不定期更新です。その点はご留意を
うさぎに転生してしまった主人公の物語です。
文章など拙い部分はあるかもですが温かい目で見守ってやってください。
略称は「転うさ」です。
第一章と書いてあるということは、第二章があるということ…?
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目次
#001 異世界転生のおやくそく【転生したらうさぎでした。】
なんのことはない、普通の日々のはずだった。
私は|南丘《みなおか》|音恩《ねおん》。
取り立てておかしいことはない毎日を過ごしている高校1年生だ。
そりゃあ進路への不安とかはあるのだけれど、そんなことを考えても仕方がないと割り切って一日一日を過ごしていた。
朝起きたら、母におはようという。
父は今日は早い出勤で、私が起きたときにはすでにいなかった。
今日は少し寝坊してしまったようだ。
少し急ぎ目に行動しよう。
階段を降りて(私の部屋は2階にある。両親と私の3人暮らしだ)、洗面所に向かい、顔を洗う。
何も変わらない。いつも通りの毎日だ。
いろいろな支度を済ませたら、母親が朝ごはんを用意して待っていた。
「いただきます」
今やルーティンとなったその言葉。なぜか今日は嫌によく響いた。
ご飯を食べ終え、食器をキッチンへと運ぶ。
部屋に行き、スクールバッグを持つ。
階段を降りて、母に「いってきます」といって玄関のドアを開ける。
母が私に「いってらっしゃい」と返す。
ごく普通の、当たり前の日常だ。
―–当たり前だと、思っていた。
今になって、寝坊したことが響いてきた。
このままのペースだと、学校に間に合わない。
少し急ぎ足で学校に向かった。
しばらく歩く(人によっては走るというスピードだったかもしれない)と、信号が見えてきた。
色は、赤。
一度止まる事になり、時間をロスしてしまうが、今のところ間に合いそうだし、急ぐ必要はなくなった。
なくなった、はずだった。
気まぐれに、横断歩道を見た。
それが、私の運命を決めた。
横断歩道の白線が、擦れて見えづらくなっている。
そういえばこういうのって塗り直したりしないのかな――と思った矢先、「それ」が目に入った。
目に入ったのは、ウサギ。
この辺りの街は森に面しており、狐や鹿などが出没するのは日常茶飯事である。
ウサギはなかなか見ないが、しかしいることは珍しくはなかった。
だが、そのさきの風景を見て、私は目を見開く。
暴走したトラックが、こちらに向かって爆走してくる。
運転手は居眠りをしており、こちらに気づくとは考えにくい。
それだけなら、私は何もしなかった。
トラックの進行方向上に、私はいなかったからだ。
もちろんある程度は避けるが、まあこういうこともあるよな、という感じの認識だったのだ。
だが、私は気づいてしまった。
そのトラックの進行方向上に、ウサギが居ることに。
ウサギはトラックなど気にも止めずに、のんびりと歩いている。
私は、ウサギを見捨てることはできなかった。
自分のペットでもない。
何かの思い入れがあるわけでもない。
でも、目の前で一つの命が失われようとしているときに、見て見ぬ振りをすることは私にはできなかった。
私は道路に飛び出した。
ウサギを抱え、反対の歩道へと駆ける。
だが、あと一歩間に合わなかった。
私の体は暴走したトラックに撥ね飛ばされ、そこで私の意識は途絶えた。
ただ一つの心残りは、ウサギは無事なのか、ということと、母親との最後の会話が「いってきます」「いってらっしゃい」だったことだ。
まだ、いっぱい言いたいことがあったのに。
やりたいこともあったのに。
あ、ただ一つの心残りとかいってたのに二つあるじゃん――なんてどうでもいいことを考えながら、私の意識は闇に飲まれた。
目が覚めると、私は森の中にいた。
こころなしか、視線が低い気がする。
ここはどこだろう、、、そんなことを考えながら辺りを見回すと、横に私と同じくらいのサイズの大きなウサギがいた。
「うわっ!!」
思わずその場から飛び退く。
そして、辺りに3匹ほどの大きなウサギがいることに気がついた。
しかし、ウサギ達はなぜか幼く見える。
こんなに大きなウサギなのに、なぜだろうか?
すると、大きなウサギが話しかけてきた。
「どうしたの〜?」
「あそぼうよ〜」
意味がわからない。
なぜウサギが日本語を喋れるのだろうか?
思考を巡らせていると、私と、大きなウサギよりも2、3まわりほど大きなウサギが2匹も来た。
その圧倒的な存在感に、思わず固まってしまう。
しかし、私の周りのウサギ達はなんだか喜んでいる。
「おかあさんだ〜」
「おとうさんも〜」
「ごはんたべようよ〜」
おかあさん、、、?おとうさん、、、?
これは、、、もしかして、、、
「ほら、ネオンも食べなさい」
大きなウサギより大きなウサギがそう話しかけてくる。
、、、ネオンは私の名前だ。
そう、私はうさぎに転生してしまったのだ。
こんにちは、沙月です!
「転生したらうさぎでした」第一話、いかがでしたでしょうか?
これからも不定期に更新するのでよろしくお願いします!
#002 この世界について! 【転生したらうさぎでした。】
それから1週間後。
私は、この世界での生活にある程度慣れることができていた。
今把握してる時点でのこの世界の情報を整理しようと思う。
まず、私について。
私の名前が「ネオン」だったことは、偶然だったのか、それともなにかがあったのかは分からない。
わかったのは、私の家族構成。
父親、ソウタ。
母親、セイラ。
兄弟が、姉がフレアとアクア。
間に私、ネオン。
その下に弟のアスカ。
私の新しい家族はこの5人(匹)だ。(私は除く)
この世界の動物は成長が早く、1週間前は「あそぼうよ〜」などと言っていた|姉弟《きょうだい》達も
「お、お母さん帰ってきたよ」
「じゃあご飯の準備するか」
のように、人間で言う小学生くらいには知能が発達するようだ。
また、この世界には「魔物」がいるらしい。
魔物とは、体の構成物質に魔素が含まれていて、人間に敵対的な生物の総称のよう。
漫画とかでよくみる、スライムやゴブリンなんかもいるみたい。
おっと、大事なことの説明を忘れてた。
この世界には「魔素」という物質が存在する。
魔素とは、いろいろな物のエネルギーにあたる。
例えば、魔物は魔素を吸収して生きる。
魔物にとっての魔素とは、人間にとっての空気のように大事なもののようだ。
また、ファンタジーの世界によくある「魔法」や「スキル」もこの世界に存在するらしい。
「スキル」とは、この世の存在に対して何らかの干渉を行う能力の中で、特殊なもののことを言うらしい。
「特殊なもの」と言ったのは、干渉すること全てがスキルに含まれるなら、生きてるだけでそれが「スキル」に認定されるかららしい。
また、魔法はスキルに分類されるそうだ。
この世界のスキルには、「創造」「破壊」「変化」「情報」「精神」「法則」それに「魔導」を加えた7つの|完全能力《パーフェクトスキル》という全てのスキルの頂点に立つスキルがあるらしい。
この中で「法則」は創造神の持つスキルで、「魔導」を除いた5つは「法則」から派生したスキルのようだ。「魔導」は完全能力の中で唯一人間が作り出したものらしい。
また、完全能力以外の能力は全て完全能力の劣化版でしかないようだ。
例えば、武器を創り出すスキルがあれば、それは「創造系」のスキルにあたる。
そして魔法とは、「魔導系」のスキルのこと。
魔法とは、魔素を利用して様々な現象を起こすスキルらしい。
例えば、魔素を燃焼させて炎魔法とか。
だが、所詮は劣化版。
魔法の場合、火、水、風、土の属性が基本となる。
だが、魔法が一段階レベルアップした「魔術」だと、それに雷魔法と氷魔法が追加される。
そして、最大レベルの「魔導」だと、光魔法、闇魔法、聖魔法が使えるようなのだ。
スキルはどのようなときに獲得するのかというと、自らに何らかの進歩が生じたときのよう。
例えば、名刀をたくさん作ってたらスキル「鍛冶」をゲットできるみたいなね。
この世界の生物は、魔物、動物、人、その他と分けることができる。
その他には、天使や悪魔、精霊などが入るよう。
その中でも一番弱いのがこの世界では動物のようだ。
魔物は、体の構成が動物+αの種類が多く、人間は集団で武装する。知能もある。
その他は基本的に戦闘種族だ。
何より、スキルを獲得する機会が圧倒的に少ないのが動物なのだ。
でも、迫害されたりはしていないようなので問題はないかな。
この森は動物達がたくさん暮らしていて、元の世界で言う保護区のような場所なのだそう。
人間に狩られたりすることもないので、いい暮らしができそうだ。
え?なんでうさぎなのに世界のこととかいろいろ知ってるのかって?
それは、この森にはうさぎだけじゃなく様々な動物がいるから。
いろいろな動物から知識を集めたら、世界のことをここまで理解できた!
でも、まだまだ足りないだろうからもっとがんばるぞ!
そしてうさぎライフを満喫するんだ!
説明ばっかりになってしまったので次回は気をつけようと思います。
次回は日常系?みたいな枠をやろうかと
#003 うさぎライフ 【転生したらうさぎでした。】
作者の脳がぶっ壊れたのでネオンのテンションが高いです
1話とか2話とか読み返してあっやべってなったけど時すでに遅し
うさぎというのも、なかなか悪くない暮らしかもしれない。
私達の住む森は、肉食動物はいなく、草食動物しかいない。
なぜなら、この辺りの植物は魔素を豊富に含んでいるからだ。
草食動物はその名の通り植物を食べる。
すると、植物に含まれていた魔素が食べた動物に吸収されることになる。
魔素とは様々なエネルギー源になるため、魔草(面倒だから略す)を食べた動物は普通の動物より強くなるわけだ。
肉食動物はほとんど植物を食べないため、強くなった草食動物には勝てず、減少の一途を辿っていったらしい。
あと、肉食動物は人を襲うことがあるらしく、それで駆除されたりもしたようだ。
おっと、長い説明文はここまでにして、うさぎライフの話に戻ろう。
まず、友達ができた!
やったー!
前世ではまあいたはいたけど、、、そこまで仲良かったわけでもないし、、、
だから本音で語り合える友っていうのはうれしい!
カミナって名前の子なんだけど、ほんとにかわいい猫なんだ。
え?猫は肉食だろって?
まあ、そこまで人に害を与えるわけではないし、爬虫類とか昆虫とかを食べてるっぽいしね。
あとテンションが高いのは、、、仕方がないってことで、、、
一応この世界での年齢としては1歳にも満たないっぽいし。
幼児退行?まあそんな感じ。
あと、かっこいい男の子(仔)もいたよ!
アオイ君って言う犬の子なんだけど、めっちゃイケメンです(主観)
あぁ、でも子犬だから「可愛い」かな?
カミナもアオイ君も私と同い年っぽい。
でも、私よりすごくしっかりしている。
きっと、この世界でもいくら強いとはいえ動物は人間より寿命が短いのだろう。
だから、小さい頃からしっかりとしていなければいけなかったんだ。
そう彼らに思いを馳せながら、私は長老の元へと向かう。
長老。
彼は、およそ100年前から生きている象である。
並の人間より、というか優秀な人間の学者に近いほどの頭脳を持つ、この森一番の長寿者にして知恵者だ。
私がこの世界のこととかを知っていたのも、長老に聞いたから。
彼はずっと、この世界の真理とやらを解き明かそうとしているらしい。
人間は長老の存在を知らない。
長老が、知らせないことを望んだのだ。
それはそうだ。人間の学者クラスの頭脳を持つ象なんて、見世物になるに決まっている。
そして、長老には名前がない。
いや、あったようなのだが、「忘れた」と言っていた。
本当に忘れたのかはわからないが、本人が言おうとしないから聞かないでいる。
「長老〜、来たよ〜」
「おぉ、ネオンか。今日は何を聞きに来たんだ?」
「昨日言ってた魔法を教えて欲しいんだ」
「いいぞ。杖は持ってきたか?」
「持ってきたよ〜」
そう。この世界の魔法には「杖」が必要なのだ。
最高位の「魔導」やそれに近いレベルにまで至った者には必要がないが、通常は杖を使うのである。
それは、使用者の「魔力」を、魔素へと循環させるためだ。
魔力とは、魔素を動かす力。
魔力で魔素を操作し、魔法を放つのだ。
ただし、通常そのまま媒体を使わずに直接操作すると、魔力のロスが大きく、しかも弱い。
そこで、杖を使うのだ。
杖を媒体にして、魔素を操作する。
すると、魔力を魔素になじませることができ、ロスを抑えることができる。
ちなみに、いい杖ほどロスが少なく、バフをつけることもできるが、高い。
私が使ってるのは、下から3番目くらいのランクの杖だ。
まあこれでも、森の中では最上位らしいんだけど、、、
「いいか?炎魔法は照準を合わせることが大事だ。なぜなら、、、、」
長老から何かを学ぶのは、楽しくて、面白い。
まさか、勉強がこんなに楽しかったなんて、、、
今度、カミナとアオイ君も誘ってみようかな。
そうして、私は帰路についた。
前世では考えられないほど、満たされていた。
だが、
幸せな時間は、長くは続かない。
世界は、本当に残酷だった。
裏設定
彼ら彼女らの能力がそれって訳では無いですが、転うさの初期キャラの名前は自然が元になってます
フレアとアクアは炎と水ですね。
アスカは地→アース→アスカ(強引)
カミナは雷です。
ネオンとアオイ君は特に考えてないな、、、
まあネオンって元素あるしセーフ(?)
↑じゃあアオイはなんなんだよ
てかネオン達の住んでる森の名前なににしよう
そして日常系っていったのに全然日常系じゃない
#004 侵略、魔王軍 【転生したらうさぎでした。】
注意:1〜3話と比べてかなりグロい。
前まではのほほんとした日常だったけど、この話からわりと戦闘シーン入ってくるので注意してね
最初に異変に気づいたのは、よく聞こえる私の耳に戦闘音が届いてからだった。
その時、私はカミナと森の奥まで遊びに来ていた。
「ねぇ、カミナ。なんか変な音がしない?」
そう。それはまるで、ナニカとナニカが戦っているような―――
「そう?聞き間違いじゃ―――って、ネオンはウサギだったね」
私がうさぎだから、自分に聞こえない音も聞こえるのだと納得している様子のカミナ。
「方向からするに、どうやらみんなが住んでいる方向からするんだよ。ちょっと心配だから、見に行きたいんだけど、、、」
「OK。じゃあ、急いでいくか」
カミナの許可をもらった私は、うさぎの驚異的な脚力で駆け出す。
最大で時速80kmにも達する、うさぎの|速度《スピード》で。
「ちょ!?ネオン、早いって!!」
後ろからカミナの声が聞こえるが、今は急がなくてはならない。
猫の時速も50kmに達するらしいが、流石に追いつけなかったようだ。
全力で走り、皆の住処に着いた私。
その目に入ったものは―――
虐殺だった。
ヒトガタの魔物。
オークやリザードマン、コボルト、オーガ、、、
そんな魔物共が、動物達の住処を破壊している。
何匹か、血を流して倒れている動物もいる。
「――――!!!」
後からやって来たカミナも絶句している。
そりゃそうだ。
たった数時間前までは普通に生活していた皆が。
今は、物言わぬ肉塊となっているのだから。
激しい怒りに燃える。
だが、私以上に怒っている様子のカミナを見ると、少しは落ち着くことができた。
「フーッ、、、フーッ、、、、」
瞳孔を細くし、毛を逆立ててマジギレするカミナに私は声を掛ける。
「カミナ、落ち着いて。私達が行ってもできることは、、、」
「フーッッ、、、、ハァ、ハァ、、、ありがと、ネオン。少し落ち着いた」
だが、状況は何も変わっていない。
今この瞬間にも、死者は増え続けている。
「とりあえず、生存者を探して、安全なところに隠れなきゃ、、、」
「そうだね、ネオン」
そうして、私達二匹は魔物の視線に入らぬよう、生存者を探した。
「これで、大体生存者は集まったかな?」
「そうだね。でも、ちょっと私確認してくる」
この場には、カミナやフレア、アクア、アスカ、アオイ君を初めとした、元々の4割ほどの人数の動物達が集まっていた。
だが、《《私達の両親であるセイラとソウタは見つかっていない。》》
両親を見つけるため、私は駆け出した。
こうしてみると、皆の住処もかなり破壊されている。
道を徘徊する魔物に気づかれぬよう、私は両親を探した。
死んでいた。
フレア、アクア、アスカ、そして私。
皆の両親にして頼れる兎であった、セイラとソウタは、
物言わぬ死体へと変わっていた。
二人の身体には槍が複数本刺さっていて、血が大量に流れ出していた。
そうか。
《《お前たちが、私の家族を殺したのか》》。
私は、一瞬目の前の光景が頭に入っていかなかった。
そして、入っていってもしばらくそれを現実だと認識できなかった。
暫く経ち、漸く目の前の光景を現実だと認識する。
そして私の身体から沸き起こるのは、激しい怒り。
〈解放条件『激怒』を確認しました。これにより、個体名:ネオンの『創造』が解放されました〉
手に入れたスキル。
これは、7つの|完全能力《パーフェクトスキル》にあたる、この世の頂点のスキル。
だが、そんなことは、怒りで頭が真っ白になっていた私には関係ない。
私は、怒りに突き動かされ、魔物共に対する蹂躙を始めた。
やられたらやりかえす!
テストが終わりました。
学年1位狙っているんですが果たしてどうだか(前回4位)
追記:これ書いているのは6/10。
テスト終わった後に予約投稿しとくね!
#005 赫怒 【転生したらうさぎでした。】
テスト終わったけど成績ヤバい。
誰か、助けてね(^^♪
ちなみに2位です。
1位と4点差ですごく泣きたい。悲しいほうの涙ね。
私は怒りに突き動かされ、魔物共の蹂躙を開始した。
と言っても、まだ魔法はそこまで覚えていない。
長老に教えてもらった初級レベルの魔法ならあるが、そんなものは魔物共には通用しないだろう。
では、どうするか。
私は「創造」の能力を使用し、人間形態へと変化する。
「創造」というのは、ほんとになんでも「創造」できるようで、すぐに私の身体はうさ耳の獣人のような姿へと変化した。
神視点から語るならば、その姿は一般的な常識では「美しい」とされる姿だった。
背の高さは小学校高学年女子ほどの高さで、ところどころ紫がかっている黒髪。
その髪は、人間でいうボブ程度の長さに切り揃えられていた。
そして、頭からは二本のうさぎの耳が生えている。
その耳も黒色で、髪色との統一感がある。
紫と桃色が混ざったキラキラとした瞳。
その姿なら、人間界の多くの者を虜にできるだろう。
だが、そんなことは、今のネオンには関係がなかった。
魔法が使えないなら、物理で。
「創造」を使用し、この世界には存在しない、対人戦最強の武器、銃を生成する。
弾は、この世界で最強クラスの鉱物、|真銀《ミスリル》を使用して。
ミスリルは、ヒヒイロカネやオリハルコンなどの伝説級の鉱物を除けば、最も強力と言っても過言ではない鉱物だ。
銃なんて前世では使ったこともなかったが、本能的に使い方を察知する。
ミスリルの弾丸を装填して、照準を合わせる。
発砲。
大きな音を立てて、弾が命中した豚頭の魔物は断末魔を上げ倒れる。
オーク、という魔物だろうか。
周りの魔物は、突然やられた仲間をみて混乱している。
だが、どこから攻撃が来たのか分かっていないよう。
当然だ。
魔法なら、発動するときの魔素や光で、ある程度術者の位置を把握することができる。
だが、私が使ったのは銃だ。
位置を判断するのは、銃痕から想定される方向と、音のみ。
だが、この魔物たちはそこまで頭が回らなかったらしい。
此方に気づく前に、ネオンは魔物共を一掃することを決意した。
もう一丁銃を「創造」する。
本当ならマシンガンとかを使いたいのだが、反動とかヤバそうだし、居場所とかがバレそうなので拳銃を使用している。
できるだけ居場所がバレないよう、一撃で、頭を狙って葬り去ることができるように撃つ。
今度は、蜥蜴の頭をした魔物が倒れた。
リザードマン、だろうか。
まだ、此方には気づいていない。
弾切れはない。
何故なら、撃つと同時に、「創造」で弾丸を生成するからだ。
そして、戦闘を始めてから早数十秒。
私は、魔物共を全滅させた。
ミスリルのルビこれでいいのか、、、?
