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勇者殺しの赤魔女と冷徹無慈悲な青の公爵 第五話
追憶 〜勇者と赤魔女②〜(第二話)の続きです!
***追憶 〜勇者と赤魔女③〜***
*それからまた、5年が経った。*
*大森林の静寂だけが、私の傷ついた心を包み込んでいた。*
*けれど、運命の歯車はとまってはくれなかった。*
*━━━━━━国歴134年 |八の月《やのつき》*
*ことは突然起こった。*
*私の結界は破られていた。*
*大森林は燃えていた。*
*そして━━━━━━ノアが"勇者"として帰ってきた。*
*私を討伐することを目的に。*
*大森林を焼き尽くす炎の中、私はノアと対峙していた。*
*ノアの目には世界を滅ぼす魔女を絶対に仕留めるという、冷酷な光だけがあった。*
*ノアが剣を振りかぶった。*
*とっさに出現させた針でその攻撃を受ける。*
*また、剣が襲ってきた。*
*苦しかった。我が子にこの魔法を使うときが来るなんて。*
* ━━━━赤き血を持って ことわりを覆せ*
* 絡みつく糸は 抗う者を縛り付ける*
*血の糸がノアに向かっていく。*
*ノアはそれをひらりとかわした。*
*よかった、当たらなかった。*
*少しだけ安堵した。それだけ、この魔法を我が子に撃つのが嫌だった。*
*また剣が襲ってくる。*
*今度は血の糸でそれを受けた。*
*私の血は針のような強力な硬さに変えることもできる。*
*剣を弾いたはずみでノアの頬に赤い線がはしった。そこから、一滴血が落ちた。*
*ノアはすぐにその血を拭った。*
*私は我が子に傷をつけたの…?*
*私はもはや正気ではなかった。*
*魔力暴走が起きていた。*
*大量の涙を流しながら、大量の針を出現させた。*
*それは、私の意思に背いてまっすぐノアに向かっていった。*
*ノアはそれを全てかわしていた。*
*私の目にはもはや何も映っていなかった。*
*『……………お母さん』*
*ノアが呟いた。*
*真っ赤な魔力の嵐から、一瞬であの日の、雪の夜の記憶が思い起こされる。*
*私は現実に戻された。*
*『………………………ごめんなさい。………さようなら』*
*膝をつく私にノアは剣を向けた。*
*そのときの表情は━━━━━苦しさに悶え、歪んでいた。*
*ノア…?あなたは…私を……*
*胸に激痛がはしった。*
*ああ、まさか…我が子に殺される日がくるなんて。*
*私を有に超える力をノアはつけていた━━━*
*ああ、意識が朦朧としてきた。*
*力はあったほうがいいに決まっている、と誰もが言う。でも、私は力というものは持ちすぎると迫害や差別につながると思っている。*
*実際、私がそうだったから。*
*この子は、私を倒したことによって━━━━*
*私と同じ思いをするかもしれない。*
*あの優しいノアだから私を殺したことをこの先ずっと悔やむかもしれない。その苦しみは想像するだけで、痛い。*
*それならば━━━━━━━*
*『………………ノ、ア。…………ごめんなさい』*
*ノアは私の胸から剣を抜けない。だから、…。*
*私は無詠唱で魔法の糸を紡ぎ出した。*
*確実に捉えるために。糸と、…針を。*
*ノアを。*
*━━━━━貫け*
*ノアを、貫いた。*
*『…これで…あなたを、…守れ、た…』*
どうでしたか?
これにて追憶 〜勇者と赤魔女〜編、終わりました。これから先は、現実編に戻ります。
今後も追憶編はたびたびあるので…
お楽しみに!
よければ、感想・ファンレターお待ちしております。ここまで読んでいただきありがとうございました!