公開中
花火の形16
初流
あたりがすっかり暗くなり、会場の熱気と喧騒が一段と増していく。
『――間もなく、打ち上げを開始いたします』
会場のアナウンスが響き渡るが、スピーカーの限界を超えた大音量は到底聴き取れないほど音割れしていた。 そのアナウンスが終わると同時に、ヒュードロロロ……と空高くへ向けて一筋の光が昇り、夜空いっぱいに大きな光の大輪が咲いた。
ドンッ――!
遅れて、お腹の底まで直接響いてくるような重低音が鳴り響く。 次々と打ち上がる色鮮やかな花火の群れ。周りの観客から「おおーっ!」と歓声が上がる中、僕は見上げる志喜の横顔をじっと眺めていた。
志喜はどこか、不機嫌そうな顔をしていた。 ――だけど、この3日間で僕はもう分かっていた。あとほんの少しの勇気があれば、僕は志喜を笑顔にできるのだろうか。
「……ねぇ」
いきなりだった。 握っていた手にぎゅっと強い力がこもり、志喜がポツリと言い始める。
「ほんと、この3日間楽しかったね。……また来年も、一緒にこの花火を見れるかな。ねえ晴斗、この花火の形、覚えておいてね。またここに来た時は、おんなじ形の花火がみ――」
途中で言葉が切れた。 志喜の大きな瞳から、ぽろぽろと大きな涙が溢れ出していた。
――もう、迷っている暇なんてなかった。
僕は志喜の手を強く握り返し、その涙で濡れた顔を真っ直ぐに見つめた。
「……僕も、君といる時が一番楽しかったんだ! またこうやって手を繋いで帰りたい。今日こんなことがあったんだって、明日も明後日も君に話したい。……こんな僕でよかったら、付き合ってください!」
言い切ったと同時に、夜空の真ん中で一際大きな、眩い黄金色の花火がドカンと打ち上がった。まるで大輪のひまわりが咲いたかのように、僕たちの視界を鮮やかに染め上げる。
「……うんっ! うん……っ! これからもよろしくね……!」
涙を溢れさせながら、志喜は破顔した。 そしてそのまま僕の胸へと飛び込むように、力いっぱい抱きついてきた。
ついに告白しちゃった!
ほんと後ちょっとなんで!もうちょっとだけお付き合いください!