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あの夏が飽和する。【STPR】【💜🧡】
「あの夏が飽和する。」のURLは紹介文に貼ってあります。先にそっちを見てください!!
「昨日人を殺したんだ」
ドアを開けた先には雨に打たれてずぶ濡れになったなーくんが立っていた。すごく震えていた。こんななーくん今まで見たことなかった。勉強もあまり出来なくて、でもスポーツも出来なくて、周りに馬鹿にされていた僕を慰めてくれてた強い存在だった。
__そんな話で始まる、あの夏の日の記憶。
最近なーくんは虐められてて、昨日階段で口論になったらしい。でもなーくんが嫌になって、肩を突き飛ばしたらしい。
「別にっ、殺す、わけじゃなかった…。」
泣きながら話すなーくんにぼくは言葉が出なかった。
「もう、ここには居られないと思うから、迷惑かけないようにどっか遠いとこで死んでくるよ」
僕はそう言い残して僕の家から出ていこうとするなーくんの手をつかんで言った。
「それじゃ僕も連れてって。幸せになってから死のう?」
必要最低限の物だけ持って、あとは全部壊していく。
小さいころ一緒に書いた交換日記も、あの写真も、何もかも。もうここには戻ってこない、人殺しと何もできないダメ人間の旅だから、別にいいでしょ。
準備が終わったら僕たちは宛先もないまま歩き出した。
「どこ行くの?」
「どこか知らないところ。家族にも、クラスの奴らにも、誰にも縛られないところ。」
「ご飯は?」
「お金が無くなったら万引きしたらいいじゃん」
どうせ最終的に死ぬんだから。万引きなんてしていなくって僕たちは汚れてるんだから。
「そっか。」
なーくんの手をなんとなく握ったとき、もう手の震えはなくなっていて、安心しながらこの狭い世界から逃げ出した。
お腹がすいたらコンビニで何か盗んで、2人で何を盗んだか見せて笑い合った。誰のか分かんない金も盗んで、2人でいたらどこにだって行けるしなんだってできる気がした。誰かがきっと救ってくれる、そんな希望なんか捨てて、不完全な『シアワセ』のたった4文字もなかった。犯罪者なんて、人殺し何てそこら中沸いてるじゃん。みんな自分は悪くないって思ってる。じゃあ僕たちも悪くないって思ってもいいよね。
逃げてると誰にも縛られなくて、前よりずっと楽だった。暑い夏の中ずっと僕たちは笑い合った。
「ねえ、今ジェルくん幸せ?」
「え?うん、幸せ。なーくんとずっと一緒に、誰にも縛られずに居られるから。」
「じゃあ、」
なーくんがリュックからナイフを取り出した。
「…なーくん…?」
「言ったじゃんジェルくん。『それじゃ僕も連れてって。幸せになってから死のう?』…って。」
「え、あ、」
「今ジェルくん幸せだよね?俺も。今、すっごい幸せ。」
「何するの?」
本当は聞きたくなかった。
「ジェルくんは死ななくていいよ、今までありがと」
「やっ…めて……」
声が詰まる。止めなきゃいけないのに。行くなら、僕も連れてって欲しいのに。
「…なーくん?」
返事は帰ってこない。
「ねぇ、僕も連れてってよ。言ったじゃん。ねぇ…?」
独り言みたい。いくら声をかけても返事はなかった。
そして時は過ぎていった。
僕はクラスに戻って、家族に無理やり勉強をさせられて、皆に縛られて、生きた。だけど、なーくんの姿だけがなかった。毎年夏が来るたびになーくんのことを、あの夏のことを思い出す。無駄だって分かってるけど、どうしても君の笑顔が、無邪気さが、頭の中に浮かんできて。
誰も、君も、何も悪くないから。もういいよ、投げ出しちゃおう。そう言えば良かったのかな。ねえ、なーくん?
ジェルくん誕生日おめでと!!!!!!!
ちなみに、これリア友から貰ったネタで、下のURLからぼくのリア友の「あの夏が飽和する。」のジェルくんで曲パロが読めます。軽く10回くらい読んでね!!
リクエストあれば下のURLの小説にお願いします( ˘ω˘ )
『これから書く予定のもの』っていう題名です
https://tanpen.net/novel/c48435f0-d81a-4557-8eb3-67ef7e1267bd/