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幼馴染のツンデレくん ep.12 文化祭
色々準備をして、ついに文化祭当日がやってきた。
朝なのに暗闇の中、1年2組はクラス全員で円陣を組んで叫んだ。
委員長が掛け声をする。
「1年2組、たくさんの人を全力で驚かすぞーっ!」
一同「おぉーーっ!!!」
そして、開始のチャイムが鳴った。
私の担当する案内役は、全員で4人。
午前中は私と大和、午後はクラスの委員長とおとなしめの女の子。
「胡桃、入り口は俺が案内するから、出口よろしく。」
そう言った大和は白と黒の袴がよく似合っていて、髪も少し整えている。
こんなの…目に焼き付けるしかないよね!
「了解!」
テンション高めで私は返事をして、出口に向かった。
うちのクラスは隣が空き教室だったから2クラス分使えることになって、
規模の大きいお化け屋敷になっている。
その分、準備は大変だったけど…w
「1年2組、悲鳴の絶えないお化け屋敷はこちらです!
勇気のある方、お待ちしてまーす!生きて帰れる保証はありませーん!」
結構物騒だけどみんなで考えた呼び込みを言いながら、チラシを配る。
すると、見覚えのある人が近づいてきた。
「胡桃、やっほー。」
「美結、おはよう!お化け屋敷、ぜひ見ていってね!」
「もちろん。胡桃はお化けじゃないのかー…残念。
でも、胡桃が驚かせるの怖くなさそうだからこれでいいかもね。」
「酷いなぁ。」
「ちょっとクラスの用事あるから、後で来るね!」
「うん!」
やったぁ、美結にもうちのクラスの頑張りを見てもらえる!
去っていく美結の背中を見ていたからか、私の前に人がいることに気づけなかった。
「チラシ、一枚ください。」
「はい、どうぞ…って…えぇっ!?」
そこにいたのは意外な人物だった。
「なんで、お|兄《にい》が…!?」
「来たらダメだった?」
私の兄:|桂 花梨《かつら かりん》は、中学校で家庭科の教師をしている。
7歳も年上だから、ケンカすることは少ない。
でも特別仲がいいかって言われたら…どうだろう。
「いや、ダメではないけど…
夏休み家に帰って来なかったのに、何で文化祭には来れてるの…!?」
「気分だよ、母さんが胡桃の文化祭のこと教えてくれたから、行こうかなって。
俺だって夏休み、実家に帰ろうと思ってたよ。
でも部活の顧問とか新人研修?とか色々忙しくてさー。」
「そっかー。」
兄をお化け屋敷で驚かせるのは流石に気まずいから、案内役にしててよかった。
美結には酷いこと言われたけどね!
「反応薄いな…w」
「今私さ、仕事中だから、話すのは後にしよう。」
「そうだな。じゃあ、適当に他のとこも回って、お化け屋敷も入ってみるわ。」
「じゃあねー。」
あーもう、びっくりした…
「くーるみん、今のイケメソ、誰!?」
私とお兄の会話を見てたのか、メイク担当の莉乃が窓から顔を出してきた。
「いけめそ…?え、あれイケメンなの…!?」
「イケメソだよ!」
「えー…あれ、私の兄なの。」
「え!?くるみんって兄いたんだ!」
「そうなの。もー、莉乃、メイク待ちの子いるんだから早く仕事戻ってよー?
また後で話すからさーw」
「分かった!絶対教えてね!」
「はいはいw」
私の兄ってイケメンなのか…?
少なくとも私のタイプ顔は大和なんだけどなぁ…?
って、私もいらないこと考えてちゃダメじゃん!雑念退散!
なんとなーく仕事をこなしていたら、午前中の部も終わってしまった。
これで、私のクラスの仕事は終わり!午後は自由時間!
…なんだけど、私は一つ致命的なミスをしていたことに気付いた。
「誰と回るか、決めてない…」
とりあえず1組の美結を誘おうとしてみたけど…なんと美結は女子に囲まれてた。
次に梨乃も誘おうとしてみたけど、メイク担当はお化け役のメイクが崩れた瞬間
クラスに駆け込まなきゃいけないらしく、結構はぐれるかもーって言われ、察した。
そうなると…実は私って友達少ないのでは…?
とりあえず1人で回っていると、後ろから肩を叩かれた。
そこには、お兄がいた。1人でいるの見られた…
「え、胡桃、友達いないの?」
「いるよ!」
「一緒に回ってないの?」
「まあ、2人とも他の友達といたりとか担当が忙しかったりとか…」
「じゃあ、俺と一緒に行かない?」
「え、なんでお兄と…」
「いいじゃん、行こ行こ!」
その時、周りから小さいけれど、話し声が聞こえた。
「__え、あの人なんかイケメンじゃない!?__」
「__私もそれ思った!でも、だいぶ年上じゃない…?__」
「__あの子、彼女なのかな。__」
「__えー?んー釣り合ってるような、釣り合ってないような…?__」
ちょ、カップルじゃないんですけど!?ただの兄妹なんですけど!?
莉乃も同じようなこと言ってたけど…もしかしてお兄ってイケメンだったの?
お兄に手を引っ張られて廊下を歩いていると、お兄がいきなり歩くのをやめた。
「急に止まってどうしたの?」
「…ねえ、あそこにいるの、大和じゃない?」
「え?」
お兄の視線の先を見てみると、そこには大和がいた。
でも、黒縁のメガネをかけている。あれ、大和って視力悪かったっけ?
「もー、みんな1人でいるの好きなのかなぁ。話しかけに行こう。」
「お好きにどうぞー。」
1人でいることは苦じゃないけど、好きで1人でいたわけじゃないのに…!
と思ったらお兄は大和の背後に近づいて…私の時と同じように肩をバシッと叩く。
「やーまとっ。」
「わっ…びっくり…はしてないけど、お兄、久しぶり。」
小さい頃、私がお兄って呼んでいるのを真似した大和もそう呼ぶようになって、
今は共通の呼び名で定着してる。
大和はお兄の前だと弟って感じがして、ちょっと可愛い。
「久しぶり。元気だった?」
「普通。あれ、1人?」
「胡桃もいるよ。にしても、相変わらず大和はクールだなぁ。
そういやさ、なんでメガネかけてんの?そんな視力悪かったっけ?」
私が思っていたことをそっくりそのまま、お兄が大和に訊いた。
「これ?伊達メガネ。これかけてると、嫌な気配がしなくなる?みたいな。」
「何それw」
あー、大和、いつも誰かしらの女子から視線を向けられてるもんね。
「そうだ、大和も一緒に3人で屋台とか回らない?」
「いいけど…」
やったー!大和がOK出してくれた!
まさか好きな人と回れると思ってなかったから、ちょっと嬉しい!
その日の夜。
「あー、疲れたぁ…!」
疲れたけど、楽しかったって感情がまだ残ってて、幸せのため息が出た。
写真部のフォトスポットに行って写真を撮ったり、射的をしたり、
ステージのダンスを見に行ったり、こっそりクラスのお化け屋敷に行ってみたり!
お化け屋敷の中身は詳しく知らなかったから、意外と怖くて楽しかった!
「来年も一緒に回れたら、楽しいだろうなぁ…」
そんな最高な思い出を噛み締めて、私は布団にもぐり込んだ。
3人でどこに行ったかは番外編で詳しくお届けしまーす!