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おめでとうの裏側
放課後のファミレス。ドリンクバーのメロンソーダの氷が、カランと音を立てて溶けていく。 目の前で、親友のゆいなが、顔を真っ赤にしながらスマホの画面を私に見せてきた。 「……っていうわけでね。昨日、ひろとから告白されたの」
画面には、ひろとのアカウントからの『俺と付き合ってください』という文字。 ドクン、と心臓が嫌な音を立てた。喉の奥がカッと熱くなる。 ひろと。私の、ずっと好きだった人。
「りんかが背中押してくれたおかげだよ。本当にありがとう!」 ゆいなは満面の笑みで私の手を握る。 「ううん、よかったね。おめでとう」 引きつりそうになる頬を必死に持ち上げて、私は笑ってみせた。嘘じゃない。ゆいなの幸せは嬉しい。だけど、嘘だ。胸が引き裂かれそうに痛い。
先月、ひろとに「ゆいなの誕生日、何あげたら喜ぶかな」と相談されたのは私だった。 『ゆいななら、シンプルなネックレスとか喜ぶと思うよ』 あのとき、どんな気持ちでアドバイスしたっけ。2人の距離が縮まっていくのを、一番近くでアシストしていたのは、他でもない私だ。
「じゃあ、塾あるから先行くね!」 幸せオーラを纏って去っていくゆいなを見送ったあと、私は1人、夕暮れの帰り道を歩く。
ポケットの中でスマホが震えた。 画面を見ると、2人からの通知。
『りんか、本当にありがとう!今度お礼させて(ゆいな)』 『相談乗ってくれてありがとな。ゆいなを大事にする(ひろと)』
「……ばか」 ぽつりと呟いた声が震える。 視界が急に歪んで、スマホの画面にポツリと丸い染みができた。 おめでとう、と。今度こそ2人に届かない声で、私はもう一度呟いた。