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第十八話 桜を思い出すこの場所で
美桜視点です
まふゆ、咲葵さんと遊んで、家に帰るともう時計は三時を示していた。楽しい時間は一瞬で過ぎていくということを改めて実感する。青空学園に入って初めてできた友達なのでこれからも仲良くしていきたい。
「ただいまー」
「おかえりなさい、お昼はたべてきたのよね?」
「うん」
お昼ご飯はまふゆさんの家で食べせてもらった。お母さんが作ってくれた、と言っていたがその料理はプロの料理人にも匹敵するレベルで、すごく美味しかった。料理が下手な私にとってはまふゆさんのお母さんが羨ましい。
荷物を持って自分の部屋の扉を開けると一気に現実に戻ったような気がしてくる。楽しい時間は、やっぱり一瞬で儚い。あの時間が、ずっと続けば良かったんだけれど。
なんとなく嫌になったので一旦ベットに寝っ転がり、リフレッシュすることにした。
バタンッ
「疲れた、、、。」
遊ぶのはすごい楽しかったけれど、この先を視るとすごい憂鬱な未来が。夏休みの宿題、、、中高一貫校だからなのかは知らないけど、宿題がすっごい多い。おまけに塾の講習。こんな未来、無くなればいいのに、、、。
それに、未来っていっても、1週間後だ。この未来があと1週間もすれば現実になる、、、。哀しい。
そういえばスキルは未来視だけれど、お兄ちゃんみたいなレベルじゃないから、せいぜい1ヶ月先が限界だ。それだけでも、気を失いそうになったことがある。まだまだ練習が必要そうだ。
ぼんやりしながら寝っ転がっていると、不意に隣の部屋、お兄ちゃんの部屋から声が聞こえた。どうやらだれかと通話しているよう。確か、この声、、、私立海青中学校じゃなくて、そうだ。碧浜高校の、西園寺、、、|明依《めい》さんだ。高校2年生だった気がする。西園寺明くんの親戚だ。
前にお兄ちゃんと会った時は中学生だったな。わたしは小学生で。1年前だ。あれ、その時なんで行ったんだっけ。えっと、、、わかんない。でもなんか話したんだよね。確か「X」か「Z」か「Y」みたいなアルファベットが聞こえた気がする。最近数学で文字をよく使うから、この三文字が真っ先に思いつくんだよね。って、思い出さなきゃ。うーん。文字、文字、、、そういえばスキルの代償がどうだか、なんか話していた。
これ以上思い出せない、、、。あれ、そういえばなんで西園寺家に行ったんだっけ?
西園寺って、日本じゃ有名な五家の一個。榊、天野(わたしは分家)、|桜ケ平《さくらがひら》、|玖桐《くぎり》、そして西園寺。
西園寺家は道具とか、そういうのの最先端を行く会社を運営してるらしい。明くんのスキルがまさに「道具創造」だからまさに次期当主だ。
でも、そんな名家に生まれてもいいところだけじゃない。私なんかは完璧なお兄ちゃんと比べられるし、すごい期待は重いし。テストで悪い点を取ってきた時のあの視線、あの表情、そして失望したよ、とでも言いたげな溜息。勉強しなくて結果が悪いのはしょうがないけれど、勉強したのに悪い点数を取ってきた時はすごい辛かった。お父さんからは「やっぱり直輝はすごいな。はは、もしかしたら生まれた時、神様は頭の良さの配分を間違ったのかもな」。お母さんは「あら、そう。そんなことより勉強しなさい。次こそ、次は絶対にいい結果を残すのよ。、、、こんな点数で、恥ずかしくないの?」。
言い返そうとしたけれど、さらに「ダメな子」という烙印を押されるのが怖くて声が出なかった。
毒親っていうのだろうか。本家の人間には媚びて、自慢の娘ですなんて言ってるけど。実際はどうなんだろう。これ見よがしに兄と比べ、恥ずかしくないの?と重い重い言葉を掛ける。
でも、いい子にしていればちゃんと褒めてくれるし笑顔で居てくれる。それに、暴力は振るわないからまだマシだ。
、、、けど、私はこんな親じゃなくて、優しい人のもとで暮らしたかったな。それか、私なんか失敗作。生まれてこなければ良かったんだ。
自嘲し、よいしょっとベットから起き上がる。リフレッシュしようと思ったのに、気分はさっきよりも重い。こんなこと考えるんじゃなかった。
今度こそ気分転換をしようと机の前の椅子に座る。
教科書、ノート、プリント、、、。勉強道具が目にはいるけど気にしないようにする。考え続けたってキリがないしメリットもない。
ふぅっと息を吐き出し、椅子から立ち上がる。すると目に光が入る。そういえば、今日カーテン閉めてなかった。
窓に近づくと、なんとなく窓を開ける。ぶわっと生ぬるい風が吹き付けてくる。夏って感じだ。
すると窓辺に桜色の何かがあるのが見えた。
しっかり見ようとすると、それは桜の花びらだった。
夏、、、のはずなのに。
でも「桜」と聞いて思い出したことが一つある。桜ケ平|一花《いちか》についてだ。
なんで忘れていたんだろう。姉のように接してくれて、親に傷つけられたときも慰めてくれた一花お姉ちゃん。1年前から原因不明の事故あって、今も意識不明。
そんなお姉ちゃんに関する話題が、1年前の西園寺家に行った時に出ていたんだ。
**一花お姉ちゃんを、何かの実験台にするって。**
覚えることが多くてすみません
あと多分、〜このの場所でのタイトルはこれで終わります