更新遅くてごめんなさい(泣)
なのに短いという詐欺のような内容。
本当にごめんなさい。
#006 魔王軍幹部 【転生したらうさぎでした。】
更新が遅い、、、
ごめんなさい。
ウサギ関連してこないのも悲しいので、創造以外にもうさぎの速度(スピード)とか跳躍力とかは残したい
「はぁ、、、はぁ、、、」
魔物共を一掃した私は、恐ろしい疲労感に襲われていた。
どうやら「創造」という力は想像以上に体力を消費するらしい。
(これは安易に使えないか、、、)
そう思っていた時、魔物共が消えてから静かだった森に、知らない声が響いた。
「うーん?オレ様の兵隊がやられてるじゃねえか、、、なんの力も持たねぇ動物共の制圧じゃなかったのか?」
そんな事を言いながら、狼の頭をした大男が歩いてきた。
この口ぶり、、、もしや、、、
「お前が、この魔物共をけしかけたのか?」
私は、狼男(仮)の前に出て、そう聞いた。
「あぁ?お前がオレ様の兵隊を殺したのか?お前は兎の獣人、、、?ろくな武器も持たねぇたかが獣人程度にオレ様の兵隊がやられるとは思えねぇな」
兎の獣人、、、?
ああ、今は人間形態に変化しているからか。
まさか、私の正体がうさぎだとは思わない、、、のか?
その辺は長老から聞いていないからわからない。
もしかしたら、動物が獣人に進化することがあるのかも知れない。
でも、それは今はいい。
「ああ、お前の兵隊とやらを倒したのは私だ」
「、、、本当か?でも周りに強そうなヤツは見えねぇな、、、本当にお前が、、、?まぁいい、ならオレ様に見せてみろ」
そう言って、狼男は私に向かって駆け出した。
「オレ様の名は!魔王軍幹部のディーヴァだ!お前を殺す魔物の名だ、覚えとけ!!」
私は肩のあたりから「創造」を使って羽を生やし、宙へと飛び立つ。
「何!?お前、魔物なのか、、、?それにしても、空に逃げるなんて汚ねぇぞ!」
「関係ない。この世は弱肉強食なんだから」
そう言って、私は銃を生成し、ディーヴァに向かって撃つ。
「ぐぁ!なんだ、その武器、、、?てか、お前今何もないところからソレを出したような、、、」
やべ。
これ以上能力を見られるのは不味いかも知れない。
これは容赦はいらない。
「最後に一つだけ確認させてくれ。この森を襲う命令を下したのは、お前か?」
「オレ様じゃねぇ。元々、この森を支配下に置けと魔王様からの命令があった。だから、オレ様の兵隊が襲ったんだ」
「、、、その言い方だと、魔王は『支配下に置け』としか言ってないように聞こえる。『襲う』命令を下したのはお前なのか?」
「あぁ、そうさ。こんな森、支配下においても意味はねぇだろ?なら襲って制圧したほうが、、、ぐぁ!」
駄目だ。抑えられない。
こんなゴミに私たちの村が襲われたなんて、、、
「分かった、お前を殺す」
手に、二丁目の拳銃を生成する。
「ま、待て!お前ほどの強さのヤツ、オレ様が魔王様に推薦してやるから、魔王軍に入らねぇか!?」
は?
何を言っているんだコイツは。
「住み居を襲ったヤツの配下になるわけがないだろ」
「ぐっ、、、なら、死ね!」
そういって、ディーヴァは此方に飛びかかってきた。
でも、私は冷静に拳銃をディーヴァに向け、発砲する。
銃弾は吸い込まれるようにディーヴァに当たった。
「ぐぁ、、、オレ様を殺したら、魔王軍が報復を、、、」
「それは好都合だ。今決めたが、私は魔王を殺す」
「何!?そんなこと、お前程度にできるはずが、、、」
「やるさ。それしか私の道はないんだから」
そういって、私は銃の先をディーヴァの心臓に向ける。
「ま、まっt」
遺言も残させる気はない。
一切の情もなく、私は銃を発砲する。
私は、ディーヴァを殺した。
一生背負い続けないといけない業なのかもしれない。
でも、それが私のやることならば、そのとおり進むだけだ。
私は、魔王を殺すと決意したのだから。
最近投稿頻度高い?これから遅くなるからです。(おい)
夏休みくらい休みたいから、、、
#007 北斗七星 【転生したらうさぎでした。】
今のところ元気です。私の近況。
ネオンがディーヴァを倒した後。
とある大陸のとある城の一室にて、この世界の有数たる強者達が集っていた。
その大陸を、星魔大陸という。
この大陸にはこの世界最強クラスの魔族達が住んでおり、その身体から漏れ出る魔素により、土地は汚染され、禍々しい色になっている。
空気は高濃度の魔素に満ちており、吸った者の身体を汚染する。
生半可な生物がこの大陸に立ち入ったら、たちまちその身体は侵食され、命を失うだろう。
この大陸で「存在」できていることこそが、強者の証なのである。
その大陸に存在する、ひときわ目立つ城。
この城こそ、諸悪の根源、魔王の城。
魔王城である。
その場に集った強者達は、魔王の忠実なる配下。
魔王の直属幹部である「北斗七星」、通称「七星」の面々である。
彼らが集った理由はほかでもない、魔王軍幹部であるディーヴァの訃報を聞いたからである。
「ディーヴァが死んだか、、、奴は幹部の中でも新参者で、いつ死んでもおかしくはないと思っていたが、、、よりにもよって、ただの森の侵略を命じた後に死んだだと、、、?」
「我々と比べれば雑魚とはいえ、奴は仮にも魔王軍幹部。そう簡単に死ぬとは思えん」
「森の侵略を完遂した、との報告も聞いておらぬ。考えうるならば、侵略中に人間の援軍が来たとかかの」
「だが、魔王様はディーヴァには魔物の使役のみを頼み、前線に出ろとは命じていなかったぞ」
「ふん。どうせ、功を急いだのだろう」
「いや、ディーヴァを殺した者が魔物共を一掃し、異変に気づいてディーヴァが出たのかもしれんぞ」
「それにしても、ディーヴァには『|遺言《テスタメント》』のスキルを魔王様が授けていたはず。それなのに連絡が無いとは、これを発動する時間もなく倒されたということ」
「|遺言《テスタメント》」とは、自身の死をトリガーとして指定した人物にメッセージを届ける、情報系のスキルである。
「ふむ。それなら、この森に偵察を入れた方がよいかも知れんの」
「だな。俺が行こうか?」
「あんたは偵察に向いてないだろ。ボクの配下を偵察に向かわせるから大丈夫だよ」
「おいおい、横取りはいけないぜ?」
空気がピリついていく。
「ちょっと皆、今は誰が偵察に行くかを決める時間じゃない。それは早いもの勝ちでいいだろ?」
「俺もそう思うな」
「ディーヴァを簡単に倒したとなると、私達でも殺られる可能性はある。ディーヴァの二の舞にはなるなよ」
「わかってるさ」
そう言って、「七星」の一人が部屋を出ていった。
「やはりこうなるか。強者は総じて自己中心的な傾向がある。そんな者たちで話し合っても良い結論になるわけが無いのにな」
「まあ仕方がないだろう。私もそろそろ帰らせてもらうよ」
「そうか。くれぐれも、死なないようにな」
そう言って、一人、また一人と、部屋に集った者達は部屋から出ていった。
---
そして、部屋には一人の「七星」が残った。
「魔王軍幹部を赤子の手をひねるように倒す人物、か。興味が湧いてきたな」
そう言いながら、部屋の中を円を描くように歩く。
「たまには遊んでみるのも悪くないか」
そう言って、その魔人は城の窓を開け、肩から翼を出し、飛び去った。
その魔人の名はルシフェル。
「七星」の中で最強と言われる魔人にして、「破壊」のスキルを持つ者である。
北斗七星の魔人達の名前、出したほうがよかったかな、、、と思いました。
ですが、これからの物語の中で明かされた方がなんかいい感じがして、ルシフェルだけにとどめました。
決して、名前が思いつかなかったからではないのです。
決して、決して違います。
決してね。
違うからね。
ちなみに魔人とは、私の中では人形の魔物のことです。
↑すると、獣人とは人形の獣のことになるね。どうしようね。
ではまた、次の小説にてお会いしましょう。さようなら。
#008 進化 【転生したらうさぎでした。】
学校で詩を書けと言われたが、私に書けるのは小説だけです。
あと、「人形」の読み方はひとがたです。にんぎょうじゃないです。
ディーヴァを倒した後の私は、その場に座り込んでしまった。
なぜここまで疲れたか?分かっている。
「創造」というスキルは、自らの体力をかなり消耗するのだ。
そこへ、様子を見に来たと思わしき、カミナが来た。
「ネオンッ!?その姿は、、、それに、この魔物は、、、」
カミナはかなり困惑している様。
無理もない。
たった数分前まで話していた友達のうさぎが、人形になり、その周りは魔物共の死体で溢れているのだから。
「ごめん、後で説明するから、、、今は皆のもとに私を、、、」
そう言って、私はウサギ形態へと戻った。
普通の人(動物)なら色々と追求するだろう。
でも、カミナは分かってくれたようで、私を背負って、歩き出した。
あ、ヤバい。そろそろ限界だ。
「創造」を連続でかなり使った消耗で、私の意識は闇に飲まれた。
---
目を覚ますと、そこは森の中だった。
どうやら、私達が住んでいたところからは少し離れているらしい。
まあ、魔物とか知り合いの死体あるところに避難しないよな。
私は、生き残ることができた皆に聞く。
「、、、被害状況はどんな感じ?」
皆が言いにくそうにする中、長老が答えてくれた。
「ネオンの両親であるセイラとソウタ、あと十数名が死亡。あとは数十名が怪我をしておる」
「言い難いだろうに、ありがとう」
私は長老に謝辞を述べた。
「それで、ネオンの身に起きた『進化』のことだが、、、」
あ、やっぱりコレ「進化」だったんだ。
周りがざわついてるが、気にしないでおこう。
「父さんと母さんの死体を見つけてしまったとき、怒りの感情に飲まれたんだ。それで、脳内に変な声が聞こえて、、、」
「なるほど、スキルを獲得したんじゃな」
「え、知ってるの?」
「ああ。伊達に長い時を生きておらん」
そっか。
「それで、『創造』ってスキルを手に入れたんだけど、、、」
「『創造』じゃと!?」
長老が驚き、仰け反る。
周りの皆は「?」って感じだけど、、、
あ、創造って|完全能力《パーフェクトスキル》の一つじゃん。
忘れてた、、、
「|完全能力《パーフェクトスキル》を得たことにも驚きだが、それをこんな簡単に報告するネオンに驚いたよ、、、」
てか、なにげに長老が驚いているの見るのは初めてかも知れない。
「その辺は、気にしないでもらって」
「気にする以外、ありえんのじゃがのう、、、」
「まあまあ。それで、、、」
それから、私は戦いの一部顛末を皆に話した。
「|完全能力《パーフェクトスキル》を使ったといえども、こんなにも簡単に魔王軍を一掃するとは、、、やはり|完全能力《パーフェクトスキル》は、とても恐ろしいスキルのようじゃ」
「だよね。それで、私のやりたいことなんだけど、、、」
そして、私は魔王を倒すことにしたことを皆に話した。
「魔王を倒す!?」
「そんなことが、ただのうさぎにできるのか!?」
だかなんだか色々言われていたが、長老が、
「ネオンは|完全能力《パーフェクトスキル》を手に入れたうさぎじゃ。魔王討伐も夢ではなかろう」
と言ってくれた。
「まあ、それはそうだが、、、」
皆はそれでも微妙な様子。これ以上言われる前に去ったほうがいいか。
「まあ、そういうことで、、、」
そう言って、私は人化した。
「!?ネオン、人化もできるのか!?」
あ、そういや言ってなかった。
「うん。『創造』を流用したらいけたよ」
なぜか人化にはそこまでエネルギーを消費しないので、よかった。
「そうか、、、これなら、人間の世界にも溶け込めるじゃろう。人間社会にも獣人はおるからな」
「そういえば、動物って獣人に進化するの?」
気になっていたので、聞いてみた。
「そこはちと複雑なんじゃが、ネオンのように人形になれる動物か、動物の特徴を持った人間のことを獣人と言うんじゃ。まあ、どちらも待遇に変化はないから、人間社会では普通に獣人といえばいい。ちなみに、人形の魔物のことを魔人という」
「そうなんだ。ありがとう、長老!」
そういって、私は今度こそ立ち去ろうとした。
、、、だが、引き止められた。
そろそろかっこよく去らせてくれ。
「ちょっと待って、ネオン。その旅に、私も連れて行ってほしい」
「俺もだ」
そう言って、カミナとアオイ君が此方へ来た。
「え!?私と一緒に旅へ、、、?」
「うん。力はない私だけど、親友の手助けくらいできなきゃね」
そういってカミナははにかんだ。
「俺も、邪魔になるかも知れないけど、それでもネオンの助けになりたい」
「二人とも、、、」
二人の優しさに、感謝だ。
「3人とも、行くのか」
そう、長老が問う。
「はい。私達は、魔王を倒します」
それは、決意。
「そうか、、、頑張れよ」
それは、激励。
「「「はい」」」
私達の声が、重なった。
こうして、私達は森を旅立った。
カミナとアオイ君と、そして私。
私達三人の目的は、魔王の討伐。
私は、ぎゅっと拳を握りしめた。
どうかな、、?
割と長くなった。
#009 冒険者ギルド 【転生したらうさぎでした。】
最近投稿してなくてごめん💦
リアルでいろいろあって、、、
一応これからはもう少し頻度上がります。
そうだ、あとカミナとかアオイは動物ですが、彼ら(彼女ら)はどう数えたらいいのか
人?匹?
