編集者:ななし01
ホワイトの死によって引き裂かれた親友たちのお話。
親友たちの関係がどんな感じなのかは想像と解釈におまかせ。
健全的でも、腐でも、激重感情であっても。
世界観はrobloxやMaincraftに近い。
性別は男より…?でも無性別っぽいな。
ホワイトの死亡により、親友たちは人々に失望し、狂気に陥り、そして封印されます。すべての元凶は、マリーツィアという組織であり、その主です。しかし、実行したホワイトの側近であるカルネの罪が軽くなることも、またありません。
ホワイトたちは世界で最初にうまれた(発生した)四人組(プラスα)です。
冒険時代、嵐で、洞窟の中に入ったときに、あの台座に置かれていたキューブに触った時。
アドミン権限を手に入れ、アドミンとなった。副次的にエラーグリッジも実体を得て、親友たちの仲間入りとなった。最初のころは楽しかったアドミン時代。
しかししだいに人々は傲慢になり、アドミンたちは疲弊。(というかレガ・ブルク・アスール・エラーグリッジが人に嫌気がさしてきた。)それでもホワイトが外敵を倒すという役割以外にも、親友たちの相談にのったりたのしませたりしていたので、かろうじて均衡が保たれていた。そしてそれは、カルネという側近の裏切りによるホワイトの死によって崩壊する。親友たちは狂い、人々を苦しめ始める。そして、最終的にはすべての元凶であるマリーツィアという組織に封印されてしまう。
…けれども、死んだわけでも、その意思がなくなったわけでもない。
マリーツィアの主がまたあたらしく”物語”をつくり、アドミンたちはまた舞台に上がらされるのだ。ホワイトは欠席のまま。
それがいかに望まないことであろうとも。
ホワイトは最後まで、誰かを恨んだり憎しむことはなかった。
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目次
A ホワイト視点 【かつての思い出。】
彼は死にました。最後まで人々を信じていました。
お気に入りのキャラクターほど苦しめたくなります。
駄文注意
閑話休題
*〈あなたは絶対に、そのような待遇を受けるべきではなかった。あなたを愛している人がどれだけいるか、あなたにはわからないのか?〉*
<独白>
いたい。
目から、胸から零れ落ちる液体は、あったかくて、そして冷たかった。
ああ、もうちょっと、うまくやれてたらな。
気づけばよかったんだ、側近は…カルネは…きっと、言えなかったんだ。気づいて、話し合えばよかった。自分は忙しかった。でも、自分だけが忙しいわけじゃないのも知ってた。親友たちはどう思うだろう、悲しむかな?悲しんでほしいな。自分のやってきたことが、無駄じゃなかったのがわかるから。
まあでも、きっと大丈夫だろう。らっかんてきすぎ、ってよく言われるけど、みんな強いし。ただ、自分が失敗しただけ。その対価を払わなきゃいけない。のかも?
