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バゥムクゥヘン・エンドロゥル 最終話
「……遅いんだよ、羽香……。もう、何もかも……」
光は歪んだ笑みを浮かべたまま、完全に後ろへと体重をかけた。重力に引かれ、光の身体がふわりとベランダの向こう側、何もない虚空へと投げ出される。
「光ちゃん――ッ!!」
羽香の漆黒の羽飾りが、弾け飛ぶように鋭く逆立った。地面から五ミリメートル浮く彼女の能力が、限界を超えて爆発する。フェンスを飛び越え、凄まじい速度で落下していく光の後を追った。
空中で、羽香の手が光の手首を捉える――はずだった。
しかし、光の瞳に宿る「完全な拒絶」の光を見た瞬間、羽香の指先がわずかに震えた。ほんの数ミリメートル。届かなかった。
ドサッ、と下から鈍い、嫌な音が響いた。
「あ……あぁ……」
フェンスから身を乗り出してそれを見ていた蛇惡は、喉の奥から奇妙な悲鳴をあげた。
校庭のコンクリートの上、ピクリとも動かない光の姿。そして、それを見下ろすように空中に取り残された羽香。羽香は、落下する光を救えなかった。
その事実が、彼女の覚醒した冷徹な心を一瞬で粉々に打ち砕いた。
「私が……光ちゃんを、殺した……?」
羽香のツインテールの羽飾りから、完全に色が消え、不気味な「死の白」へと変色していく。
彼女の身体を宙に留めていた浮遊の力が、ぷつりと切れた。
羽香は光を救うためではなく、ただ光のいる場所へ行くように、真っ逆さまに落ちていった。二つの動かない身体が、冷たい校庭に並ぶ。
「いやあああああああああああ!!」
ベランダに取り残された蛇惡は、頭を抱えて絶叫した。彼女の頭の蛇の髪飾りは、持ち主の精神崩壊に連動するように、ドロドロとした黒い液体となって溶け落ちていく。
自分が仕掛けた小さな悪意。二人の関係を少しだけ壊して、玩具にするはずだったゲーム。
それが、二人を完全に殺し、自分の未来をも永遠に奪い去った。
「私が殺した、私が、私が、私がぁ!!」
集まってきたクラスメイトたちの悲鳴と騒ぎの中で、蛇惡はただ狂ったように笑い、自分の顔をむしりながら泣き叫び続けた。
彼女の心は、二度と戻らない闇の奥へと墜ちていった。誰も救われず、誰も許されず、3人の世界は最悪の形で幕を閉じた。
バゥムクゥヘン・エンドロゥル バットエンド
ハッピ-ENDも作りたいな…