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目次
1話「感謝ばかりじゃ終わらない」
「…みんなのところに戻るか」
そう言い、スバルは歩き始めた。
落ち葉を踏みしめ。
道中にいる虫など気にしない。
「……戻ってきた」
「……!ナツキさん!」
「スバル!」
「ここにいるって事は、暴食に打ち勝ったと言うことかしら」
「まぁそうだな。暴食だけじゃねぇが」
「暴食だけじゃない…?一体何のことを言っているのよ」
「あー。こっちの話だ。気にすんな」
スバルはそう言って話を強制的に終わらせて、次の話題に移る。
「エミリアとセッシーは?」
「…ついさっき目を覚ましたとこなのよ」
「…あ…そうか」
その瞬間、スバルの表情が一瞬だけ柔らかくなった。
スバルたちは、エミリアやセシルスが寝ているところへ向かう。
「…スバル?」
「…ボス!」
「あ…エミリアたん…セッシー…」
その声は、どこか安心したように震えていた。
エミリアはスバルを見つめ、そっと微笑む。
「また私……スバルに助けられたみたいね」
スバルは何かを言おうとして、言葉に詰まった。
その代わりに、困ったように笑う。
「……そんなことねぇよ。俺が勝手に動いただけだ」
「でも、来てくれた」
エミリアのその一言に、スバルは目を逸らした。
セシルスも力強く頷く。
「ボスは立派な人です!」
真っ直ぐなその言葉に、スバルは思わず小さく息を漏らす。
戦いの中で積み重なった恐怖も、痛みも、迷いも。 その瞬間だけは、少しだけ遠くへ離れていくようだった。
「…セッ、シー…エミ、リア…俺…がんば…、…っ…って…き、来た…」
その言葉が落ちた瞬間、部屋の空気が止まった。
エミリアの瞳が、ゆっくりと見開かれる。
セシルスも、いつもの笑顔を消したまま、スバルを見つめていた。
スバルは笑おうとした。
けれど、うまく笑えなかった。 震える唇から、小さな息だけが漏れる。
「……ちゃんと、戻って、きた……」
その声は、今にも消えてしまいそうなほど弱かった。
「……スバルは頑張ってきたね」
その言葉だけで、胸の奥に張り詰めていたものが、少しずつほどけていく。
エミリアはもう一度、今度はもっと柔らかい声で続けた。
「スバルは、良い子よ」
その瞬間、スバルの瞳から、静かに涙が零れ落ちた。
「__あ…ごめ……っ…こんな、はずじゃ……っ」
エミリアがスバルを抱きしめる。
「__え」
エミリアは言葉を続ける。
「強がらなくて…いいんだよ。ありのままのスバルでいて」
「あ…あぁ…ぁ…………っ」
スバルの喉から、壊れたような声が漏れる。
それ以上、言葉は続かなかった。
エミリアは何も言わない。
ただ、逃がさないように、壊れてしまわないように、そっと抱きしめる腕に力を込めた。
そうして、どれくらいの時間が過ぎただろう。
1分。5分。10分。
それ以上かもしれない。
だがスバルにとっては、時間の経過など些細なことであった。
「…うん。もう…大丈夫」
「そう?本当に?」
「大丈夫だって。これ以上やると俺が惨めになる」
冗談めかしてスバルは言ったが手遅れである。
「もう十分惨めなのよ」
「……は?」
スバルが呆れたように顔を上げる。
ベアトリスは腕を組み、ふんと鼻を鳴らした。
「今さら格好つけても遅いかしら。泣き顔も、弱音も、全部見られてるのよ」
「……ベア子」
「だから、変に取り繕うなという話なのよ」
その言葉に、スバルは思わず小さく吹き出した。
「……取り…ぷ…繕って……ふふ…ねぇ…んふ……し……ぷ…」
スバルのその態度に、ベアトリスは少し不満を顔に表す。
「本当にお前はどうしようもない奴かしら」
「…どうしようないってなんだ。ベア子」
「意味がわからないなら聞くんじゃないのよ」
ベアトリスはそう軽く返したが、
これでスバルが満足できると思っていたのだろうか。
無理である。
「……スゥゥゥゥゥ…黙れ!お前はこうやってこちょがされるのが似合ってるぞ!」
スバルがベアトリスの脇をこちょがす。
「あひゃ!…ちょ…スバ…ひゃ!?…やめ……る…のよ…」
「やめるわけねぇだろ!」
「…これ以上は…ベティーの…命に関わること…かしらぁ…」
2話次回予告
「さて、第3章突入ということで!ゲストのベア子さん!どう思いますか?」
「こういう時はちゃんとベアトリスってフルネームで呼んだほうが礼儀正しいって知らないのかしら?」
「そんなルール知りません()」
「お前はどこまで行っても不快な奴なのよ…」
「次回2話「能力の確認」お楽しみに!」
「楽しみにしてればいいかしら」
2話「能力の確認」
「さて、お遊びはここまでにして」
「…あれで遊びだったのかしら…」
ベアトリスがそうつぶやくと、スバルは即座に返す
「遊びだ」
「どう考えても__」
「遊びだ」
「…遊びって言い方が何か…チャラい男みたいな感じがするのよ」
ベアトリスがそうつぶやくと、スバルは__
「…スゥゥゥゥゥ…やっぱ…あ、遊びじゃねぇし」
無理がある。
さっきあそこまで遊び遊びと言っていた人がやっぱり遊びじゃないと言うなんて。
どう考えても無理がある。
「まぁまぁここで一旦終わりにしよう」
「勝手に話を終わらせられた気がして不満なのよ!!!!」
ベアトリスの抗議が響き渡る。
だがスバルは歩みを止めない。