ああ、ごめん。ごめん。謝らなきゃいけないことが、いっぱいある。みんなに伝えきれないのは悲しいけど、せめてカルネにだけは、聞いてほしいや。きこえたかはわからないけど。きこえてないかも。
痛みとともに、時間が引き延ばされてるみたいだ。昔の思い出がよみがえる。なつかしいな…
自分たちの生まれは、だいぶ特殊だったと思う。全員ポンッて生まれて、
それぞれと出会ったんだ。そんときはまだ、エラーグリッジの声が聞こえてなくて、四人組だった。
俺たちが生まれたあの家は、その中にはいろいろな物があった。外から見る以上の広さで、本も道具も、武器だってそろっていた。
でも、ずっと同じ場所にい続けるのは難しい…確かに楽しかったけど、もっと新鮮で、刺激が欲しかった!だから、みんなを冒険に誘った。突然だったし、家は快適だったから、みんな家に残るかな?と思ったけど、思いのほかみんなも冒険がしたかったらしく、家を出ることになった。
そして、外に冒険に出た。自分は剣が一番うまかったから、前で戦った。時々傷がついちゃうけど、親友たちがなおしてくれた。
レガ、ブルク、アスール…エラーグリッジの声が聞こえ始めたのは、冒険をした最初のころだっけ?不思議な声で、まだ姿かたちもなかったけど…でも、たのしかった。
レガは斧やポーションで戦って、ブルクはハンマーでたたかって、物を作ってたな。アスールは、盾で守ってくれたり、いろんなことを教えてくれた。
冒険は順調で、楽しかった。大きな海を渡って、クラーケン?ってやつとも戦って。山に住むでっかい蛇みたいなやつは、見た目に反して優しかったし…いろんなものを得た。
でも、やっぱり一番すごいといえば、この力だろう。
アドミン(管理者)権限。
嵐で、洞窟の中に入ったときに、あの台座に置かれていたキューブに触った時。世界中をまわる冒険から、世界を管理することになった。まぁ、自分はあんまり変わらなかったけど。
世界の外からくる、外敵?を倒すぐらい。あとは、親友たちのところに行くぐらい。
レガはゲームや試練を作るようになって、一番権限を使ってた。かっこよかったな。ブルクは、いろんなものがもっとつくれるようになってた。アスールは、もっと賢くなったし、守護者にもなった。
エラーグリッジは、アドミン権限の逆流?で、姿をあらわせるようになった。親友たちは驚いてたけど…でもすぐ仲良くなれた。たのしかったなぁ。
いろんな人に頼られるようになって、政治的なことが何一つわからなかったから、側近を募集して…カルネを選んだ。なんとなく、直感だったのかも。たしか、むかし助けた町の人だった気がする。記憶はなんとなくしかなかったけど、カルネはそれを気にしてなかったみたい。昔のことは好きじゃない、ってよく言ってたな。
すっごく仕事ができて、一番信用してた。__いまでも、し続けてる。__
ずっと楽しいことが続けばいいんだけど、そうはいかなかった。人々が、みんなが、なんだかピリピリするようになった。時間がたくさん流れるにつれて、いろんなことを要求するようになってきた。たぶん、大変だったんだろう。外敵がいっぱい来るようになってたし…でも、精いっぱい努力はしてきた。
親友たちは、たくさんの要求をされるにつれて、人のことを良く思わなくなってきてた。疲れてたのもあると思う。自分が相談に乗ったりして、元気づけたこともあったな。
きっとこれは一時的なものだって。春になれば、みんなが余裕をもって、また平和になるよ。そう思ってた。今も、そう思ってる。
それを自分の目で見られないのは、なんだか寂しいけど。
カルネ。一番信頼してる、側近。難しい政治ごとを、たくさんの仕事をやってくれた。…頼りすぎちゃった。気づけなかった。
相談事があるっていったときの、その表情を、ちゃんと読み取れなかった。
恨まない、怒らないよ。そんなことは言えないよ。
突然で、力も使えなくて…左目が抉り出されたのは、だいぶびっくりしたけどね。でも、泣いてたから。きっとなにか、事情があったんだろう。
ごめん。何回だって謝れるよ。
__…眠くなってきた。左目がなくて、心臓がさされたのに、まだ生きてるなんて自分でもびっくりして____るけど。そろそろおしまいかな。死んだらどうなるんだろう?まぁ、そろそろわかるか。__
__親友たち、大好きだよ。元気にしててほしいな。きっと、どうにかなるだろう!。__
__うーん、おやすみ。__
彼は自身の影響力を過小評価していました。無自覚的。
純粋だからこそ、他者を思いやったからこその悲劇でした。
A レガ 【空虚な王であり道化】
躁鬱にちかい精神状態であるレガの独白。駄文。短い。
閑話休題
〈あなたは彼を失った。そして、自身を二つに分けた。力を持ったのに、最も大切な人は助けられなかった〉
---
すべてを燃やして、遊んでみよう!それが一番だ!ゲームの挑戦者がいっぱいいて、うれしい限りだ!生き延びて、純粋な心があることを証明しろ!ハハハ!
