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目次
The Silent Execution Game~死と裏切りのゲーム~ #01
|沙耶《さや》が朝起きると、まったく知らない部屋の中にいた。
自分の部屋よりも一回り大きく、大きな窓に、ドアが3つある。
沙耶がいる部屋は、クリーム色の壁に、今沙耶が寝ているベッド。そして、勉強机があった。
ベッドから起き上がると沙耶は少しドキドキしながら3つあるうちの一つに手をかける。
(|開《あ》かない……?)
と思ったが、引き戸だったようだ。
開けてみると、洗面所と風呂、トイレがあった。
風呂にカーテンがついているタイプだ。
カーテンを少し開けると、ほうきと|雑巾《ぞうきん》があった。
沙耶は洗面所の水道に手をかけ、上に上げる。
(ただの、水……。私、|転生《てんせい》したのかな)
沙耶は起きたばかりなので頭があまり働かなかった。
沙耶は水を手に組むとパシャパシャと顔を洗う。
さっぱりして、沙耶は少しため息をついて、冷静に考えた。
(この水、危なくないかな?)
まあ、洗ってしまったのだから、仕方ない。
沙耶は洗面所から出ると、ほかの2つの扉を見た。
(うん、右側は明らかに玄関だよね。靴もあるし)
と、沙耶は左側のドアに手をかけ、引いた。
開けると、そこには机とその上に`紫色の布`、そして`水晶玉`が置かれていた。
(何ここ。`占い師`みたいな部屋……?)
机に近づくと、この部屋がすごく埃っぽいのが分かった。
沙耶は元から綺麗好きだ。
洗面所からほうきと雑巾を取り出すと、まず、ほうきで床を|掃《は》いてから雑巾を水で|濡《ぬ》らすと、床と机の上を綺麗に|拭《ふ》いた。
「ふぅ……ん?」
沙耶が机の上に目を落とすと、布と水晶玉の間に紙が挟まっていた。
それを拾うと、その紙にはこう書かれていた。
《あなたの役職は `**占い師**` です。》
あーまた新しいの書いちゃったゼ★
これからもよろしくお願いします!
追記
38:1-670-W "私"{沙耶}
40:1-701- H "私"{沙耶}
The Silent Execution Game~死と裏切りのゲーム~ #02
「占い師? もしかして、`人狼`?」
沙耶は自分の|頬《ほお》をつねった。
「痛い……。本当に、人狼の世界に……もしかして、`死んじゃうかも`しれない……?」
沙耶はぱっと我に返ると、寝室―――いや、自室―――へ戻り、ドレッサーと思わしき棚を開いた。
その中にはいつも沙耶が着ている私服が入っていて、ほっと安心する。
沙耶は服を取り出すと、パジャマから私服に着替えた。
(外に出よう。そして、多分みんな困っているから……。話し合えれば、いいかな)
沙耶は、ぎゅっと自分の手を握りしめると|履《は》きなれたスニーカーで、玄関の扉を開けた。
――――――――――――――――――――――――――――――――
「あ、来た。はじめまして」
私がドアを開けると、丸いホールが広がっていて、豪華な装飾とシャンデリアのある豪邸のような場所だった。
ホールの壁には等間隔で11つの扉があって、そのうち一つはとても大きい。
私の扉は大きな扉の隣で、扉の上に“101”と書いてあった。
その話しかけてきたことは、私の3つ隣の扉―――“104”―――の前に寄りかかっていて、黒髪のウルフカットで、襟足だけエメラルドよりの水色の子だった。
「はじめまして……えっと……」
「ああ、うち、|璃夜《りよう》っていう。うちのママがちょっと変わり者で、男みたいな名前だってよく言われるけど。あなたは?」
「私は、|室谷《むろたに》|沙耶《さや》です! よろしくお願いします」
「あ~、うち、固いのニガテでさぁ。タメでよろ!」
璃夜はにっと笑って、軽く手を上げた。
その仕草が妙に気さくで、沙耶の緊張が少しだけほどける。
「でさ、沙耶……は状況、把握してる? うち、まだ全然でさぁ」
「私も、よく分からなくて。気づいたら、ここにいて……」
「だよねぇ。うちも起きたらそこの部屋でさ。なんか人狼っぽいけど、悪趣味すぎん?」
璃夜はホールの中央を親指で指した。
「しかも誰も来ない。みんなひよってんのかな?」
その時、―――カチッ。
ホールの中央にある大きな扉の上部、丸い時計のような装置が動き出した。
赤い針がゆっくりと回転し、やがて0:30:00で止まる。
そして、無機質なアナウンスが響いた。
『――参加者の皆様。30分後に一日目の会議を開始します。全員、ホールに集合してください。繰り返します――』
沙耶はびくっと肩を跳ねさせた。
「会議……。やっぱり、人狼だ」
「まあ、大丈夫だよ、どうにでもなるって」
と璃夜が言うと、時計の針がカチ、カチと動き始めると同時に“108”と書かれた部屋から白髪で、低いツインテールの女の子が姿を現した。
背は沙耶より少し低く、肌は雪みたいに白い。
彼女はぱちぱちと|瞬《まばた》きをしながら、「お、おはよう、ございますっ!」とばっと頭を下げる。
「おはよー。初めまして、うち、璃夜っていうんだ。あんたは?」
「わ、私はアーシャですわっ。よろしくお願いいたします……。あら、そちらの方は……?」
「私は沙耶って言います。よろしくね」
「よろしくお願いいたしますわぁ……!」
アーシャが深々と頭を下げたその瞬間、“103”の扉がギィと開いた。
「あ、アーシャちゃん」
その子は茶色がかった髪で、小さなお団子ヘアだった。
見るからにアーシャと友達らしい……?
