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10話「アルト・クルシア/シュルト・クルシア」
「お前も惨めになるだけだと思うがのう。お前のお父さんみたいに」
「父さんを悪く言うんじゃありません!!」
シュルトが鋭く言葉を浴びせる。
「怒らせちゃったかな?**ファイアシングシュート**」
禁句魔法。
アルトは初めて見たはずなのに、最初に出てくるのは心配の言葉である。
「シュルトさんッ!!!!」
「…アルト!父さんの!ことを思い出すんだっ!!!!」
---
彼が物心ついた時にはそこは裕福な家庭であり、不満なく過ごせていた。
彼が4歳のころ。
「父様!見てみて!絵を描いたんだ!」
自分の書いた絵をお父さんに見せると…
お父さんはというと…
「すごいじゃないかアルト」
そう言われて褒められていた。
兄様はというと…
「はぁ…なんで僕がこんなことを…」
部屋から出てくるたびにそう喋っていて…
いつも苦しそうだった。
母様はウルト・クルシア。
父様はウィシタ・クルシア。
兄様はシュルト・クルシア。
僕はアルト・クルシア。
「アルト。お兄さんは母様についていってこの家を継ぐんだ。アルトはどうしたい?」
「僕は……父様についていきたい!」
僕がそう言うと父様は微笑んで僕の頭を撫でた。
「アルト。お前はきっと…すごい魔法使いになれるぞ」
そう言ってくれて…嬉しかった。
胸が躍った。
心が弾んだ。
ある日、偉い人たちの会議に呼ばれた。
王都でやるらしい。
「…クルシア王家の…解体を命ずる」
1番偉い人が…
そうしゃべった。
父様は。
「ぐ…なんでですか?!国王様!!今のクルシアの体制に不満があるなら、今すぐお変えします!」
「もうそういう話じゃないってことしっかりわかってないとダメだと思うのう」
「…え?」
「クルシア王家の国家首脳会議への出席を禁ずる」
父様と僕と兄様は偉い人に連れて行かれた。
それからの父様と母様はずっと暗い顔をしていた。
そして、僕が10歳になった頃…
「アルト。もうこの家はダメだ。物価と土地が安い貧民街の方へ行こう」
「はい…」
そうして僕と父様は貧民街で暮らすことになった。
僕はまともな教育を受けなかったが、魔法学塾と言うものには通っていた。
そこでは、魔法の基礎について学んでいた。
「では、初級魔法を実際に打ってみましょう!」
そう先生がしゃべると、僕は
「ん…**ファイアリングアール!**」
火の玉が出た。
でも、放出された魔力は…
日常魔法程度で。
「ぷ…っははは!アルトやべぇなおまえ!日常魔法程度の魔力じゃねぇか!ぎゃははは!!!!」
そんなはずないんだ。
確かに父様は…
僕をすごい魔法使いって言ってくれて…
違う…のか…?
全部真っ赤な嘘なのか…?
僕は…父様を目指して…
そんなのも全部…
目指してはいけなかったのか…?
だめだったのか…?
いらないことだったのか…?
もう決めた…
僕は父様みたいにならない…!
僕は…
僕自身の…
僕が信じた道を進んでいく…
クルシア家の誇りにかけて…
僕という人間の…
アルト・クルシアの誇りにかけて!
僕はこれから…
クルシアというファミリーネームを…
捨てる!
「…じゃ、じゃあ次は——」
そうしてその日の魔法学塾が終わった。
家に帰ると。
父様の姿はなくて。
僕は思ったんだ。
嘘をついたから…
惨めにもこうなったんだね。
つまらないね。
父様。
あんなこと言わなければ…
助かってたかもしれないのに。
そうして僕は一人暮らしが始まった。
たまに街へ買い物に出かけて…
変なチンピラに、絡まれることもしょっちゅうあった。
僕はそんなのどうでもいい。
ある日。
僕の家に
シュルト
が訪ねてきた。
聞き覚えのあるような。
ないような。
そんな名前だった。
僕は…
決めたんだ。
ここでこいつを倒して。
父様を超える。
そう…
決意した。
---
そうだ。
僕は。
僕の名前は——
「…!クルシア王家唯一の希望!アルト・クルシア!参る!」
やれ!
やるんだ!
今ここしかないだろ!!!!
「**ファイアリングシュート!!!!**」
「…っは…アルト…お前は本当にたくましくなったよ…」
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僕が生まれたときにはこの王家は既に危うい立場にあった。
この頃から、国王はこっちの王家に嫉妬していたのだろうか。
そんな眼差しを向けることが多々あった。
それでも父様と母様はあきらめないで精力的に活動していた。
僕は、お兄さんだからこの家を継ぐこととなっている。
別に僕はそれに不満は感じていないし、そういう体制なんだと言う事は理解している。
ある日、僕に弟ができた。
名前は「アルト・クルシア」
子供の頃から彼は不思議だった。
クルシア王家は基本的に皆緑の目をしているのだが、彼だけは赤い色の目をしていた。
クルシア王家には伝承がある。
『赤目ノ男児、魔法使イノ素質有』
そんな伝承が残されていて。
僕は少し彼を妬んだ。
この世界に愛されているんだと。
僕が10歳になった。ある日のこと。
偉い人たちとの会議が行われた。
そこで、国王は。
僕たちの家の解体を命じた。
父様は反論した。
でも、それに意味なんてなくて。
僕は…。
納得がいかなかった。
僕が16歳の頃、アルト達と別れることになった。
「シュルト、あなたは…いつかアルトと会うことになるでしょう。…試練を与えてあげてください。それが…あなたの…シュルト・クルシアの…クルシア家の…為になるでしょう」
そう母様が喋った次の日。
そこで、僕は…
母様を失った。
途中で王都からの派遣兵が来て…
母様を殺した。
僕は、魔法の素質を見られ、
王都へ向かうことになった。
反抗したかったができない。
殺されるかもしれなかったから。
僕は、死にたくない。
そうして国王様の所へ行った。
国王様は…
「…シュルト。貴様に新しい名をやろう。シュルト・シュターナブル。貴様にその名をやろう」
僕は…
その日から。
クルシアを捨てて生きていくことになった。
ある日、僕はクルシアに行くことになった。
弟との再会。
そんなに生ぬるいものではないだろう。
母様が…
僕は、ドアを開けて…
こう思った。
あんな言葉を残したから…
久しぶりだな。
アルト。
悪いけど…
王家のために…
クルシア家のために…
死んでくれ。
それが。
僕の心の中を__
支配した。
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アルトの杖から出るのはこれまでの火炎放射の比ではない…
温度はマグマレベル。
勢いは銃レベル。
避けるのは。
不可能。
「な——」
国王はそれに当たって倒れた。
シュルトはその光景を目に収めながら…
意識を…
なくしていく。
11話次回予告
「シュルトさん!!!!」
「わわわ……シュルトさんが……これはボケをやってる雰囲気ではないですねぇ……」
「じ、次回!11話「安否」お楽しみに!」
「バットエンドだった場合楽しみにできないですうううう!!」