閲覧設定
名前変換設定
この小説には名前変換が設定されています。以下の単語を変換することができます。空白の場合は変換されません。入力した単語はブラウザに保存され次回から選択できるようになります
1 /
目次
好きな男の子
「はーーっ、、掃除疲れたー」
掃除が終わり、廊下を友達と歩く。
「ななはゆうとがいるからいいじゃん!はやく付き合いなよ〜」
「両思いからの付き合うってだいぶ難しいからね?!」
私には、好きな男の子がいた。
坂本ゆうと。学級委員で、運動も勉強もできて、いつもは冷たいけどいざというときはすごく優しい。友達にゆうとって優しいよねって言うと、ななにだけだよって言われる。
わたしとゆうとは両思い。そう分かったけど、付き合うまでが難しかった。
教室に着くと、やけに騒がしかった。
なんだろうと思いゆうとの方を見ると、ゆうとにはづきがバックハグをしていた。
「……え?」
「なな…!」
同じクラスのさゆりが私のもとへ駆け寄った。
「なな…!どうしよう、私、はづきにゆうとにはづきの気持ちを伝えてくれって言われて、ゆうとに『はづきが付き合ってほしいらしい』って伝えたの。ゆうとはななが好きだから振ってこれではづきも諦めると思って…そしたらゆうとは『別にいいよ』って…。ほんとごめん!ななは3年前からずっと……」
「え……?うそ……」
はづきは元々不登校で、学級委員のゆうとが家にプリントを届けに行った日から、学校に来るようになった。
元不登校で、サボり癖があって、勉強も運動も出来なくて、くせっ毛で、ガタイが良くて、力も強くて、女っ気なんてないはづき。
わたしは毎日部活にも学校にも行ってるし、運動も平均以上、テストだって学年3位。サラサラの髪をキープしてるし、モデル体型も簡単に維持してるわけじゃない。力もか弱くて、ハンカチと絆創膏を常に持っている。
わたしは3年前からゆうとのことが好き。小学生の頃、毎日のように遊んで、バレンタインだって毎年あげてるし家族ぐるみの付き合い。心のどこかで優しさを持ってるゆうとがずっと大好き。一緒に微笑んでたのは私。
私なのに_____
その日、はづきとゆうとが付き合ったという噂が、学年中に広まった。
その噂を聞いた友達が沢山、私の元へ来た。
「うそだよね」なんて言葉じゃなくて「次の恋があるよ」って言葉ばっかり。
私は諦めてない。ゆうとははづきの事なんて好きじゃない。ただ付き合っただけ。別れたら、私が告白して、結婚までいってみせる。
涙が頬を伝う。
インスタのノートには失恋ソング。
みんなからまた沢山の励ましが来た。
負けヒロイン…?違う。まだ負けてないよ…。あんな不登校に負けたくない。
ずっと一途に好きだったのは私。なにもかも頑張ってたのは私。
私の努力を奪わないでよ……。
失恋なんてしたことがなかった。
だって初恋はゆうとで、そのゆうととは両思いだった訳だし、自分で言えないかも知れないけど、かなりモテていた方だと思う。
だから私には無理か、とか諦めようなんて気持ちが出てくることはなかったの。
次の日の朝、私は母親の声で目覚めた。
「なな……!ゆうとくんが……!」
「……え?」
ゆうとは、死んだ。交通事故だった。
はづきを助けようとして、トラックに跳ねられて死んだらしい。
涙は、止まらない。止まるわけがなかった。
5日程が経って、ゆうとのお葬式が開かれた。
参列者を迎えるゆうとの親戚のみんな。大体は私が知っている人で、みんなが「ななちゃん」って私を抱きしめてくれた。その胸で、沢山、沢山泣いた。
初めて出会った5年前の春。一緒にプールへ行った夏。紅葉を集めた秋。雪だるまを作った冬。ゆうとが強すぎたドッヂボール。私が弱すぎたゲーム。ゆうとから沢山借りた漫画。一緒に図書館へ行った時の図書カード。誕生日にくれたおもちゃのネックレス。
ゆうととの思い出は、頭の中を離れない。
同じクラスになれた今年の春。やっと両思いだったのが分かったこの夏。だけど、ゆうとははづきと付き合って____。
はづきは、親族のみんなに涙ぐみながら「ゆうとの彼女です」なんて自己紹介をしていた。すると「辛いわよねえ、ゆうと、あなたの事を助けたんでしょう。あなたの中でゆうとは生き続けるわよ」ってゆうとのママ。
はづきの中で生きないで。私のところへ来て、ゆうと。お願い___。
ゆうと。ゆうと。
また一緒に、川沿いをお散歩したいよ。また一緒に、ゲームがしたいよ。
どうして思いを伝えられなかったんだろう。もう、二度と会えないのに……。
ゆうと。ゆうと。大好きだよ。
誰よりも、ずっと、ずっと。
帰ると、LINEの通知が1件。はづきからだった。
『なな、ゆうとと仲良かったよね。辛かったよね。こんな写真しかないけど、良かったら…』
送られてきたのは、はづきとゆうとが恋人繋ぎをしている写真。
見慣れた焼けた血管の見える大きな手と、白い決して女らしくはない手。
こんな写真送って、何になるのだろう。
私の写真フォルダにいるゆうとは、どれも笑っていた。
ゆうと、気持ちを伝えられなくてごめんね。
死んでも、何年経っても、ずっと大好きだよ。ゆうとがはづきを選んだのはなんでなの?私の方がゆうとを大好き。
ねえお願い。行かないで。次はちゃんと伝えるから…。
ゆうと、大好きだよ、
I knew his secret...