聞こえていないわけではない。
むしろ、聞こえているからこそ無視しているのだ。
「んで、俺は暴食を討伐した。つまり『暴食』の権能は今俺の手の中にある。そこまでオーケー?」
「『おーけー』?」
エミリアがオーケーと言う言葉に対し疑問を持つ。
この世界の言語ではないのだから。
「あー。大丈夫って意味だよ」
スバルが意味を説明してあげる。
すると、エミリアが納得したようにこう続ける
「うん!それならオーケー!」
「でな。獲得した能力を確認したいんだ」
「だからまぁやるよ。ふぅ…**コル・ヒドラエ**」
その瞬間、スバルの頭にとあるものが流れ出す。
一体なんだろう。
一体何なんだろう。
そう思いながら、スバルの意識は暗闇の中へと落ちていく。
---
彼が生まれたときには、既に彼女の手中だった。
「さっさと食べやがれください。クズ肉ども」
そう肉が分け与えられて僕たちは、その肉をむさぼり食う。
そんなつまらない人生を毎日毎日送っていた。
逃げてしまったら。
離れてしまったら。
自分の足、腕がこの世のものではない姿に変えられてしまうと思ったから。
彼女の『権能』で。
僕たちは、反抗もできずに。
僕たちは、彼女の言いなりになって。
何日も何日も。
何週間も何週間も。
何ヶ月も何ヶ月も。
何年も何年も。
暮らしていく。
たったそれだけのこと。
なのに。
なんで完遂できない人がいるんだろう。
そういう人たちは、この世のものではないものに変えられてしまうから。
「やめ__うわあああ!?この__怪物がぁぁぁぁ!!!!」
そんな断末魔は何回聞いただろう。
10回。
100回。
500回。
それ以上かもしれない。
それ以下かもしれない。
そんなの数えてないとわからない。
彼女なら知ってるかもしれない。
数えてるかもしれない。
でも。
聞けない。
それが現実だ。
もう。耐えられない。
私たちはそう思った。
俺たちはそう思った。
僕たちはそう思った。
やがて__
暴食の権能が移り、
分裂した。
美食家 ライ
悪食 ロイ
飽食 ルイ
3人に分裂して__
ここから出されて自由になった。
俺たちは、何人も何人も何人も。
記憶、名前を食べ続けた。
ある日、プリステラで。
ある人に出会った。
それは俺たちをとても憎んでいた。
「…!暴食ッ!!!!!!!!!!」
憎んでいたけど、俺たちには叶わなくて。
もっと食べたい。
憎しみは良い味がするんだァ。
何人も何人も食べてきたけど、憎しみっておいしいんだァ。
でも、その場は一時退散されて。
次に戦ったのは。
兄様とでかい獣人の兄ちゃんだ。
戦闘が進んでいくにつれ__
チャンスは来る。
「がッ!?」
「ユリウス・ユークリウス!イタダキマス!!!!」
「待てや!!」
「…ごちそうさまでした」
おいしかったなァ。
もっと食べたいなァ。
でも戦いは終わって。
俺たちは逃げた。
次に、チャンスが来たのは監視塔での一節。
「なんだ?オメエ」
初代剣聖と出会った。
「俺たちは魔女教大罪司教暴食担当ロイ・アルファルド」
「そう名乗る奴は強くねェよ。わかンねェか?オメエ。魔女教?だっけか?暴食?そんな大層な称号与えられて、調子乗ってンじゃねェのか?オメエ」
食べたい。
記憶を。
名前を。
食べたい。
彼のものを。
「いいじゃねェか。面白そうだな。よし、食ってみろ」
嬉しかった。
心が踊った。
胸が高なった。
「レイド・アストレア、イタダキマス!!!!」
「…ごちそうさまでした」
美味しい美味しい美味しい美味しい。
それだけが、自分を埋め尽くして。
想像以上の美味しさで。
俺たちは満足した。
はずなのに。
「これだけか?オメエ」
どうして生きている?
記憶と名前どっちもくらったはずなのに。
なんで?
どうして?
「つまんねェなァ。オメエ」
そう言って。
追い出された。
俺たちは逃げた。
このプレアデスから。
次に会ったのはヴォラキア帝国だ。
そこで記憶と名前どっちも食べた。
帝国最強の男のものを。
おいしかった。美味だった。
そんな感想しか出てこない位に。
次に、彼らと会ったのはカララギ。
いろんな人の名前を食べて、食べ応えがあって。
でも、最終的には。
英雄に追い詰められて。
殺され、殺され殺され殺される。
そんな運命を歩んで、自分の意識は、暗闇へ落ちていった。
---
「__あ…あ?…ぁ…やめろ…やめるんだ…ん…ぁぁ…ぁあ…あああ!?ああうあああ!!!!」
3話次回予告
「…知ってるか?」
「はい!なんですか?」
「舞台、カララギのままなんだぜ」
「はい!特に舞台が変わったような描写もありませんでしたし、そこら辺はちゃんとわかってますよ!」
「いやさ。第二章を見ればわかると思うんだけどカララギっていうのをうまくいかせてないよねって思ってさ」
「はいはい」
「ってことで次回3話「商人の本領」お楽しみに」
「カララギ感が出るタイトルですね!」
「感とか言うな。感とか」
3話「商人の本領」
「スバル!落ち着くのよ!一体何があったかゆっくりでいいからベティーに説明するのよ…」
苦しさを表に出すスバルに対してベアトリスはそう告げる
「記憶を…みた…」
「記憶を見た?そして死者の書みたいな感じかしら?」
相問いかけるベアトリスに対して、スバルはうなずきながら答える
「…感覚としては、それに近い。でもちょっと違うな」