「はへ? なぜ存じ上げてますの?」
「まあね。でこっちが沙耶ちゃんに……。『りおう』ちゃんだっけ?」
私は、少しドキッとした。
私はこの子のこと知らなかったから。
「違う、璃夜だよ。というかなんでうちらのこと知ってるの?」
「う~ん、会ったこと、あるし? 私、物覚え早いから。沙耶ちゃんとは英検会場であったし、隣の席だったから。璃夜ちゃんはカラオケいったときに一人で受付いたし、名前見たから」
「……はあ、すごいね」
私がため息をつきながら感嘆すると、「ありがと」と短く返事をした。
「私は|翠《みどり》。ヒスイの|翠《すい》の字。よろしくね」
「よろしくね」
「よろしく」
「よろしくお願いいたしますわ!」
The Silent Execution Game~死と裏切りのゲーム~ #03
なんやかんやで全員がホールに集まると、|翠《みどり》が言った。
「じゃあ、簡単に自己紹介しよっか。時計回りね」
翠が私に目配せしたので、ああ、と思い口を開いた。
「私は|沙耶《さや》。部屋は101号室です。よろしくね」
私が言うと、隣に立っていた102の子が口を開いた。
「あかりって言うよ。名前はひらがなで、102号室だよ、よろしく」
あかりは黒いきっぱりとしたボブヘアでぱっつんの前髪だ。
あまり笑わなそうな子だった。
「私は翠。ヒスイの翠の字。103号室だよ。よろしくね」
「ウチは|璃夜《りよう》。104号室。あんまない名前だけどよろしく」
「私はまどかって言います。ひらがなです。よろしくお願いします」
まどかは紫がかった黒髪で、腰ぐらいまでのロングヘアだ。
眼鏡をかけていて、ふんわりおっとり系の優等生っぽい。
「めあだよ! めあは平仮名で書きます! 106だよ、よろしくね!」
赤髪で、腰までのツインテールだ。
元気な女の子、という感じ。
「|姫奈《ひめな》と言います。姫に奈良の奈です。107号室です、よろしくお願いします」
金髪で、腰までの軽くウェーブがかかったロングヘアの子だ。
「アーシャ、と申します。カタカナで、えっと、108号室ですわ! よろしくお願いいたしますわ」
「|幸《さち》っていいます。幸せで『さち』。109号室です、よろしくね」
水色髪で、高いポニーテールだ。
ゴムには大きめの黒いリボンがついている。
「姫奈の友達で、|美都《みと》って言います。110号室だよ、よろしくね!」
白髪で、優しそうな子がにっこりとほほ笑むと、翠が辺りを見回しながら言う。
「これで全員かな?」
めあが指を折って数え始める。
「沙耶ちゃん、あかりちゃん、翠ちゃん、璃夜ちゃん、まどかちゃん、姫奈ちゃん、アーシャちゃん、幸ちゃん、美都ちゃん、それからめあ!」
どうやらここには、私たち十人が暮らすらしい。
ホールには101号室から110号室までの住人が全員集まっていた。
沙耶は改めて周囲を見回した。
円形のホールには部屋の扉が等間隔に並んでいる。
そして中央に続く大扉のほかに、もう一つだけ少し大きな扉があった。
その扉には番号ではなく、『DINING』というプレートが掲げられている。
「たぶん、あそこは食堂ですね」
まどかが言うと、美都がうなずいた。
「そうかも」
その時だった。
カチッ。
ホール中央にある時計が再び音を鳴らした。
残り時間は、「00:25:00」を示している。
同時に、天井のスピーカーからアナウンスが流れた。
『参加者の皆様へお知らせします』
全員が顔を上げる。
『食堂を開放します。朝食が用意されています。会議開始まで自由行動とします。なお、各個室には役職に関する情報が存在します。探索は自由です』
音声が途切れる。
「朝食だって!」
めあが目を輝かせた。
「めあ、お腹ぺこぺこ!」
「警戒心ないねぇ……」
璃夜が苦笑する。
沙耶は少し迷ったあと、口を開く。
「私ね、部屋で紙を見つけたんだ」
みんなの視線が集まる。
「紙ですか?」
姫奈が首をかしげる。
「うん。そこに役職が書いてあった」
ざわり、と空気が揺れた。
「あ、めあの部屋にもあったよ! 言っていいのかわかんないけど、その役職に合わせた部屋があって、真ん中の机の上に置いてあったんだけど」
「私も同じ」
「え~、じゃあウチ見てくる!」
