あとがき短めに!
なんか、ルミナーレとオリバーの絡みは書きやすいのなぜ??という素朴な疑問。
第二回「いおのラジオ」のゲストに決まったルミナーレ!たくさんの質問待ってます!
ここから↓
https://tanpen.net/novel/dfecbb7e-5df1-47bc-8519-0cf1be9b01e4/
お、いつもよりだいぶ短いんじゃない?!
ここまで読んでいただきありがとうございました!次回も楽しみに!
よければファンレターなど送っていただけると嬉しいです!