「どういうところが違うのよ?」
「これには深く入り込むとか、そういうのはないからイマジナリーは発生しない」
「イマジナリー?」
「監視塔にある死者の書は深く入り込みすぎると、イマジナリーみたいななんか、そんな感じの概念が…こう…出てくるんだ」
「イマジナリーの意味がわからないのよ」
「簡単に言えば、思い込みみたいな?妄想みたいな感じだ」
そうするが答えると、ベアトリス疑問を顔に出しながら
「イマジナリーが妄想って事は個人の問題じゃないかしら。死者の書の作用というか、なんというかという話なのよ」
「あー。妄想っていうのは何か表した言葉だから、それに直結するわけではないし…」
「なんとなくわかったのよ。今回はそれがないと?」
「多分能力だからだと思う」
「…誰の記憶を見たかしら?」
ベアトリスがそう言うと、スバルは少しためらいながら
「…ロイ。ロイ・アルファルド」
「ロイって…暴食かしら?」
「うん。そう。暴食だ」
「…なるほど。能力の本質がわかったのよ」
「?教えてくれ、ベア子」
「これは他者の記憶を見て、自分の知識などに変換する能力かしら。他者といっても……死者に限定されると思うのよ」
ベアトリスがそう結論を述べると、スバルは驚いたように
「…なるほど!そういうことか…」
少し考えてから思いついたように
「つまりこれって…情報収集能力ってことだよな?」
「ベティーの考察が正しければそのはずなのよ」
「これって商売に使えるんじゃね?」
「え?」
ベアトリスは思わず驚きの声を漏らす
すると、オットーが
「でも、その能力……商人として見るなら便利すぎます」
「?」
「知らないことを知れる。それは商売では強いです」
「でも__」
オットーの目が急に真剣になって
「相手の人生を商品にしてしまう危険があります」
オットーの目がまた柔らかくなって
「まぁ。商人はそうしないように頑張ってきてるんですけどね。それこそが『商人の本質』なんだと僕は思います」
「オットー…」
「また能力を使いすぎると何か大きい負荷がかかるかもしれません。これほど強い能力なんです。あると考えた方が自然でしょう?ナツキさん」
「まぁ…そうだな」
「本当に大事な時だけ使ってください。そうすることが自分のためにもあなたのためにもなると思います。あくまで僕の意見ですので、鵜呑みしないようにしてくださいね。的外れな考察をしてしまってたら申し訳ないですし」
「うん。ありがとう。お前がいなかったら俺、この能力多用してたかもな」
「役に立てたなら何よりです」
4話次回予告
「今日のお相手は誰だ?」
「魔女教大罪司教強欲担当レグルス・コルニアス」
「うげ…」
「あのさぁ、人の自己紹介を聞いて、早々に『うげ…』って何?それは僕に対する嫌悪感を出しているよね?心の中で思うのは誰も傷つかないからいいんだけど、それを言葉に出すのは違うんじゃないかな?そもそも思うこと自体がダメなんだよね。そんな事は思わないように、人に対してプラスな感情だけを持っていないと僕の為にもなるし、みんなの為にもなるし、君のためにもなるんだよ。わかるかな?そもそも『うげ…』って言うこと自体が、僕の権利の侵害だ」
「…次回4話「不穏な空気」お楽しみに」
「…あのさぁ、人のことを無視しておいて、タイトルコールとかいい度胸じゃないか。君がその気なら、僕はいつだって準備できてるんだぞ。無視するんじゃない。わかるかな?人を無視すると言う行為を続けていたら、社会に出たときに色々と面倒だよ?君はそういう時に上司も無視するのかなぁ?社長も無視するのかなぁ?やってる事はそれと同じだよ?それをちゃんとわかっておかないとだめだよね。生物として。人として。地球に生きるものとして。君のその小さい脳みそで1回考えてみな。僕はいたって無欲で理性的なレグルス・コルニアスなんだからさぁ。そこをちゃんとわかってないとだめだよね。そもそも__(以下略)それは僕の話す権利の侵害だよ」
「…」
「待って。僕の話を飛ばしたよね?なんで?何の意味があって?僕のありがたい話を飛ばすなんて。それこそ僕の話す権利の侵害だよ。君にはわからないのかな?理解できないのかな?ちゃんと理解できてる僕が伝えてあげるよ。君は馬鹿で阿呆でどうしようもない人間だ。そこをちゃんと**自覚**しておかないと。そこを自分の短所として**認めないと**いろいろと失敗すると思うんだけどなぁ?(以下略)それってやっぱり僕の話す権利の侵害だよね?」
「…うるさい。めんどくさい。黙れ」
「お…おぉお前ぇぇぇぇ…僕の何を見てそう思った!?僕のどの言動を聞いてそう思った!?僕の何が悪い!?答えてみろ!?答えられないんじゃないのか!?嘘でもそういう事は言っちゃいけないって教わってないのか!?どんな教育を受けてきたんだ!?そんな教育をさせた親が心配だよ!!わかるか!?僕が何回言ったと思ってるんだ!?(以下略)」
4話「不穏な空気」
スバルの脳内にて
「おやおや。新しい人が増えたのでしょうか?」
「ん?ペテルギウスだっけかァ。久しぶりだなァ」
「…なんでお前がここにいるんだ?」
「…レグルス?」
「僕の名前を気安く呼ぶな。呼び捨て?僕のプライドに関わる問題だ。僕の人権に関わる問題だ。僕は呼び捨てを許可していないぞ。許可なしに人のことを呼び捨てで呼ぶなんて、僕の権利の侵害じゃないのか?」
