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魔王と側近③
電代工房
「パイヤがついにやられてしまったか....」
そうこぼした我に従者も話し始める。
「あいつは三傑で1番マシなやつでしたね。あんな王都から遠くて、勇者がたどり着きにくい場所いるのも、他の部下たちの希望ですし。」
パイヤは1番人望があって、我が言っても重い腰を上げないトロルもあいつが言えばすぐにやり始めた。だから、何か命令を下したければいつもパイヤを通していた。
「あいつにはいつも世話になっていた....あいつがいたからこそ、頼りない私が魔王を継いでも反乱が起きなかったんだ。」
そう言うと、従者が少し不満げな顔で話し始めた。
「でも私のほうが魔王様の世話してますよ。朝起こしたりゴミ捨てしたり夕飯作ったりたたみ忘れた服畳んだり.....」
確かに生活面では世話を焼かれているが、そういう話ではない。
「生活面の話じゃなくってね。」
話していると、突然従者が何か思い出した顔をした。
「ところで、パイヤのいる場所ってかなりここから近くなかったですか?」
すっかり忘れていた。勇者が三人衆を倒すたび、どんどん魔王城へ近づいてきているのだ。
魔王城の窓から、遠くにうっすらと勇者の物だと思われる松明の光が見える。
「たしかに。どうしよう、そろそろ勇者来るよね....」
そんな我の不安そうな顔を見て、側近は持っていた箒を壁に立てかけた。
「魔王様も手負いだし、隠れ家に一旦身を潜めたらどうですか?」
従者が提案してきたが、使う気がしない。
大昔に父上から譲り受けた隠れ家があるけれど、あれはもう何もなくなってしまったときにだけ使いなさいときつく言い聞かされている。我は優秀な右腕もいるし、まだ、すべて失ったわけではない。それに、
「我々が逃げたらこの魔王城のモンスターたちが殺されてしまうんじゃないか?」
魔王城で働いているモンスターたちはそこそこ高レベルだが、エリアボス以外はほとんど戦闘経験がない。きっと勇者が来れば蹂躙されてしまうだろう。
「しかし、そのまま魔王様が死んでしまっては本末転倒では?」
逃げることを渋っている我に従者がそう告げる。
たしかに事実だが、そんなにバッサリと言ってしまって良いのだろうか?
まあ、我より従者のほうが強いし、我が死んでも魔王の座を継いでくれるだろうから、
いざというときは従者が逃げて我が魔王城で魔物たちが逃げる時間を稼いだほうが良いだろう。
「きっと大丈夫だよ。君ならどこでもうまくやっていけるだろう? 」
「だから、もしもの時に君は、どこか遠くへ逃げていいんだよ。」
「そうですか.........」
なぜか従者は目線を下にむけて複雑な表情をしている。