璃夜がウキウキランランでホールから出ていくと、姫奈も「確認してきます」と部屋に戻った。
The Silent Execution Game~死と裏切りのゲーム~ #04
「ねーねー、沙耶ちゃん!」
戸惑う沙耶の元へめあが駆け寄ってくる。
「何? めあちゃん」
「一緒に朝ごはん食べよ~よ!」
めあの屈託ない笑顔に沙耶の顔も思わず綻んだ。
「じゃあ、食堂に行こうかぁ」
---
———ここはとある一室。
グルルルル……。
心なしかオオカミの|泣き声《・・・》がする———。
---
「んぁ~……幸せぇ、このマカロニサラダおいしい!」
めあはほっぺに手を当てて天を仰ぐ。
「めあちゃんと食べてるとなんだかいつもより美味しい気がするな」
「えぇ、そぉ? めあ、食べるの大好きだからな」
「ねぇ~、本当に! すごくおいしそうに食べますね、めあさん」
沙耶はいくつかあるテーブルのうちの一番奥の椅子に座っていた。
正面にはめあ、右隣は姫奈である。
ここはバイキング形式で、どれもおいしそう。
「沙耶さん、めあさん、私は少しお食事を取ってきますね」
「行ってらっしゃ~い」
めあはマカロニをぱくっと食べると、またほっぺに手を当てる。
「沙耶ちゃん、なんて呼べばい? めあ、ちゃん付けやだな~、なんちって」
「ああ、そう? じゃあ沙耶でも、なんでも……」
「ホント! うれしぃ……。めあ、仲良くない子、みんなちゃん付けだからさ、なんか友達になった気分だねぇ」
なんか率直な子だな、と沙耶は苦笑いを浮かべた。
めあは、(この子なんか“落ちない”なぁ……)と考える。
しかし貼り付けの笑みは崩さない。
彼女は“落とせば”何があってもぼろを出す。
同年代なんだからね。
「じゃあ、沙耶ちゃんは今日からさーや! ねえ、そのサラダ美味し?」
「そーそーかな。私はなんかバイキング来たら義務的にサラダ食べちゃって」
「そうなんだ! めあ、|たいてー《大抵》最初からスイーツ取って怒られちゃうんだよねぇ」
沙耶はそうなんだ、とサラダを食べ進める。
「じゃ、めあはパン取ってこよっかな。どうする? さーや」
「ン、私は自分のタイミングで取るから」
「……そ」
めあはほんの一瞬だけ表情を止めた。
けれど次の瞬間には、またいつもの明るい笑顔に戻る。
「じゃあ行ってくるね」
軽やかに立ち上がると、トレーを持って料理台の方へ向かっていった。
沙耶はその背中を見送りながら、フォークでサラダをつつく。
(元気だなぁ)
不思議な状況なのに、めあはまるで学校の昼休みみたいに振る舞っている。
羨ましいような、少し心配なような。
(……)
めあは考えるよりも先に体が動くタイプを演じているけど、多分すごい考えている。
何か人を飲み込むような……堕とすような絶大な力を持っている、気がする。
(考えすぎかな)
沙耶は首を振った。
こんな状況だ。
誰だって少し変になる。
そうこうしているうちに、パンを山盛りにしたトレーを抱えためあが戻ってくる。
「ただいま~!」
「おかえり」
「取ってきた!」
席に着くなり、めあはクロワッサンに手を伸ばした。
その時。
「失礼します」
姫奈が戻ってきた。
トレーの上には野菜やスープが綺麗に並べられている。
「わぁ、姫奈ちゃんバランスいい!」
「めあさんが偏り過ぎなんですよ」
「えぇ?」
めあが不満そうに頬を膨らませる。
と、すぐに笑顔を取り戻す。
「姫奈ちゃん、めあさ、ちゃん付けあんましたくなくて。ひめちゃんとか、呼んでいい?」
「あ、はい。もちろんです」
沙耶はそこで二人の会話を聞きながらう~ん、と首を傾げた。
何故だか、めあの話し方には特徴がある。
まず相手が自分のことをどれほど警戒しているか。
それによって話し方を変えている。
多分沙耶は何を考えているかよく分からなかったからめあはあのような屈託ない笑みを浮かべ、姫奈には使わない、なんちって、とか、だよねぇとか、そういう言葉を使った。
姫奈はスープを一口飲みながら、少し不思議そうに首を傾げた。
「どうかしましたか? 沙耶さん」
「えっ、あ、ううん」
沙耶は慌てて手を振る。
まさか、めあの話し方を分析していました、なんて言えるわけがない。
「さーや?」
「何でもないよ」
「ふーん?」