「まぁまぁここで1回収めたほうがいいと思うの…デス!!!!」
「収める?なんで?なんでそんなことをする必要が__」
「つまりそんなこともできないのデスか?あなた…怠惰デスねぇ〜」
「…何を言っている。できるに決まっているじゃないか。僕はあまり甘く見ないほうがいいと思うんだけどなぁ。ベテルギウス」
「別に甘くなど見ていませんよ。ただそんなこともできないのかなと思っただけなのデス」
「それなら別にいいけどね」
「…結局ここはどこなんだい?俺たちも未だにわからないなァ」
「ここは彼の脳内というか体の中デスよ」
「権能が体の中にやっちゃってるからね。その中に僕たちがいるってわけだ」
「全く、困るよね。こんな場所に長時間もいて。君はまだ来たばっかりだから、ここの苦しさを知らないんだろうけど、話す相手がこいつしかいないって最悪だよ?」
「別に私たちは話していたわけではありませんし…」
「こうやって正論をぶつけてくる男が、僕は1番嫌いなんだ」
「あなたも人のことが__」
「うるさい」
「あら、誰かと思えばレグルスじゃないですか」
「パンドラ?なんで君がここにいるんだい?まさか君があいつに殺されたってわけじゃないよね?」
「それの何が悪いですか?」
「いやいや、滑稽なものだなと思ってさ」
「相変わらずお前はめんどくせぇんじゃありませんか?」
「まさか君もあいつに殺されたのかい?カペラ」
「…だから?」
「パンドラの時も思ったけど、滑稽だなと思ってさ」
「それってあたくしの権利の侵害じゃねぇんですか?」
「そうやって権利ばっか視聴するのは、僕の権利の侵害だよ?」
「ですから、あなたも人のことが__」
「黙れ」
---
「だから…俺はあんまりこの能力を使わないってことにしたわけだ。わかったか?みんな」
「そういうことなら、私もこの能力は使わないほうがいいと思う」
「…ただ本当の本当にやばいときには使う。そこんとこちゃんとわかって欲しい」
その本当の本当にやばい時が来なければいいんだけどな…
その瞬間、時間が戻る
「そういうことなら、私もこの能力は使わないほうがいいと思う」
「え?」
待て…一体何があった?…なんで時間が戻ったんだ…まずい…まずい…
また、時間が戻る
「そういうことなら、私もこの能力は使わないほうがいいと思う
「あぁ…」
一体何をトリガーに…
この能力は発動してる?
時間が戻る
「そういうことなら、私もこの能力は使わないほうがいいと思う」
「…」
やるしかない。使うしかない。
時間が戻る
「そういうことなら、私もこの能力は使わないほうがいいと思う」
「…**コル・ヒドラエ**」
5話次回予告
「あぶねぇ、何とかあのめんどくせえ男から逃げれたぜ」
「たまにいるよね。他の人から逃げれたと思って、逃げれていない。滑稽な人間が」
「気持ち悪!?」
「君、人に向かってそうそう気持ち悪いとはどういう意味なのかな?それを__」
「次回!5話「無名の英雄」!お楽しみに!」
「ちょっと!また僕の話を__」
5話「無名の英雄」
「…**コル・ヒドラエ**」
---
世界は暗く、そしてどこまでも冷たい土の底から始まった。かつてその場所には、形もなければ言葉も持たない、ただの微小な光の塊があった。土の微精霊。
それが、世界に産み落とされた最初の姿。周囲を覆う土の温もりだけが世界のすべてであり、ただ微かに震えるだけの存在。やがて、長い長い歳月がその輪郭を削り出し、意思という名の灯火を宿すことになる。
肉体を持たない精霊は、世界を巡るために他者の体を借りる必要があった。最初に器となったのは、どこかの名もなき人間の肉体。初めて手に入れた手足、初めて見上げる空の青さ。
世界はこれほどまでに美しく、慈愛に満ちている。この世界を愛そう、人々を救おう、そのためにこの命のすべてを捧げよう。魔女教の穏健派と呼ばれる集まりに身を置き、困窮する人々に手を差し伸べる日々は、穏やかで満ち足りていた。
他者のために微笑み、他者のために汗を流す。それこそが、己が世界に存在する意義そのものであるはずだった。今から約百年前、旅の果てに辿り着いたのは、雪と緑に閉ざされたエルフの集落。
そこで運命は、かけがえのない二人の存在へと結びつけられる。集落の守り手であるフォルトナ、そして、まだ幼く愛らしい銀髪の少女、エミリア。
「ジュース! また来てくれたのね!」
と、小さな体を弾ませて駆け寄ってくるエミリアの弾んだ声が、静まり返った森に響く。その無邪気な笑顔を迎えるたび、胸の奥が確かな熱さで満たされていく。
「ジュース、いつも遠くからわざわざありがとう。みんな、あなたが持ってきてくれる物資を本当に心待ちにしているんだ」
と、フォルトナは少しはにかんだような、けれど深い信頼を込めた瞳でこちらを見つめていた。彼女たちのためにできることなら、どんな苦労も厭わない。冷たい差別の目に晒されながらも懸命に生きる彼女たちこそ、世界で最も優遇され、守られるべき尊き人々。肉体を持たないはずの精霊の身でありながら、その森で過ごす時間だけは、確かに心が生きていると感じられた。
しかし、そのささやかな楽園は、前触れもなく訪れた理不尽によって一瞬にして瓦解する。森の結界が乱暴に引き裂かれ、目の前に現れたのは、世界の秩序をあざ笑うかのような圧倒的な暴力。
