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『最低』な私 2
「ねえねえ、知ってる?」
いつもの朝。登校してきてすぐの琉花に、近づいてきたクラスメイト。
なんで、すぐ近寄ってくるんだろう。話すの結構疲れるから、やめてほしい。
「|橘《たちばな》さんと|木原《きのはら》くん、付き合ってるんだって!」
そう言うクラスメイトの瞳は輝いている。
橘さんは、琉花のクラスの女子生徒で、木原くんは隣のクラスの男子生徒だ。
琉花は情報として、ほとんどの生徒の名前を覚えていた。
付き合う…は、確か恋人のことだ。
これも一般知識として、覚えている。
「いいなぁ。わたしも彼氏ほしいよぉ」
彼氏、よく分からない。何がいいんだか。
「そっか。ユリちゃん、可愛いから、すぐできるよ」
琉花はにこっと笑って、言った。
クラスメイトは「そうかなぁ」と首を傾げ、すぐにきらきらした瞳で琉花のほうを見た。
「琉花ちゃんは?付き合ってる人とか、好きな人とかいないの?」
「いないよ」
笑顔のままで、両手を振る。
クラスメイトは少し残念そうに「そっかぁ」と言った。
「でもさ、琉花ちゃんは美人だから、モテるよね」
もてる…?
内心、少し首をかしげたが、すぐに意味を理解して、また両手を振った。
「全然だよ」
「ほんと?絶対、モテてると思ってたけど…」
「ほんとだよ。全然、モテてないよ~」
あまり男と関わっていないのに、なんでモテるって思ったんだ?
「意外!」
少し驚いたような表情をするクラスメイトは、すぐに笑顔に戻った。そして別の話を話し始めた。
ほんとによく表情が変わるなぁ。
「あ!ゴミが落ちてる。もう、誰だろ~」
クラスメイトは、少し怒ったふうに言いながらも、迷わずそのごみを拾った。すぐ近くにあったゴミ箱に捨てる。
なんで、あんな汚いものを拾うんだろう。メリットなんてないのに。
本当は琉花は、もっと前にゴミに気づいていた。けれど、特に困ることはなかったうえ、めんどうくさかったからそのまま、放置したのだ。
多分、こういう子が優しくていい子。
なんか、遠くの人みたい。これはいつも思っていたことだ。
この子だけじゃない。
まわりの人が笑ったり、泣いたり、一つ一つの行動を見るたびにどこか別の世界にいるみたいに思える。自分だけ違うものみたいな感じ。
ああ、もうなんだろう。…帰りたい。
けれど、学校はいつも通りにあるのだ。