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『最低』な私
「琉花ちゃん、またね」
笑顔で手を振るクラスメイト。最近、よく一緒にいるようになった。
けれど、正直、私は一緒にいたくない。
ばかなんかと。
「うん、またね」
琉花も笑顔で手を振った。決して、心の中で思っていることを表には出さない。
だって、後々利用できそうだもん。この子、人望は厚いから。
このクラスメイトは、クラスでの中心人物。ムードメーカーだ。いつもおおらかに笑っている。明るい人。
正直、ばかのどこがいいのか分からない。
…あーあ…
クラスメイトが見えなくなった途端に、笑顔を消す琉花。
笑うのは大変で、疲れる。
なのに、どうして大勢の人があんなふうに笑えるの?
昔はあんなふうに笑ってたかな?
…こんなこと考えても無駄か。
琉花は、一人で家までの帰路を歩いていく。琉花は部活に入っていないため、帰りのHRが終わると、まっすぐ家に帰る。
部活なんて、やっても無駄だ。勉強時間を削られるだけ。
琉花は五歳で母親が死んだあと、父親の弟の家に住むようになった。父の弟の家族構成は、妻、息子、娘の四人家族だった。
父の弟はおおらかな人だった。いきなり来た琉花をすぐに家族と認めて、笑顔を向けた。
けれど、琉花は家族だなんて思えなかった。
家族になんて、なれるわけないじゃん_____。
そう思った。
「これからは、なんでも頼れよ。家族なんだから」
そう笑顔を向けられたこともあった。それは、今でも変わらないけれど。
家族だからなに?所詮、他の人と同じ他人じゃん。
そんな人をどうやって頼るんだよ。
っていうか、家族って他の人とは違うの__________?
琉花は家族が特別だなんて、思っていなかった。
でも、『普通』の人は違うらしい、ということが分かった。
「おかえり、姉ちゃん!」
「おかえり、お姉ちゃん」
今日も、唯斗と玲愛はこんな笑顔を向けてくる。なんでだろう?
琉花もすぐに、にこっと笑った。
「ただいま、みのるさんは?」
『みのるさん』とは、父の弟の妻だ。仕事にはついておらず、家で家事をしている。
「お母さんなら、買い物に行った!」
「そっか」
笑顔で応えた唯斗に、笑顔でうなずく琉花。
すると、急に唯斗が目の前に何かを出した。
「見てみて、姉ちゃん!今日、返ってきたテスト、百点だったんだ」
満面の笑みを浮かべながら、答案を見せる唯斗。そこには確かに「100」と書いてある。
小学校のテストで百点なんて当たり前でしょ。
琉花は、にこっと笑い、唯斗の頭に手を置いた。
「すごいね、唯斗」
確かみのるさんは、こうしていたはず。
もし、なにかやらかしてこの家を追い出されたら、めんどうくさいことになる。それは、避けたい。
「ありがとう!姉ちゃん」
唯斗は満面の笑みで笑った。
多分、これであってた。
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自分の部屋で、一人になったらやっと少し安心する。
ずっと笑顔を作り続けるのは、とっても疲れる。
琉花は、勉強机の椅子に座った。ふう、と息をつく。
『完璧じゃないと、だめよ』
いつもいつも脳でこだまする母の声。もう何年も昔の話なのに、忘れさせてはくれない。
あの声がなかったら、もっと優しくなれたのかな?
そんなこと考えたって、意味なんてない。勉強に時間をあてた方が、よっぽど良い。
琉花はスクールカバンから取り出した教材を開いた。
今日も疲れた。