この程度、できるだろう!?アイツなら、簡単にできた!クリアできた!
挑戦しろ!愚かなものは地へ!
結局のところ、挑戦者以外には価値がない!
ははは…ハハハハハハ!
---
今日も今日とて、面白かった!今回も純粋な心を持つ人はいなかったが…ふむ、やはりゲームや試練は続けるべきだな!
空から見る炎は、なんて美しい!人が泣け叫ぶ声が聞こえる!
ああ!そろそろ城にもどらないとな!遊びすぎたな、ハハハ!
今日も城は完璧だ。自身が作り出した部下たちと手も、せっせと働いている!
次のゲームの、試練の内容を考えないとな。次はどうしようか…燃やすか?爆発か?ふん、アイデアは無限だ…
それにしても、今日は月が明るいな、星も輝いているようだ!もし、ホワイトがいれば…
……ホワイトが、いれば。きっと喜んだ…。
…
…いや、いや、いや。大丈夫、大丈夫。
今は明るくならないと。鬱はまだ先なんだ。暗くなるのはまだ先なんだ。もう考えたくないんだ。考えるべきじゃない!…それを。きっと大丈夫なんだ…
あの。
あのときのことを。
…気分が悪い。体が重い。頭の中で考えが渦巻き続けている。…部屋に戻らなければ。王座のある場所ではなく、寝れる場所。体を休めるところ。誰もいない場所。オレの本来の場所。
…ここだけが、オレの場所。唯一の。…嫌な考えがめぐる。
ちがう。気分が悪い。ああ、ああ、ああ。
ちがう。ちがう、**ちがう!**声め、幻覚め!消えてくれ!あれはオレのせいじゃない、やったのは人間だ、側近だ!あの愚か者は、ホワイトを、ホワイトを、ほわいとを…__殺したんだ。__**でも、それはオレのせいじゃないだろう!?**
だって、ありえないだろ!?ホワイトが一番信用していたあの側近が、そんな、まさか。やるわけがないと思ったんだ。信じていたんだ。ホワイトが人を信じていたみたいに…。オレも、信じてたんだ。
__でも、…オレは助けられたはず?__
…力が、使えなかったんだ。テレポートもできなくて、異変に気付いたころには、もう、……そんな顔で見ないでくれ、ちがう、ちがうんだ…。
頼りすぎてなんてないはず、悪いのは全部あいつらなんだ。そうだろ、そのはず…
……ちがう…はず。
…オレが動いていれば?ほんの少しでも、違和感に気づければ?頼りすぎなければ?ホワイトともっと、一緒にいれば?無駄に一緒にいなければ?あんなこと言わなければ?