あと、ネオンと合わせて数えるときはどっちかに統一したほうがいいんですかね
皆に見送られ、私はカミナとアオイ君と共に街に降りた。
この街は「アリシア」という、そこそこ繁栄している辺境の街らしい。
無論、人間の街である。
ただ、ビジュが猫と犬を連れてる兎の獣人なこと。これはどうなんだろう、、、
兎として育てられたので、この世界の人間社会を全くと言っていいほど(ある程度は長老から聞いてるけど、それも人間社会では赤子くらいの知識だろう)知らないことだ。
まあ、私達の目的が魔王討伐な以上、とりあえずは冒険者ギルドに登録することは最優先だろう。
この世界には、冒険者ギルドというものがある。
これは、登録している者に、|依頼《クエスト》を紹介したり、(つまりは求職者向け)討伐した魔物の解体や素材の買取など、いろいろなことをしてくれるギルドだ。
他にも商人ギルドなどがあるが、私には今は関係がないだろう。
この街の地理が全くわからないのは問題だったが、この世界はスマホも無い。
ある程度歩くとこの街の地図が描かれた看板があるため、なんとかなった。
よかった。
そういえば、見たこともない異世界の文字が当たり前のように読めていたが、これは恐らく異世界転生者へのサービスだろう。
そう思うことにする。
まあ、そんなこんなで私は冒険者ギルドへ辿り着くことができた。
ドアを開ける。
すると、中には何人か、屈強な体をした冒険者がいた。
まあ気にせず、受付のお姉さんの方へと向かう。
「すみません、ここで冒険者登録をしたいのですが、、、」
私がそうお姉さんに聞くと、周りの冒険者から嘲笑が漏れた。
「おいおい嬢ちゃん、冒険者は遊びじゃないんだぜ?」
何人かがそう声をかけてくる。
私は気にせず、受付のお姉さんに手続きを進めてもらった。
年齢を聞かれた時には少しドキッとした。だって、実際はまだ1歳にもなっていない兎だから。
まあ「14歳です」って言ったら簡単に通れた。
文明が発展してないから仕方ないかもしれないが、あまりに脆弱すぎるシステムである。
種族も兎人で登録した。兎の獣人のことだ。
「では、最後にこのカードに貴方の血を1滴垂らして頂くと、登録は完了となります」
どうやらこのカードはマイナンバーカードとか運転免許証みたいな感じで本人確認とか、実績とかを見れたりするカードらしい。
血を出す道具を持ってなくてどうしようかと思ったが、カミナが引っ掻いてくれたのでなんとかなった。
ありがとう。
お姉さんにお礼を言ってとりあえず手短なクエストをやろうと思った。
ある程度、実績を積むのは大事だ。
「おいおい、さっきのガキマジで冒険者登録してやがるぞ?」
「はっ、世間知らずのお嬢ちゃんなんだろうさ」
こうなるから。
舐められないようにするために、今ある中で一番難易度が高いクエストを選んだ。
|双頭黒狼《オルトロス》の討伐だった。
本来、|双頭黒狼《オルトロス》討伐は何年も冒険者業についた熟練の冒険者が行うものであり、今さっき冒険者登録したばかり、それも子供(外見も、中身も)のネオンが行うものではない。
その証拠に、周りは先程の比でないほどざわつき始めた。
「おいおい、マジか、、、?|双頭黒狼《オルトロス》なんて、俺らで束になってかかっても倒せるか、というレベルだぞ、、、?」
「これは止めたほうが、、、」
先ほどヤジを飛ばしてこなかった、(恐らく)善良な冒険者達も、困惑している。
でも、私は止まらない。やめない。
たかが|双頭黒狼《オルトロス》程度で止まっていい訳がない。
私の目標は、魔王討伐なのだから。
なんか書くタイミングミスったけどクエストはギルドの掲示板に貼ってあるよ。
高いところにあるほうが難しいよ。
あと「たかが|双頭黒狼《オルトロス》」とか言ってるけど普通にエグい魔物(一般常識で)だから、コイツを「たかが」とか言ってるネオンのほうがおかしいです。
#010 階級 【転生したらうさぎでした。】
ついに二桁。
感慨深い。
オルトロスって漢字でやるのめんどくなった()
冒険者には、以下の|階級《ランク》がある。
|極星《ポラリス》:英雄クラス。歴史に名を残す、生ける伝説。
|超新星《スーパーノヴァ》:国の最高クラス。充分英雄。
|一等星《ファーストスター》:国のトップクラス冒険者。街だと最高クラス。
|巨星《ジャイアントスター》:ギルド・街のトップクラス。ベテラン。
|輝星《ブライトスター》:頭角を表しだした中堅。
|鈍星《マットスター》:ある程度経験を積んだ若手。まだ初心者。
|微星《ベーススター》:初心者。最低ランク。
これが冒険者、つまり人間のランクを表すものである。
そしてこれが、魔物のランク付けだ。
|極光《オーロラ》:世界を滅ぼしうる、あるいは世界の理を歪めるレベルの存在。
|崩星《ノヴァ》:存在そのものが周囲の環境を崩壊させるクラス。
|主星《プライマリー》:国家規模の軍隊や、一等星級のトップ冒険者が率いる精鋭ギルドが対応する天災レベルの魔物。
|巨星《ジャイアント》:一帯の生態系の頂点に君臨する魔物。一村を壊滅させるほどの力を持ち、ベテランの招集が必要。
|閃光《フラッシュ》:高い戦闘能力や特殊な能力を持ち、一人前の冒険者パーティでなければ苦戦するレベル。
|鈍光《マット》:新米冒険者が最初に壁にぶつかるレベルの魔物。
|微光《ヴェスタ》:一般人でも道具があれば対処できる最下級の魔物。害獣レベル。
上の方が強く、下の方が弱い。
今まで「|極星《ポラリス》」となった者は、数えるほどしかいない。
そして、今回ネオンが挑もうとしているオルトロスは|巨星《ジャイアント》級で、安全に討伐をするには、最低でも|一等星《ファーストスター》級の実力がないと厳しいと言われるものだった。
冒険者達が止めるのも、当たり前である。
だがその制止を振り切って、オルトロスが出ると言われる岩場まで、ネオンは歩いてきていた。
---
「ねー、ネオン。マジでやるの?もっと簡単な依頼でよかったんじゃ、、、」
カミナが不安そうにそう聞く。
「いや、アイツらに舐められないようにするにはこうするしかなかったんだ」
「容疑者のセリフですか」
「、、、普段二人ってこんな感じなのか?」
「「? うん」」
アオイがそう聞くが、二人は即答する。
そんなやりとりをしながら、三人はオルトロス生息地へと近づいていた。
そして辿り着いたのは、岩場。
というよりは、遺跡のようなものだろうか。
砕かれたような岩がそこかしこに散らばっており、そこには何やら魔法陣のような文様が描かれている。
もしかしたら、オルトロスというのは、この遺跡を守る魔物なのかも知れない。
でも、それだとしても、ネオン達は討伐をやめないだろう。
なぜなら、クエストの依頼の紙には、「オルトロスにより死者多数」と出ていたからだ。
自分達も魔王軍により、親や知り合いを殺されている。
理不尽に親しい者を殺される怒りや哀しみは、よく分かる。
ネオン達は、オルトロスの姿が見えないことに困惑した。
「、、、もう誰かに倒されたのかな」
カミナがそうつぶやくが、アオイが否定する。
「二人は簡単に倒そうとしてるが、本来オルトロスは|巨星《ジャイアント》級の魔物。生半可な冒険者じゃ倒せない」
このパーティ唯一のまとも枠だった。
「じゃあなんでいないn、、、ッ!!」
ネオンがそう言おうとした時、物陰からオルトロスが飛び出してきた。
どうやら、待ち伏せをしていたようだ。
「「ネオンッ!!」」
カミナとアオイの声が重なる。
だが、ネオンは軽くそれを避けて見せる。
どうやら、この事態を想定していたようだ。
ネオンは銃を創造し、真銀の弾丸を込めてオルトロスへと放った。
だが、さすがは|巨星《ジャイアント》級の魔物と言うべきか、その俊敏性で弾を躱す。
(まあ流石にそうなるよね、、、なら)
ネオンは翼を出して飛翔し、|斧槍《ハルバード》を創造する。
|斧槍《ハルバード》は戦斧と槍を合わせた万能武器であり、斬る・突く・断つ・払うといった様々な攻撃が可能な武器である。
その分使いこなすには熟練の技術が必要なのだが、ネオンは直感とスキルにて使いこなしてみせた。
上空から放たれる|斧槍《ハルバード》の攻撃により、オルトロスは防戦一方となる。
|斧槍《ハルバード》も真銀で作られており、まともに当たればオルトロスといえど致命傷は免れないだろう。
これを不利とみたオルトロスは、完全に回避することを諦め、できるだけ受けるダメージを少なくする方法へとシフトした。
2つある頭でネオンに噛みつこうと、猛攻を仕掛ける。
だがそんなもの、翼を持っているネオンには通用しない。
軽く避けて、真銀の|斧槍《ハルバード》で切り裂く。
この一撃で、オルトロスは絶命した。
|巨星《ジャイアント》級の魔物ですら、ネオンには敵わないのだった。
階級のイメージとしては、魔王軍幹部の人(?)たちは主星とか強い人だと崩星だったり。
魔王は戦って生きて帰ってきた人がほとんどいないのでわかっていないが、最低でも崩星級だといわれている。らしいですよ。
そろそろ語録でも作るか、、、
オルトロス討伐後のカミナとアオイの会話
カミナ「ねぇ…私達、いる…?」
アオイ「………」
#011 輝星 【転生したらうさぎでした。】
やばい、執筆時間がない
夏休めない中毎日投稿さっそく頓挫しそう
Help me!
(どうやって助けろと)
ネオンは、オルトロス討伐を終え、アリシアの冒険者ギルドへと戻ってきていた。
ガチャ、と開いたドアの音に、ギルド内にいた冒険者が反応する。
「お、さっきのガキじゃねぇか。どうだ、オルトロスは討伐でき…」
嘲笑うように言う冒険者。
だが、ネオンが手に持っていた、オルトロスの頭を見て、その言葉は止まる。
オルトロスは双頭だが、もう片方の頭はカミナとアオイが持っている。
「なっ…それは…」
「この短時間で|巨星《ジャイアント》級を…?」
ギルド内がざわつく。
だが、ネオンはそんなことを気にせずに、ギルドの受付嬢のところまで行く。
「すみません。討伐完了したんですが、討伐証明は頭で大丈夫でしょうか」
「えっ…!?オルトロスを、この短い間に討伐…?ちょっと、その頭を確認させて頂いてもよろしいでしょうか?」
受付嬢にそう言われ、ネオンは頭の片方を差し出した。
「これで大丈夫ですか?」
「えっ!?あ、はい大丈夫です…」
受付嬢はオルトロスの頭を持ち、バックヤード(なのだろうか)へと持って行った。
しばらくして、受付嬢が戻ってきた。
「あの、ギルドマスターがネオン様に会いたい、と。良ければ、当ギルドの二階までお越しいただけますか?」
あ、なんか面倒ごと巻き込まれる奴…?
でも、魔王討伐の活動をする拠点とする上で、アリシアの町は森からも近いし…
まあ、私ならそう簡単にはやられない。自意識過剰かもしれないが、完全能力があればある程度の護身はできるだろう。
「わかりました」
私が頷くと、受付嬢はカウンターから出て、近くにあった扉を開いた。
「こちらが、二階に続く扉となっております。私についてきてください」
ネオンは言われた通りについていく。
勿論、カミナとアオイもいる。
彼らだが、こんな会話をしていた。
(ねぇ…これって私達行っていいやつ?)
(俺何もしてないしな…)
余談だが、犬猫である彼らの声は人間には理解できない。
だが、兎であるネオンには通じる。
だから、大勢の前で密談、なんてこともできる。
獣人にはある程度理解できるらしいが…
二階につき、廊下を歩いた先の扉で受付嬢は止まった。
「こちらが、ギルドマスターのいる部屋となっております。では、ごゆっくり」
そう言って、受付嬢は一階へと降りて行った。
ネオンは、ギルドマスターのいる部屋の扉をノックした。
「すみませーん。受付のお姉さんに呼ばれた、ネオンという者なんですが…」
ネオンはうさぎなので、「者」という表現が適切なのかはわからない。
「入れ」
短い声がした。
ネオンは、ゆっくりと扉を開ける。
そこには、白髪の、60代くらいの男がいた。
その顔には大きく傷が残り、厳つい雰囲気を醸し出している。
「俺が、このアリシアの町のギルドのマスター、ザイルだ」
「初めまして、ザイルさん…で大丈夫ですかね。私はネオンです」
「ああ、大丈夫だ。お前の話は聞いている、こんな短時間でオルトロスを討伐したそうだな」
「あ…はい。討伐しました」
「…そうか。やはり討伐したのか。冒険者登録したのは今日ということだったが。つまり、まだ|微星《ベーススター》級なのか?」
「はい、そうですね」
「ふむ…これほどの才能を持つ冒険者、|微星《ベーススター》級となると示しがつかん。俺のギルドマスター権限で|輝星《ブライトスター》級まで上げてやる」
「えっ?そんなことができるんですか?」
「ああ。今回のように、低ランクの冒険者が高ランクの魔物を討伐し、討伐時間や人数などで優れていると判断された場合、ギルドマスターの裁量で討伐した魔物の一個下のランクまで上げることができる。まあ他にも、有能だと判断された冒険者はランクを上げることができるがな」
「へぇ、ありがとうございます…そういえば、ガルドさんは何級なんですか?」
「俺か?もう引退したが、冒険者の頃のランクは…」
「|一等星《ファーストスター》級だ」
ここで一等星出すかは迷ったんですが、出すことにしたよ。
あと内容薄くね?て最近思うんですが皆さんはどうですか
#012 家 【転生したらうさぎでした。】
AbHSとかゾンビとかと一緒に進めてるのでたまに設定がごっちゃになる
あと更新もその分遅くなるし
あと曲パロもやりたい
ウミユリ海底譚とうそつきマカロンどっちやろうか
なんでこんなに時間がないんだ
ねぇ誰か助けて(あのボカロの歌詞を一部抜粋)
「|一等星《ファーストスター》…?」
「あぁ。今は引退した身だし、緊急時以外は冒険者としての活動はしていないがな。そういえばネオンは、住む場所とかは決めたのか?」
「あ、まだです」
できるだけ森に近い方がいいし、アリシアに住もうかとは思っているが、私はあまり人間の法律とかに詳しくないから…
異世界だし、いろいろと違うところがあるんだろう。
「そうか。それなら、ギルドの寮を使うか、冒険者ギルドに登録されている家を買う方法がある。だが、そこにいるのは…」
ガルドさんは、カミナとアオイの方を指して言う。
「あー…」
(カミナとアオイってどういえばいいんだろう)
(私は別にペット枠でいいよ?見た目があれだし、その方が伝わると思うんだけど)
(俺もだな。何もできてないし…)
「まぁ、ペット?みたいなものです」
「そうか、愛玩動物か」
どうやらこの世界にも、ペットという概念はあるらしい。
「だが、そうするとやはりギルドの寮は厳しいな。あそこはペット不可物件だから…」
(あ、そういう概念異世界にもあるのね…)
ペット不可物件が異世界にあるとは。
「だから、冒険者ギルドに登録されている家を買う方がいいな」
「なるほど…具体的にはどんな家が?」
できるだけ広い方がいいんだけどね。
「まあ、冒険者ギルドに登録されているし、利用は冒険者が多いんだが…ほとんどの冒険者は根無し草だから、いろいろな地域を放浪する。アリシアに拠点を置いている冒険者は結構いるし、他の地域に比べると多い方なんだが…それでもやはりあまり大きくない家の方が好まれるようでな。今は、もともと貴族の別荘だった、広い豪邸しかほとんどないんだが…それでも大丈夫か?」
「ああ、大丈夫ですよ。それで、その家っていうのは…」
「今一番おすすめなのはな、アリシアの辺境付近の7LDK。風呂と大きな庭、倉庫もある」
「買います」
元日本人として、風呂付と言われたら買わないわけにはいかない。
7LDKってことは、豪邸といってもそこまで広いわけではないんだろう。
一つ一つの部屋が大きいのかもしれないんだけど…
「…かなり高いが、大丈夫か?」
あ、やばい。
お金持ってない。
「あー…そのお値段って、どれくらいですかね…?」
「…大金貨12枚だ」
この世界の通貨は、硬貨が多い。
国によって独自の通貨を定めているところもあるにはあるらしいのだが、基本的には全世界共通の硬貨がある。
それらは、上から順に鉄貨、銅貨、銀貨、金貨、大金貨、星導貨となっていて、鉄貨が一枚で元世界で言う10円辺りの価値らしい。
それで、位が上がるにつれ価値が10倍になるらしい。
つまり、鉄貨→10円、銅貨→100円、銀貨→1000円、金貨→10000円となる。
だが、大金貨と星導貨だけは違い、大金貨→100万円、星導貨→一億円辺りの価値となるそう。
まあ、星導貨クラスになると、国と国との取引くらいにしか使わないそうだけど…
だが、大金貨12枚。
それは、円に直すと1200万円となる。
家の値段としては、前世界だとかなり安い。
しかも豪邸。
それは、この世界には魔法やスキルがあるからだ。
魔法を使って地盤を固めたり、スキルで木材を簡単に設置したり。
何かと早く終わる。
だが、今の私の所持金は0円なわけで…
「…そういえば、オルトロス討伐の報酬とかって…」
「あ」
固まるギルドマスター。
「…すまん、完全に忘れてた」
冒険者に対する報酬を忘れるギルドマスター…どうかと思うが、まあもらえるならいいだろう。
「今回の報酬だが…|巨星《ジャイアント》級の魔物討伐、そして期待の新人ということで、少し色をつけて…大金貨2枚ほどでどうだろうか」
大金貨2枚。
なんと、200万円。
「え…そんなにもらえるんですか?」
「当たり前だ。|巨星《ジャイアント》級の魔物を討伐できる冒険者はそうそういない。それに、金にも困っているんだろう?多少は色も付けよう」
「あ、ありがとうございます」
ただ、それでも1200万には届かない…
あと1000万…
「あの…割と簡単にできる依頼で、報酬が高いクエストってありますかね…?」
「簡単にできて、報酬が高いって時点で矛盾してるんだが…だが、オルトロスをあんな簡単に倒せる冒険者だからな、それも考慮して調べていいか?」
「はい、大丈夫です」
「わかった。かなり前からあるが、引き受け手がいなくて放置されている高難度クエストをまとめた本を持ってくるから、待っててくれ」
そう言って、ギルドマスターは奥の方へ行った。
しばらくして、ギルドマスターは戻ってきた。
「アリシア周辺の高難度依頼なんだが…オルトロスと同じく|巨星《ジャイアント》級の、『ヴェノムサーペント』の討伐依頼。報酬は大金貨2枚。あと、同じく|巨星《ジャイアント》級の『レイクアリゲーター』の討伐依頼だな。報酬は、大金貨1枚だ」
同じ|巨星《ジャイアント》級でも報酬が違うのは、危険度とかが違うからだろうな。
「そうだ、あとオルトロスの死体は持ってきているか?」
「死体…ですか?オルトロスの頭は持ってきているし、体の方は現場に置きっぱですが…」
「魔物の素材は、いろいろと利用方法があるんだ。例えば、皮は強力な防具や工芸品を作るのに使われる。牙や爪は、武器を作るのにな。だから、魔物の死体…それも、|巨星《ジャイアント》級の魔物の素材を取ってきてくれれば、それだけで大金貨数枚の価値になる。傷が少なければ、更に価値は上がるぞ」
え…そんなに?
なんで死体捨ててきたんだろう…
「まあ、頭は渡してもらった。かなり状態はよかったし、大金貨1枚は渡せる。状態のいい死体は、貴族が剝製にしようとするからな」
悪趣味…
「素材系はある程度鑑定をしてから代金を渡すことになるんだが、問題ないか?」
「はい。大丈夫です。あ、それと、二つの討伐依頼を達成して、傷とかもほとんどなかったら、報酬って大金貨12枚行きますかね…?」
「多分行くと思うぞ。オルトロスの頭も、ちょっと見せてもらっただけだがかなり状態が良かったからな。だから、素材を持って帰るのを忘れないようにしてくれ」
「わかりました。じゃあ、討伐依頼行ってきます」
私はギルドマスターから受け取った二つの|依頼《クエスト》に向かった。
やっぱり日本人、風呂がないと生きてけない!
「星導貨」の読み方が「せいどうか」なんですが、文字起こしすると「青銅貨」になってしまうことに気づいた。
やばい、どうしよう…
まあ、どうせ小説オンリーだから問題な(((殴
#013 「破壊」の意思 【転生したらうさぎでした。】
ルシフェルさん格好いいよね。
ってことで(なにが?)視点はルシフェルさん
何も書いてなかったら基本的に視点主はネオン
(退屈だ…)
魔王直属幹部「北斗七星」であるルシフェルは、繰り返される毎日に不安を抱いていた。
骨のある相手と、巡り合えない。
魔王の命令に従い、戦いはする。
だが、楽しめない。
弱い相手。自身が勝つことが分かっている相手と戦っても、面白くない。
戦いとは、スリル。
自身の命を懸けてスリルを味わう。
血沸き肉躍る、そんな戦いをルシフェルは求めていた。
(まぁ、仕方ねぇよな…)
ルシフェルとて、生まれた時から強かったわけではない。
ただ純粋に、強さを求め続けた。
完全能力の一種「破壊」を手に入れてからも、慢心することはせず、努力を続けてきた。
この世界の最強の一角となったルシフェル。
彼と互角に戦えるものなど、数えるほどしかいない。
それはある意味、強者の運命ともいえるものだった。
そう、「だった」。
---
「魔王軍幹部を、瞬殺?」
ルシフェルが聞いた報告は、以下のようなものだった。
「正確には、ただの動物が住んでいる森の制圧を命じられた後、死亡です」
ルシフェルの側近、エヴェルは答える。
彼は、七星に匹敵する実力者であり、七星筆頭ルシフェルの側近を務めている者である。
「…いくら新参とはいえ、魔王軍幹部を…?」
その後、この件について、七星が集まり、会議のようなものを行ったのだが、それは退屈だった。
強者は、他人を見下す傾向にある。
ルシフェルはいつでも殺られる可能性を考慮しており、自身を自分の中の認識であくまで中堅程度の位置に留めている。傲慢なものは、油断した時に呆気なく殺される。それは歴史が証明している。
強者同士で話し合っても、建設的な意見は数えるほどしか出ない。
それをルシフェルは知っているため、会議は軽く流していた。
だが、ディーヴァを倒した者には興味がある。
(…一度、森に行ってみるか)
ルシフェルは、久方ぶりに「星魔大陸」を出た。
それは、本来であれば歴史に残るような大事件である。
何故なら、彼の階級は「|崩星《ノヴァ》」。
存在そのものが、周囲の環境を崩壊させる。
さらに、彼のスキルは「破壊」である。
そんな存在が、周囲に悪影響を及ぼさないはずがない…のだが。
彼は、自身の|魔素《エネルギー》を完全に操作できていた。
自身の「存在」を、極限まで薄くする。
最も、極限まで薄くした状態が普通の人間と同じくらいなのだが…
そして、彼は自らの翼を仕舞い、見た目も普通の人間と同じにする。
これによりルシフェルは、完全に一般人の振りをして星魔大陸に出ることが可能となった。
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フレア視点
魔王軍をネオンが倒し、魔王討伐の旅に出た後、私達は「森」の復興を進めていた。
壊された住居、荒らされた自然。
それらをもとに戻す、修復作業。
でも神様は、とことん私達を苦しめたいらしい。
「おい、このあたりで魔王軍幹部を倒したやつを知らねぇか」
突然、そんな声が背後から聞こえた。
思わず振り向くと、そこに経っていたのは人外の存在。
|金銀妖瞳《ヘテロクロミア》の眼、禍々しい色の翼。
逆らってはいけない、フレアの本能がそれを告げた。
だが、目の前の人外が探しているのは恐らくネオン。
妹を売るなど、フレアには出来ない。
「…知らない」
「…知ってそうな顔してるんだがなぁ」
人外は、顔を歪めて嗤う。
「まぁ、話す気がねぇなら仕方がない。お前等と戦っても、つまらなそうだしな」
そう言って、人外は去った。
(え…こんな簡単に…?)