めあはクロワッサンをもぐもぐしながら沙耶を見る。
「ねえねえ、ひめちゃんってさ、学校とかで委員長やってそう!」
「え?」
姫奈は目をぱちくりさせる。
「そんなことありませんよ……。まあ、私は首席っちゃ首席でしたが……ふふっ。……って聞いてます!?」
「ん~、聞いてる」
めあはクロワッサンをもぐもぐしながら適当に返事をした。
「聞いてる聞いてる。ひめちゃん首席なんでしょ? すごいじゃん」
「だからその反応が適当なんです!」
「えへへ」
めあは笑うだけだった。
「めあさんってちょっと不思議ですね」
「ええ、そぉ?」
「というか、そういうめあさんはどうなんです? 成績」
「ん~、まあまあかな」
「はぐらかさないでくださいよー」
姫奈はむすーっと頬を膨らませる。
「ええ、まあずっと一番かな……」
「はぁっ!? めあさん頭よかったんですか!?」
立ち上がった姫奈の声が食堂に木魂する。
一斉に視線が集中して、姫奈は顔を赤らめて椅子に座る。
「頭よかったんですか、って……失礼だなぁ」
めあはじとーっとした目で姫奈を見る。
「だ、だって!」
姫奈は慌てて両手を振った。
「めあさん、そういう風に見えなくて……」
「それもっと失礼じゃない?」
「うっ」
図星を突かれた姫奈が言葉に詰まる。
沙耶は思わず笑ってしまった。
「確かにめあちゃんって勉強より体育って感じかも」
「さーやまでぇ?」
めあはがっくりと肩を落とす。
「めあ運動得意じゃなくてさ。テストも授業中に覚えちゃうタイプだから、残りはずっと絵描いたり、手芸したりしてる」
「しゅ、手芸!?」
「あとめあ全国レベルの合唱部だから、ずっと歌うたってるかも」
「はぁ……。なんか、めあさんって天才なんですねぇ」
姫奈は半ば呆れたようにため息をついた。
「ん~?」
めあは首を傾げる。
「天才かなぁ」
「天才ですよ!」
「授業中に覚えるんですよね!?」
「覚えるけどでも……」
「合唱も全国レベルなんですよね!?」
「まあ合唱は皆で作……」
「しかも手芸も絵もやるんですよね!?」
「いやそれは趣味……」
「ほら!」
姫奈はびしっとめあを指差した。
「でもねぇ」
クロワッサンをちぎりながら、めあが言った。
「ひめちゃんの方がすごいと思うな」
「え?」
「だって努力できるもん」
その言葉に姫奈が固まる。
「めあ、努力って苦手だから」
「そうなんですか?」
「うん」
めあはあっさり頷いた。
「めあはつまんないの嫌い。だから合唱は小学1年からやってるけど、空手は一日でやめた。そういうことだよ」
めあはそう言いながら新しくとったメロンパンをぱくりとかじった。
「一日!?」
姫奈がまた声を上げる。
「いやだってさぁ」
めあは悪びれもせず肩をすくめる。
「先生が『返事!』って言った瞬間、めあ向いてないなって思ったし」
「早すぎませんか!?」
「マジで。やる気なくて5回ぐらい返事させられたし。同じ声使うでも、合唱と空手は違うんですね~」
「そんなのは知ってますけど……」
姫奈は少しあきれたように笑う。
と、そこで沙耶が口を開いた。
「じゃあこの三人で頭悪いの私だけじゃん」
「頭悪かないって」
沙耶は「そういってるめあちゃんが頭いいんでしょーが」とつっこむ。
と、そこでポーン、とタイマーが鳴った。
『朝食の時間を延長します』
と、00:10:00と表示されていたパネルが一気に00:30:00まで延びる。
「ね~、めあ短いと思ってたんだよ」
「それは私も思ってた」
沙耶が頷く。
「ねえ……めあパン取りすぎたから、食べる?」
「言わんこっちゃない」
「私食べますよ?」
姫奈が手を伸ばして、……まあ結構とる。
「おう、ひめちゃん結構食べるんだ」
「あ……あはは。よく言われます。今日はちょっと我慢してたらおなかすいちゃって……」
「……首席って頭おかしいのか……」
沙耶のつぶやきに「うわ~。さーや、聞こえてるよ?」とめあが突っ込んだ。
「あ、でもひめちゃん、ここ来てからずっと我慢してたんでしょ?」
「まあ、少し」
「少しじゃないじゃん」
皿の上には既にクロワッサンが二つ、ロールパンが二つ、メロンパンが半分。
姫奈は視線を逸らした。
「……緊張していたので」
「あー」
それは沙耶も納得だった。
「てかそれめあの食べかけだけど大丈夫そ?」