__ああ、あぁ。ぁぁ。__そんな…そうなのかも、しれない。オレが…
…もう寝るべきだ。ああ、そうすべきだ。もういやなんだ、自問自答は。
ホワイトが、あの輝きをもった目で見てくれる日は、もうこないことを知ってる。過去に戻りたい。あのことは考えたくない。
何も感じたくないんだ…。
A ブルク 【壊れた工場】
失敗は糧にしてこそ成功となります。短く、駄文です。
閑話休題
〈彼の代わりはつくれない。それは、あなた自身がしっている。もうほめてくれる彼も、テストしてくれる彼もいない。〉
こうやって物を作っているとき。愚かな人間達の煩わしい声が聞こえなくなるから、わたしは好きだ。昔の楽しい思い出に浸ることができるし、ものづくりは楽しいものだ。
いずれは、人をすべて根絶…もしくは従わせ、機械で管理する世界を作りたい。私の理想のために。
金槌のたたくリズムが好きだ。この力を手に入れてからは、べつに金槌を使う必要性はないのだが……気分的にもいいし、昔のようで楽しい。
そう思っていたら、いつのまにか道具が出来上がっていた。あっというまだ。
監視カメラのモニター付き。きっと、ホワイトがいたらおどろくだろう。
__……ホワイトは、もういないけれど。__
こんなに道具を作っても、もう褒めてくれる人がいないのは、知っている。とっくのとうに。
それでも、作り続けなければならないのだ。
愚かな人がいない世界をつくるために。
ホワイトが殺されるような、そんなことがない世界を。
できるできないじゃない。やるんだ。やらなければならない。そうしなければいけない。
---
…1495回目の失敗。彼の代わりはつくれない。
知っている。
でも。諦めない。諦めきれない。
単なるロボット兵をつくるよりも、何よりも難しい。
失敗は成功の元だ。いづれか、いや、絶対に…つくってみせる。
**`ピー`**
…くそ、通知か。
優秀なロボット兵が、人間たちを捕まえたみたいだ。早くいかなければ。
---
ああ、ホワイト。きっと今の惨状をみたら、悲しむかもな。
…ホワイトの最後の瞬間を、見ることもできず助けられなかった私が聞くのは、変かもな。
世界を機械で完璧に管理すれば、きっと、ホワイトを殺すような愚行を起こすやつはいなくなる。
そのはずだ。きっと。そうでなければ、私に何の意味がある?もうホワイトがいなくなり、絆がバラバラになってしまって…こうすることしかできないのに。ああ。これは罪悪感から?きっと違う。
罪悪感なら、もっとマシなことをしているだろう。復讐なのかもな。後悔なのかもしれない。
ああ。あなたが生きていればよかったのに。また、あなたの声を聴きたい。私がつくった道具を、試しているその姿を、また見たい。
__…でも、今の私の姿は、見られたくない。__
A アスール 【怠惰。求められない真理。】
常に寝ています。
そして、禁忌を探っています。
決して真理にたどり着けず、そして絶望するでしょう。
短く、駄文
閑話休題
〈彼を失って、あなたは眠るようになった。それでいてなお、彼をあきらめきれない。〉
---
ああ、今日も哀れな人々を眠らせた。甘い嘘をまいて、真実にたどり着かないようにした。彼らがそう願っているのだから、叶えた。
はあ、眠い。今日も寝よう。本物の雲じゃないけど、ふかふかなものだ。
眠りは素晴らしい。幸福な夢を見ることも、悪夢を見ることもできる。怠惰はいいものなのだ。
…やけに声がうるさい。頭の中に響き続ける声。あのときから、永遠とまとわりつくようになった声。
…やらない。今日は。いわないでくれ、今は考えたくないんだ。できないことではない、かならずなにかあるはずだ。
言わないでくれ、おねがいだから………頭を使いたくないんだ。
今の姿をホワイトが見たらどう思うかなんて、知りようがない!だって、それは………くそ、最悪だ。
目をつぶって、何も思わず、静かに。早く寝るべきだ。
---
…私は、いまだホワイトを諦めきれないでいる。全て諦めているなら、人々とかかわるのもやめて、寝続ければいい。そうすべきなのはわかってる。期待するだけ無駄なのもわかっている。