恐らく、アイツは私に心当たりがあることに気づいていた。
そのうえで、見逃した。
(………?)
考えても解らない。
フレアは頭を悩ませた。
---
ルシフェル視点
ルシフェルは基本的に、無駄な争いはしない。
魔王から命じられたものならすることもあるが、拒否することもある。
なぜ、それを許されているのか。
ひとえに、強いからだ。
魔王軍の中で最も強く、魔王に匹敵する実力者。
彼は、魔王の命令であっても「|緊急事態命令《エマージェンシーコード》」でなければ、拒否する事ができる。
それほどの特権を認められている、実力者なのだ。
(さて…このあたりで強そうなヤツの居場所は…)
ルシフェルは魔素の濃度などから判断し、該当する者を探す。
そして、一人の人物が見つかった。
(…アイツか…?)
ルシフェルは、目を疑った。
それは、まだ幼い少女に見えたからである。
だがルシフェルは、見た目と実力がイコールにならないことを経験上知っている。
だから、ルシフェルはそのものの前に舞い降りて―――
言った。
「よう、俺はルシフェルだ。魔王直属幹部『北斗七星』筆頭。ディーヴァを殺したのはお前か?なら、戦おうぜ」
それに対する、彼女の返答は―――
階級全部覚えた人います?
私は覚えてない()
あとフレアはネオンの姉さんです。
フレア、アクア、ネオン、アスカが姉弟。
覚えてた人いる?
#014 邂逅 【転生したらうさぎでした。】
この二人の絡みを書きたいがために転うさを書いているといっても過言ではある
視点ネオン
私はギルドマスターから受け取った|依頼《クエスト》の紙を見ながら、森の中を歩いていた。
私達が生まれた森―——最近名前を知った「エーテリア・フォレスト」と呼ぶらしい森からは、少し離れている森だ。
エーテリアの方は動物が多かったのに対して、今回の依頼の森は魔物が多いらしい。
だから冒険者も忌避していて、依頼が溜まりやすかったのだろう。
とにかく、私が森を歩いていた最中。
前から、魔人が下りてきた。
ディーヴァより強いどころか、この世の絶対的強者。
恐らく、この世界で五指には入るほどの強者。
|金銀妖瞳《ヘテロクロミア》の眼、禍々しい翼。
そして、その髪は銀色に煌めいている。
そして、その存在は言った。
「よう、俺はルシフェルだ。魔王直属幹部『北斗七星』筆頭。ディーヴァを殺したのはお前か?なら、戦おうぜ」
…!
魔王、直属幹部…!?
私は答えた。
言葉じゃなく、攻撃で。
---
素早く拳銃を生成し、照準を合わせて撃つ。
この間0.1秒という、神業。
それにもかかわらず、目の前の存在…ルシフェルは、避ける。どころか、弾丸を掴み、止める。
「えぇ…仮にも|真銀《ミスリル》製の弾丸なのに…」
「お前が魔王に対して、どんな感情を抱いているかは知らないが…この程度の攻撃で、魔王直属幹部がやられるとでも?」
「はいはい、思っていませんよっ!」
私は翼を生成し、跳ぶ。
そう、飛ぶのではなく、跳ぶ。
人化しようと、うさぎの跳躍力は健在。
一瞬で高高度まで跳んだ私は、氷の槍を生成し、落とす。
「|氷瀑慧魔槍《アイシクルランス》!」
重力に引かれ、地面に向かって落ちる無数の槍。
「飛んで避けてもいいが…全部砕いてやろう」
ルシフェルはそう言って、|氷瀑慧魔槍《アイシクルランス》に手をかざす。
「|破壊《ディストラクション》―――」
なんと、たったそれだけで|氷瀑慧魔槍《アイシクルランス》は砕け、地に落ちた。
「――――!!まさか、その能力―――」
「ああ、|完全能力《パーフェクトスキル》の一種、『破壊』だ」
そう言ってルシフェルは嗤った。
「くっ…」
相手の能力は破壊、対して私は創造。
対極に位置する能力ではあるが、明らかに相手の方が有利だ。
それは、消費エネルギー量の差。
例えば、1000ピースのパズルを完成させるより、バラバラにする方が楽だろう?
地震が起きたら都市は一瞬にして崩れるが、復興するのには何年もかかるだろう?
壊すのは一瞬でも、創るのには多大な時間・労力が必要なのだ。
すると、ルシフェルが聞いてきた。
「そうだ、お前の名前を聞いていなかったな。名は、何と言う?」
答えなくてもよかった。
だが―――
「私は、ネオンだ」
「…そうか。覚えておくとしよう」
そうして、ルシフェルは戦いに向き直った。
スキル同士のぶつかり合いでは、経験の差でも、相性でも私に勝ち目はない。
ならば、短期決戦。
フル火力で挑み、早期に決着をつける。
それしか、ない。
私はうさぎの速度で、ルシフェルの目の前に移動する。
少し面食らったようなルシフェルだったが、隙は見せず攻撃に転じてくる。
私が創ったものは、全て壊される。
ならば、どうするか。
「壊される前に、物量で押し潰す―――!」
ルシフェルには翼がある。
それを使われては勝率は半減だ。
重力がある以上、創ったものは下に落ちる。
つまり、手数が減るからだ。
まずは、上から。
剣、槍、斧…
様々な武器を創造して、ルシフェルに向かわせる。
そして、今私は上空を取っている。
武器でルシフェルの視線を塞ぎ、そこから繰り出されるは―――
全体重と落下のエネルギーを懸けた、特攻。
自身の肉体をある程度魔素で覆い、最低限の防御。
ルシフェル―――この世の最強クラスに通用するかはわからないが、ないよりはあった方がいいだろう。
やはり、いくら|完全能力《パーフェクトスキル》といえど、ロスタイム無しで発動できるわけではないらしい。
武器の破壊に手間取っているようだ。
まあ、この程度の武器じゃあ傷一つつかないだろうが―――
私は剣を持ち、ルシフェルに向かい落下する。
ほとんど自由落下だ。
頭から落ちないようにだけ調整して、剣を構える。
武器が消え、視界が晴れた時、ルシフェルの目に映ったのは、剣を構え落下してくる好敵手。
初めて今日、ルシフェルは驚いたような顔をした。
それだけで大勝利。
物量だけじゃなくて、奇襲でも、敵の能力は無効化できる。
私はルシフェルの肩を、剣で切り裂くようにして落下して―――
そして、私は意識を失った。
「|絶対能力《アブソリュートスキル》」と、「|終焉能力《エンドスキル》」って名称考えたんだけど、使い道がない。
「完全」と被るんだよ、階級が…
エンドならもしかしたら行けるかな…?
できたらそのうち出てくるかもね…
#015 戦いの後 【転生したらうさぎでした。】
毎日投稿してる人すごいね…
めっちゃ大変…
「「ネオンッ!!」」
カミナとアオイ君の声で目が覚めた。
あれ…?私、確か、魔王直属幹部のルシフェルと戦ってて…?
そうだ、それで意識を失って…?
「目覚めてよかった…ネオンは、あのあとルシ…フェル?に傷を負わせた後、気絶してたんだよ」
ああ…
なんかたくさん「創造」した記憶はある…
「…あの攻撃で倒せたとは思えないんだけど…」
どうにか相打ちに持ち込もうとした攻撃だったが、よくてもあれは「大怪我」に当てはまる範囲であり、致命傷にはなり得ないはずだ。
しかも、相手は人外だし。
「あの後、武器を『破壊』したルシフェルは、右肩にかなりの怪我を負っていた。多分、ネオンの最後の特攻によるものだと思う。あの肩口を押さえながら、ルシフェルは去っていった。『久しぶりに楽しめたな』みたいな事を言って」
アオイ君が説明してくれた。
「…戦闘狂なの?ルシフェルって…」
だが、ヤツはこの世界でも有数の強者。
そして、相性の悪い敵でもある。
「…また戦うために生かされた、みたいな…?」
でも、それはありがたいことである。
何故なら、そうでなければ今頃私は死んでいたからだ。
「そのうちまた来るかも知れない。警戒を怠らないようにしよう」
カミナが忠告してくれた。
「うん。…とりあえず、今日は帰ろうか」
そうして、私達はアリシアへと向かった。
---
「お前、何と戦ったんだ…?」
ギルドに入った瞬間、ギルドマスターのガルドさんにそう言われた。
「すみません。クエスト達成できなかったです。また後日再挑戦しようと思います」
そう言って私は頭を下げる。
「いや、そうじゃなくてだな…依頼失敗はよくあることだし、責める気もないんだが…ネオン、オルトロスを瞬殺するほどの冒険者だろ?一体何と戦ったらここまで傷を負うんだ…?」
依頼失敗がよくあることなのかよ。
てか、傷…?
私は自分の体を見る。
あ。
武器(作成者:ネオン)の傷…?
確かに、ルシフェルを切り裂く時に特攻したけど…
自分の作った武器でこんなに手傷負ってたんだ、私…
てか、魔王直属幹部と戦いましたって言っていいことなのか…?
私がどうすればいいか解らず黙っていると、ギルドマスターが口を開いた。
「まぁ、色々と言えないこともあるんだろうさ。今日は、ギルドと提携している、ペット可の宿を無償で貸し出そう。ゆっくり休むといい」
融通の聞く大人サイコー!
「ありがとうございます」
そうして、私達は宿へと向かった。
毎日投稿たいぺんぎん
まえがきと同じこと書いてて笑うしか無い
#016 遭遇 【転生したらうさぎでした。】
遭遇と邂逅似てるタイトルなのは許してください
一応私としては「邂逅」はもう必然の出会い?みたいなイメージ
遭遇は偶然?みたいなイメージで使ってました
ギルドマスターが紹介してくれた宿に私達は向かった。
「…てか、紹介された宿って俺らは入れるのか?」
「………………」
アオイ君が聞いてきたが、分からない。
「まあ私らは最悪野宿でもいいからね~。ネオンは人化してるから泊まった方がいいだろうけれど」
カミナが笑って言う。
そして、私達は宿についた…のだが。
「…ここで本当にあってるのか?」
アオイ君がそう言いたくなるのもわかる。
あまりに、豪華すぎる。
「ギルドマスターは『無償で貸し出す』って…」
カミナも震えている。
しばらく立ち尽くしていると、宿から人が出てきた。
そして、声をかけてくる。
「あ、ネオン様ご一行でいらっしゃいますか?ガルド様からお話は伺っております」
あ、合ってたんだ…
「は、はい」
「本日は、ここをご利用下さりありがとうございます。部屋を案内するので、こちらへ来てください」
利用、というか代金はギルマスが払ってくれてるんだけど…
あと、カミナとアオイ君が拒否されなかった当たり、ペット可らしい。
こんな豪華なのに。
後をついていくと、部屋に到着する。
「こちらが、ネオン様方の部屋となります。どうぞ一晩、ごゆっくりお過ごしください」
「ありがとうございます。…うわぁ」
外装だけじゃなくて、内装も豪華だ。
ほんとにこれペット可?
そういえば、この世界の宿は、基本的に部屋を提供するだけである。
だから、ご飯は自分で買いに行かなきゃいけない。
「ネオンの『創造』で食材を創るのとかはできないのか?」
「生物系は駄目らしい。自分の肉体は例外だけど」
判定とかもよくわからないから今後試していこう。
有機物は作れるし、石油?とかも作れる。
生物本体は作れないのか?
でも、肉とか野菜とかも作れないからなぁ。
革の靴とか鞄とかだとどうなるかも気になるから、今度実験してみるのもいいかもしれない。
案内してもらった部屋を出て、私は街へと向かう。
夜も色々な屋台が出ている。
私はその中で、元世界で言う焼きとうもろこしみたいな物を買い、食べた。
オルトロス討伐のお金があるから、ある程度は贅沢できるのだ。
カミナとアオイ君にも買い、食べていた矢先だった。
「空 間 断 絶」
そんな声が聞こえたのは。
「えっ?何!?」
カミナが叫ぶ。
気づけば、周りにいた人は消えていて、辺りにいたのは私、カミナ、アオイ君と…
もう一人。
「初めまして、かな?ワタシは悪魔。スピカ・ヴェルナール。遊ぼうよ、ネオン」
悪魔。
それは、この世界の絶対強者。
世界を遊び場とし、|遊戯《ゲエム》を愉しむ存在。
彼女———スピカとの出会いは、私達の運命を大きく左右することになる。
スピカちゃんはずっと書きたかったです。
やっとかけて満足。
あと私は「ヴ」を使った名前が好きかも。
エヴェルとか。
あとヴェルナールってどこかで使った気がするんだけど分かる人いたら教えて
#017 悪魔 【転生したらうさぎでした。】
ルシフェルさんに「この世界でも有数の~」とか言ってたのは、悪魔さん(別次元のやつ)がいるから?
いいえ、めっちゃ偶然。
あとルシフェルさんは名前が気に入っただけで悪魔との関連は多分…ない。
(ルシフェル=ルシファーの…なんか別の言い方?みたいな?)
ただしみなさん気を付けてください。
この世界で最も信用してはいけないものトップ3に私の戯言が入ります。
悪魔。
それは、この世界の絶対的強者。
普段は別の次元———「冥界」に居を構えているらしい。
異次元の存在。
だが、時折現世に出てきては、「遊ぶ」のだ。
自身が愉しむために、「遊ぶ」。
だが、彼らは強者。
彼らが本気で遊ぼうとすれば———
---
「初めまして、かな?ワタシは悪魔。スピカ・ヴェルナール。遊ぼうよ、ネオン」
目の前の存在に、威圧される。
ルシフェルよりも、強い覇気。
だからこそ、弱みを見せてはいけない。
「…なんで私の名前を?」
「見てたよ、ルシフェルとの戦い。アイツ、現世の住人にしては強いからね。時折、見に行ってたんだ。まさかアイツと互角の戦いをするなんてね…キミにも興味が湧いたよ」
「…貴方の目的は?」
そう聞くと、スピカはきょとんとして、そして納得したような顔をする。
「そういえば、ワタシのことを何も言ってなかったね。ワタシは言った通り悪魔なんだけど————久しぶりに強そうなのがいたからね。愉しみたいと思うのは当然でしょ?」
「…なんで私の周りに戦闘狂が集まってくるんだよ…」
「…じゃあ、始めていいかな?」
戦い始めようとするスピカを制止する。
「待って、カミナとアオイ君には手を出さないって、約束して」
「…それで、ネオンが本気で戦ってくれるのなら」
その瞬間、カミナとアオイ君の姿が消えた。
「!? …まさか、殺したんj」
「『空間断絶』の外に出しただけだよ。ワタシの能力の一つ『空間断絶』は、任意の空間を隔離できる。その中に誰を入れて、誰を出すか、ある程度は操作できるんだよ。この中なら思いっきりやっても被害が出ないし、本気でできるでしょう?」
そう言って嗤うスピカの姿は、まさに悪魔だった。
「…わかった。始めよう」
そう私が口に出した瞬間、スピカの方に向かって、私の体が引き寄せられた。
「!?」
慌てて足先に武器を生成して、それを足場にして兎の脚力で脱出する。
生成した武器は、スピカの方へ引き寄せられて…消えた。
「うわ…また面倒そうな能力…」
「終わりかな?じゃあ、次はこっちから」
スピカはそういって、自身の周りに黒い球体を生み出す。
「それって、まさか」
「|終焉黒重球《ブラックホール》」
瞬間、周りの地形ごと、黒い球体…ブラックホールに抉り取られていく。
「…まさか、貴方の能力は…『重力』!?」
それを聞いたスピカは、きょとんとして、嗤う。
「惜しいね。ワタシの能力は————」
言いながら、こちらに向かってくるスピカ。
急いで槍を生成するが———
消えた。
「…は?」
「…ワタシの能力は」
嗤いながら、スピカは言った。
「『空間』だよ」
ネオンのいう戦闘狂→ルシフェル、悪魔の皆さま
あと「創造」は質量保存の法則をガン無視してますが、まあ完全能力だし許して((殴
#018 法則系能力 【転生したらうさぎでした。】
「空間…?」
「そう。それがワタシの能力。例えば…」
スピカはそう言うと、手のひらに武器を生み出す。
それは、先ほど消えた槍と酷似していて————
「こんな風に、任意の物体を自身の空間内に収納したり、自由に出したりできる」
「————!!」
なんちゅうチート能力。
てか、四次元ポケ〇ト…?
「あとは周囲の『空間』を曲げて、重力を発生させたり」
「…さっきのブラックホールはそれか」
そうつぶやくと、スピカは驚いたような顔をして、言った。
「え?キミ、この世界の住人なのにブラックホールを知っているの?」
あ。
まだ、この世界では多分宇宙とかまで探索範囲が広がっていない。
魔物とかいるし。宇宙が元世界と同じ構造かもわからないが…
だが、「ブラックホール」という単語は、どうやら彼女(?)の興味を惹いてしまったようで、彼女は凄惨な笑みを浮かべて、言った。
「俄然興味が湧いてきた。いいよ、本気で戦ろう」
「…今までは本気じゃなかったとでも?」
「まぁね」
スピカの言葉は、嘘には見えない。
ならば、まだ奥の手があるということで———
「うらぁッ!」
使われる前に、倒す。
私は大量の武器を生成して、ルシフェルの時のように、物量で圧し潰そうとした…のだが。
「創造」されたのは、歪んだ形状の、いしころ。
「…は?」
「ワタシのもう一つのスキルは————『|混沌《カオス》』だよ」
「—————!!」
「権能は、対象の発動しようとしてるスキル・魔法・etc…それらの回路を『混沌』とさせて、発動を妨害するんだ」
法則系能力が、2つ?
