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#6 緊急合宿編①
合宿所。本来なら明々後日からの予定だったけど、
監督の判断で#名前#の「避難先」として急遽開放された。
そこに続々と到着する、他校のバス。今回の合宿は、
東北・関東・関西の強豪が集まる異例の合同合宿だ。
「……あ、あの、及川さん。私、やっぱり部屋にいた方が……」
相変わらずブカブカの黒いパーカーのフードを深く被った#名前#が、
及川のシャツの裾をぎゅっと掴んで震えてる。
玄関先には、烏野や音駒のメンバーが次々と入ってきていた。
「ダメだよ#名前#ちゃん。監督も言ってたでしょ? 一人にしないこと。それに……」
及川がニヤリと笑って、入ってきた集団に目を向けた。
「ここには『うるさいの』がいっぱいいるから。悪いこと考える暇なんてなくなるよ」
「おい日向ボゲェ!! ……#苗字#、口元のそれ……どうした」
※影山と#名前#は同じ中学出身
影山の鋭い視線が、#名前#の口元の絆創膏(京谷の肘が当たった傷)に止まる。
その瞬間、空気が変わった。
「あーあ、そっちの変な噂聞いたけどさ。青城のマネちゃん、なんかワケアリ?」
|音駒高校男子バレー部の《ねこまこうこう》黒尾が、研磨を連れてひょいと顔を出す。
さらに梟谷の木兎が
「ヘイヘイヘーイ! 深刻な顔禁止ー!」
と突入してきて、現場は一気にカオス状態に。
「……#苗字#さん、これ」
人混みに酔いそうになっていた詩の手に、|稲荷崎《いなりざき》の北信介がそっと温かいお茶を握らせた。
「今は何も言わんでええ。あんたがここにおるんは、
バレー部の仕事をしに来たんやろ? だったら、俺らの世話しっかりしてな。
……なにより、自分を大事にするんも仕事のうちやで」
北の静かな、でも全肯定してくれるような言葉に、
#名前#の目からまたポロポロと涙がこぼれる。
「……っ、はい……。がんばり、ます……!」
「……さて」
詩が北たちに連れられて食堂へ向かうのを見送った後、及川の目が冷たく細まった。