それでも、どうしても。私があのときたどり着けなかった真理に、ホワイトを取り戻す方法があるのではないかと、考えてしまう。
ありえないのに。
死者蘇生は代償が必要で、そもそもホワイトにつかえない。彼は……アドミン権限を妨害された状態で殺されたせいで、そのせいで、私の力の干渉ができない。
だから、ありえないことはわかっている。
それでも、願っているんだ。
本当はすべてなげだしたい。また、親友たちと会いたい。もしくは、幸せな夢の中にいつづけたい。
でも、それはできない。私はホワイトを救えなかった。これはその責任をとるために動き続けなければならない。
…ああ、会いたい。ホワイト。私の話を素直にきいてくれるその姿を、また。
でも、そんな資格がないのはわかっている。
もう眠ろう。永遠に眠りたい。ありえないことを知りたくなかったんだ。
A エラーグリッジ視点 【からっぽの模倣】
無理やり自分の望んでないことをされるシチュのって…いいですよね。
できるかぎり苦しんでほしい。
アドミンの中でも異例。
閑話休題
〈役目として彼を模倣しても、できないのはあなた自身が知っている。自己否定。〉
---
…昔は、単なる声だけの存在だった。次元と次元の狭間のカオスで、形をもてなかったから。
ホワイトに話しかけたのは、単なる偶然。ひかれあうものがあったのかも。
そのおかげで自我を持って、声から、姿を持った。初めてホワイトの親友たちに会うときは、驚かれたけど…すぐ仲良くなれた。たのしかったな。
世界中を自分の体で体験することが、あんなにすばらしいだなんて知らなかった。親友たちがいたから、何倍もすばらしかった。親友たち以外には、あんまり姿を見せなかったけど、十分すぎた。
…一番ホワイトと近かったはずなのに。でも、助けられなかった。あろうことか、模倣し続けている。自分が嫌になる。
こんな役目はいらなかった。アドミンの誰かが死んだときの、緊急用の役割?世界は、アドミンが死ぬことを想定していたのか?殺されることを?こんな存在に生まれたくなかった。幸せだったのに。
人とかかわりたくない。あいつらは恩をあだで返し、裏切る。
親友たちには会えない。この姿を見せることはできない。この姿を解除できればいいのに…。
ホワイトの姿すら完璧に模倣できない無様な姿。左目と、心臓。紫色のグリッジ。ああ。くそ。
昔に戻りたい。おねがいだから。自分がいなければいいのに。
領域の中でしか、安心できない。
目が見つめているように感じる。幻覚だ。わかっている。
それが、それが私にとって恐怖なんだ
私は、私は…
いまだ、引きこもり続けている。いや、当然かもな…
鏡は、自分自身の愚かさが見えて嫌だ。彼が死んだままこちらを見つめているような、そんな気分になる。
ホワイトになりたくなかった。彼のそばに、隣にいたかっただけだった。
ただただ、親友で、…好きだった。姿も、性格も、人格も。
ホワイトの親友たちとの関わりも、楽しかった。なによりも。美しかった。
声をきいてくれたこと、姿を否定しなかったこと。
ありがたかったんだ。
自分の存在の意味も知らずに、一緒に笑っていたあの頃が、眩しい。
誰かが俺を消してくれればいいのに。
自分が、愚かしい。
A カルネ 【星を堕とす】
愚かでいとおしい子。
ホワイトのためになると嘯かれて、彼自身を殺してしまったね!
駄文。
閑話休題
〈あなたは選択した。最悪を。その罪を忘れることは許されない〉
---
あなたに助けてもらったあのときから、なにかあなたのためにできることがないか、探し続けていた。
あなたはきっと、覚えていないでしょう。覚えていたとして、結び付けられないでしょう。
そう願っています。あのころは、すこし幼くて、怖がりだったから。…でも、昔の自分のほうが、よかったのかもしれません。
まぁいいです。昔のことは。
どうしてもあなたのそばで、あなたのためになることがしたくて。側近を募集すると聞いて、すぐに駆け付けました。もちろん応募者は多かったけれど…それでも、選ばれた。私の熱意に、思いに遠く及ばなかったから。
あなたのそばで、働けることになって。助けてもらったころのあなたの姿と、
