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真面目な分隊長の束の間の休息
今日はナシャタウンに買い出しに来ていた。
普段隊員のみんなに料理を作っているので、すぐに材料がなくなってしまう。
でも、みんな美味しそうに食べてくれるので次も作りたくなっちゃうんです。
「うーん…、これと、これと…これ、ください!」
「まいど!お兄さん!」
「あとなにか買うものは……、あれ?あの人は……」
白銀の髪に青いグラデーションが入った髪。
澄んだ青色でひし形の模様が入った瞳。
なにより、彼女の纏う儚げな雰囲気。
「……カテリーナさん?」
「あれ……?イルーガ……?……どうしてここに…?」
「それはこっちも聞きたいです。フリンズさんからは、あまり外に出ていないと聞いていましたが…。」
「………最近は自由に外出しても大丈夫なの…。止められてた理由も……わからない…けど。」
「そうなんですね…?」
なんだか聞かない方がいい気がする…。
それに聞いても本人はわからなさそうだ。
「えっと…、カテリーナさんは、何を買いに来たんですか?僕は隊員のみんなのために作る料理の材料を買いに来ていたのですが。」
「料理できるんだね……。いつか、イルーガの料理…食べてみたいな…………。」
「へっ…?」
「…え?」
「あ、あぁ!すみません!なんでもないです!!それで、結局何を買いに来たんですか?」
かなり動揺してしまったけれど、このまま終わるわけにはいかないので意地で会話を続けた。
「特に頼まれたとかはないんだけど……、フリンズとか…ニキータおじさんが、「街も見てこい」って…。」
……なんとなくそうだろうと思った。
あの二人、妙にカテリーナさんに対して過保護だと薄々思っていた。
正直、明確になってほしくなかった…。
「な、なら一緒に街を回りませんか?丁度まだ買うものがあったので今から行くところなんですけど…」
「本当…?一緒に行きたい……!」
「じゃあ、行きましょうか。」
「うん……!」
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「……これは…お店?」
「お客さん、額がピカピカに光っとるなぁ…こりゃ近々金運が上がるぞ!ちょうどうちには運気を上げる小物が置いてあるんでな、ちょいと見てくれないか?」
「金運……?モラには困っていないんだけど……。」
「いやいや、モラはあればあるほどええですからな!大切な方を養うことだってできるかもしれない!」
「……?」
「……行きましょう、カテリーナさん。この店はダメです。」
「……わかった…。行こう…。」
「おや、見ないのですか?残念ですなぁ…。」
さっきこの商人が「大切な方を養う」とカテリーナさんに言った時、自分の方を見たような気がするけれど……、気にしないことにしよう。
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ひとつめの目的地であるフラッグシップに来た。
「いらっしゃいませ〜…、あ、イルーガさん。ご注文の品が届いていますよ。」
「ありがとうございます!デミアンさん!」
「……お酒?イルーガ…お酒飲むの………?」
僕が成人していないと思われているのかもしれないけれど、一旦置いておくことにした。
「僕じゃないですよ。義父さんが忙しいから受け取っておいてくれって頼まれて。」
「そちらの方は…、見ない顔ですね。初めまして。フラッグシップのバーテンダーをしています、デミアンと申します。」
「はじめまして…デミアンさん……。わたしはカテリーナっていうの……。」
「よろしくお願いします、カテリーナさん。なにか飲みたいものがあればノンアルコールでもご用意しますので、今後も来てくださいね!」
「わぁ…ありがとう……!」
そういえば、カテリーナさんはいくつなんだろう…。いやいや、女性に年齢を聞くのは良くないな。これも今は言わないでおこう…。
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「………イルーガ。」
スペランザに向かう道中、カテリーナさんが急に僕の袖をきゅっと掴んだ。
「えっ、カ、カテリーナさん!?どうかしましたか!?」
「その……、あなたの周りに他の気配を感じて……。」
うん…?どういうことだろう。と思ったけれど、ピンときたものがあった。
「もしかして、この子のことですか?おいで、アドン。」
僕はランプの中に入っていたアドンを外に出した。
「え?えっと……、………その子は…?」
カテリーナさんが何故か動揺しているように見えたが、話を続けることにした。
「僕の伝書鳥のアドンです。夜警のときはいつも一緒なんですよ。」
「へぇ……。光っててかわいい………。」
「ふふっ、アドンも褒められて喜んでますよ。」
「うん………。」
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「いらっしゃい!ライトキーパーの分隊長さん。今日も食材を買いに来たのかい?」
「はい!お願いしてもいいですか?」
「もちろん!」
「えっと、これと、これと……あと、ナド・クライ・ホットドッグを2つください。」
「へぇ、珍しいね。いつもは食材だけなのに。」
「えっと…今日は1人じゃないので…。」
「……わたし?」
カテリーナさんは驚いたようにこちらを見ていた。
「いつもの買い物に付き合わせるのも悪いと思ったので……。それに、今日はカテリーナさんと一緒に買い物できて、なんだか嬉しいんです。」
「………そうなの…?………ふふ、ありがとう。」
…ん?嬉しい?カテリーナさんと買い物できて…?