しかも、完全能力である創造を妨害できることからして、どちらも上位の権能。
「…完全に負け戦じゃん…」
「ははっ!もっと行くよ!」
そう言うと、スピカは自身の周りにブラックホールを生成する。
スピカが指を振ると、それらは動き出し、こちらに向かって移動してくる。
私はそれを破壊しようとするが、「混沌」により阻まれる。
要するに、向こうだけ駒を捕れるチェスみたいな物。
こちらは逃げることしかできない。
「…ルシフェルよりも面倒じゃん」
アイツには「破壊」のクールタイムの隙をつくことで攻撃は通じた。
だが、スピカの「空間」と「混沌」にはクールタイムが無さそうである。
あったとしても、ごく微量。
そしてスピカは、超高速で私の前に移動してくる。
恐らく、重力を操作することによりこれほどの高速移動を可能としているのだろう。
そして、私の周囲にブラックホールが生成される。
360度、逃げ場は、ない。
「くっ」
それらは私に向かってきて————————
---
視点スピカ
スピカは、ブラックホールをネオンに向けて放った後、一人断絶された空間内に立っていた。
(…今回も、耐えられないで消えちゃったか)
せっかく、面白そうな個体を見つけたのに。
やっぱ、本気になって遊んじゃうとすぐに壊れちゃうんだよなぁ…
(久しぶりに、愉しめそうだったのになぁ…)
スピカやネオンが異常なだけで、基本魔王軍幹部というのは畏怖の対象である。
人間からしても、動物からしても、魔物からしても。
それが、魔王直属幹部「北斗七星」だとしたら、尚更。
だから、ソレと渡り合ったと知り、期待していたのだが。
(…そろそろ冥界に帰るか)
悪魔が現世にいられるのは、限られた時間だけである。
もともと冥界の住人であり、根源的に冥界に引っ張られるからだ。
スピカのような強者であれば、一時的に繋がりを弱め、現世に出てくることもできるのだが、それも無限にできるわけではない。
(うーん…不完全燃焼っていうか…残念だなぁ…)
スピカはそんな気持ちを抱きながらも、冥界に帰ろうとしていた。
そう、《《帰ろうとしていた。》》
「お、もう帰るの?私はまだ戦えるけど」
後ろから聞こえてきたのは、ブラックホールに呑み込まれたはずの、好敵手の声。
スピカはゆっくりと振り返り、そして、視た。
無傷で佇んでいる、ネオンの姿を。
「きゃはっ」
笑い声が漏れた。
そう、それでこそ、ワタシが見込んだ存在。
「きゃはっ、ははっ…まさか、アレをまともに受けても立ってるなんて。流石。でも、残念だけど、ワタシはもう現世に居られない。冥界に戻らなきゃいけないんだ。だから————また、あそぼ?」
スピカの笑みは、歪んでいて、それでいて、無邪気だった。
それに対するネオンの返答は、一つ。
「ああ…いいよ」
それを聞いたスピカは、笑った。
そして、スピカの前に扉が出現する。
スピカは扉を開き、中に入っていった。
「きゃはっ。じゃあ、またね」
そうして、「悪魔」スピカは去った。
彼女との邂逅は、その後のネオンに大きな影響を与えることになるのだが…
それはまたいつかの話で。
重力操作+ブラックホール生成&操作+使い勝手のいい四次元ポ〇ット
+他者のスキル妨害
私はなんてチートな存在を作ってしまったんだ
異世界転生ものって主人公もチートだけど周りの奴のほうがチートなのよくありますよね?
あるよね?あるよね??(圧)
あとファンレターで転生もの好きで、俺の好みを完全に再現してますね!みたいなものを送って下さった方がいるんですよ。
本当に転生ものは面白いですよね。
設定とかにもよるけど、読んだやつは大体面白かったです。
好みが合う人がいるのっていいよね。
あとネオンさんが戦闘狂寄りになってると思った人!
あのタイミングで「いいえ」なんて言ったらどうなると思います?
はい、消されますよね。
つまり、本意ではないということで。
うん。
多分。
#019 絶体絶命の時こそ逆転のチャンス 【転生したらうさぎでした。】
視点ネオン
「はぁ…危なかった…」
ネオンが去った後、私は床に座り込んで、ため息をついた。
ほぼ同時に、「空間断絶」が解除され、現世へと戻ってくる。
「ネオン!」
「大丈夫か!?」
カミナとアオイ君が駆け寄ってきてくれる。
「ごめんね。私達、ネオンを助けるために森から出てきたのに。ルシフェルの時と言い、足手まといになってばかりで…」
しょぼんとするカミナ。
「俺もだ。自分の無力さが嫌になる…」
「大丈夫だよ。一人じゃないってだけで、私は頑張れるから」
カミナとアオイ君を励まして、私はスピカとの戦いを回想する。
---
空間。
あまりに便利すぎるスキルな上、重力を曲げるなどして攻撃に転じることもできる、まさに万能のスキル。
初めて見た時からずっと、あれを使いたいと思っていた。
あれさえあれば、いろいろなものを持ち運べて便利だ。
自身の周囲に張り巡らせておけば、不意打ちにも対応できる。
重力を曲げて、ブラックホールを作ったり、自身の移動を加速させたりなど、応用技もいろいろあって、夢がある。
でも、私のスキルなら、再現できる可能性があった。
私のスキルは、「創造」。
全てを、創る能力。
いくら「空間」が法則系能力だからと言って、こちらのスキルは「完全能力」。
私が使いこなせていないだけで、本来なんでも創れるスキルのはずなのだ。
あれ?そう考えると、私なんかが持ってていいスキルじゃない気もするけど…
ま、まぁ不可抗力だし…
ともかく、私はスピカとの戦闘中、何度も「空間」の生成に挑戦していた。
本当に、あのタイミングは奇跡だった。
私が「空間」の生成に成功したのは、スピカが複数のブラックホールをこちらに向けて放ってきた、絶体絶命のその時だったのだから。
コンマ1秒でも遅れていたら、私は生きていなかっただろう。
まあ、生きてたことによりまた新しい厄介なライバルができたわけだけど…
まあ生きてるに越したことはないしな。
正直、あまりご飯も食べてないからお腹は空いているけれど、今はそれよりも、スピカとの戦闘で疲れた。
宿に帰って寝るか。
落ち込んでいる様子のカミナとアオイ君を連れて、宿へと戻る。
体の傷は「創造」で修復できるものの、疲れは取れないため、宿の職員さんが少し驚いたような視線を向けてきたが、すぐにその視線は普通のものへと戻る。
流石はこれほどの高級宿の職員と行ったところか。
私は自分の部屋へと戻ると、すぐにベッドへと倒れこんだ。
すごくふかふかだ。
すぐに、私は眠りについた。
#020 私達は役立たず 【転生したらうさぎでした。】
視点カミナ
宿に帰ると、ネオンは疲れていたのか、布団に寝そべると、すぐに眠りについた。
そして、アオイは私の前に来て、言う。
「…俺は、ネオンがあの悪魔…スピカと戦っていたのに、何もできなかった。もともと、ネオンを助けるって言って森を出てきたのにな。ルシフェルの時もそうだ。…俺は、役立たずだ」
アオイはかなり落ち込んだ様子…
「…私もだ。アオイと同じように、ネオンを助けようとして来たのに。それらしいことは一度もできてない…」
これについては、私も役に立っていない。
私達は、役立たず…
「創造」という、完全能力を持つネオンからしたら、私達程度の力なんて必要としていないのかもしれない。
それでも、親友のためには何かはしたい。
「私達にも、できることって…」
「それなんだが」
アオイはそう言うと、部屋の端にあった、本棚に近づいて行った。
「高級宿っていうのは、暇潰しも完備されてるようで…ここに、魔術とかの本がある。ある程度は、ネオンの助けになれるかもしれない」
「魔術書…ってこと?」
「ああ、そうだ。ほかにも、剣術とかの本もあるな。俺らの姿じゃ使えないだろうけど」
「へぇ…」
時間もあった。
あんなに自分に不甲斐なさを感じた日に、易々と寝られるはずはない。
アオイは剣術の本を読んでいる。
いや、使えないんじゃないの…?
私は魔術書を読んでみた。
ある程度文字は読める。猫でも使えそうではある…
「カミナ、そっちはどう?俺は…ってえぇ!?」
私に話しかけようとしたアオイが驚いている。
何があったのかと前を見ると…
床が燃えていた。
「!!!!!?????」
「ちょ、早く消火しないと…」
アオイがそう言う。
私は、水を生成するのを思い浮かべる。
魔法とは、イメージだそう。
自らの脳内のイメージを、現実にアウトプットする感じだそうだ。
今は、炎の魔法の章を読んでいたから、目の前に炎が生成され、床が燃えたのだろうか…?
とりあえず、水を生成するのをイメージしていたら、目の前に水が現れ、消火された…
「…カミナ、魔法の才能あるんじゃないか…?」
「………………」
まだネオンには届かないだろうけれど、これで少しでも助けることができたなら…
それなら、私の本望なんだけどな。
今回短くてごめぬ
毎日投稿大変
#021 必殺技とか欲しいかな 【転生したらうさぎでした。】
視点ネオン
ふかふかのベッドで、目が覚めた。
「…ここは…あ、宿を借りてたんだったっけか」
昨日の記憶が、どうも朧気だ。
たしか、|戦闘狂《スピカ・ヴェルナール》と戦ったんだっけ。
そして、宿に帰ってきて眠りについた、と。
「…?」
なんか床が焦げてる…
「…記憶にないだけで、私なにかやらかした…?」
とりあえず、まだ上手く使えない「空間」で焦げた部分を収納して、「創造」で新しい床を作り、張り替える。
こうして見ると、本当に便利なスキル持ってるよなぁ、私。
カミナとアオイ君はまだ眠ってるみたいだ。
でも、たしかギルマスは「今日は宿を借りていい」と言っていたはず…
すると、今日中にクエストをクリアして、夢のマイホームを手に入れなければ。
確か、ヴェノムサーペントとレイクアリゲーター、だったはず。
名前的に、毒を持つ蛇と湖のワニかな。
カミナとアオイ君は…起こしていこうか。
宿の人に聞いてみよう。
「すみません、今からクエスト行くんですけれど、ペットって宿に置いて行っても大丈夫ですか?」
「大丈夫ですよ。ただし、ペットのしつけはしっかりとしてくださいね」
まぁ、カミナとアオイ君なら大丈夫だろう。
寝ている二人の前に、「クエスト行ってきます」と書いた紙(この神は『創造』で私が創った紙だけど、この世界は紙が普通に売っている。転生物って紙が高級品のことが多いのに、なぜだろう?)を置いて、私はクエストに出かけた。
---
「ここが、ヴェノムサーペントの住む荒野…?」
ギルマスからもらった地図に示された、ヴェノムサーペントの生息地域は、見渡す限りの荒野だった。
この辺りを通る商人も多いらしく、ヴェノムサーペントが生息するようになってからは危険で、商売が成り立たないのだと。
アリシアからは離れていて、飛んできてもかなりの距離だったが、近くに大きな街でもあるのだろうか。
そんなことを私が考えているうちに…
「お、もうきた」
流石|巨星《ジャイアント》級。
縄張りを侵すものには敏感なのか。
「シャァァアアァァアッ」
そう鳴き声を上げながら、こちらへ向かってくるヴェノムサーペント。
オルトロスと同じくらいの強さらしいし、倒せるだろうが、ここは少し特訓をしたい。
私の。
まずは、新しく手に入れた…スキル?創造で作ったから、スキルとは言えないかもしれないが、「空間」の利用方法だ。
スピカは収納庫として使っていたり、重力を発生させたりしていた。
相手の肉体を抉り取ったりすることはできるのだろうか…?
「えいっ」
「空間」を相手の体の近くに発生させようとしたが、少し目標がずれて、近くにあった岩にクリーンヒットした。
かなり固そうな岩だったが、一瞬で削れた…
「これはなかなか、強いのかも…おっと」
飛翔中の私に届かないと見るや、毒を飛ばしてくるヴェノムサーペント。
どれだけの影響があるかが分からない以上、あまり食らいたくない。
「あっ。こういう時に『空間』の防御を…」
自分の前に「空間」を生成して、ヴェノムサーペントの毒を防ぐ。
こう見ると、「創造」も「空間」も万能なスキルだよな。
スピカが使ってた「重力」も使えるだろうか…?
重力なら、ある程度離れていても効くはず。
あっ、でも抉ったり重力で倒したら素材が取れないか…
どうしよう。
…もしかして「空間」って、生き物でも収納できる?
それなら…
私はヴェノムサーペントを「空間」に収納する。
そして、空間内の魔素・空気を0にすれば…
しばらく放置した後、「空間」からヴェノムサーペントを取り出すと、死んでいた。
その体は、生きていた時のように奇麗なまま。
「…これなら、魔物の素材を効率的に取れるのかな…?」
私はヴェノムサーペントの死体を手に取りながら、ふと考えた。
#022 最高威力の大爆破 【転生したらうさぎでした。】
私はヴェノムサーペントの討伐をした後、レイクアリゲーターの生息するという湖にやってきていた。
湖の水質は綺麗だ。
割と町からも近いらしいし、釣りとかをする人がいるのかな。
てか、私は水中に特攻できるのか…?
「空間」で自分の周囲を覆えばいいのか、空気の層を「創造」で作ればいいのか。
まあ死にたくはないし、両方使うか。念のため。
湖に潜る(水に触れてないのでそう言えるかは疑問だが)と、水が透き通っていて、遠くまで見渡すことができた。
「あ、あれがレイクアリゲーター…?」
視線の先には、10mはあろうかという、巨体のワニ。
それは、私を視認すると、超高速で突っ込んできた。
「!? 危なっ!」
念のため「空間」で自身を覆っていたので、その攻撃はこちらに届きはしなかったが、空間を展開していなかったら危険だったかもしれない。
私は、ヴェノムサーペントの時のように「空間」を生成して、レイクアリゲーターを捕えようとするが…
《《後ろから》》、衝撃を感じた。
「!?」
レイクアリゲーターは、魔法やスキルを使える類の魔物なのか!?
そう思って振り向くと…
そこには、目の前の「空間」で捕えようとしているレイクアリゲーターに、そっくりのワニがいた。
「|番《つがい》なのかよ…」
二体いるなんて聞いてないよ、ギルマス。
スピカは大量にブラックホールを生み出し、操っていたが、私の「空間」スキルは付け焼き刃で、二つ以上の「空間」を同時に生成するのは難しい。
つまり、片方を捕えようとするなら、防御ががら空きになる。
今、最初に襲い掛かってきた方のレイクアリゲーター…ワニAは「空間」内に捕えた。
だが、殺す方法が窒息死な以上、どうしても時間はかかる。
だから、ワニAが窒息死するまでの間、「空間」を使えず、水中という戦況で、ワニBと戦わなくてはいけない。
せめてもの防御として、凝縮した水の膜を周りに展開する。
ワニBはこちらに向かって特攻してくる。
水の膜は耐えてはいるが、破られそうで怖いな…
元世界で、檻に入ってサメの写真を撮ったりする人がいたことを思い出した。
あれ、すごく怖そうだなって思ってたけどほんとなんだな…
私はもしケガしても「創造」で治すことはできるけど、あの人たちはそんな簡単に治せないから、もっと怖いだろう。
まあ、こんなこと考えても無駄なだけか。
私はワニBに向き直る。
そういや、魔法系統は、完全能力で言うと「創造」と「変化」の間くらいに位置するらしい。
だから、私には|氷瀑慧魔槍《アイシクルランス》が使えたのか。
それなら…
私は、ワニBに向き直る。
これだと素材を得れないけど…
まあ、本来は多分一匹だし、ヴェノムサーペントとワニAの素材があれば家を買うのは足りるだろう。
これは、実験。
どれくらい、「創造」でいろんなことができるのかの。
私はワニBに向き直り———————
炎魔法を放つ。
ここは、水の中。
水の中で炎魔法を使っても、普通は消える。
そう、《《普通は》》。
完全能力「創造」の権能で威力が上げられた炎魔法ならば、それは消える前に、周囲の水を超高温にする。
水が高温になったら、もちろん気化する。
こんなに大量の水が、同時に気化したら、起こるのは…
水蒸気爆発だ。
日本で起きた水蒸気爆発には、死者477人を出し、地形を変えたものなどもある。
そんな爆発を間近で食らい、たかが|巨星《ジャイアント》級で耐えられる訳がない。
ルシフェルとかスピカとかの化け物には、防がれるか、効かないんだろうが、レイクアリゲーター程度なら充分に効く。
私は、今できる最高の硬度の防御を生成し、身を守ったが…
レイクアリゲーターは、跡形もなく砕け散っていた。
そして…
「…うわあ」
湖だった場所は、水は干上がり、地面は抉れ、恐ろしい状態になっていた。
「…どうしよ」
私のつぶやきを聞くものは、誰もいなかった。
#023 スピカの思索 【転生したらうさぎでした。】
旅行行くから22と23は予約投稿した
すごく大変だった
毎日投稿してる人尊敬(←何回言うんだよ)
旅行から帰ってきた!
ボカロ不足で死にそうです
たすけてください
(久しぶりに楽しめたかな)
冥界の道を歩きながら、スピカは考えた。
ずっと巡り合いたかった、自分と互角に戦える者の存在。
勿論、冥界にいる悪魔の中には、スピカに匹敵するほどの強者もいるにはいるのだが…悪魔同士の戦闘には飽きた。
何故なら、悪魔は基本魔法を使うからである。
悪魔は生まれながらにしてある程度の魔法を使うことができる。
スキルを持つものは少なく、魔法で戦う者が圧倒的に多い。
その魔法の精度は恐ろしく、魔物のランク付けで表すならば、悪魔は《《最低でも》》|巨星《ジャイアント》級、強者であればそれは測定不能となる。
だが、スピカからしたら「混沌」で魔法を使用不能にしてから「空間」で攻撃するだけで終わる雑魚なのだ。
中には「混沌」での妨害を意に介さぬ者もいるが、彼らは自由気ままなのでライバルとはなってくれない。
そんな中で、ネオンと出会ったのだ。
スピカは気づいていた。
最後のブラックホールの攻撃を防御したのは「空間」だということに。
自身がずっと使い続けたスキルだ、他者が使っていれば把握できる。
スキルを強奪したり複製したりする系統のスキルはあるにはあるが、ネオンはその系統ではないとスピカは予想した。
そして、ネオンのスキルは「創造」であることはスピカは見抜いている。
つまり、ネオンは「創造」で「空間」スキルを創ったのだ。
実は、「|完全能力《パーフェクトスキル》」には、とある大きな差がある。
それは…まがい物か、本家のスキルかだ。
本家…つまり、創造神のスキルのことである。
|完全能力《パーフェクトスキル》には、「創造」「破壊」「変化」「情報」「精神」「法則」がある。
「魔導」は、創造神ではない、人間や魔族、そして悪魔の手によって作られたスキルなので、ここでは省く。
神話によると、遠い昔、創造神は「創造」で世界を創り、「変化」にて多様性などを生み出し、「法則」で物理法則を始めとした、この世の法則を制定した。
「情報」と「精神」によりその全てを把握し、無駄なものは「破壊」で壊したという。
無論、「法則」以外のすべてを合わせることにより、「法則」スキルとなるという考えもある。その場合、この世のルールは…「創造」にて生成されたことになる。
まがい物の場合、「創造」スキルは物体を生成するもので、スキル等を生成することはできない。
だが…かつて創造神が持っていたオリジナルの「創造」の場合、それはかつて世界さえ創って見せた代物。
スキルを創るなど、朝飯前だろう。
だって、この世のルールさえ定めた可能性のあるスキルなのだから。
「空間」は法則属性ではあるが、創造系にも近い権能だ。
だから、「創造」で創れたのかもしれないが…
いずれにせよ、ネオンの持つ「創造」スキルは、神の持っていた所謂「オリジナル」の可能性があるということ。
それは、ネオンはいずれ、創造神と同等の権能を得る可能性があるわけで…
「…このワタシを慄かせるなんて、流石だね、ネオン」
スピカは、ネオンのスキルの恐ろしさに慄き…そして、嗤ったのだった。
#024 討伐達成報告 【転生したらうさぎでした。】
点.mp4聴いてるせいで…が変換で出てこなくてかなしい
水蒸気爆発を起こして、周囲の地形をまるごと抉り取ってしまった私は立ち尽くしていた。
終わった。
「創造」で生物系は創れないのに…
とりあえず抉れた地面を直す。
微生物とかは創れているのだろうか…
水は魔法で出す。
でも、湖の中にはたくさん動物がいたはずなんだよなあ。
どうしよう…
一回上空から俯瞰してみるか。
…うーん、地形は戻ってきたけど草木と動物はどうにも…
記憶を呼び起こしてみたが…
…あれ?