私が好きな男の子、綾瀬くん。
綾瀬くんはthe爽やかイケメンで、誰にでも優しくて、友達が沢山いて、勉強は普通だけど運動神経が良くて、バスケ部のエース。八重歯がチャームポイント。みんなからモテモテ。だけど私は、綾瀬くんのそんな万人受けなところじゃなくて、どこかミステリアスなところに惹かれたの。
自分でも、よくわかんないんだけどね…。
みんなからモテモテだし、付き合いたいなんて思ったことない。影からひっそりと彼を見ていることが出来れば、私は幸せなの。
私はどちらかといえば可愛いかなって位のどこにでもいる女の子。スポーツは苦手。勉強は平均くらいかな。趣味は音楽を聞くことと編み物。最近はイヤーマフを編んだ。
私はまあ特別な理由はないし、友達だっているけど、学校なんて嫌い。行ったらたのしいなんてことがほぼ毎日だけど。
そんな学校がもうすぐ終わろうとしている。
今は帰りのホームルーム。早く終わらないかななんて思って、今日の日誌を書いていた。
「はい、じゃあ明日は午前授業だからな。あ、文化祭委員の中村と綾瀬、今日放課後文化祭準備だから。ちょっと遅くまでかかると思うけどよろしくな」
中村は、私。
(えーーっ)
綾瀬くんとなることができた文化祭委員。やっと仕事が回ってきた!そう思ったけど、今日は推しのライブ配信の日。まあ、いっか……。
ホームルームが終わると、綾瀬くんが声を掛けてくれた。
「集合場所体育館だって。行こ」
「うん」
やっぱり近くで見ると更にかっこいいな。私より少し背の高い綾瀬くんと、2人で歩いて体育館に向かった。
ざっと今日の仕事の説明を受けた。私達の仕事は、文化祭のプログラムを書くこと。しかも大きな紙に。2人で。
「2時間は掛かりそうだね…」
「うん…」
今は6時。8時は回ってしまいそうだ。
親に連絡をして、2人で教室で作業をすることになった。2人での作業。付き合いたいなんて思っていないが、やっぱりドキドキした。
夜の教室に2人っきりなんて、少女漫画みたい。
最初は無言で作業をしていたが、やっぱりこの機会を少しでも活かさなきゃいけないと思ってなにか話題を振ることにした。
「綾瀬くんの、好きな食べ物ってなに?の、飲み物でも!」
必死に考えた話題がこれだった。なんだか食いしん坊みたい。
「はは。どうしたの急に。好きな食べ物か…俺あんまり好き嫌いないかなー。飲み物は…ワイン!」
「え?ワイン?笑笑」
「はは。うっそー」
無邪気な笑顔。やっぱりかっこいいな。
時計の針が8時を指したころ、綾瀬くんが言葉を発した。
「なんか、お腹空かない?」
「私は大丈夫!」
ずっと私が食べものの話を振ったから、お腹空いちゃったのかな…恥ずかしいな…。
そう思って綾瀬くんの方を向くと、下を向いてくっきり見える二重線と、長いまつ毛、すらっと通った首筋、少し汗を書いた額。その表情は真剣だった。いや、どこか儚い。
私が綾瀬くんをずっと見つめていると、目が合った。「どうしたの?」そう問いかける綾瀬くんの瞳は、月のせいか輝いていた。
「ううん、なんでもなっ…」
綾瀬くんの大きな手が、私の手首を掴む。
そして、肩を捕まれ、床に倒された。
「えっ…綾瀬くん、?」
綾瀬くんは苦しそうな顔をして、その顔を私に近づけた。
首に、痛みが走った。
綾瀬くんは、私の首にチャームポイントの八重歯で噛み付く。
「うう……」
綾瀬くんは汗ばんでいて、やっぱり苦しそう。
頭がくらくらする。まるで貧血のときみたいな……。あ。
そこで私は自分が血を吸われていることに気がついた。
「きゅ、きゅうけつ、き?吸血鬼なの?綾瀬くん……」
「バレた」
少し元気がでた綾瀬くんはそう言ってにやっと微笑んだ。
「ねえ、どうして……」
私が口を少し開くと綾瀬くんは私の口を指で摘み、「ごめんね」と呟いた。
「美味しかった。お前の血。うれしかったの?」
「うん……」
私は大好きな綾瀬くんに美味しいなんて言われちゃって、状況がよく分からなかったけど、綾瀬くんがミステリアスな理由がわかった気がして、夢見がちなわたしはなんだか嬉しかったの。
「ごめんね。でも、忘れて……これは、俺の秘密だから」
そういって綾瀬くんは私の目に手を被せた_________。
「ん……」
目覚めると、学校だった。時計は朝8時を指していて、クラスメイトが10人ほど教室にいた。
「なに中村、朝早く来て寝てたの?」
「きょうちゃん!あのね、昨日……綾瀬くんが……」
「綾瀬がなに?」
「あれ、なんだっけ…………」
I knew his secret...
