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綺麗な人間
一話完結の更新お久しぶりー!
応援したくなる人間とは、どういう人間なのか。
その答えを、見つけた気がした。
私のクラスの学級委員長:|綾方《あやかた》さんは、
今度の生徒会選挙で生徒会長に立候補するらしい。
それを知った私は、綾方さんを応援したいと思った。
綾方さんは人間らしい人間…つまり綺麗な人間だ。
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クラス替えをしてまだ間もない時期、各委員会を決める時間が設けられていた。
学級委員長に立候補したのは綾方さんと、|宇都《うと》さん。
宇都さんはこの学年で一番頭が良くて、テストでは毎回学年一位を取るほどだ。
運動部らしく肌が焼けて、ギャル味も少しあるよく知らない綾方さんと、
小学校の頃から何かしら関わりのあった宇都さん。
そうなったら、知っている人を推薦する方が信頼できる。
そう思っていたけど、クラス投票の結果、委員長に決まったのは、綾方さんだった。
私は、少し不安になった。
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合唱コンクールの時、私は初めて綾方さんとまともに関わった。
私と綾方さんで、クラス合奏の伴奏のオーディションをすることになったのだ。
私はもともと音楽が全般得意だし、負けるわけには行かなかった。
結果的には私が勝った。別にそれが嬉しかったわけじゃなかった。
綾方さんはオーディションで負けた悔しさで、泣いていた。
それなのに私に「おめでとう、上手だったよ。」と言ってくれたのだ。
現実を認め、私を応援してくれる。
そんな綾方さんが、ただの大人の女性のように見えた。
それからの練習で、綾方さんは歌のリーダーとしてクラスの心を一つにしてくれた。
改善点をうまく言葉にできない私の代わりに、いろんなことを言ってくれた。
私は、この人は本当にリーダーに向いている、と分かった。
そして合唱コンクールの時、私は宇都さんに「指揮者、してくれる?」と聞いた。
でも、宇都さんは「嫌だ」と笑顔でその提案を断った。
私は知っていた。宇都さんは賢いけれど、面倒ごとを嫌うことを。
…本当に嫌だっただけかもしれない。
でも、断った理由として、面倒だからという理由は0ではなさそうだな、と思った。
結局、クラスの合唱の指揮者は、吹奏楽部の男子がやってくれることになった。
誰が悪かったとかじゃないけれど、合唱コンクールの結果は…言えない。
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私の学校は、給食当番に給食室から食缶を運ぶ係がある。
ある日、私が食べ終わった後の食器を運んでいると、宇都さんを見かけた。
宇都さんは、お盆を運んでいた。
私はそこで違和感を感じた。
お盆は、配膳に使うおたまなどが入ったケースも一緒に運ぶ担当のはずなのに、
宇都さんはなんでケースを持っていないんだろう、と。
こんなことを気にするなんて、私はちっぽけな人間なのかもしれない。
でも、ケースとお盆を別々で運んだら、本来当番じゃなくても、
優しい誰かがそれだけを給食室に運ぶために昼休みをすり減らす必要が出てくる。
どれだけ頭が良くても、実は利己的で表だけ優しそうにする…
それは良くないと思った。
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体育祭の日。
私のクラスは運動神経が優れた集団ではなかったから、
普通に考えて優勝は無理だと分かっていた。
私も運動が得意じゃなかったから、
私の出場した徒競走も、ビリではなかったけど下の方の順位だった。
でも、私は走っていた時、不思議な感情だった。
自分のクラスはもちろん他の学年からも、選手に向けた声援が聞こえてきたこと。
それが私に向けられたものではなかったとしても、嬉しかった。
それと同時に、普段そんなに応援されるようなことをしていないから、
少し恥ずかしかった。
私が観覧席に戻った次の競技。
クラスのみんなが、自分の学年じゃない子たちのことも応援していた。
綾方さんをはじめ取り巻きの女子たちが、「喉潰れるまで叫ぼー!」的なことを
言っているのを見て、素敵だな、と思った。
目立とうと思わない…いや、目立ちたくない思考の私なら絶対に言えない。
それを見たいつもふざけてるような男子たちも、一緒に応援をしていた。
私も、なんとなく応援したいと思ったクラスを少し応援してみた。
声を出すというのは、気持ちが良かった。
恥ずかしくはなかった。
体育祭の結果も残念ながら良くはなかったけど、
今までの体育祭でで一番楽しかった気がした。
結果発表が終わった後、担任の先生がクラスに向けて、
「応援はうちのクラスが一番良かった。」と褒めてくれた。
私はその主要メンバーには入っていなかったけれど、誇らしかった。
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そしてこれは最近のこと。担任の先生に、言われたのだ。
「選挙管理委員会をしないか」と。
選挙管理委員会とは、生徒会選挙の進行サポートや投票時のスタッフ役、
そして開票し集計する…そんな役割だ。
それを聞いて、少しびっくりした。
私よりもその役割に向いている人なんてクラスにたくさんいそうなのに、と。
それこそ、宇都さんとか。
でも先生によると、何回もお願いしたけど引き受けてくれなかったとのこと。
まあ、理由はもう想像がつくけれど…
私は、選挙管理委員会を引き受けることにした。
それは、滅多にこんな裏方をできる機会なんてなさそうだったからだ。
私は裏方の仕事がどちらかといえば好きだ。
仕事内容には司会進行もあるけれど、
それは他の人に頼んで自分は他の役割を選べばいい。
もう、宇都さんをはじめ他のしっかりした子にやってもらおうとは思わなかった。
綾方さんは?とも聞いた。
その時、先生が綾方さんが立候補することを教えてくれたのだ。
選挙管理委員会には選挙権がないから、応援できないのは残念だった。
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それにしても、
私から見た綾方さんのイメージがこうも変わるとは予想していなかった。
つまり、それだけ綾方さんはいい人だってことだ。
自分の持っている能力を他の人のために使えて、リーダーシップがある。
自分の気持ちを押し殺しているわけでもなく、
悔しいと思ったら全力で悔しがることができる。
そして、人のことを応援できる。
正直綾方さんとはまだ友達と言える仲にもなっていないかもしれない。
でも私にとって綾方さんは、綺麗な人間だ。
事実ベースのお話でしたー
(ちょっとだけフィクションあるけど)