動物がいた記憶がない…
あ。
|アイツ等《レイクアリゲーター》が食い尽くしたのか…?
私は仮説を立てる。
1、魚などがいっぱいいる豊かな湖だった。
2、レイクアリゲーターが出現し、魚たちは食い尽くされる。
3、釣り人や環境保全団体?とかが駆除依頼を出す。
こういうことなのか…?
元から動物は食い尽くされていた。
…そういうことにしておこう。
そうじゃないと私同族殺したことになるし。
草木は肥料?的な物質を創造で創ってせめてもの償いを。
…よし。
誠に申し訳ございませんでした。
草木に謝罪してから、私はギルドへと向かった――――
「…驚いたな。傷がほとんど…いや、全く無い。一体どういう戦い方をしたんだ?」
「………」
ギルドマスターの追及を、笑顔で乗り切る。
「…魔物をこんなに簡単に倒すのに、前は何と戦ったんだよ…」
ギルドマスターはぶつぶつ呟いてる。
私が戦ったのは法則系統スキルを複数持つ戦闘狂です。
まあ、そんなこと言えないんだけどね…
「…確か、ネオンは家が買いたいんだったよな」
「ですね。1200万円…あっ、大金貨12枚の家です。今、大金貨を2枚持っています」
「それで、俺はこの討伐依頼で大金貨10枚に『多分行くと思うぞ』と言ったわけだが…」
ギルドマスターは一呼吸置いてから、続けた。
「前言撤回だ。余裕で行く、どころかこの素材の状態の良さ、大金貨30枚は出る」
「…え?」
あいつ等、3000万も価値あるの?
「…そんなに?」
「ああ。元々魔物の強靭さに加え、この素材の状態。30枚じゃ少ないくらいだな」
「えぇ…」
絶対空間と創造はチート。
そしてスピカはもっとチート。
これは譲れない。
「普段は傷ついた所以外を卸すんだが…これは貴族がこぞって買いたがるだろう」
「…貴族ですか?」
「アイツ等は目立ちたがりだからな。こんなに状態の良い|巨星《ジャイアント》級の魔物の剥製なんか、持ってる貴族は誰もいねぇ。いや、国王陛下だって持っていないだろうさ。そんなものを手に入れたとなったら、一躍有名になる」
「…それって私も?」
「そりゃあそうだ。どうやって戦ったのかとか、いろいろ聞かれるし、有名になるだろう」
「うっ」
そんなに目立ちたくない。
「場合によっちゃあ、王族が欲しがるかもな。その場合、ネオンも王宮に呼ばれるかも…」
「無理です。なんとか断ってください」
「国王陛下の誘いを断るだぁ、無茶を言うなぁ…まあ、仮定の話だ。ここで、俺から提案がある。確か、ネオンは|輝星《ブライトスター》級だったよな」
「ですね」
忘れてる人のために乗せると、冒険者のランクには上から、
|極星《ポラリス》・|超新星《スーパーノヴァ》・|一等星《ファーストスター》・|巨星《ジャイアントスター》・|輝星《ブライトスター》・|鈍星《マットスター》・|微星《ベーススター》がある。
「俺には、懇意にして頂いている貴族がいるんだが、そいつに掛け合ってみよう。場合によっちゃあ、アイツから国王陛下に掛け合ってもらえるだろうさ」
「それは…ありがとうございます」
「…だが、そうするとなると避けられないものがある」
「…なんですか?」
「ネオンが、|一等星《ファーストスター》になることだ」
「…は?」
ネオン→私
スピカ→ワタシ
ゾンビでの光さん→わたし
変換が大渋滞してる
#025 絶対に間違ってます 【転生したらうさぎでした。】
「…なんで…?」
「こんな腕の冒険者が|輝星《ブライトスター》級となると、国王陛下やお貴族様の|面目《メンツ》が立たないからさ。国はこんな腕前の冒険者がいるって知ったら、一目散にランクを上げようとする」
「えぇ…あ、でもギルマスも|一等星《ファーストスター》でしたよね。なら、そんなに目立つわけじゃないんですか?」
「ネオン、俺が目立たないって言ってる?」
「イッテマセン」
「…そもそも俺は引退してる。|一等星《ファーストスター》ってのは『元』|一等星《ファーストスター》ってことだ。それに、目立ってないわけじゃねえ。ネオンが知らないだけで、さっき言ったような貴族との付き合いとかもあるし、俺に会うためにアリシアまで来る冒険者もいる」
「うわ、めっちゃ目立ってる」
「そんな|一等星《ファーストスター》に、昨日冒険者登録したばかりのネオンがなるんだ。目立たないわけが…って、ネオンって昨日冒険者登録したばかりじゃん」
「…」
「…なんでこんなに強いんだよ…まあ、それは言えないこともあるのは知ってるが」
「融通利くのはありがたいです」
「…まあ、目立つのは覚悟しとけよって話だ。あと、さっき俺は、知り合いの貴族に、国王陛下に掛け合ってもらうって話をしただろ?」
「はい」
「そうすると、国王陛下への謁見はしなくて良くなるかもしれないが。その貴族と会わないといけなくなる」
「えっ」
「国としては、その冒険者がどんな人物かも見極めたいからな。国の中枢にいる人物との謁見は避けられない…まあ、アイツはいい奴だし、大丈夫だと思うが」
「…まあ、会わなきゃいけないのなら…」
「まあ、頑張ってくれ。あと、関係各所への手続きを済ませてくるから、支払いは待ってくれ。でも、家は報酬として渡しておく」
………!?
「えっ、家はもうもらえるんですか!?」
「あぁ。アリシア辺境の17LDKだろ?」
「…17LDK?」
確か、7LDKって聞いていた気がするが…
「…そういや、あの書類には間違いがあったんだが、大丈夫…か…?」
「そんなに豪邸…?」
はい目立つの確定。
もう目立たないようにするのは諦めたほうがいいか…|一等星《ファーストスター》にもなるし…
どうするんだ、お手伝いさんとか雇ったほうがいいのか?
「一応場所はここだ」
そう言ってギルマスは地図を見せてくれる。
「…エーテリア?」
その家があったのは、エーテリア・フォレストのすぐ近く。
私が異世界転生してから育ってきた「森」のすぐ隣だった。
#026 久しぶりの再会、悲しい事実 【転生したらうさぎでした。】
ギルドマスターから新居(仮)への地図をもらい、カミナとアオイ君を宿に迎えに行った。
なんかまた床焦げてるんだけど。
キミ達何してるの?
あとなんか濡れてるんだけど。
消火?
消火した?
「空間」で切り取って、「創造」で創ったけど。
何してるの?
まあ、話はあとで聞かせてもらおう。
一応言っておくけどここ高級宿だからね?
チェックアウト?みたいなことをして、私達は「森」へと向かった。
---
久しぶりに来た森は、魔王軍に襲撃された後よりはずいぶん修復されていた。
「ネオン!元気だった?」
私に声をかけてくれたのは、姉のアクア。
後ろの方にはフレアとアスカもいて、こちらに手を振ってくれた。
四足歩行なのに大変そう。
「私達と皆で、森を修復してたんだよ」
アクアが説明してくれる。
まだ襲撃前と同じとはいかないが、この短期間で修繕したにしては早いスピードだ。
「それで、ネオンはどうして森に…?」
アスカに聞かれる。
「活動拠点として、自分の家を持とうと思ったんだ。その家がこの近くだったから、顔を見せに行こうと寄ったの」
「なるほどね」
アクアとアスカが納得したような顔をする。
「そうだ、ネオン。せっかく来たんだし、長老に会っていけば?」
フレアがそう提案する。
姉弟の皆は、私が長老の元で魔法を習っていたことを知っている。
「うん。そうするよ」
カミナとアオイ君は、他の皆に顔を見せに行くらしい。
私は一人で、長老の元へと向かった。
---
「長老。いる?」
長老は、「森」の大樹の近くにいる。
森が出来た当初からあると言われている、この森で一番大きな木。
長老はその大樹の傍にひっそりと建っている、小さな小屋に住んでいるのだ。
小さな小屋と言っても、地下室とかがあるらしいので、見た目通りの広さではないらしいが…
そこに何があるのか、そもそも地下室はあるのかすら、長老しか知らない事実なのである。
「…ネオン。久しぶりだな」
長老は、前に出会ったときと殆ど変わらない様子で私を出迎えてくれた。
「久しぶり。このあたりに家を買うことになったから、顔を見せに来たよ」
「そうか。…旅は順調か?」
「旅」というのは、魔王討伐の旅のことだろう。
「うーん…着々と進んではいるかな」
「そうか。それならよかった。…次会えるかは分からないから、ネオンに渡したいものがある」
「…渡したいもの?それに、次会えるか分からないって…」
「…儂は、もうすぐ死ぬ」
突然の長老の言葉に、理解が追いつかなかった。
#027 ✕✕✕の人生・上 【転生したらうさぎでした。】
「…死ぬ?なんで…」
「これまで生きてきたのがおかしいだけだよ。象の寿命は、平均60~70歳程度らしい。儂は正確には覚えていないが、100年以上生きている。免疫の機能も落ちてきておったしな」
「…そんな。なんとかできないの…?」
「無理じゃな。これは病気や怪我ではなく、寿命…生命のルールによるものじゃ。さっきも言った通り、ここまで生きてきたのが、異常なんじゃ」
「………」
ネオンにとっては、魔法を教えてもらった師匠のようなものである。
森の皆からも慕われている長老が、死んでしまうのだけは嫌だった。
「万物は死ぬ。これは当然のことじゃ。だから、どうにかしてその生に意味を持たせることこそが重要なんじゃ。儂も長く生きてきたが、意味を持たせるのは今だと思っている」
長老は、一呼吸置いてから続けた。
「ネオン…少し、話をしよう。儂の話を」
そうして、長老は語り始めた。
彼の、人生を。
---
長老は、とある草原地帯に生まれた。
この時はまだ子供だが、名前は持っていなかったので便宜的に「長老」と呼ぶ。
長老の生まれた草原地帯は、前世風に言うなら「サバンナ」だろうか。
この世界は植物や地形も前世の世界とは違うものが多いため、絶対にそうとは言い切れない。
ともかく、長老は草原地帯へと、仲間と共に生まれたのだ。
生まれた時はちょうど雨季だったため、水には不自由せずに済んだ。
だが、油断してはならない。
この世界は、弱肉強食。
肉食獣も襲ってくるし、魔物だって襲ってくる。
長老の生まれた群れはなかなか大きく、強大な群れだったのでそういった脅威を退けたり、事前に気づき対策をすることもできたが、時折仲間が犠牲になることもあった。
群れの仲間は「弱肉強食だから」で済ませていたが、長老はどうしても違和感が拭えなかった。
全体を逃がすために一人を生贄にする。
合理的に考えれば正しいのかも知れないが、長老はそれに頷くことはできなかった。
だが、動物というのは非常に残酷なものである。
無邪気な故の、残酷さ。
シャチは獲物を弄ぶように狩りをしたり、目的もなく小イルカを集団でつつきまわして死に至らせるなどという残酷な行動を取ることがあるらしい。
その群れの仲間…元仲間は、自分達と違う考えの長老を良しとはしなかったらしい。
水や食料を分けてもらえなかったり、移動する際にまだ子供だった長老が着いていくのが難しいほどの速度で移動したりなど。
人間もそうだが、生物というのは自分と違うものを嫌悪して、排除したがる傾向がある。
それでも、長老は群れにいた。
季節は乾季へと移り変わる直前であり、子供の象一匹では弱肉強食のサバンナを生き抜くことはできない。
それも理解して、群れは長老をいじめたのかもしれないが。
だが、すべての物事には飽きが来るものらしい。
とある朝、長老が起きると…
群れはいなかった。
しばらく探し回ったが見つからなかったので、恐らく群れは自分を置いていったのだなと長老は理解した。
いずれ、そうなる予感はしていた。
だが、子象一匹、乾季のサバンナを生き抜くことはできない。
見つかる食料はどれも誰かの食べ残し。
それでもないよりはマシだったが、肉食獣も襲いかかってくる。
一匹の子象、肉食獣にとっては格好の獲物だ。
それでも長老はどうにか隠れたり、どうしようもないときは走って逃げたりした。
それでも、限界はある。
栄養失調、過度な疲れ。
長老は死にかけていた。
サバンナには珍しい小さな洞穴で、肉食獣に見つからないように隠れていた。
もう、逃げる気力もない。
周りには食べられそうな植物はないし、あったとしても体力がなくて辿り着くまでに力尽きるだろう。
長老は、死を覚悟した―――――
「なんだお前。死にかけてるじゃねえか。ほら、飯食うか?」
彼との出会いで、長老の人生は進み始める。
ご存じの通り、長老は象なので人間ではないんですが、そのうえであえて「人生」という言葉を使わせていただきました。
✕✕✕の人生・下に続く。
#028 ✕✕✕の人生・中 【転生したらうさぎでした。】
「なんだお前。死にかけてるじゃねえか。ほら、飯食うか?」
そう長老に声をかけたのは、20代くらいの青年だった。
青年は、肩に提げていた鞄から野菜を取り出し、長老に渡した。
「よかったよかった、途中で立ち寄った村で野菜をもらっておいて」
そう青年は笑い、自身も野菜を丸かじりする。
長老は、受け取った野菜を少し見つめた後、食べた。
毒が盛られている可能性も考えたが、そんなことをする理由がないというのが第一だった。
長老は空腹だったので、渡された野菜は一瞬で食べ終えてしまった。
「お、もう食べ終わったのか。だいぶ腹が減ってたんだな」
そういって青年は、また野菜を取り出す。
だが、見た感じ青年の鞄にはもうほとんど入っていないようだが…
長老が青年を見つめていると、青年は呆けた顔をして、笑った。
「いいよいいよ。困ってる人がいたら、助けないと…いや、困ってる象か?」
そう言って青年は考え込む。
「うーん。まあいいや。そういや、自己紹介もまだだったな。俺はアルト。しがないソロの冒険者さ。お前は…って、そういや話せないか」
アルトは少し考えた後、言った。
「お前、名前はあるか?」
長老は首を横に振る。
「お、俺の言葉が分かってるのか!?頭がいいな!」
アルトは長老の頭をわしゃわしゃと撫でた。
長老は頭が良かった。
弱肉強食に異を唱える思考力。
動物の世界では、類まれなるものだった。
それでも、群れには見捨てられてしまったわけだが。
「うーん、でもそうかないのか…あ、そうだ。俺の名前からちょっと流用して…お前の名前、『アルヴィス』はどうだ?」
アルトはそう提案した。
長老…いや、アルヴィスは頷いた。
「お、気に入ってくれたか?それはよかった!」
アルトは嬉しそうにする。
その瞬間、アルヴィスの魂に、確かな「絆」が出来た。
群れの仲間に虐げられ、死にゆく運命だったアルヴィスを救ったアルト。
彼との、確かな繋がりが。
「でもアルヴィスはまだ子供だし、この草原で生きるのは厳しいよな。俺が野菜をあげても、いつかはなくなるわけだし。…そうだアルヴィス、俺と来ないか?」
その瞬間、アルヴィスは頷いた。
アルトは冒険者。
そんなアルトと共に行くのは、険しい道のりとなるだろう。
だが、それでもよかった。
群れの仲間にはできなかった、信頼。
確かな繋がり、そして…家族。
アルヴィスは、アルトと共に往くことを選んだ。
「おお!それはよかった、断られたらどうしようと思ってたんだ」
アルトも喜び、アルヴィスはより幸せになった。
それは、アルヴィスが生まれてから初めて感じた気持ちであった。
ごめんなさい、下に続くとか言ったのに中編入っちゃいました。
今度こそ終わります。 ✕✕✕の人生・下に続く。
#029 ✕✕✕の人生・下 【転生したらうさぎでした。】
アルトは、随分と優しい性格のようだった。
困っている人がいたら放っておけず、助けてしまう。
彼の善性はお金や名誉などから来ているものではなく、彼の生来の性格のようだった。
まあ、アルトは優しいのだろう。
見ず知らずの象であるアルヴィスに、自身の貴重な食料を分けたのだから。
結局、草原を抜けるのには一週間ほどかかった。
なんとか食料が尽きる前に草原を脱出できたが、自分に野菜を渡していなければもっと楽だったのでは?と思うこともあった。
だがそんなことを考えていると顔に出ているようで、アルトに「気にしなくていい」といつも言われた。
草原を抜けると街があった。
どうやら城塞都市のようで、城壁の前にはたくさんの騎士が並んでいる。
アルトは騎士に挨拶をしていたので、どうやら顔見知りなんだろう。
そして都市に入った。
アルヴィスにとっては初めて見るものばかりで、心が躍った。
どうやらアルトの家はこの都市にあるようで、アルトは家へとアルヴィスを案内してくれた。
それから、アルトに様々なことを学んだ。
人間の|規則《ルール》。
生活習慣や文明。
言語や計算なども学んだ。
それらができたのは、アルトとアルヴィスの間に「絆」があったからだろうか。
そしてアルトから学んだのは、魔物について。
冒険者という職業柄だろうか、アルトは実にたくさんの魔物に関する知識を持っていた。
そのおかげでアルヴィスはある程度戦うことができるようになり、アルヴィスはアルトの力になれることが誇らしくもあった。
だが、全ての生物は死ぬ。
初めて会ったときに青年だったアルト、子供だったアルヴィス。
象の寿命は長く、人間に匹敵するほど。
アルヴィスは、アルトを看取った。
死因は、魔物との戦闘。
アルトはその魔物と戦うときにアルヴィスを呼ばなかった。
どうやら、アルトはその戦いで自身が死ぬことを予期していたらしい。
アルヴィスは泣いた。
ずっと自分に寄り添ってくれていた唯一の人間が、死んだのだ。
群れの仲間から置いて行かれた時よりも、何十倍、何百倍も悲しかった。
暫くアルトの部屋で呆然としていると、人が来た。
どうやらアルトは自身が死んだら遺品など処理することを事前に業者に頼んでいたらしい。
アルトは優しいだけではなく、聡明なのだ。
その中で、アルヴィスは本をもらった。
生前のアルトとよく本を読んでいたからだろうか。
彼の知識の原点は本。
その本があれば、彼の知識を後世へと残すことができる。
アルヴィスは本を受け取り、森…エーテリア・フォレストへと向かった。
アルヴィスには、夢があった。
誰も排除されない、動物の世界を作ること。
自身は群れで独りだった。
誰ももう、そんな思いをしなくてもいいように。
エーテリアフォレストに行き、アルヴィスはアルトから得た知識と「本」で、小さな村を作った。