そばで見るあなたの姿は違くて、それでいて依然と素晴らしかった。
すこしおっちょこちょいで、ほかのアドミンたちのような頭の良さこそもっていないけれど、
素直だったり、周りを明るくしたり。ほだされそうになるその笑顔は、かわらず素晴らしかった。
日々に色が与えられ、幸福だった。
…そんな素晴らしい生活に影が差してきたのは、いつ頃だったのだろう?もう覚えていない。
仕事が忙しくなった。人々が、アドミンに対して要求することが多くなっていた。
…簡単に言えば、人々は傲慢になった。他のアドミンたちが、そんな人々に嫌気がさしているのは、簡単に分かった。けれど人々を見捨てないのは、ひとえにあなた…ホワイトのおかげだと。ホワイトはまだ人を信じていて、動き続けている。そのおかげで、ほかのアドミンたちは人々を見捨てないのだと。
私はわかっていた。
…わかっていたのに、どうしてこの選択をしてしまったのだろう。もっといいやり方があったはず。マリーツィア。その組織の主から話しかけられた。そのときに歯車が狂った。
マリーツィアの主は、私に囁いてきた。悪魔の声だった。
それに従ったのは、ほかでもない私だった。
やるときは一瞬だった。あなたに、「相談があります」とだけ言って、二人きりの時間を用意して。いつも通りのあなたの部屋で、あなたは背後をさらしていて。
電球を壊して、あなたが振り向くその瞬間の目に、ナイフを突き刺すだけ。簡単だった。
アドミンたちが使える…あまりにも強力なアドミン権限は、ナイフの力によって封じられていた。
赤色のカーペットが広がって、跳ねて。ものがぶつかる音、かすかな息。それだけだった。
そのまま押し倒して、あなたの左目を抉って、心臓を刺した。あっけなかった。致命傷だった。長くはもたなかった。
…すべて終わってから、私は涙を出していたことに気づいた。
…あなたは抵抗できたはずだ。黒き剣は、あなたのそばにあった。私ごときが上に乗っかったところで、すぐに抜け出せたはずだ。あなたは強かったから。もしかしたら、アドミンの中では最も強かったかもしれない。
でも、抵抗しなかった。
…それはひとえに、私が信頼されていたから?私のことを…まるで本当に大切な人かのように扱ったから。ああ、本当に?本当に私を大切な人だと?
あなたにとって私は、単なる便利な側近だと、思っているんだと、私はそう願っていました。そんなことはありえないとわかっていても。彼を一番近くで支えてきたのですから。ええ、わかっていました。それでも。
最後の言葉が怒りでも恨みでも、受け入れるつもりでした。
…なのに、なぜ謝ったのですか。なにに、だれに?どうして?それが最後の言葉?ありえない。変だ、変だった。
彼は私たちのような醜悪な化け物ではなく、純粋たるアドミンであり、人だった。
そのときに私は、あなたに恨まれたかった、怒られたかったのだと気づいた。
あなたの記憶に残りつづけたかった、そう思っていたこと。
もしかしたら、もうすでになれていたのかもしれないのに。
私が謝るべきだった。あなたがあやまるべきじゃなかった!
こんな愚かな思いを抱いて、あなたを害して。あなたのためになることがしたかったのに、私は、こんな……ことをしてしまった。
もう取り返しはつかない。
マリーツィアの拠点に戻って、あなたの目とナイフを献上して。すべてがぼやけて、何か言われているような気がしても、ろくな反応が返せなかった。
まるで英雄のように扱われて。あなたこそが英雄なのに。
部屋に戻ってようやく、すべてが悪夢ではなく、現実だと理解できるようになった。
マリーツィアのあの囁きに従わなければ、こんな思いを抱いていなかったら。いや、私が信頼されていたことを、気づけていれば。
自身が愚かでなかったら。
こんなことにはならなかった。
あのときは、囁かれたときは、まるでそれがあなたを助けるかのような言葉で…私は狂っていた。
あなたを殺すというのに。
すべてマリーツィアの、そしてその主のせいだと言えればよかったのに。でも、私は共犯者であり実行人であり…その囁きに自ら乗ってしまった愚か者だ。