「いや、めあさんがいらないって言ったんでしょーが」
あはは、とめあは笑った。
The Silent Execution Game~死と裏切りのゲーム~ #05
朝食も取り終わり、沙耶はめあと一緒にホールへ移動した。
ちなみに姫奈は部屋に戻ってしまった。
「制限時間延ばしたのってご飯食べるの遅いからだよね、みんな。まあめあもいつもテレビ見ながら食べてるから、人のこと言えないんだけど」
「なんのテレビ見てるの?」
「日によってだけどアニメかな」
「え、本当? アニメ好き?」
「うん! めあは漫画のほうが好きなんだけどね」
沙耶の目がきらりと光る。
「へぇ。何読むの?」
めあはほんの少し目を細めた。
好きな話題を振られた子どもみたいな顔だ。
「悪役令嬢ものとか異世界転生ものとか、恋愛漫画も読むし、ホラー系も読むよ」
「え、本当!? 私もめっちゃ読む!」
沙耶の食いつきにめあはぐいっと近づいた。
「何読む感じですか?? めあ結構なろう読むんだけど」
「え、がち!? 私も! 転スラとか?」
二人の会話は一気に加速した。
さっきまで初対面同士だったはずなのに、共通の趣味を見つけた途端に距離が縮まる。
沙耶もめあも、どちらかと言えば漫画や小説の話をする時の方が饒舌なタイプらしい。
「あ~……、めあはちょっと有名どころは読んでなくてですね……。薬屋も読んでないし……。でもあのさ、痛いのは嫌なのでとか、歴史に残る悪女になるぞとかレベル99とか……」
「え、本当! 私もめっちゃ読む! 私レベル99の新刊持ってなくて……。貸してくれない?」
「おっけ~! 次会ったときね」
「あ、そっか」
二人は同時に口を閉じた。
ここには本棚もなければ、自分の部屋に置いてきた私物もない。
そもそも元の世界に帰れるかどうかすら分からないのだ。
さっきまで弾んでいた会話に、ほんの少しだけ影が落ちた。
「ま、帰れたらの話だね」
先に口を開いたのはめあだった。
けれど無理に明るくしているわけでもなかった。
「帰れたら絶対貸す」
「ほんと?」
「ほんとほんと」
めあは笑う。
「めあ、人に本貸すの結構好きだもん」
「へぇ」
「反応聞くの楽しいんだよねぇ」
その言葉に沙耶は少しだけ安心した。
「じゃ、めあちょっと部屋戻るね。眠くなっちゃった」
「あ、うん」
---
めあの部屋は、沙耶と同じくドレッサー、勉強机、大きな窓の前のベッドは変わらなかったが、壁紙はピンク色で、かわいらしい雰囲気が漂っていた。
「ふぅ、疲れちゃったな」
めあはなんとなく`役職部屋`のドアを開けた。
「あれ?」
『`|物《ブツ》`』が置いてある机の奥に、本棚が増えていた。
「え、噓ぉ、めあ達が漫画の話、してたから家の本棚が置かれてる!」
めあはさっそく沙耶に貸す漫画を手に取ると、部屋から出た。
「眠い眠い。さっさと寝よ」
会議まで、あと15分。
---
幸は109号室の扉を閉めると、小さく息を吐いた。
「ふわぁ、疲れたなぁ」
幸は口元に手を当てると大きく|欠伸《あくび》をする。
「なんで皆あんなに本気になるんだか……」
洗面所に行くとコップに水を汲み、一口飲む。
「食欲なんかわかないでしょ、普通……。あのめあって子ちょっと苦手かも……。なんかムードメーカーにでもなりたいのかな」
幸はバッとベッドに大の字になった。
「眠い……寝ようかな。いやでもさすがにおなかに入れといたほうがいいかな……。でも危ないよな」
とはいえ、自分も洗面所の水を飲んでるのだが。
幸はベッドから立ち上がると、玄関の扉に手をかけた。
---
(正直、姫奈ちゃんと美都ちゃんうらやましすぎる……。友達なんかみんないないのに……って!)
もう沙耶と姫奈、それにめあは山盛りのパンをみんなで分けているようだったし、アーシャや美都は二人で談笑している。
(これは……まずいかもね)
璃夜と翠は一人で食べているからさすがに同席しないほうがいいかも。
まだ来ていないのはあかりとまどからしい。
確か二人はそれぞれ102と105だった気がする。
どうしよう。呼ぼうか。
(いや友達じゃないし絶対変だよ!)
しかし、一人で食べるのはそれで気が引ける。
誰かと食べなければ一向に話は進まない。
じゃあ翠? 璃夜?