「どうも。実に不愉快なところに僕を呼び出してくれたものだね。僕はただ、僕の権利が侵されない静かな世界を望んでいるだけなのに」
と、退屈そうに首を傾げる「強欲」のレグルス・コルニアス。そして、その傍らで残酷なほどに美しい微笑みを浮かべる「虚飾の魔女」パンドラ。
「はじめまして、ロマネコンティ司教。あなたのその健気な愛を、私はとても素晴らしいと思いますよ」
と、鈴を転がすような声が耳を打つ。突如として燃え上がる森、悲鳴を上げて倒れていくエルフたち。フォルトナが必死に武器を構え、エミリアを背後に隠して叫ぶ。
「ジュース、エミリアを連れて逃げて! ここは私が食い止める!」
と。だが、迫り来る圧倒的な力の前に、借り物の肉体は脆くも打ち砕かれ、地面に這いつくばるしかなかった。動かない四肢、溢れ出る血。このままでは、あの二人を守ることは叶わない。命に代えても、すべてを投げ打ってでも、力を手に入れなければならない。懐から取り出したのは、決して適合することのない呪わしい黒い箱。大罪の、怠惰の魔女因子。
「ジュース、やめて__! それに触れてはダメ__ッ!!」
というフォルトナの絶叫が鼓膜を破る。それを無視して、自らの胸へと因子の塊を突き立てた。肉体が内側から引き裂かれ、骨が砕け、黒い血が全霊から噴き出す。想像を絶する絶望的な激痛が魂を狂わせる。それでも、溢れる血の涙を拭うこともせず、黒い見えざる手を虚空へと解き放った。
死力を尽くした一撃がレグルスを退け、パンドラの姿を霧散させる。息を荒くし、泥と血にまみれながら、ようやく脅威を退けたと、最愛の者を守り抜いたのだと確信する。目の前には、胸を大きく貫かれ、鮮血に染まった怪物が倒れている。
これで終わったのだと、そう思った瞬間、世界がぐにゃりと歪んだ。
「ああ、本当に見事な愛です。けれど、あなたが本当に倒したかったのは、その方だったのですか?」
というパンドラの囁きが、耳元で優しく響く。視界を覆っていた霧が晴れる。そこに倒れていたのは、怪物などではなかった。胸から血を流し、弱々しく息を吐きながら、こちらを見上げるフォルトナの姿。
自分の、この黒い異形の右手が、彼女の心臓を正確に貫いていた。フォルトナの唇が微かに動き、血を吐き出しながら、最後の力を振り絞って言葉を紡ぐ。
「ジュース……エミリアを……お願い……あなたを、愛して……」
と。その言葉を最後に、彼女の瞳から光が消え失せる。世界が完全に崩壊した。喉から出たのは、人間のものでも精霊のものでもない、獣のような掠れた絶叫。自分が何をしたのか。誰の命を奪ったのか。世界で最も愛し、守ると誓った女性を、この両手で屠ってしまった。脳の髄が沸騰し、精神を繋ぎ止めていた細い糸が、けたたましい音を立てて千切れ飛ぶ。
すべての記憶が、すべての純粋な誓いが、どす黒い狂気の色に塗りつぶされていく。引き裂かれた視界の中で、ただ一つの言葉だけがリフレインする。サテラ、愛、愛、愛。それ以外のすべてを失った器は、自らの顔を、皮膚を、肉をかきむしり、狂ったように笑い、そして狂ったように泣き叫んだ。こうして、世界を愛した心優しき土の精霊の記憶は、どこまでも深い絶望の闇の底へと沈み、二度と浮き上がってくることはなかった。
狂気の闇へと転落した肉体は、もはや「ジュース」という名も、それを形作っていた心優しき土の精霊の記憶も、すべてを忘却の彼方へと葬り去っていた。ただ一つ、魂の最奥に焼き付いた「愛(サテラ)」という妄執だけを道標に、異形の存在は新たな歩みを始める。
自らの顔をかきむしり、爪を血に染めながら、男は自らをこう呼んだ。魔女教大罪司教__「怠惰」担当ペテルギウス・ロマネコンティ。
かつて人々を救うために他者の体を借りていた精霊は、今や「見えざる手」を乱行させ、己の目的……「試練」を果たすためだけに、他者の肉体を「指先」として乗っ取り、文字通り使い潰すだけの化け物へと成り果てていた。幾度となく肉体を乗り換え、何十年という歳月をただ盲目的な福音の記述に従って彷徨い歩く。
その歩みの先に、かつて自分が命を懸けて守ろうとした銀髪の少女が、どのような運命を辿っているかなど、狂った脳髄が認識することは二度となかった。そして、時は流れ、福音書が新たな「試練」の刻限を告げる。導かれたのは、かつて自らの手で地獄へと変えた、あのルグニカ王国の東端にあるロズワール領の森。
そこに、魔女の寵愛を受けるにふさわしい、ハーフエルフの娘がいるという。洞窟の奥、薄暗い松明の光の中で、狂った男は自らの肉体をねじ切り、血を流しながら、歓喜に震えて叫び続けた。
「愛に! 愛に愛に愛に愛に愛に愛に愛に__! 報いなければならないの…デス!!!!脳が震える!」
と。そこに、一人の風変わりな少年が迷い込んでくる。魔女の残り香を濃密に漂わせ、けれど驚くほどに無力な存在。少年は、捕らえられたハーフエルフの少女……かつて「エミリア」と呼ばれた娘を守るため、泥をすすり、血を吐きながら、こちらの前に立ちはだかった。
少年は憎悪に満ちた目でこちらを睨みつける。だが、その程度の無力な抵抗など、怠惰なる「見えざる手」の敵ではなかった。少年の四肢を容赦なくねじ切り、その目の前で銀髪の娘の命を奪う。絶望に狂う少年の顔を見下ろしながら、ただ狂気的な嘲笑だけが洞窟に響き渡った。
