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6話「色欲攻略反省会」
「さて、昼食もとって気分が上がったとこで…ナツキくん?」
「ナツキさん、いい加減に白状してください。いくら『直感』や『嫌な予感』と言い張るつもりでも、あの部屋の構造、警備の配置、そしてカペラが天井のあの隙間に潜んでいることを正確に言い当てた説明がつきません。まるで、カペラが仕掛けてくる攻撃のすべてを、あらかじめ書き記された台本でも読んでいるかのように、寸分の狂いもなく動いていた。……あなた、僕たちに何か隠していますね?ガーフィールやエミリア様は『スバルがまた奇跡を起こした』と喜んでいますが、僕は内政官ですよ? 奇跡という言葉で片付けるには、あの『アル・シャマク』への繋ぎ方はあまりにも冷酷で、完璧すぎました。何より、勝った瞬間のあなたのあの顔……『ようやく終わった』とでも言いたげな、擦り切れきった死人のような目をしていましたよ。僕たちはユージンでしょう? その肩に、一体何を背負い込んでいるんですか」
「……オットー、お前さ。頭が良すぎる内政官ってのも、たまに煙たがられるって知っといた方がいいぜ」
スバルは湯呑みをテーブルに置き、低く乾いた声でそう呟いた。その瞳には、さっきまで寿司を美味そうに頬張っていた十九歳の少年の光はなく、ただ果てのない死の底を覗き込んできた新皇帝の『暗い深淵』だけが濁っていた。
「ナツキさん、はぐらかさないでください」
「はぐらかしてねえよ。ただ、お前の言う通り『完璧な台本』があっただけだ。……お前らがカペラに屑肉にされて、毒殺されて、撲売されて、五体満足のまま肉塊に変えられるっていう、最悪の台本がな」
「__え?」
オットーが息を呑む。その隣で、ずっと沈黙を保っていたユリウスが、鋭い蜂蜜色の瞳をスバルへと向けた。
「説明を願う」
「俺は…死に戻りをしている」
こんな問い詰められるならやり直しだ。カペラとの戦いも。
時間が戻る
「__あ」
「スバル?宿に着いたよ?」
宿…?
「暴食作戦会議は?」
「スバルが無理矢理終わらせたけど…」
寿司を食べ、オットーがまた問い詰めてくる
そこでまた、スバルがはぐらかすと
「兄弟のあの動きは、俺の『領域』の感覚と、兄弟の『コル・レオニス』が土壇場で奇跡的にリンクしたからだ。俺が何度も死んで掴んだ奴の攻撃パターンを、兄弟が魂の繋がりで感じ取ってベア子に繋げた。だろ、兄弟?」
「ああ。そうだ」
「待つかしら。聞き捨てならない単語が飛んできたのよ。その呼び方は、スバルにしか許していないのよ」
「まぁ待てって。ベア子。ここで怒っても状況の解決にはならない」
「スバルの言うことも一理あるかしら」
「ナツキくん、次にウチらが聞きたいのは、暴食対策や。あんな強引に終わらしといて、納得する人がいると思ったんか?」
「……あー、いや。それに関しては、本当に悪かった。言い訳の余地もねえわ」
スバルは頭を掻きむしり、アルに目配せをしながら、アナスタシアに向き直った。オットーの疑惑をベアトリスの「ベア子呼び」で力技で逸らした直後、今度は大商人の鋭い視線がスバルの逃げ道を塞ぐ。
「カペラの奇襲をあぶり出すために、あえて会議をぶち壊すような真似をしたのは認める。……けど、暴食対策が『俺が前に出る』だけじゃ、何の作戦にもなってねえってのは、俺が一番よく分かってる」
カペラを無傷で「アル・シャマク」の彼方へハメ殺したクリアルートは維持できた。だが、ここからは一度失敗してやり直し。正真正銘、暴食対策の始まりだった。
「暴食ロイの権能は、名前と記憶を奪うこと。そして俺は、その両方の被害を実質的に無効化できる唯一のカードだ。……これは譲れねえ。けど、俺一人が突っ込んでも、セッシーの時みたいに『初見殺しの不意打ち』を食らったら一発で詰む」
スバルは黒檀の机を叩く代わりに、宿の畳を強く踏みしめた。脳裏にあるのは、第一章でトッドやセシルスに何万回、何百万回と殺されながら掴み取った、冷徹なまでの『生存の最適解』だ。
「だから、アナスタシアさん、お前の持ってるカララギの裏情報が必要なんだ。暴食の奴らが『食』を求めて現れそうな場所、あるいは潜伏している都市の網の目を、マヨネーズの対価としてすべて吐き出してくれ」
「ふん、商売人を相手にタダで情報を引き出そうなんて、新皇帝閣下も随分と強引やなぁ」
アナスタシアは扇子で口元を隠し、不敵に、しかし商人としての本能を爛々と輝かせて笑った。
「ええよ。マヨネーズのレシピと現物は確かに受け取った。ウチの『鉄の牙』も、ユリウスも、出し惜しみせんと使うたる。……その代わり、暴食をハメ殺すための『本当の台本』、ウチらに納得のいくように説明してもらいましょか、ナツキくん」
「そうやって、俺の目的を聞き出すのが目的なんですよね?アナスタシアさん。本当に商人は抜け目がないですね」
7話次回予告
「ナツキ・スバルプレゼンーツ!俺のかっこよかったところ集!!」
「いえーーい!パチパチパチパチー!」
「第3位!『俺の名前は、菜月昴だぁぁぁぁ!!』文句なし!堂々三位!」
「ええ、ええ!その時既に僕は名前と記憶どっちも食べられていましたが、正真正銘第三位です!」
「第2位!『スバル!早く代償をベティーに__』『がはっ!』俺はできるだけ仲間が苦しまない方向を探すぜ!」
「さすがボス!かっくいいです!」
「気になる第一位はーーー…?」
「次回!7話!「英雄 ナツキ・スバル」!」
「そうそう、第1位は…次回予告で__って…遮るんじゃねえ!セッシー!」
「えへ!気になる第1位は8話の次回予告で!」
「1番ずるい終わらせ方すんなよ!」