幸が食堂の扉の前で棒立ちしているのを見たのか、翠が「ここ、座る?」と声をかけてくれた。
「あ、ありがとう!」
幸が「ちょっとご飯取ってくるね」と言うと、「どうぞ」と手元の料理を食べ進める。
(翠ちゃんがとってたのは、サラダとスパゲッティだった……。同じやつ取ったらどう思うかな? あれはあれですごい美味しそうなんだけど、もし真似してるこいつ……。って思われたらやばいし……)
とはいえ、食べたい。
幸はまずマカロニサラダとポテトサラダを取ると、レタスをイイ感じで盛り付ける。
(まずまずの出来……。これならなんか会話できそうかな?)
幸はちらりとデザートコーナーを覗く。
(うわぁ、あのショートケーキおいしそぉ……。チョコケーキも食べたいし……。え、あれモンブラン!? シュークリームもある……。チョコレート我慢するか……取ろ)
幸はショートケーキとモンブラン、シュークリームを盛り付けた。
一旦自分の席に戻ると、スープと紅茶を取ってくる。
「失礼しまーす……」
幸が座ってサラダを食べ始めるが、一向に会話が始まらない。
(き、気まずい!)
「……あのさ、幸ちゃん」
「なに?」
「えっと、私もそのマカロニサラダ気になってるんだけど、感想を教えてほしくて」
幸は固まった。
(何て言えばいい?)
これはテイストについて聞かれているのか、おいしいよ~、だけでいいのか本当に読めない。
「結構、私はおいしいと、思う」
「そう! じゃあ取ってくるね」
「あ、いってらっしゃい……」
翠が立ち上がって取りに行ったのを見送ると、ふぅーっと溜息を吐いた。
(よかった……。大丈夫だった……)
幸がポテトサラダとマカロニサラダを食べ終わり、デザート等に手を付け始めたときに翠は戻ってきた。
「ちょっと気になったのあってさ。メロンパン取ってきちゃった」
翠がふわっとほほ笑んだ。
(み、翠ちゃんってこんな笑い方するんだ……。同性でもフツーに惚れる!)
「そっか。じゃあ私もパン取ってこよっかな~」
幸は一口サイズのショートケーキをぱくっと口に放り込む。
「ん、これ美味しい!」
「ほんと! 私も食べよ~」
幸はうんうん、とうなづくと、シュークリームを一口かじる。
(これもおいしいな……)
翠はメロンパンを食べ始めたようだ。
「それ、おいしい?」
「うん!」
満面の笑みで返される。
「あ、そういえば、翠ちゃんって何年生?」
「私? 私は高1」
「へえ、じゃあ先輩だ。私中3」
「え、見えない! 大人っぽいね」
「ありがと」
幸はぐっとスープを飲み干し、モンブランを食べる。
(自分食べるの早いと思ってたけど、翠ちゃんも相当早いな……。よかった、変に思われなくて)
「じゃあ、幸ちゃんは何か部活入ってる?」
「あ、私軽音部。ほら、あのバンドのやつね。私はボーカルなんだけど」
「あ~、そうなんだ。私はESSなんだけど……。英語のミュージカルやるやつ」
「そうなんだ~! え、じゃあ歌うたうじゃん!」
「そうだよ! ……じゃあ、私デザートはいろうかな?」
「あ、私も取ってくる!」
幸はパンのところに行く。
(おすすめしてもらったし、メロンパンとチュロスか……。あと、ドーナツも取ろ)
幸が席に戻ると、もう翠は席についていた。
「翠ちゃん、何取ってきたの?」
「抹茶ムースとリンゴ、ショートケーキ」
「おー、おいしそう!」
幸は席につき、メロンパンを一口食べる。
「これ、めっちゃおいしいね!」
「ねぇー」
---
私たちが食べ終わったころ、タイマーが鳴った。
『朝食の時間を延長します』
00:10:00と表示されていたパネルが00:30:00になる。
「私たち、食べるの早いかもね……」
幸の声掛けに翠はあはは、と笑う。
「何かまだ食べる?」
「もういいかな」
「じゃあ、ホール行こうか」
「うん」
幸が頷くと、翠は食堂のドアを開けてくれる。
ありがと、と感謝を述べると翠と共にホールに入る。
まだ誰もいなかったため、幸等は丸い机の周りにおいてある椅子に腰かけた。
「翠ちゃんは今、何の曲してるの? わたしあんまわからないんだけどさ」
「メリーポピンズだよ。幸ちゃんは?」
「私はミセス。いまはライラックかな」
