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卓球部🏓
夜桜七星
「すれちがいの末に」に繋がってます!
実際にわたし卓球部なので、卓球部にまつわる物語を作りました!
「カンッ! カツッ! カン、カン、カツッ!」
放課後の体育館。卓球部が陣取る一角からは、リズミカルで忙しない打球音が途切れなく響いていた。
「……5対10。マッチポイント」
女子部長の|綱田唯乃《つなたゆいの》先輩が、ピン球をコートに軽くバウンドさせながら静かに告げた。
|梨澄《わたし》の心臓はバクバクと鳴り響いている。部活の終盤、運良く、部内で圧倒的最強を誇る中2の唯乃先輩と、1セット先取のガチ勝負をしてもらえることになったのだ。
私がラケットを構え、レシーブの体制に入る。低く構えた視線の先、体育館の隅で黙々とサーブ練習をしていた男子部長の|新野爽《にいのそう》先輩までもが、タオルを首にかけたまま、こちらをじっと見つめているのが視界の端に入った。張り詰めた空気。緊張はピークに達する。
唯乃先輩の手元がコンパクトに動き、鋭い下回転サーブが放たれた。球が台にバウンドした、その瞬間――。
「梨澄いっぽぉーーん!!」
静まり返ったアリーナに、背後から緊張感ゼロのクソデカ大声が響き渡った。言うまでもない、同級生で中1の|松門信太《まつかどしんた》
(ちょ、松門っ……!)
集中力が一瞬でブレる。それでもなんとかラケットを合わせ、球をギリギリで相手コートへ返した。ネット際を白くかすめていく球。
「梨澄どんまーーい!!」
(まだラリー続いてるわ!!)
心の中でツッコミを入れた私の隙を見逃さず、唯乃先輩の見事なスマッシュがコートの隅を射抜く。「カンッ!」と激しい音が響き、ピン球は遥か彼方のネットへと弾け飛んでいった。
「ありがとうございました!」
唯乃先輩が手際よくラケットを下ろす。
「うぅ……ありがとうございました……」
私がガックリと肩を落とした瞬間、後ろのパイプ椅子からさらに追い打ちがかかった。
「ブンバボォンボォン!! ブンバボォンボォォーン!!」
「ちょっと松門!! なにそれ意味わかんないんだけど!!」
猛抗議の顔で振り返ると、松門はメガホンを太ももに叩きつけながらケラケラと笑っていた。
「いや、なんか新しい応援の形かなって。ほら、リズムに乗っていこうぜ?」
「乗れるわけないでしょ! 松門のせいでいつも負けるんだからね!」
「それは梨澄の実力不足でーす。なぁ、未頼?」
「あはは、でも今の『ブンバ』はちょっとタイミング悪かったかもね!」
ドリンクを飲みながら近寄ってきた同級生の|八城未頼《やしろみらい》まで笑っている。私が「もうっ!」と頬を膨らませてラケットを片付けようとした、その時だった。
「……ぷっ」
すぐ近くのコートから、小さな、でも確実に「吹き出した」ような声が聞こえた。
驚いてそちらを見ると、あの無口な爽先輩が、口元を片手で押さえ、肩を微かに震わせてそっぽを向いていた。前髪の隙間から見える耳のあたりが、ほんのり赤くなっている。
(えっ……爽先輩、今、笑った……?)
思わずゆず那と未頼と顔を見合わせた。
いつもクールな先輩の、見たこともない意外な一面。松門のバカげた煽りのせいで負けた悔しさは、一瞬でどこかへ吹き飛んでしまった。
本当にあったことです!
ほんとうに、卓球部たのしいー!