公開中
letter 第二話
「これが、かわいい?」
「うん。ダメ?」
レイニーは悩んだ。髪の毛を引っ張られ引きずられる気がしたからだ。故郷でそんな扱いをされてきた。
そんなことを考えていると、隣の女子が頭を撫でた。レイニーの体が思わず跳ね上がる。
「ごめんね!びっくりした?」
「いや…」
結局髪の毛を引っ張られることはなかった。ここにはこんなに優しい人がいるのかとレイニーは考えた。
「私、|文《ふみ》って言うんだ。名前」
---
昼休みの青空は綺麗だった。レイニーはクラスの仲間に連れられて校庭へ出た。故郷ではこんな風に走り回ることもできなかった。
しかし一瞬目を離し空を仰ぐとどうだろう、クラスの仲間はいなくなっていた。
「……みんなー?」
「…レイニー、ちょっとこっち来いよー」
レイニーを呼んだのは|素輝《もとき》と|春冶《しゅんや》だった。素輝はサッカーが上手く、春冶は数式の計算が速かった。
二人がいたのは校舎の裏だった。その先には崖があって少し危ない。崖の下には川があると相田先生から教えられていた。
「こっちこっち。見ろよ」
二人が指差した先には———
二つの山の隙間から覗く綺麗な青空だ。レイニーにそれを示す彼らのワイシャツの白色がよりそれを鮮明に現していた。
レイニーはそれを見たことが無かった。見たことのある空は、いつでも煙に覆われた空だった。