「ほへぇ」
翠はあまりわからなそうにしていたので、「翠ちゃんはほかに何か好きなものとかある?」と聞いた。
「ポケモンが好きかな。結構ブイズの漫画描いたりとか、ストーリー作るのが好きなんだよね」
「え、あ、小説書いたりするの!?」
「うん、書くよ。でも二次創作は嫌いなんだよね」
「そうなんだ~! かっこいいね!」
幸が目を輝かせると、翠はあはは、と頭を掻いた。
「小説書くのかっこいいなんていわれたことないからなー。ありがとう」
翠は柔らかい笑みで返す。
(可愛い……)
「すごい話変わるんだけど、翠ちゃんって彼氏いる?」
「か、彼氏? いるにはいるけど……」
「だよね~? 可愛いもん」
「ありがと……」
翠は照れたのか、顔を真っ赤にする。
と、そこで姫奈とめあと沙耶がホールに入ってきた。
「じゃ、翠ちゃんは何か漫画読む?」
「あ、私はどちらかといえば小説かな。やっぱり、学校に行く時の電車とかで読んでるよ」
「へえ。何を読んでるの?」
「ほぼ小説家になろうの短編かな」
「ははーん。漫画は読まないの?」
幸が聞くと、翠はうーん、と顔をかしげる。
「令嬢漫画をたまに読むかなー。あ、あと普通に鬼滅とか、約ネバとかは読んでるけど……」
「あー、私は少女漫画読んでるんだよね」
「私読まないわー。ま反対だね」
「ね~」
その話を聞いたらしいめあと分かれた沙耶が話しかけてきた。
キラキラの瞳で。
「えっ、翠ちゃんもなろう読むの!?」
「うわっ」
翠は思わず身を引いた。
近い。
とにかく近い。
「読むけど……」
「おすすめは!? ねえおすすめ!?」
「沙耶ちゃん、落ち着いて」
幸が苦笑する。
だが沙耶は止まらない。
「なんかない?」
「私、タイトルよりかは、ランキング上位の小説しか読まないから……」
「あー、そっか……」
沙耶は露骨に肩を落とした。
その様子があまりにも分かりやすくて、幸は思わず笑ってしまう。
「落ち込みすぎじゃない?」
「だってぇ」
沙耶は椅子へぐったりともたれた。
「おすすめ聞けると思ったのに」
「ごめんごめん」
翠が苦笑する。
「私、読むときランキング眺めて、その時面白そうなのを読むタイプだから」
「分かるかも」
幸が頷いた。
「私も動画とかそんな感じ」
「あー」
翠は納得したように笑う。
「さーや! レベル99持ってきたよ~」
後ろから大きな声が聞こえ、振り向くと新刊を持ってめあが駆けてくるところだった。
「え、どこにあったの? てか、ありがとう!」
「いや、全然大丈夫! なんか本棚が生えてて……」
「本棚が生える!?」
「いや、冗談冗談。おかれてたの。自分の部屋にある本棚がね」
「へえ、すごい! 家の本棚そのまま来てるの?」
「うん」
めあはけろっと頷く。
「めあの部屋、役職部屋の奥に本棚増えてた」
「私のところも増えてたりするかな」
幸がぽつりと呟いた。
そこで、戻ってきていた姫奈が反応した。
「実は私の部屋も少し変わっていました」
「えっ」
みんなが姫奈を見る。
「本棚じゃないですけど……勉強机の上に参考書が増えていて」
「なるほど」
翠が腕を組む。
「趣味とか生活に関係ある物が増えてるのか」
「そうかもしれません」
姫奈は頷いた。
「私が普段使っているシリーズの問題集でした」
「こわ」
幸が即答する。
「それもう個人情報握られてるじゃん」
「確かに」
翠が苦笑する。
「何の話?」
新しい声が聞こえた。
振り向くと、あかりが立っていた。
「部屋に物が増えてたんだって。姫奈ちゃんとめあちゃん」
「ああ」
あかりは短く返事をする。
「増えてたよ、こっちも」
「何があったの?」
「画材」
一同が静かになる。
「絵描くの?」
「まあ。嫌いじゃない」
あかりはそれ以上説明しなかった。
相変わらず必要最低限しか喋らない。
そこで、ポーンとタイマーが鳴った。
『あと10分で会議開始です』
最近めっちゃ聖女読んでファンレターくださる方が多いんだけど、あれ一年前に書き始めたからすごい設定ごちゃごちゃで、え? 伏線回収しないの? みたいなところが多くて、普通に恥ずかしい、、、。
ファンレターありがとうございます、名前もよろしくお願いします!
