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ソレイユ!④私だけ…
月
次の時間は、算数の授業だった。「よし、このプリントの解答を、班のみんなでもくもくと解いてみろ!」高橋先生に言われて、私たちは一斉に鉛筆を動かし始めた。教室には、カリカリという鉛筆の音だけが響いている。すごく、静かだ。すると突然、高橋先生が「ストーーップ!」と大きな声を上げた。手には、いつの間にか自分のスマートフォンを持っている。「今から、さっき俺が撮ったみんなの様子を大型モニターに映す。これを見て、今の自分たちをどう思うか教えてくれ」画面に映し出されたのは、シーンと静まり返って、ひたすら下を向いてプリントを解いている私たちの姿だった。「うわ、なんか暗い……」「みんな姿勢が悪いかも」クラスのあちこちから、そんな声が上がる。高橋先生は腕を組んで、真剣な顔でみんなを見つめた。「姿勢もそうだけど、一番の問題はそこじゃない。おまえらはせっかく『班』になっているのに、誰一人として協力していない! 分からないところを教え合ったり、答え合わせをしたり、もっと喋って協力しろ!」先生の熱い言葉に、クラスの空気がガラリと変わった。「じゃあ、ここ答え何になった?」「あ、私は3番になったよ!」他の班は、少しずつ声を掛け合って協力し始め、教室が一気に賑やかになっていく。だけど……私の班は違った。私の班には、クラスを引っ張ってくれるような元気な人が一人もいない。みんなおとなしい子ばかり。「……」「……」誰か喋って、と心の中で祈るけれど、誰も口を開かない。気まずい沈黙が、私たちの班だけを包み込んでいく。そこへ、高橋先生がドスドスと足音を立てて近づいてきた。「おいおい、1班! 周りを見てみろ。おまえらの班だけ、さっきの動画と何も変わってないぞ。もっと自分から声を出していかないと、6年生のスタートから置いていかれちゃうぞ?」先生の軽いお説教のような言葉が、胸にぐさりと突き刺さる。悪いことをしたわけじゃないのに、恥ずかしさと情けなさで、顔がカッと熱くなった。(どうしよう……何か喋らなきゃ……。でも、なんて言えばいいの?)チラッと横の列を見ると、サキちゃんの班は、サキちゃんが一生懸命にプリントを指差して周りと喋ろうとしていた。心珀ちゃんの班にいたっては、すでに楽しそうに笑い声が上がっている。2人はもう、一歩を踏み出している。なのに、私は。頭の中が真っ白になって、心臓が壊れそうなほどバクバクと暴れだす。高橋先生のパワフルなエネルギーと、置いていかれる焦りの中で、私は完全にどうしていいか分からなくなってしまっていた。