その森は、たくさんの動物が暮らす森だった。
始めはアルヴィスに反発するものもいたが、彼の知識量を知ると、誰もが敬うようになり、森の中で「長老」と呼ばれるようになった。
彼は、アルヴィスという名前を名乗らなかった。
彼は目立つことを嫌ったからだ。
アルトとアルヴィスのコンビは巷でも有名になっており、アルヴィスの象とは思えないほどの聡明さも話題になっていた。
自身の存在が明るみに出れば必ず悪用しようとするものが出るし、この森を人類の脅威と考えるものも少なからずいるだろう。
彼はそれをよく思わなかった。
アルトからもらった大切な名前だったが、アルトはそれのせいでアルヴィスが苦しむことは望まないだろうと考えたからだ。
森で彼は「長老」と呼ばれ、自身でもそう名乗るようになり、そして森は繁栄した。
動物とは思えないほどの生活。建造物。
全て、彼の知識の賜物だ。
アルトさんのことは覚えておいてあげてください。
これにて✕✕✕の人生終了、次回からは普通に転うさやっていきます。
30を区切りにしたかったんだよなあ。
#030 つなぐおもい、わたしたいもの 【転生したらうさぎでした。】
長老…アルヴィスは、自身の半生を語り終えると、床をいじり始めた。
一応便宜的に長老と呼ぶことにする。
「…?」
わけがわからない私を置き去りに、長老は操作を進める。
長老が最後の操作を終えると、床が動き、地下への階段が出現した。
「長老…これ…」
「ああ。地下への階段じゃよ」
彼はそう言って、階段を下りていく。
私もそれについていくと、そこにあったのは大きな書庫。
壁全部が、本で埋まっている。
「アルトは読書家だったのじゃ。だから儂はこれをもらった。これは云わば彼の遺品じゃ」
そう言って、長老は一冊の本を手に取る。
「例えば、この本は魔物について書いておる。冒険者だったアルトは、よく読んでおった。愛読書のようなものじゃ」
長老は懐かしそうに本を開いた。
そして少しの間読んだ後閉じ、本棚にしまう。
「これを、ネオン…いや、ネオン達に渡す」
「…え!?長老、いいの…?」
「ああ。この本棚で誰にも読まれず埃をかぶっているよりも、魔王討伐を成し遂げようとしているネオン達に渡った方がいいじゃろう。それをアルトも望むはずじゃ。なぜならアルトは…いや、言いすぎたな」
長老は意味深なことを言い残す。
「それで…その本を、私達に…?」
「ああ。魔物の生態や星魔大陸のこと、それに人間社会のこともネオン達が生活していく中では助かるじゃろう。それで、運ぶ手段は…」
「あ、大丈夫です」
私は「空間」を展開し、本を全て亜空間に収納する。
「なんと…この短期間でまた恐ろしいスキルを手に入れたようじゃ」
長老は慄く。
「…長老と、アルトさんから託されたこの本で、私、頑張るよ」
私は決意を固める。
「それならよかった。儂だけではなく、森の皆が魔王討伐を応援している。ネオン、頑張るんじゃぞ」
長老が私を応援してくれた。
私は、こう返す。
「うん。行ってきます!」
---
ネオンを見送り、長老は考える。
(魔王討伐か…並の者なら夢物語と笑うじゃろうが、ネオンなら…)
あの異常なスキル。
異常な成長速度。
彼女ならば…………………
いや、ただの願望か。
でも。魔王討伐を、ネオンには成し遂げてもらいたい。
アルヴィスはそう願う。
それは本心からの願いでもあり、それを成し遂げられなかった者の想いでもあった。
こんにちは、沙月です。
それにしても、転うさ遂に30話到達しましたね。
投稿遅れてしまったのは、この話を推敲していたからです。
この話は、ネオンにとって一つの区切りみたいな感じにしようとしていました。
なので、生半可な状態では投稿することはできませんでした。
一応、これを書いている間に33話まで書き進めたので、投稿頻度は上がると思います。
ここまで読んでくれた皆さんに、感謝を。
これからもご愛読してくださると幸いです。
#031 悪魔達の狂宴 【転生したらうさぎでした。】
ネオンがアルヴィスから「本」を受け取っていたころ。
星魔大陸のとある一帯を、未曾有の災害が襲っていた。
災害とは言っても、実際に天災が襲ってくるわけではない。
人災…いや人間ではないのだが、生物の手によって起こされた災害。
彼らは人間ではない。
そう、悪魔である。
「|悪魔達の狂宴《ザ・デーモンズ・フィースト》」と呼ばれる、数十年に一度巻き起こる、大量の悪魔の襲来。
それらは宇宙のとある彗星が地球に近づくことにより、冥界と現世の境界が歪められ、下級悪魔でも簡単に、そして長く現世にいられることになることにより起こる現象である。
スピカのような強者は冥界と現世を時間制限はあれど自由気ままに移動しているが、普通の悪魔はそうもいかない。
界を渡るには、それ相応のエネルギーが必要なのである。
だから、数十年に一度起こる彗星の接近、それにより起こる境界の歪曲は、悪魔達にとって願ってもないイベントなのだ。
そして、今回の「悪魔達の狂宴」は、少し特殊だった。
普段は自由気ままに殺戮、破壊を愉しむ彼らだが、今回は明確な指揮系統がある。
下級悪魔が数十体。
上級悪魔は数体。
なお、魔物の等級に直すと、下級悪魔は|巨星《ジャイアント》級、上級悪魔は|主星《プライマリー》となる。
いくら星魔大陸とはいえ、これは多すぎ、強すぎ、恐ろしすぎる大軍勢だ。
しかも、今回の|悪魔の狂宴《ザ・デーモン・フィースト》は、それだけではなかった。
最低でも|崩星《ノヴァ》級の強さがある、二人の最上級悪魔が襲来したのだ。
これは異例なことであり、過去数百年間確認されていない事象である。
実は星魔大陸にも国のような存在はある。
ネオン達がいる大陸の国よりそれらは遥かに強大で、もし星魔大陸の国家と戦争でもしようものなら木っ端微塵に玉砕されることになるだろう。
だが、それらの強大な国々でさえも存亡の危機に陥るほどの脅威。
今回の「悪魔達の狂宴」がどれほど恐ろしいか分かってもらえたであろうか。
だが、それに対抗しようとするものがいた。
そう、魔王直属幹部「北斗七星」だ。
---
「いくら魔王様からの緊急命令だからといって、俺等が参戦する必要ってあるのか?『悪魔達の狂宴』だぞ?」
そう愚痴るのは、七星筆頭ルシフェル。
「正直アイツ等は明確に俺達と敵対してるわけでもないんだし、そんな戦う必要はないよな」
それに対し反論するのは、同じく七星のリオグランデである。
彼はまるで優しい青年と言った風貌である。
黒髪も、茶色の目もまるで人外とは思えない。
しかも高身長である。cmに直すなら178cmくらいだろうか。
カジュアルなコーデを格好良く着こなす姿は、普通の青年のようである。
「いや、僕達には出撃する意味があるよ。奴等は自由気ままに破壊を愉しむ。魔王様は、自身の庭のようなものである星魔大陸を破壊されるのを好まないのさ。それに、今は敵対していないが、いずれ敵対する可能性は十分にあるしね」
「私も同意見ですかねぇ。ただでさえ、北斗七星っていうのは命令がなかなかないんですよぉ。あまりに強すぎますからねぇ。そんな制圧戦なんてなかなかないし。フェルさんは前出かけてましたけど、あれも命令じゃないんでしょう?たまに動くぐらいなら、私は全然いいですけどねぇ」
のんびりと、間延びした口調で答えるのは七星のミンファ。
彼女は明るく、オレンジっぽい茶髪の少女のような風貌をしている。
目の色は分からない。彼女は糸目だからだ。
形状的に、垂れ目っぽいことは分かるが…
身長としては、ネオンより少し高いくらいか。
「そういえばぁ、フェルさんって傷、治ったんですかぁ?」
ミンファの言う傷とは、ネオンによって付けられた、肩口の傷である。
「ああ、カノンに治してもらった」
「それならよかったですぅ。ていうか、私、リオさん、それにフェルさんって、七星を3人も投入する必要があるのかが、私にはわかりませんけどねぇ」
「何度も言ってるけど、僕のことをリオって略すのはやめてくれないかな」
ルシフェルは半ば諦めているので、ミンファに対し何も言わない。
「だって、長いんですもんリオグランデって」
「俺様もいるぞ、忘れてもらっちゃ困るな」
そうミンファに対し言ったのは、七星のデドレノフだ。
彼は筋骨隆々の大男である。
高身長なリオグランデよりも更に高く、2mを超えると思われる。
「あぁ、いたんですかぁ。でも、おかしいですねぇ。デドさんもいるなら、七星が4人も集まっていることになりますよぉ。『悪魔達の狂宴』に、ここまで人員を投入する必要はあるのでしょうか?」
「いたんですかって酷くね?」
「確かに、それはおかしいよね。正直、普通の『悪魔達の狂宴』なら、ルシフェル君だけで事足りるんだ。僕の情報網にも、なんせ別の世界のことだから、ほとんど情報は入ってないんだけど…嫌な予感がするね」
「嫌な予感っていうのは、ワタシのことかな?」
「「「「!?」」」」
七星が4人も集まっていて、誰にも気配を気取られることなくここまで近づいた者。
その時点で異常である。
だがその存在に慄くことなくルシフェルは一番早く反応し、その存在に手を伸ばして「破壊」を発動しようとするが…
その瞬間。
腕が、なくなった。
「…は?」
呆然とするルシフェル。
「初めまして。ワタシは悪魔。スピカ・ヴェルナール。キミ達が、ワタシと遊んでくれるのかな?」
彼女は「悪魔達の狂宴」に参戦した最上級悪魔の一人、スピカ・ヴェルナール。
彼女ほどの悪魔が「悪魔達の狂宴」に参戦してくるというのは、非常に異様なことだった。
そもそも「悪魔達の狂宴」というのは、普段現世に出ることができずに燻っている悪魔達が集結し、世界の歪曲を狙って現世に現れるためのイベントである。
スピカほどの悪魔であれば、普段でも現世に出ることができるというのに。
(久しぶりに、ワタシも戦いが楽しいと感じちゃったね…ネオン、キミは今どうしてるの?)
スピカと戦い、生き残った者の事を思い浮かべるスピカ。
彼女に相対するは、魔王軍直属幹部「北斗七星」。
決戦の火蓋が、落とされようとしていた。
#032 狂宴開戦 【転生したらうさぎでした。】
ルシフェルは察知した。
目の前の存在が、自身より強いことを。
だから、素早く指示を出す。
「リオグランデ、デドレノフ!お前等は下級悪魔共の始末に向かえ!ミンファ、お前は俺とこの悪魔を倒す!」
「おう、分かった」
「了解です」
「分かりましたぁ」
3人がそれぞれの答えを返し、戦場に散る。
目の前の悪魔だけに構ってはいられない。
まだ数十体の下級悪魔と、数体の上級悪魔がいるからだ。
リオグランデとデドレノフはそれらの排除に走る。
「へぇ。キミ達がワタシと遊んでくれるの?」
「ああ。お望みの通り、遊んでやるよ」
スピカの問いにルシフェルが答える。
「きゃはっ」
スピカはそう嗤った後、数個のブラックホールを自身の周りに生成する。
ルシフェルは「破壊」にて、ブラックホールの破壊を試みる。
そして、それは成功した。
これには、流石のスピカも驚く。
「へぇ、『空間』を壊せるんだ。いや…ネオンも『空間』を創ってたし、おかしくはないか」
いや、おかしい。
スピカの作るブラックホールは、「空間」にて空間を歪め、高密度の空間を作り出すことによりブラックホールを生み出している。
正直、「創造」とか「破壊」で何とかなるものではないのだが…
「まあ、完全能力だしね」
スキル関連のこの世の不条理は「まあ完全能力だから」で8割が片づけられるそうである。
そして、ルシフェルが反応したのは別の部分だった。
「…ネオン…?お前、ネオンの知り合いか?」
「あ、そうだったね。キミも、ネオンのライバルなんだっけか」
「その言い方だと、お前もなのか…?」
「うん。魔王直属幹部のキミと互角に戦いあったネオンに、興味が湧いてね。久しぶりに、現世に来てるんだよ」
「俺達にとっちゃあ、いい迷惑なんだがな…」
この雑談をしながらも、彼らは戦いあっている。
スピカがブラックホールを放ち、ルシフェルがそれを破壊する。
その繰り返しだ。
「だがよ、そんなに俺に集中してていいのかい?」
ルシフェルがそう言って、スピカは一つの事を思い出す。
そう、この場にいるのはルシフェルとスピカだけではない。
「私もいますよぉ。忘れないでくださいねぇ」
そう間延びした声で言ったミンファ。
その手にはフライパンのようなものが握られており、それによってスピカの下半身は粉砕されたのであった。
---
(フェルさんと互角…いやそれ以上にに戦っているのも驚きですが…全く隙が無いですねぇ…)
ミンファは苦悩していた。
ルシフェルと、目の前の悪魔、スピカと戦うと決めたのはいい。
そのあと潜伏していたのもいい。
だが、隙が全く無い。
(フェルさんクラスと戦って、それでいてまだ周りに気を配っている…これは、勝てるか怪しいですねぇ…今いる七星、フェルさん、デドさん、リオさん、それに私で戦っても、絶対に勝てるとは言い切れません)
本来、星魔大陸基準にしたとしても、ミンファ達七星は強者なのだ。
それでいて、ここまで苦戦するほどの強敵。
だが、ミンファは諦めない。
ここで諦めるようでは、七星は務まらない。
ずっと、隙を狙っていた。
---
そして、今。
待ち続けたミンファの努力の甲斐あり、スピカの下半身は粉砕されていた。
だが体を半分粉砕されたスピカは、激昂するでもなく、絶望するでもなく、嗤っていた。
「へぇ、ここまでやるんだ。現世だからと言って、舐めていたね」
スピカは再生系の権能を持ってはいるが、そこまで回復が早いわけではない。
だから、このタイミングでルシフェルとミンファから追撃されたら負ける…
というわけでもない。
『ルシフェル、ミンファ!今すぐそこから逃げろ!』
いつも冷静なリオグランデからの、焦った通信。
しかも、端的な。
それを信用しないほど愚かな二人ではない。
すぐさま自身のいた場所から数十メートル退がる。
そして、その判断は正解だった。
大地が、消えたのだ。
ネオンは水蒸気爆発により湖を干上がらせ抉ったが、それとは比較できないほどのエネルギー。
土煙が立ち昇り、ルシフェルとミンファは現状を把握することができない。
そこに、リオグランデからの通信が入る。
『二人とも、生きてる?今回の悪魔達の狂宴は、やはり比べ物にならないほど強大な戦力だった。だって、公爵級が二体もいるんだから』
『『!?』』
悪魔の強さは、五等爵で表されることが多い。
上から、公爵、侯爵、伯爵、子爵、男爵である。
公爵級というのは悪魔達の中でも最上位の位なのだ。
強さ的に、先ほど戦っていたスピカは公爵で間違いない。
《《それが、もう一体いる。》》
「ねぇ、これボク来る必要あった?…えっスピカが両断されてる」
「お、ジュールじゃん。現世の人たちもなかなか捨てたもんじゃないよ?」
彼女の名は、ジュール・ニュークレア。
スピカと並ぶ強さを誇る、公爵級の悪魔である。
ちなみに、
公爵と一部の侯爵が最上級
通常の侯爵と伯爵、一部の子爵が上級
通常子爵と男爵が下級悪魔のイメージで書いてます
#033 公爵悪魔 【転生したらうさぎでした。】
土煙の中から現れた、もう一体の公爵級の悪魔。
彼女の名は、ジュール・ニュークレアという。
ショートヘアに切り揃えられた金髪は、眩いほどの輝きを放っている。
ぱっと見は細身の少女といった様子で、身長もネオンより低いだろう。
だが、彼女を侮ってはいけない。
彼女は、スピカと同レベルの公爵級の悪魔なのだから。
---
「いやあ、ワタシも油断しちゃったな」
そう言ってスピカは笑うが、下半身がない人型の生き物が嗤っているのは普通に怖い。
「いや、そもそもスピカ『混沌』使ってないでしょ。前々から思ってたんだけど、自分の力をセーブするのってなんの意味があるの?縛りプレイ?」
「全力出したらつまらないじゃん。縛りプレイだね」
「はあ…ボクには理解できないよ」
そう言って、ジュールは肩をすくめる。
「でも、そう言って今回の|悪魔達の狂宴《ザ・デーモンズ・フィースト》に、ジュールも来てるじゃん。それがワタシには不思議だね。あんなに現世には興味無さそうだったのに」
「…スピカが興味を惹かれてるとなったら、いくらボクでも気になるよ」
「ははっ、そうかもね。それで、このタイミングで来たのには意味があるの?」
「正直、ボクは現世に来ただけで何もしないで帰ろうと思ってたんだよ。でも、スピカがなんか両断されててウケるってなったから見に来ただけさ」
「あまりに酷い言い草だね」
彼女らは雑談をしているが、今スピカには下半身がない。
「そういえば、その身体はどうするの?持って帰るの嫌だよボク」
「直してくれたっていいんだよ?ジュール、再生系能力持ってたじゃん」
「えぇ…結局ボク頼りですか。まあいいけどね。下半身粉砕されたスピカっていう、いいもの見れたし。悪魔達の中でも見てる人いないでしょ」
「ワタシの負傷が料金かぁ」
スピカは笑うが、下半身粉砕された状態で笑うことができるのはスピカだけだろう。
ジュールがスピカに触れ、持ち上げると、あっという間に下半身が修復されていく。
「やっぱり便利だねその能力。ワタシも欲しい」
「スピカなら本当に取りかねないから怖いんだけどなぁ…」
その瞬間、状況が動いた。
ルシフェルとミンファが、スピカとジュールを奇襲したのだ。
ルシフェルは「破壊」で、ミンファはフライパンで。
ルシフェルの「破壊」は手で触れて発動することにより、能力の指向性や威力を上げることができる。
今、その手を片方失っているため、攻撃力は半減だが、その闘志は失われていない。
ミンファの持つフライパンは、スピカの下半身を粉砕したものである。
一度公爵級の半身を粉砕した武器、実績があるため今回の攻撃にはぴったりだろう。
…彼らの攻撃が効かなかったのは、決して彼らの力不足ではないわけだ。
「今ボクとスピカが話してる途中なんだ。邪魔しないでくれる?」
ジュールの能力により張られた壁が、彼らを阻んだ。
そして、その壁は爆発した。
「ぐっ…!」
「うぅっ…」
ルシフェルもミンファも、この攻撃を回避するには至らず、ダメージを負ってしまう。