しかし、歯車は狂い始める。何度命を奪っても、何度絶望の底に突き落としても、その少年は幽霊のように再び目の前に現れた。それどころか、次の瞬間には、こちらを狩るための冷徹な軍勢を引き連れて戻ってきたのだ。
王国の騎士たち、そして凄腕の傭兵たちが、一斉に牙を剥いた。幾度となく肉体を切り裂かれ、頼みの綱である「指先」の肉体たちも、一人、また一人と確実に潰されていく。追い詰められ、最期の肉体をも破壊された男は、霊体となってあの少年の肉体へと滑り込んだ。魔女の香りがするその器を乗っ取り、すべてを逆転させようとした、その瞬間。男の精神の前に現れたのは、焦がれ続けた、焦がれて焦がれて狂いそうになっていた、あの嫉妬の魔女の影。しかし、彼女が放ったのは、狂信者への抱擁ではなかった。
「あなたじゃない……違う……」
という、底冷えするような拒絶の囁き。その一言によって、男の霊体は少年の肉体から乱暴に弾き出され、荒野の地面へと叩きつけられた。もはや乗り換えるべき肉体はなく、霊体としての境界も崩れかけた男は、半ば千切れた醜悪な肉塊のような姿で、ただ這いつくばるしかなかった。
「なぜ……なぜですか魔女様ぁぁぁぁ! 私はこれほどまでに、あなたを愛しているというのに!」
と、血の涙を流しながら、なおも走り去る少年の竜車を追いかけて、狂ったように地面を這う。両足は折れ、両手は擦り切れ、ただ執念だけで進む器。だが、少年の冷ややかな視線が、上空からこちらを見下ろしていた。彼が手に持っていたのは空白のページを開いた福音書。少年は、そこに何かを書き込む。
「これでお前は終わりだぁぁぁぁぁ!!!!」
彼が福音書に書いたのは、「終わり」。確かにそう、血で記されていた。そして、激しい爆風とともに、男の体は竜車の車輪へと巻き込まれていく。骨が砕け、肉が潰れ、意識が完全な闇へと沈んでいく寸前、少年の容赦のない、けれどどこか哀れみの混じった声が、爆音の中で確かに鼓膜に届いた。
「じゃあな。ペテルギウス・ロマネコンティ。お前……怠惰だったな」
と。その言葉を最後に、世界を震撼させた大罪司教の肉体は完全に消滅し、狂気に塗りつぶされた長い旅路は、荒野の泥の中でひっそりと幕を閉じた。
---
「がぁ!?っはぁ…はぁ…」
「…?」
「…お前らなんだ?その目線は…」
「ねぇ。あなたは…」
「____」
「一体……誰ですか?」
「__は?」
6話次回予告
「なんかめんどくさい奴が来ると、色々とめんどくさいから早めにタイトルコールを済ましておく。次回6話「自称英雄 ナツキ・スバル」お楽しみに」
「ちょっと!?めんどくさいってどういうことかなぁ!?」
6話「自称英雄 ナツキ・スバル」
「__は?」
スバルの口から出たのは、驚きの声ではなく__
困惑の声だった。
「誰だって…俺は…スバル。ナツキ・スバルだぞ…?英雄…ナツキ・スバルだぞ…?」
ピンとこないように、他の人たちは
「スバル?」
「英雄?あなたが?」
と口を揃えて言うのであった
「…あ?なんで?なんで…?なんで覚えてない…!?」
今すぐスバルは調理場へ行き、包丁を手に取り
自分の首の肉を__
切り取った。
時間が戻る。
「あなたは…誰ですか?」
「__あ」
戻った場所はみんなに忘れ去られた直後だ。
死んだ意味がなかった。
「…あ?なんで…ここ…?まさか……セーブポイントが……更新された…のか?」
スバルはその事実を噛み締めるようにゆっくりとしゃべった。
次にスバルの頭に浮かぶ疑問はどうしてみんなに忘れ去られたのだろうと言う話だ。
まさか__
名前が…
失われたのか…?
だったとしたら…
どうしてなくなった…?
「さっきから何なんだ…?ベア子が知らない人がいるって急いでこっちに来たけどさ。一体何があったんだ?**兄弟**」
「アル…お前は…」
アルの言葉を聞いたエミリアが少し不思議そうに
「ねぇアル?」
「あ?」
「兄弟って…誰のことを言ってるの?」
「忘れたのか?スバル。ナツキ・スバルだ」
「じゃあ…アルは…あそこの知らない人の知り合いなの?」
「__は?」
自分の仲間を。
その男を騎士に持つ女は__
その男と契約している女は__
その男と同じ屋敷で働いているメイドは__
その男と屋敷で一緒に暮らしたことがある男女は__
その男と共に戦ったことがある男女は__
男のことを…
完全に忘れ去った。
その忘れ去られた男の名を。
こう言う。
**~~ナツキ・スバル~~**
と。
「……わかっただろ?おそらく俺の名前は失われた」
「兄弟…」
「どうしたもんか」と、言いたげな顔をしながらスバルは少し顎に手を当てて考えた。
名前を思い出す…
名前…
暴食…
記憶…
精神体とかそういうのなら覚えてるんじゃ…?
精神体…
ルイ?
ルイ…
オド・ラグナ…
記憶の回廊…
プレアデス監視塔…?
あ!死者の書!
「よし…プレアデス監視塔に向かう」
「そりゃどういうことだ?兄弟」
「あそこは俺の…死者の書がある」
そうしゃべると、エミリアが即座に
「死者の書って…あの書庫にあったやつ?」
「うん。多分探すのは結構簡単目だ」
なぜなら、スバルは何回も死んでいるため、大量に死者の書がある。
ただし読むなら…
読んだ人は…
死に戻りを体験することとなる。
死に戻りを知ることとなる。
じゃあどうすればいいのか?