そもそもこうやって男女2人きりで買い物して回るなんて…、まるで…!
「…?イルーガ…?大丈夫……?…疲れてる?」
「あ、いえ!すみません!全然疲れてないです!カーチャさん、お願いできますか?」
「任せて!」
カテリーナさんは出されたナド・クライ・ホットドッグを美味しそうに食べていた。
細いしあまり食べないと勝手に思っていたが、僕よりも早くホットドッグを平らげてしまったので少し驚いた。
2人の時間が、ゆっくりと過ぎていった。
「……また、こうやって買い物……したいな…。」
「へっ…?え、えぇ!もちろんです!またしましょう!」
「ふふ、ライトキーパーの分隊長さんも初心だねぇ。」
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後日。僕はいつものようにライトキーパーの仕事をこなしていた。
「あなた達はここの調査を。ここはワイルドハントが多いので、注意してください。」
「はいっ!隊長!」
「ふぅ……。」
「こんにちは、坊ちゃま。」
「うわぁ!フリンズさん!?」
音もなく急に現れたので思わず声を上げてしまった。
「おや、想像以上に驚かせてしまいました。」
「あなたが音もなく背後に立つからでしょう!それと、僕は坊ちゃまじゃないです!」
「すみません。それはそうと坊ちゃま。」
「だから僕は────」
「先日、カテリーナさんと「買い物デート」なるものをしたと噂で広まっていますが。」
「……え?」
「おや、知りませんでしたか?ライトキーパー内での最近の話題は、あなたとカテリーナさんのことで持ちきりですが。」
「え……??」
言っていることがよく分からなかった。ナシャタウンで買い物をしていたライトキーパーは、僕とカテリーナさんしかいなかったのになんで広まってるんだ…!?それに、デートって…!!
「カテリーナさんは、ライトキーパーの皆さんが自分達のあとをつけていると気づいていたそうですよ。」
「でも伝えようとしたら、ずれた方向にいってしまったとおっしゃっていました。」
「え……、まさかあれが…!?」
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………おかしい。
確かに今堂々とナシャタウンを歩いているライトキーパーはわたしたちしかいないのに、気配を感じる。
多分、他のライトキーパーのみんなだ……。…でも、見てるだけで何もしてこないし、害もないから放っておこうかな…。
いや……やっぱり、一応イルーガに伝えなきゃ……。もしライトキーパーのみんなじゃなかったら大変なことになるかも……。
「………イルーガ。」
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もしかしてアドンを紹介した時…!?全然分からなかった……!!
「おや、もしかして坊ちゃまは本当に気づかれていなかったのですか?てっきり、カテリーナさんを落ち着かせるとか、そういう意図があってアドンを出したのかと……。」
フリンズさんが嫌な笑みを浮かべている。
「〜っ!!!!」
フリンズさんはますます笑っている。
僕は自分の顔が熱くなっているのをしっかりと感じていた。
「っもう!今日は最悪の日です!!!」
僕はとにかく走ってその場から出ていった。
「ふふふ…まだまだ子供ですねぇ…。」