「くっ…俺達の攻撃を阻むほどの防壁…流石は公爵級、一筋縄ではいかないか。防御手段が分からない以上、手の出しようが…」
「大丈夫ですぅ。料理っていうのは情報ですからねぇ、大体解析できましたぁ」
「…えっ?解析できたの?」
思わず素で話してしまうルシフェル。
「はいぃ。この防御壁は、魔素を凝縮して作られたもののようですねぇ。私達が作るそれより遥かに硬いので、多分スキルの権能なのでしょう」
「へ、へぇ…すごいね」
「ですぅ。なのでこれを破るには、壁を壊すのではなく、魔素の結合を解除するイメージで攻撃…フェルさんの場合は『破壊』ですねぇ。そうすれば、攻撃が通しやすくなると思いますぅ。あと、そこの仲間を治してる権能は、体内に魔素を送ることによって魔素体を修復しているんでしょう。体の魔素含有量が多い種族にしかできない技ですよぉ」
それを聞き、ジュールは楽しそうに言う。
「へぇ、今の一瞬でボクの能力をここまで解析できるんだ。高位の情報系スキルでも持っているのかな?」
「違いますねぇ。私の能力は、概念系ですよぉ」
「ッ…概念系!?」
概念系とは、その物に対するイメージ自体を、自らのスキルの権能とする能力を持つスキルであり、法則系能力と同じくらい畏怖されている。
「概念」というスキルの下にあるわけではない。
「へぇ…ここまでの解析能力がある概念系なんて、珍しいね」
「あ、スピカ治ったんだ」
そう言うと、ジュールはスピカを投げ捨てる。
「痛っ。ワタシの扱い酷くない?」
「酷くないよ。それで、キミの能力は何なのかな?」
「私の能力は、『調理』ですよぉ」
「あ、言うんだ…」
素のまま突っ込んでしまうルシフェル。
「「…『調理』?」」
首を傾げるスピカとジュール。
「やっぱり弱そうですよねぇ。実際に見た方が早いかもしれないですぅ」
そう言い、ミンファは「調理」を発動する。
その瞬間、地面から炎が上がる。
「「!!」」
ジュールとスピカは、足元から突然生じた炎に反応できず、燃え盛る炎に包まれる。
だが、悪魔は本来魔法を得意とする種族。
水魔法を使い炎を消火した。
「なるほどね…調理には『炎』が不可欠。概念系、それを自身の権能として使えるわけか。ここまで教えてもらったことだし、ボクもスキルを開示しちゃおうかな」
そう言って、ジュールは手を掲げる。
その瞬間、手のひらに魔素が集約された。
魔素は凝縮され、高エネルギー体の球体が出来上がる。
「ボクの能力は、こんな風に魔素を凝縮して高エネルギー体にしたり、それを操作したりする『魔操』だよ」
「なるほど…俺達の攻撃が防がれたのは、これによるものってことか」
「ですねぇ。では、始めましょう」
そうして、ルシフェル&ミンファVSスピカ&ジュールの、この世界の頂に立つ者達による戦いが始まったのだった。
ジュールさんはボクっ娘です。
ちなみに、
ジュール→J(エネルギーの単位)
ニュークレア→核
となります。
#034 一閃 【転生したらうさぎでした。】
リオグランデは、本来情報収集を担当している魔人である。
だから、戦闘は得意ではない。
得意ではないといっても、「|主星《プライマリー》」と戦える程度の力はあるのだが…
「僕は戦闘が得意じゃないからね。デドレノフ、頼んだよ」
「おう、分かってらぁ。俺様が上級悪魔を倒して、お前が下級を処理すればいいんだろ?」
「そうだね。頼めるかな?」
「当たり前だ!」
そう言って、デドレノフは指揮を取っている様子の上級悪魔の方に突っ込んでいく。
そして、リオグランデは襲いかかってくる下級悪魔の排除にかかる。
悪魔を殺すというのは、非常に難しい。
冥界に帰らせることはできるが、圧倒的な力を用いて「消失」させることや、悪魔を「殺す」のは不可能に近い。
だから、リオグランデは冥界に帰らせる方法を選ぶ。
悪魔は、自らが受肉している肉体が悪魔のエネルギーに耐えられなくなると冥界に帰ることを強制される。
冥界に帰らせるだけだと、そのうちどこかで湧くのだが、まあそれは仕方ないとリオグランデは割り切っている。
「ケケケッ、俺達の邪魔すんじゃねぇ!」
そう言って襲ってくる悪魔を、リオグランデは一閃する。
彼の持つ戦闘用のスキル「斬撃」は、彼が腕を振ることにより発動する、破壊系のスキルだ。
ちなみに、何かを「壊す」権能を持つスキルは、大体破壊系に分類されるからだ。
「|光刃《こうじん》」
リオグランデは腕を振り、その先から光の刃を放つ。
一応この動作は指や足でもできるのだが、基本的にリオグランデは腕を用いて攻撃を放っている。
「ギャアアアアアア!」
光の刃が当たった悪魔は、断末魔を上げて消える。
これが「冥界に帰らせる」方法だ。
悪魔の受肉している素体に過剰な負荷を与えることで、悪魔が現世に留まっていられないようにしているのである。
いくら「|悪魔達の狂宴《ザ・デーモンズ・フィースト》」だからといって、そう何度も現世と冥界を行き来できるわけではない。
スピカやジュールのような者ならできるかもしれないが、地球に近づく彗星は、現世と冥界の行き来を簡単にするだけであって、一応コストはかかる。
タイムセールみたいなことだ。
スピカやジュールなどの公爵級は富豪なので、通常価格の時でも気ままに行き来できる。
だが、庶民の悪魔達はそうはいかない。
タイムセールの時を狙って買いに行くが、それでもお金は消費する、というのがイメージに近いだろうか。
「|闇刃《あんじん》」
夜の闇に隠された黒い刃が、悪魔達の身体を貫いていく。
「これで大体の悪魔は処理できたかな。でも、公爵級がいるそうだし、僕もうかうかしていられないね。ルシフェルとミンファは大丈夫かな」
デドレノフの心配は全くしないリオグランデであった。
---
「行きますよぉ。フェルさんは気をつけてくださいねぇ」
「俺を巻き込まないでほしいんだが?」
ルシフェルの悲痛な思いは届くことなく、ミンファは炎を噴き上がらせる。
「きゃはっ、いいね。面白いじゃん!」
「正直なあなあでやってもボクはいいんだけどね…」
スピカは「空間」、ジュールは「魔操」にて防壁を築き、炎を防ぐ。
だが、その背後にはルシフェルが回り込んでいる。
「『破壊』」
「破壊」にてスピカとジュールの肉体の破壊を試みたルシフェルだが、スピカの生成したブラックホールに引っ張られ、攻撃は敵わない。
「まだまだ行きますよぉ、それっ!」
ミンファがそう言うと共に、地面が液状化していく。
「へぇ、ボク達の移動経路を空中に絞ったって訳か」
「きゃはっ、楽しいことしてくれるね」
「料理はしっかりと混ぜるのが大事ですからねぇ。―――――『千切り』」
スピカとジュールを切り刻もうと無数の斬撃が飛んでくる。
「さっきから俺を巻き込むのやめてくれない?」
「すみませんねぇ。お詫びに、その腕治しますよぉ?」
「あぁ…それならまあいいか」
ルシフェルは、戦闘の最初の方にスピカに切り取られた腕を差し出す。
ミンファが手をかざすと、腕は修復されていく。
「気を付けてくださいねぇ。魔素で仮の肉体を作っているだけなので、強度は低いですよ。後々馴染んできて、血の通った肉体になりますから」
「本当に、『調理』って万能なんだな」
「まあ、概念系なんて大体そんなものじゃあないですか?法則系と同じく、大体チートなんですよぉ」
「だね。例えば、ワタシの『混沌』とかかな?」
「ッ!」
いつの間にかこんなに近距離まで接近していたスピカに、ルシフェルは「破壊」を発動しようと試みるが…
「無駄だよ。ワタシの『混沌』は、他者のスキル発動を妨害できるからね」
「そうかい?なら、そのスキルの権能ごと『破壊』してしまえばいいだけさ」
「!!」
ルシフェルは、スピカの「混沌」のスキルを破壊した。
もしこの動作を行ったスキルが同レベルのスキルであれば、両方のスキルに影響が及んでいただろう。
だが、ルシフェルのスキルは「|完全能力《パーフェクトスキル》」。
まさに格が違うスキル。
これにより、スピカの「混沌」は、無くなってはいないものの、暫くの間使用することが不可能になった。
「チッ…ここまで温存しといたんだけどね…スキル破壊なんて、流石『完全能力』はチート連中ばっかりだよ」
「俺だってそんな芸当はなかなか出来ないさ。お前のスキルが、俺のスキルに深く干渉するスキルだったから上手く行っただけだ」
「それでも十分凄いよ」
「フェルさん、雑談やめてくださいねぇ。私だけでこの悪魔の相手するの大変なんですよ」
ルシフェルとスピカの横では、ミンファとジュールの戦いが起こっている。
ミンファは「概念系」である「調理」を使用してジュールへの攻撃を試みる。
ジュールは「魔操」を使用して魔素による防壁を構築するが、「概念」そのものを完全に防御することは出来ず、切り傷を負う。
だが、彼女の能力は、自らの肉体の修復もできる。
この辺で、悪魔の「受肉」について説明しておこう。
悪魔は肉体を持たない生命である。
精神世界ともいえる冥界では、肉体がなくても活動できるし、寧ろほとんどが肉体を持たない生き物なのだが、物質世界である現世では肉体が必要なのである。
その時に肉体となるのは、死体や人形など様々な物があるが、ジュールの場合は、自らの肉体を「魔素」で構成している。
魔素を凝縮したものを人型にして受肉しているのだ。
これは、「魔操」を持つジュールだからできることであり、スピカを始めとした他の公爵級であろうとも、その手段で肉体を構築したならば強度には期待できないだろう。
だが、「魔操」を持つジュールが同じことをしたならば、話は変わってくる。
その権能により凝縮された魔素は超級の硬度を持つ素体となり、もし欠損したとしても大気中の魔素を利用して簡単に修復できる最強の肉体となるのだ。
「えぇ…再生するタイプのヒトですかぁ…面倒なんですけどぉ…」
口ではそう言いながらも、ミンファはこの間にも「千切り」「微塵切り」「半月切り」など様々な攻撃手法を試している。
だが、それらのどれもジュールを倒すには至らない。
攻撃が当たりはするのだが、全て再生されてしまう。
(やはり、フェルさんと代わった方がいいですかねぇ…でも、あの人はもう一人の公爵級と戦ってスキルを破壊しているみたいですし…)
戦果を挙げているルシフェルと違い、自分はジュールに対し何の効果的な攻撃もできていない。
(同じ北斗七星として、恥ずかしいですぅ。ここは、私がやらないとですねぇ)
「ははっ、そんな攻撃で、ボクを倒せるとでも…」
ジュールのその呟きは、煽りでも油断でもなんでもなく、本心だった。
本心、だった。
自らの権能である「魔操」にて創られた防壁が、完全に破壊されるまでは。
「…は?」
世の中には、「怒らせてはならない人」「本気にさせてはいけない人」という者が存在する。
彼ら彼女らは普段は温厚だが、一度怒らせて・本気を出させてしまうと地獄を見ることになる。
ミンファは、特に特別な事をした訳では無い。
《《ただ、本気を出しただけである。》》
だが、その威圧感は公爵級であるジュールすら慄かせるに充分だった。
(…概念系とは言ってたけど、なんだよこの化物…)
概念が、牙を剥く。
短いことで定番の転うさが3000文字突破したのは嘘だと言ってくれ。
正直、
転うさ→1000文字強くらい
AbHS・ぞんび→2000文字以上
のイメージで書いてたんだが…
#035 超高密度エネルギー 【転生したらうさぎでした。】
久しぶりの沙月です。
今とある小説を書こうと世界線を生成している最中でして。
頑張ろうと思います。
ミンファは舞う。
その流麗な動きは、何も知らない者が見たら見惚れてしまうほど美しい。
だが、その動きが生み出すものは美しいほどに残酷なのである。
舞う彼女の手からは無数の斬撃が放たれている。
それらは、「魔操」で防壁を築いているはずのジュールにも容易く攻撃を通す。
(なんなんだよ、この質の変わったような感じ…)
公爵級であるジュールでさえも、ミンファの変わり様に恐怖を覚えていた。
例えるならば、料理の達人が道具にも気を遣ってきた感じだろうか。
今までは100均の包丁を使ってきたが、道具の質を上げ、数百万する包丁を使ってきたような。
それらは、魔操により凝縮された魔素の壁でさえも、容易く砕く。
そして、彼女の攻撃手段は斬撃だけではない。
炎、水、雷、氷…
まるで魔法のように多彩な攻撃が、ジュールを襲う。
ジュールは魔素のヴェールを築きそれらを防ぐが、所詮気休めにしかならない。
一瞬でそれは破壊され、ジュールを襲う。
だが、そこは公爵悪魔、ジュールだってやられてばかりではない。
「魔操」にて凝縮した魔素の鋭利な塊を、ミンファに向かい放つ。
だがそれらはフライパンにて防がれる。
ジュールは自らの拳に魔素を集中させ、ミンファに向かい飛翔する。
遠距離で戦うと相手の思うつぼ。
ならば近距離で…と思ったのだが。
ミンファは右手にフライパン、左手に包丁を持っていた。
フライパンで的確にジュールの身体を破壊しに来て、包丁で切り刻もうとしてくる。
ジュールは思った。
(この人の相手、ボクがして正解だったかも…)
スピカが戦った場合、負傷した際に素早く直すことができない。
自身なら、魔操を使い修復することができる。
(まぁ、向こうは相性の悪い相手と戦わされてるみたいだけどね…)
ジュールの考える「向こう」とは、スピカのことである。
ここまで温存していたはずの「混沌」を、完全能力にて破壊された。
さらに空間を破壊するという意味不明な技を使われ、劣勢に追い込まれている。
最上級悪魔である公爵級が2体いる。その上での劣勢。
これは、歴史上初と言っても過言ではない珍事だった。
ジュールは、初めて「苦戦」した。
遠距離にも近距離にも隙のない相手。
だが、それでも…
彼女は、嗤っていた。
悪魔というのは、戦闘を愉しまずにはいられない種族。
ジュールは必ずしも戦闘を好むわけではないし、現世に頻繁に来ることもない。
だが、そんな彼女でも戦闘は愉しいと感じる。
悪魔とは、生粋の武闘派種族なのだ。
「ふふっ、久しぶりにやろうかな」
ジュールは手をかざす。
今までの彼女は、「魔操」をフル活用していなかった。
自身の周囲にある魔素だけを、権能の支配下に置いていた。
だが、今のジュールは違う。
大気中にある魔素、届く全てをかき集めて権能の支配下にする。
「…えぇ、これは聞いてないんですけどぉ」
ミンファは思わず溜息をこぼす。
ジュールは全ての魔素を自らの強化に使用する。
彼女の姿は眩い輝きを放っており、近づくものに威圧感を与える。
元々金色だった彼女の髪はさらに輝きを増し、一種の神々しささえ感じさせてしまう。
だがその身に宿るエネルギーの量は、星魔大陸といえども異質だった。
「さあ、やろうか」
顔を歪めて嗤ったジュールと、うんざりした様子のミンファ。
概念とエネルギー、その2つが交差した。
---
デドレノフは戦う。
下級悪魔の処理はリオグランデに任せ、自らは上級悪魔との戦闘に入る。
「ははっ、お前らが俺様と戦ってくれるのかぁ?」
目の前には、強そうな悪魔が数体。
デドレノフは狂喜した。
彼は戦闘狂ではない。
では、なぜ喜ぶのか。
その理由は、彼のスキルにある。
デドレノフの持つスキル…「吸収」。
これは、自らの殺害した者のスキルを奪う能力である。
彼は、上に立つことを望んでいた。
北斗七星には、ルシフェルやミンファ等の化け物がいる。
そいつ等よりも強くなり、上に立つのがデドレノフの目標だった。
そのためには、強者と戦い、そのスキルを吸収しなければならない。
だから、デドレノフにとっては強者との戦闘は望むものだった。
彼の「吸収」するスキルには、制限がない。
つまり、戦えば戦うほど、殺せば殺すほど、強くなる。
だから彼は戦いを望む。
もっと強くなり、そしていつか七星筆頭になるために。
---
ジュールは近接戦で戦う。
その方が自らのスキルを活かせるし、相手のスキルはあまり使えない。
火、水、雷、氷、斬撃。
どれも遠距離攻撃のほうが効果的だ。
ジュールは強化した肉体でミンファに殴りかかる。
ミンファはまな板でそれをガードするが、容易く割られてしまう。
「ははっ、形勢逆転って奴だね」
嬉しそうに嗤うジュール。
それに対し、ミンファは苦虫を嚙み潰したような気持ちになる。
先ほどは相手のガードを自身が簡単に割り、攻撃していた。
全く同じことをやり返されている。
それも、高精度で。
「北斗七星」として恥ずかしくない戦いをしたかったが、どうやら無理なようだ。
(悔しいですねぇ…でも、これが公爵級の力ってことでしょうか…)
ミンファは防御することしかできない。
「概念」のはずなのに、叩き割られるような衝撃が来る。
体の中心まで響く攻撃に、思わずのけ反ってしまうミンファ。
「ははっ、さっきまでの威勢はどうしたのかな?」
嗤いながら言うジュール。
「うるさいですよぉ…」
反論するが、有効な手立てがないのは事実である。
「…あ」
ジュールが、何かを思い出したように言う。
「…どうしたんですかぁ?」
「残念だけど、もうそろそろ帰る時間みたいだね。でもせっかく現世に来たのに暴れ足りないし…じゃあ、最後に一発ぶっ放してから帰ろうか」
そう言って、ジュールは手を掲げる。
「この素体も要らなくなるし…じゃあ、頑張ってね。これが、今のボクの最大出力の魔力弾さ。精々守ってみてよ」
自らの受肉体も、防御壁も、大気中の魔素も、全てを使用して築く、極大の魔力弾。
「流石にこれは…やめてほしいですぅ…」
まともに食らえば、七星の中で耐えられるのはルシフェルだけであろう威力の魔力弾。
そして、魔王からの「悪魔達の狂宴」を止めるよう命じられたのは、悪魔達が暴れることによる星魔大陸への被害を防ぐため。
つまり、避ければ命令違反、避けなければ…死。
(命令違反でも処刑は流石にないでしょうが…)
命令違反をしたとしても、ミンファは「北斗七星」…魔王直属幹部である。
何かしらの罰はあるだろうが、死刑にはならないであろう。
それは魔王軍にとって大幅な戦力の低下となるからだ。
だが…
これを避けて生き残ったとして、ミンファは誇れない。
逃げてばっかりは、もうやめだ。
「防いで見せますよぉ。私は『北斗七星』ですから」
炎→焼く
水→洗う
雷→IHコンロ
氷→冷やす
斬撃→切る