それは向かってみないとわからない。
もう彼女がいない__
あの監視塔へと__
7話次回予告
「無事にあいつ(レグルス)は振り切ったわけだけど…今日は誰が来るんだ?」
「……お師様…」
「お師様って…まさ…か…」
「お師様〜!もうもうもうもう!!待ってたッスよ〜!!!!」
「いっっっっっっってぇぇぇぇぇぇ!?!?!?」
「あ!サーセンッスお師様!久しぶりなんで力入っちゃったッス!」
「力が入ったとか、そんなレベルじゃねぇぞ…おい…」
「反省反省ッス!」
「あ…」
「ん?」
「立てねぇ…」
「テヘペロッス!」
「その言葉を言えば、何でも許されると思うなよ!?」
「次回7話!「砂の塔」!お楽しみにするッスよ〜!」
「無視すんな!?」
「お師様はこのまま骨を折り続けて『今夜は寝かせないぜ』ッス!」
「痛みで寝付けねぇなぁ!?」
7話「砂の塔」
「っし!それじゃ、アグリア砂丘へ!しゅっぱーつ!」
少し時間が経つと、ベアトリスが顔を出して
「そろそろ砂時間かしら」
「もうそんな時間か。みんな砂時間の対策はしただろ?竜車を止めるぞ」
そんなことを繰り返していくうちに、数日が経つ。
「ナツキくんももう気づいてるやろ?うちら移動してるのに、あそこに全然近づいてへん」
「…ループしてるってことか?」
「どこかに時空の歪みがあるってことやね」
また、砂時間が来た。
その砂時間の中、空を飛んでいたのは、鳥。
白い鳥だった。
「スバル!鳥って…」
「ああ!ラム!あの鳥と視界を繋げれるか?」
「わかったわ!」
鳥は砂時間の途中も飛び続けていた。
「…鳥に続け!砂時間がどうとか関係ねぇ!」
そして、追いかけていくうちに開けた場所へたどり着く。
「なんだここは…?1面花畑…花って…!」
地面から花魁熊が出てくる!
「メィリィ!」
「わかったわ!お兄さん!」
するとメィリィは人差し指を向けて
「__ちっちっちっちっちっちっちっちっちっちっちっちっちっちっちっちっちぃー」
花魁熊がその場を退くが…
ヨーゼフが花魁熊を威嚇した。
「っまず!?あー!走れー!!!!」
「上の2人!振り落とされないように!」
ラムたちが乗ってる竜車が方向を急に転換する。
いろんな人たちが花魁熊を倒していって__
「よし!このまま塔に突っ込めば!」
すると不思議なことに塔が光って
「なん__」
それがスバルの頭に直撃して。
時間が戻る。
---
「っはぁ!?兄弟…お前、こんな苦しい思いしてたのかよ…」
「今更驚くことでもねぇだろ」
今、スバルたちがいるのはプレアデス監視塔の3層『タイゲダ』
プレイアデス大図書館であった。
時は数日前にさかのぼる__
---
「え?これ俺が説明しなきゃいけないのかよ…兄弟」
「他の人たちがちゃんと覚えてくれてるからな。お前の事は。信頼できるから、お前から話したほうが絶対にいい」
アルは少しめんどくさそうに、みんなの前に立って。
「あー。なんだ。こいつの名前はナツキ・スバル。簡単に言えば、名前が失われたって話だ。で、その名前を取り返すために、俺たちは今からプレアデス監視塔へと向かう」
アルが説明すると、エミリアたちは
「いまだに実感はわかないけど…」
「ここで嘘をつく必要もないのよ」
「わかりました。その話信じます」
オットーがそうしゃべるとベアトリスは少し不満そうに
「それに…ベティーこいつにつながりを感じるかしら…前のベティーたちと関わっていたのは一目瞭然ってやつかしら」
「ベア子…」
「その不快な呼び方は何なのかしら…!」
2人の話を遮るようにアルがこうしゃべる
「出発は明日だ。各自準備しておけよ?」
そして、次の日。
「よし。そんじゃ行くとしますか!アウグリア砂丘!」
少し進んでプレアデス監視塔への道に入る。
「みんな忘れてなきゃいいけど、砂時間中も直行するからなー!」
そうスバルが叫ぶと
「…砂時間のことを知ってるって事は…本当に前まで私たちの仲間だったのね…」
エミリアが少し悲しそうに言葉をつなげる。
「あー。今はそういうしんみりした空気はいいってエミリアたん!」
「『たん』?それってなんだかすごーく変な感じがする愛称だわね…」
そして砂時間がやってきても、容赦なくスバルたちは進み続ける。
「花魁熊には要注意だぞ!」
「うん!わかったわ!」
そうやってリードしてスバルに対して、自然と仲間たちは信頼を置くようになってきた。
そして、ある程度塔に近づいた頃__
閃光が走る。
「シャウ__」
時間が戻る。
「うん!わかったわ!」
死んだのか?間違いない…あの塔が光って…
もしかして…
『ヘルズ・スナイプ』?
あの時と同じ回避ルートで行くしかないのか…
「みんな!塔が光ったのを見たことあるやつはいるか!?」
「…見てないけど…その光は何なの?」
「あれだ!覚えてるか?俺を狙った光」
覚えてるはずがない。
なぜなら__
「そんな光なんて…なかったよ?」
彼女たちの記憶からナツキ・スバルは既に消えているのだから。
「は?」
また塔が光って
「まず__」
時間が戻る。
「うん!わかったわ!」
「嘘だろ…」
8話次回予告
「さて!ついに砂の塔へと向かった俺たち!そこで待ち受けていたのは、かつてのあの監視塔の星番、シャウラが使っていたオリジナル魔法ヘルズ・スナイプ!スバルたちは、次回この能力をどのように攻略していくのか!次回8話「違うはずなんだ」お楽しみに!」
「… 1人で長々と急に喋り始めて一体どうしちゃったのよ…」
「こういうのは手短く終わらせたほうがいいって上の人が言ってたぜ」
「上の人って…普通に作者って言えばいいと思うのよ…スバルは本当に回りくどい言い方が好きかしら…」
「別に俺がどんな言い方したっていいだろ?俺とお前の仲だし。な?ベア子」
「うるさいのよ!!」
8話「違うはずなんだ」
「嘘だろ…」
スバルは決めた。
いきなりEMTを展開する!さっきの茶番を全部撤回する!