私は彼の秘密を知っていた…
あなたを思い出す日
あなたが初めて私を好きだと言ってくれたのはそう、まだ小さな頃。7年前のことだ。
「好きです付き合ってください」と流れと勢いに任せて口走るあなたが好きだった。初めての恋だった。だけどまだ幼稚な私は唾を吐き捨て「無理に決まってるじゃん!」と返事をした。
たかが小学一年生。ほぼおふざけのような告白も、当時のわたしはドキドキしっぱなしで。
振られたあなたはうわーっと悔しそうな顔をし、「また告白するから!」と捨て台詞を吐き、友達のもとへ走っていった。
「また振られたらどうすんの?」と友達に聞かれたあなた。すぐに「何回も告白する」って答えてくれた。
その日から4年が経って、小学四年生の終わりを迎えていた私達は、またもや同じクラスになっていた。席は前後で、特に気まずいこともなく、少し弱腰で、勉強が出来なくて、チャラくて、肌が白くて、細くて、タレ目、釣り眉。優しくて、ゲームが得意で、照れたときにはへへっと笑うあなた。
私は当時、あなたの事が好きじゃなかった。別の、好きな人を見つけてしまったから。
あなたは、好きでいてくれたのにね。
小学四年生最後の日、クラスの誰か1人にランダムに振り当てられ書いた手紙。私へ書いてくれたのはあなただったね。今でも捨てられずに持っているよ。
そして小学六年生になった私達。クラスは離れ、口を交わすことも無くなった。そしてあなたは私を体育館裏へ呼び出した。
「好きです付き合ってください」
6年前と変わらない、勢いと流れに任せた言葉。
わたしの事を好きでいてくれるのは、あなたしかいなかった。
「よろしくね」
だから付き合った。
あなたのことを好きだったかなんて、聞かれても分からない。
2ヶ月。2ヶ月が経った。
あなたとは、付き合ってから一言も喋っていない。私があなたを避けたから。
私と付き合えて嬉しそうにしているあなたを見るのが嫌だった。途端に気持ち悪くなった。
付き合ってから、私はあなたが嫌いだったのかもしれない。
このグダグダした関係を終わらせたくて、「別れてください。今までありがとう。ごめんね」そう書いた手紙を帰り際、あなたに渡した。あの時のあなたの顔は今でも夢に出てくる。
あなたは半年、私を引きずったと聞いた。
ごめんなさい。
半年、私はそう思った。
中学生になった。
同じクラスに小学四年生のころの好きな人がいた。そして、その人に恋をした。可愛いなんて言われちゃったり、手繋いじゃったりして浮かれていた。
その時はあなたのことなんて無かったことにしたくて仕方がなかった。
だけど半年後。丁度あなたと別れてから1年が経った日。7月18日。そのときには、まるで可愛いだとか、手を繋いだりだとかの出来事が無かったかのように、酷い暴言を、好きな人に浴びせられていた。
怖い。
そう思っていた。
好き。
そうとも思っていた。
そしてついには、暴力まで振るわれてしまった。私が掃除に遅刻すると好きな人は私の長い髪を掴み壁に私の頭を打ち付けた。
人が少ない体育館。
壁に項垂れる私は、怖い顔をした好きな人を見つめていた。
このまま、殺されちゃうんじゃないのかななんて思っていた。
ちゃら、と鍵の音がした。
体育館2階の鍵を締めに来た人がいるようだ。私がくらくらする目で音がするほうを見ると、あなたがいたの。
あなたは私と目を合わせたけれど、声を掛けることも、こっちに近寄ることもなく、姿を消した。
やっぱり、あなたみたいに私をずっと愛してくれる人が良かった。
あなたに暴言を吐かれたことも、暴力を振るわれたことなんて1度もない。
あなたみたいな人がよかった。
私は好きな人の前から逃げ出した。
家に帰ると、あなたから昔貰った手紙を見つけた。優しい筆跡。何度も書き直していて汚い紙。
あのとき私が別れようなんて言わなかったら、しあわせだったのかな。
今日も体を震わせて学校に行く。
あなたを見る為だけに。
触れれはしない。心のどこかで、もう一度好きだと言ってくれないかななんて思う。
だって、何回でも告白するって言ってくれたのはあなただから。
助けて欲しかったの。