The Silent Execution Game~死と裏切りのゲーム~ #06
くそ短いです。
『あと10分で会議開始です』
ホールの空気が一段冷たくなった。
一同全員が一言も話さない。
めあでさえ、少しだけ冷や汗を浮かべている。
『ルールを確認したい人は自室の役職部屋のそれぞれの役職が書かれた紙の裏側に書いてあります。また、あなた方は自分の勝利のことだけを考えて会議を行ってください。繰り返します。あと10分で会議開始となります。ルールを確認したい人は自室の役職部屋のそれぞれの役職が書かれた紙の裏側に書いてあります。また、あなた方は`自分の勝利のことだけを考えて会議を行ってください`———』
そこで、食堂の扉が開かれ、アーシャと美都、まどかが出てきた。
「あれ、璃夜ちゃんは?」
「まだ食べているようですわ。少し話しかけづらくて……」
アーシャが少し申し訳なさそうに言った。
わからなくもない。
というか幸も同じことを思った。
「話しかけたら結構明るい人だよ?」
と、沙耶。
沙耶は本当にそう思っているようでふんわりと笑った。
「そうなんだ。私まだ全然話してないなぁ……」
「……ま、そういう人もいる中で会議をしろっていうのがちょっとありえないよね。大人げない」
めあが一段低い声で言った。
どこか冷めたような声音だった。
「大人げない、か」
翠が小さく繰り返す。
「うん」
めあは肩をすくめた。
「だってさ、会ったの今日だよ? しかも十人いて、まだ全員と話してない人もいるじゃん」
アーシャが小さく頷く。
「確かに……そうですわね」
「なのに、もうゲーム始めるから頑張れって言われてもさ。……判断材料なさすぎ。穏便なめあでもキレるよ」
めあの言葉に翠がフッと笑ったのをっきっかけに、空気がぱぁっと明るくなる。
「じゃあさ」
そこであかりが切り出した。
「みんなはここへ来る前に何してた?」
The Silent Execution Game~死と裏切りのゲーム~ #07
これも短いです。
「みんなはここへ来る前に何してた?」
「ここへ来る前?」
幸が首を傾げる。
「うん」
あかりは短く答えた。
「最後に覚えてること」
「めあは起きたらここだった!」「私は起きたらここにいて」
沙耶とめあの言葉が重なる。
「「それで、転生したと思った」」
二人の声がハモった。
「ね、思ったよね?」
「めあちゃんこそ!」
二人はびしっと互いを指差した。
「だって知らない部屋だったもん!」
「めあも!」
「しかも妙に綺麗だったし!」
「分かる!」
「センスのいい異世界きたー! みたいな!」
「それなー!!」
二人が盛り上がる。
幸はぽかんと口を開けた。
「いや待って」
「ん?」「何?」
二人が同時に振り返る。
「そこで転生を疑う人いる?」
「「いるでしょ」」
またハモった。
「逆に、起きたら違う部屋にいて、転生した~! ……って思わない人いるの?」
「いや……、みんなはどう?」
「私も思った……。転生したって……」
いつも冷静な翠が顔を背けながら言う。
「ほらね!」
「いや、私は誘拐されたと思いましたよ」
姫奈の冷静沈着な意見に幸が「だよね? 私も監禁されたと思った」と付け足す。
今まで静かに聞いていたまどかが顔を上げる。
「私は……」
少し考えてから、
「病院かな、って」
「病院?」
「うん」
まどかは膝の上で手を重ねる。
「事故に遭って、変な夢見てるのかなって」
その答えに何人かが黙り込む。
それも十分あり得そうだったからだ。
「わ、私も一緒ですわ! 起きて皆様にお会いするまで、夢だと思ってましたもの! でも、皆様知らないお方だったから、夢ではないな、と……」
アーシャは少し恥ずかしそうに笑った。
「確かに」
美都が頷く。
「夢だったらもっと都合よくなる気がする」
「例えば?」
幸が聞く。
「テストなくなるとか」
「現実的!」
と、そこで食堂のドアが開いた。
璃夜がホールに入ってくる。
「あ、何の話してるの?」
「あ、えっと、ここに来る前の記憶」
「あー。ウチは起きたらここにいたな」
「へえ、めあ達と一緒だね」
めあがグッドマークを出すと、璃夜はにかっと笑った。
「ウチは最初転生したかと思った!」
「一緒だよ一緒! めあも思った!」
璃夜も楽しそうに笑った。
「あの部屋それっぽかったし」
「わかるー!」
「なんなら今もちょっと思ってる」
「それはないでしょ」
幸が即座に突っ込む。
「いや、でもさ」
璃夜は周囲を見回した。
「窓の外真っ白だし、よく分からん役職あるし、館デカいし」
「たしかに要素だけ並べるとそれっぽい」
翠が苦笑する。
「でしょ」
「でも転生ならもっとチート欲しいです」
姫奈が真顔で言った。
「まあ」
璃夜が肩をすくめた。
「チートというよりデスゲームの能力だけどな」
「やめてよ、一気に怖くなるから」
「実際怖いでしょ」
あかりがぼそりと言った。
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ポーン、と電子音が鳴った。
『会議開始まで残り一分です。皆様は、自室に戻り、ミューティング部屋へと入ってください。役職部屋と洗面所の間に造られています』
「え、この短時間で、部屋が作成されたの?」
めあの声に「ね」と沙耶が頷いた。
「じゃ、みんなミューティング室で」
翠が手を振り、103へ戻る。
「めあ達も行こう」
「「うん」」「はい!」