また、声を張り上げて光のことを伝える。
「ベア子!」
「その呼び方やめろって何回言ったと思ってるのよ!」
「わかってるって!EMT」
「かしら!」
スバルたちの周辺に紫色の円が展開される。
絶対無効化魔法・EMT。
このフィールド内では、どんな魔法も…
「来たぞ!」
光の針は、フィールドに入ると、急に速度を落として、ただの針へととなる
それでもやっぱり__
時空の歪みは、ほつれる。
「やっぱりこれは絶対条件か…!でも攻略法がわかってんだ!速攻で終わらせる!」
地面に揺れは、次第に激しくなっていき__
スバルたちは地下へと落ちる。
「っはぁ…やっぱりこれは必須イベントか…さて、今回のメンバーは?」
スバルが後ろを見ると、そのスバルを心配そうに見つめているエミリア。そしてベアトリスだった。
「当たりだな」
「何が当たりなのか説明してほしいのよ」
スバルはそんなベアトリスを軽くあしらう。
「このまま進もう。いずれ別れ道が来るはずだ」
少し進むと右か左かの選択肢が出てきた。
「よし、左に進もう」
瘴気が漂っている方向は__
スバルの記憶が正しければ右だ。
「っはぁ…はぁ…なんだ…?これ…動きにくすぎるだろ…」
この感覚…
どこかで…
まさか…
「予定変更だ!引き返すぞ!」
「引き返す?今更すぎるのよ」
そう言われて、スバルは少し言い淀んでしまう
「あぁ…瘴気だ!瘴気を感じる!」
「……ミーニャ」
それはスバルへ当たって。
急所を避けるように。
逃げ道を塞ぐように。
なん…だ…?足に…
違和感が……ッ!!!!
「…インヴィジブル・プロビデンス…」
ベアトリスの小さな体が吹き飛ばされる。
「ちょっと!二人とも今ここで喧嘩しても__」
スバル冷徹に言い放つ。
「コル・レオニス」
足の怪我は…
エミリアへと…
肩代わりされた。
「んがぁ!?」
「ス…スバル…やっぱりお前は…信用…できないのよ…一体…なんの…つもり…かしら…」
スバルは何か思いついたように喋る
「なぁベア子。少し我慢してくれよ?」
「何を__」
「コル・ヒドラエ v2」
そう喋るとベアトリスは眠った。
「エミリア」
「な…なに?」
スバルは立ち上がって
「コル・ヒドラエ v2」
「え?」
エミリアも眠った。
「よし。先に進もう」
先に進んで数分が経った頃。
後ろから聞き覚えのある声が響き渡る。
「ミーニャ」
「アイスブランド・アーツ」
それは、スバルを正確に狙っていて。
「ここで攻撃しちゃってもいいの。だってあなたは死に戻れるんだから。ね?スバル」
「本当にベティーたちの知り合いだったとは思わなかったのよ。死に戻りを持つ英雄?」
「…もしかして…」
俺があの時見せた死者の記憶が…
俺の記憶…?
これは…うん。名前を取り戻すのに使えそうだ…
ここは潔く死を__
「俺が悪かった。降参だ。煮るなり焼くなり好きにしてくれ。できれば殺して欲しい」
「?」
「?」
2人とも不思議そうな表情を浮かべて
「殺したら意味ないでしょ?」
「どうせ殺してもすぐ戻っちゃうのよ」
やばい…知らない展開だ…
もしかして…
殺される寸前で…
止められる…?
「ミーニャ。出力30%」
その頭に当たって、血が出る。
「あぁ!?いた……っ!やめ……っ…」
「かわいそうだね。スバル。死にたいのに死ねないなんて。でも大丈夫。もっと苦しくなるから」
「エル・ヒューマ」
氷も。
スバルへ直撃して。
__痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。
「やめ……」
死なせてくれ。殺してくれ。俺を救ってくれ。頼むから。俺を殺してくれ__
「シャマク」
何も見えない。何も感じない。いやだ。やめろ。それ以上俺を苦しめるな。俺は…
「そろそろ殺そうかな?ベアトリス?」
「そうね。そろそろ殺していいと思うよ」
「ミーニャ。出力100%」
「アイスブランド・アーツ」
どっちもスバルの頭に直撃して__
時間が戻る。
「何が当たりなのか説明してほしいのよ」
「あ?」
スバルはベアトリストとエミリアを見て。
「あ?あぁ…あああああああああ!?!?!?」
「…急にどうしたのかしら…」
違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う__
そうじゃない!そんなつもりじゃないんだ!俺は!!!!
違うはずなんだ……!!!!
9話次回予告
「次回予告が俺にとっての癒しの空間となってきたぜ!」
「そうッスか?お師様の癒しとなる存在になれて、何よりッス!」
「お、おう」
「てことで、次回!9話!「忘れ去られたら何もない」!お楽しみにするッスよ〜!」
「前も似たようなこと言ってなかったか?デジャブを感じるのは俺だけ?」
「そうッス!一回言ったッス!デジャブはあーしも感じてるッス!」
「デジャブの意味をどこで教わったんだよ…」
「お師様ッス!」
「俺英語なんて教えた覚えないけどな!?」
「あとあと〜『あいうえお。かきくけこ。さしすせそ。なにぬねの。はひふへほ。まみむめも。やゆよ。らりるれろ。わをん』っていうのもお師様に教わったッス!」
「俺日本語なんて教えた覚えないけどな!?そして俺の言ったセリフにすごい既視感!!」
「デジャブッスね!じゃああーしが前回の次回予告のデジャブを__」
「やめろぉぉぉぉぉ!!!!!!!!」