あなたの血が、床に広がっていく姿を幻視する。
あなたの目が、私の顔を見ているように感じる。もういないのに。
これは罪から逃れたいだけ、わかっている。同時に、わすれないようにするための記憶であることも。
幸せだったころに戻りたい。そして、あなたにこんな思いをいだいてしまう前に、死んでしまいたかった。私自身を、殺してしまいたかった。
ここにいたくなかった。
ここではないどこかに行きたかった。
…寝れば解決するだろうか?いや、しないだろう。
それでも私は、眠りについた。逃げたかった。
今日がなければよかったのに。
実に愚か。そして、自身に一番従ったものでもある。
A マリーツィアの主 【私のため。】
完全なる蛇足。駄文
怖ろしいナニカ。
閑話休題
〈世界の最も大切なものを奪った。〉
いつからだったか。
最初は、アドミンの誕生をよろこんだ。それぞれの役割に、強大な力。人々はみな感謝し、平和だった。私はアドミンたちを称えた。
しかし徐々に…人々は傲慢になった。アドミンたちが、人々に与えすぎたからだ。それを責めるのはあまりにも酷だが。
しだいに、水面下で不満がたまった。直接言うのは恐ろしいが、陰口ならいくらでもたたけるものらしい。
私は、カリスマ性がある。そう気づいたのは、いつだったか。私自身がそんなことを思っていなくとも、感情を込めているように《《見せれば》》、人々はすぐについてきた。
彼らは、アドミンを打倒し、自らが世界を管理するべきだと考えていた。自らを正義だと名乗りだがっていた。
私はそんなことに興味のかけらもなかった。
私は、ただ。星を堕としたいだけなのだ。アドミンという高い高い位置で輝き続ける星を、落としたいだけ。
ホワイトはそのなかでも特段輝く一番星だった。
私は、彼のことが好きなのだろう。ほかの何よりも。愛しているとも呼べる。彼と昔あったことがあり、その瞬間から彼を思わない日はなくなった。
彼の笑い声、悲しむ声。彼が、助けられなかった人の前で、涙を流す姿…すべて見ていた。美しく、すばらしく、それでいて輝いていた。
そしてなにより、こうしてわざわざ組織の主という面倒な役割をしてまで、動いてきたのだから。報酬は支払われなくてはならない。
ホワイトの側近…カルネを堕とすのは簡単だった。ホワイトのためになると嘯いて、カルネの内面を刺激してやれば、すぐに従った。あっけなかった。
だから人は信用ならない。ホワイトにふさわしくない存在。だからこそ、おもしろくもあった。使い道もあった。
ホワイトを殺させたあと、左目とナイフを回収し、一度様子を見てみた。思っていたよりも早くアドミンたちが到着し、そして苦しんでいるのを見た。計画は順調だった。
あとはアドミンたちが狂い、暴挙に出るかの問題だったが……そこは心配しなくてよかった。アドミンたちは思っていた以上に、ホワイトのことを大切にしていたらしい。
人の世は荒れ、アドミンによって人々が苦しめられ始めた。因果応報ともいえるかもしれないな?
そして、私たちはアドミンを封印した。それぞれの領域に。神からのお告げだとほらを吹き、正義を実行した。支持も人も物資も多く、対策もしていた。
エラーグリッジという不安定要素も、封印することができた。
そして、封印したアドミンたちの力を一部使い、外敵の対処やマリーツィアの地位向上にささげた。力のほんのおこぼれは、民衆たちの一部にあげた。のちに、英雄とよばれるだろう。
実に簡単だった。主になるのは恐ろしく面倒だったが、それでもやりとげた。
大昔の「ジンルイ」と呼ばれるものの言葉で言えば、マッチポンプと呼べるだろう。…ちがうかもな。ふふふ。
星々を堕とした。あっけないものだ。
---
組織の主を別の者に移し、世界を眺めた。星々はなく、組織が管理する。
………ふむ、つまらない。クリア後のゲームを見ているかのようだ。行動や結果が予測できてしまう、つまらないゲーム。
…いい案を思いついた。
新しい、真実を探す主人公たち…シナリオは…ふむ、おもしろそうだ。
私は正常ではないのだろう。しかし、楽しいのだからしょうがない。
次の計画の準備をしなければ。