公開中
勇者殺しの赤魔女と冷徹無慈悲な青の公爵 第二話
***ある歴史学者の手記 〜鮮血の赤魔女〜***
* これより記すは全て事実のことにあり。全て私が実際に見たものである。*
* 〈国歴134年 |八の月《やのつき》 |十の日《とおのひ》〉*
* "鮮血の赤魔女"の討伐に我が国アストラネオスの勇者様が向かわれた。** 私は戦場には出ないが、この大規模討伐を国の歴史に残すよう王命があるため同行している。*
* しかし、"鮮血の赤魔女"の赤魔法はとんでもない威力を持っているらしい。*
* なんと末恐ろしいものか。** 今や討伐対象になっているが、もとは味方だったらしい。*
* "己の血をも使って敵を貫く"。** 文字通り"鮮血の赤魔女"は自らの血を使って攻撃をする。*
* 真っ赤な血の糸で標的を縛り付け、|遍《あまね》く針で貫く。*
* まるで、「裁縫をしているようだ」とその戦場に立っていた兵士は言っていた。*
* 己のものかも標的のものかも分からない血を軍服につけ、戦場に立つ姿から"鮮血の赤魔女"という異名がついたそうな。*
* そんな最強とも|謳《うた》われる赤魔女を討伐できるのか。*
* いや、そんなことを言っていては勇者様に失礼だ。*
* 〈国歴134年 |八の月《やのつき》 |十四の日《じゅうしのひ》〉*
* ついに「魔女の巣窟」に到着した。*
* ━━━━━━━━の勇者様━━━━━順━に━━━━を━━━━━━━━。*
* ━━━━━━━━━━━━が倒れた。*
"青の公爵"に結婚を申し込まれた日の夜。
パサリ、と古い紙をめくる。自室のランプに照らされたそれ。
私は、ご先祖が残したある手記を読んでいた。
「…はあ。文字がかすれているわ。それに、
………………そのあとのページが破られてる」
私の前世"鮮血の赤魔女"について知りたかったのだけれど。
私の前世の記憶はまだ戻っていない。
ただ…この勇者というのは覚えている、気がする。